バルク一元化
囚われの預言者に代わり、書記官が巻物を読んだ──
エレミヤの書記官バルクの歩みを一元化。
157円(税込)
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本書について
紀元前605年、エレミヤはネリヤの子で書記官のバルクを呼び、自身が23年間語ってきた預言を口述して記させ、1巻の巻物を完成させた。囚われの身であったエレミヤは、次の断食の日に自分の代わりに神殿で之を読み上げる様バルクに託す。其の日はユダ王国全土から人々が上って来る。彼等が悪の道から離れ、手遅れにならない内にヤハウェに赦しを請うかも知れない——尤も、書かれている神の呪いは既に宣告済みなのだが、とエレミヤは付け加えた。本書は、此の口述から、紀元前586年にエレミヤと共にエジプトへ発つ迄のバルクの歩みを一元化した記録である。
断食日、バルクはシャファンの子で書記官のゲマルヤの事務所へ赴いた。新しい門の入り口に近く、境内の奥の集会所の側に在る其の事務所の食堂から、バルクは巻物を読み上げる。之を聞いたゲマルヤの子ミカヤは宮殿の会議室へ報告し、書記官エリシャマ・シェマヤの子デラヤ・アクボルの子エルナタン・ゲマルヤ・ハナヌヤの子ゼデキヤらはエフディを遣わせてバルクを呼び寄せた。直接読み聞かされた一同は怯えきり、出所を確かめた上で、バルクとエレミヤに身を隠して居場所を誰にも知らせない様忠告し、巻物をエリシャマの部屋に隠してエホヤキムの下へ向かう。報告を受けたエホヤキムはエフディに巻物を取って来させ、暖房設備の有る部屋の暖炉の前で読み上げさせた。そして3〜4段読まれる度に小刀で其の部分を切り裂き、火の中へ投げ入れる。デラヤ・エルナタン・ゲマルヤは焼かない様抗議したが、他の者は感情を外に出さず、巻物は全て灰となった。エホヤキムは王子エラフメエル・アズリエルの子セラヤ・アブデエルの子シェレムヤに命じ、バルクとエレミヤを逮捕させようとする。
エレミヤは再びバルクを呼び、同じ預言を口述して翌年迄に巻物を作り直させた。今度は、巻物を焼いたエホヤキムに対する言葉が加えられている。其の子孫から王座に就く者は居なくなり、其の死体は捨てられて太陽の炎熱と夜の霜に晒される。家族と家来達も罪に応じて罰せられ、ユダ王国とエルサレムの全住民に、予告された全ての災いが下される——警告を聞こうとしなかったからである。紀元前587年頃には、反バビロンの人々によってエレミヤとバルクがエジプト第26王朝へ連行された。
紀元前586年頃、ネブカドネザル2世がイェハドに人を残し、ゲダルヤを総督に据えてバビロンへ連行しなかった者達を委ねたと聞き、諸方へ避難していたユダの人々やエリシャマの孫イシュマエル・カレアの子ヨハナンらの軍の長達がミツパのゲダルヤの下へ集まった。カルデア人の役人を恐れず此の地に留まって仕えれば幸せになる、葡萄酒・夏の果物・油を収穫して器に納めよ——ゲダルヤの言葉の通り、人々は豊かな収穫を得る。エレミヤとバルクも其の儘ミツパに住み続けた。然し、10名の部下を率いて食事を共にしていたイシュマエルが突然立ち上がり、ゲダルヤを剣で暗殺する。ミツパに居たユダの人々やカルデア人も殺され、捕える事の出来なかった人々は、ネブカドネザル2世とカルデア人の怒りを恐れ、エレミヤとバルクを連れてエジプトへ逃れる道を選んだ。
イシュマエルから人々を取り返したヨハナンが預言を求めてから10日後、エレミヤは彼等を招いて告げた。此の地に留まるならヤハウェは建てて倒さず、植えて抜かず、ネブカドネザル2世の手から救い出す。だが、戦争もラッパの声も無く食糧も乏しくないエジプトへ行こうと言うなら、恐れている剣は其の地で追い付き、飢饉も直ぐ後を追い、エルサレムの住民に注がれた憤りが同じ様に注がれて、再び此の地を見る事は出来ない——。ヨハナン達は、貴方は偽りを言っている、バルクが唆して我々をカルデア人の手に渡そうとしているのだと反発し、エレミヤとバルク、ネブザラダンがゲダルヤに渡しておいた者達、軍の長やユダの人々を連れてエジプト第26王朝へ出発し、タフパヌヘス(現在のエジプトのイスマイリア県)に入った——其の全過程を、本書は一冊に束ねている。
登場人物
