西暦1,352年は、三種の神器を持たぬ天皇の践祚が行われ、皇位継承の作法に転機が生じた年である。1月9日、光厳上皇からの返事の書簡が具忠朝臣宛に送られ、近年日御座の御剣を定めて置く事が無くなっているのではないか、西暦1,331〜1,334年頃以降は便宜上只細々と日御座の御剣を使って来た様だ、という主旨が記された。此の頃は、御剣が盗まれると伊勢神宮や朝臣から献上され、補充されていた。1月15日には三種の神器が賀名生(現在の奈良県五條市)に到着し、南朝は内侍所の御神楽を興して三種の神器を慰めている。9月25日、足利義詮の擁立により、後光厳天皇が第4代北朝天皇として土御門東洞院殿にて践祚した。三種の神器無しでの践祚であり、以降徐々に三種の神器不要論が受け入れられていった。書簡が転機として挙げる西暦1331年は、光厳上皇自身が10月22日に三種の神器の無い儘光厳天皇として践祚し、剣爾渡御の儀で日御座の御剣が代用された年に当たる。日御座の御剣は西暦1238年4月4日に清涼殿から盗まれ、西暦1278年11月28日の内裏の火災で焼き直され、西暦1321年9月7日には後醍醐天皇が同じ御所の内でも携帯していた守り刀であったが、やがて盗まれる度に献上品で補われる存在となり、西暦1351年10月9日には偽物の三種の神器と共に南朝へ渡っていた。品が失われても位は継がれるという考えが、此の年に形を得た事になる。

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≈は「頃」を意味しています。

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年月日 出来事
1,352 1 9 光厳上皇からの返事の書簡が具忠朝臣宛に送られる。以下の主旨の内容であった。
近年日御座の御剣を定めて置く事が無くなっているのではないでしょうか。西暦1,331〜1,334年頃以降は便宜上、只細々と日御座の御剣を使って来た様だ。
此の頃は、御剣が盗まれると、伊勢神宮や朝臣から献上され、補充されていた。
1,352 1 15 三種の神器が、賀名生(現在の奈良県五條市)に到着する。南朝は、内侍所の御神楽を興し、三種の神器を慰めた。
1,352 9 25 足利義詮の擁立により、後光厳天皇が、第4代北朝天皇として、土御門東洞院殿にて践祚する。三種の神器無しでの践祚であった。以降徐々に三種の神器不要論が受け入れられていった。
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