- バルク 本書の中心人物。ネリヤの子で書記官。エレミヤが23年間語ってきた預言を口述筆記して巻物に記し、囚われの身のエレミヤに代わって神殿と宮殿で読み上げた。エホヤキムに焼かれた後は同じ巻物を書き直し、追加の預言も記す。ゲダルヤ暗殺の後はエレミヤと共にエジプトへ連れられ、タフパヌヘスに入った。
- エレミヤ 預言者。23年間の預言をバルクに口述して巻物とし、焼かれた後に作り直させた。ミツパに留まる様ヨハナン達へ預言したが退けられ、バルクと共にエジプトへ連れて行かれた。
- エホヤキム ユダ王国の王。エフディに巻物を読み上げさせ、3〜4段毎に小刀で切り裂いて暖炉の火へ投げ入れ、全てを灰にした。バルクとエレミヤの逮捕を命じたが、其の行いに対する新たな預言が巻物に加えられた。
- ゲマルヤ シャファンの子で書記官。バルクが巻物を読み上げた事務所の主で、巻物を焼かない様エホヤキムに抗議した3名の1人。
- ミカヤ ゲマルヤの子。バルクの朗読を聞き、宮殿の会議室へ報告して事を動かした。
- エフディ クシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子。宮殿からバルクを呼び寄せる使いとなり、後にエリシャマの部屋から巻物を取って来てエホヤキムの前で読み上げた。
- エリシャマ 書記官。宮殿の会議室でバルクの朗読を聞いた1人で、巻物は其の部屋に隠された。
- デラヤ シェマヤの子。巻物を焼かない様エホヤキムに抗議した3名の1人。
- エルナタン アクボルの子。巻物を焼かない様エホヤキムに抗議した3名の1人。
- ネブカドネザル2世 バビロンの王。イェハドに人を残し、ゲダルヤを総督に据えて、連行しなかった者達を委ねた。エレミヤは、此の王を恐れず此の地に留まる様預言している。
- ゲダルヤ ネブカドネザル2世に総督として据えられた人物。避難していた人々をミツパに集め、此の地に留まって仕える様説いたが、食事を共にしていたイシュマエルに剣で暗殺された。
- イシュマエル エリシャマの孫でネタニヤの子。ミツパのゲダルヤの下に集結したが、10名の部下と共にゲダルヤを暗殺し、居合わせたユダの人々やカルデア人も殺害した。
- ヨハナン カレアの子。イシュマエルから人々を取り返し、エレミヤに預言を求めた。だが、エジプトへ行けば剣と飢饉が追い付くという預言を偽りと断じ、バルクが唆したとして反発し、人々を連れてエジプトへ出発した。
本書が記録する出来事
- 巻物の口述(紀元前605年) エレミヤが書記官バルクを呼び、23年間語ってきた預言を口述して記させ、1巻の巻物を完成させる。囚われの身の自分に代わって神殿で読む様託した。
- 神殿での朗読(紀元前605年頃) 断食日、バルクがゲマルヤの事務所の食堂から巻物を読み上げる。之を聞いたゲマルヤの子ミカヤが、宮殿の会議室へ報告した。
- 宮殿での朗読と忠告 エフディに呼ばれたバルクが、エリシャマ・デラヤ・エルナタン・ゲマルヤ・ゼデキヤらへ直接読み聞かせる。怯えた一同は、バルクとエレミヤに身を隠す様忠告し、巻物をエリシャマの部屋に隠した。
- エホヤキムによる焼却 エホヤキムが暖炉の前でエフディに読み上げさせ、3〜4段毎に小刀で切り裂いて火に投げ入れる。デラヤ・エルナタン・ゲマルヤの抗議も届かず、巻物は全て灰となった。
- 逮捕命令と巻物の再作成 エホヤキムが王子エラフメエル・セラヤ・シェレムヤにバルクとエレミヤの逮捕を命じる。エレミヤは再び口述し、エホヤキムの子孫と死体に関する新たな預言を加えた巻物を翌年までに完成させた。
- エジプトへの連行(紀元前587年頃) 反バビロンの人々によって、エレミヤとバルクがエジプト第26王朝へ連行される。
- ミツパへの集結とゲダルヤ暗殺(紀元前586年頃) ネブカドネザル2世が総督に据えたゲダルヤの下へ、諸方に避難していたユダの人々と軍の長達が集まる。だが、食事を共にしていたイシュマエルがゲダルヤを剣で暗殺した。
- タフパヌヘスへの出発(紀元前586年9月頃) エレミヤの預言を偽りと断じたヨハナン達が、バルクが唆したとして反発し、エレミヤとバルクを連れてエジプト第26王朝へ出発してタフパヌヘスに入る。
小刀で切り裂かれ焼かれた巻物は、もう一度書かれた──
バルクの筆と亡命の道程を一元化。
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