電子書籍「バルク一元化」の表紙

バルク一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前605年〜586年9月頃
※ユダヤ暦は全て西暦に変換しています
ページ数
4ページ
最新更新日
西暦2,026年8月5日

王の小刀に切り裂かれ、暖炉で灰になった巻物を──
書き直した書記官バルクの19年を一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前605年、預言者エレミヤは、ネリヤの子で書記官のバルクを呼び、自身が23年間語ってきた預言を口述した。バルクは其れを記し、1つの巻物に纏め上げる。エレミヤは囚人の身であった為、次の断食の日に自分の代わりに神殿で読み上げる様、バルクへ託した。ユダ王国全土から人々が上って来る其の日に読めば、彼等は悪の道から離れ、手遅れにならない内にヤハウェに赦しを請うかも知れない——尤も、此処に書かれている神の呪いは既に宣告済みなのだが、と。本書は、此の口述を起点として、19年後にエジプトへ連れ去られる迄のバルクの足跡を、年月日単位で一元化した記録である。

同年12月頃の断食日、神殿の儀式に参列する為に人々が上って来る中、バルクはシャファンの子で書記官のゲマルヤの事務所へ向かった。新しい門の入り口に近く、境内の奥の集会所の側に在った其の事務所の食堂から、バルクは巻物を読み上げる。ゲマルヤの子ミカヤは其の言葉を聞くと、宮殿の会議室へ報告に走った。会議室に居たのは、書記官エリシャマ、シェマヤの子デラヤ、アクボルの子エルナタン、ゲマルヤ、ハナヌヤの子ゼデキヤ等である。彼等はクシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子エフディを遣わしてバルクを呼び寄せ、直接読み聞かせさせた。読み終えると一同は怯えきり、是非エホヤキムの耳に入れなければ、此の言葉は何処から手に入れたのか、エレミヤが口述したのか、と問う。バルクが口述通り書き写したと説明すると、彼等は「バルクとエレミヤは身を隠しなさい。居場所を誰にも知らせてはいけない」と忠告し、巻物をエリシャマの部屋に隠して報告に出掛けた。

報告を聞いたエホヤキムは、早速エフディに巻物を取って来させ、側近達の前で読み上げさせた。王は暖房設備の有る部屋の暖炉の前に座っており、エフディが3〜4段読み上げる度に、小刀で其の部分を切り裂いては火の中へ投げ入れた。デラヤ・エルナタン・ゲマルヤの3名は焼かない様にと抗議したが、其の3名以外は抗議せず、感情を外に出さなかった。巻物は最終的に全て灰になる。エホヤキムは更に、王子エラフメエル、アズリエルの子セラヤ、アブデエルの子シェレムヤに命じ、バルクとエレミヤを逮捕させようとした。

エレミヤは再びバルクを呼び、預言を口述して翌年迄に巻物を作り直させた。今度は、前の巻物には無かった一項目が加えられている——前の巻物にはネブカドネザル2世が此の国を荒らし何もかも壊すと書いてあったので、お前は怒って焼いた、故にお前の子孫からは王座に就く者が居なくなり、お前の死体は捨てられて太陽の炎熱と夜の霜に晒される、私はお前と其の家族、家来達を其々の罪の故に罰する、と。焼かれた言葉は、より重い言葉となって書き直されたのである。

紀元前587年12月頃、エレミヤとバルクは、反バビロンの人々によってエジプト第26王朝へ連行された。紀元前586年7月頃、ネブカドネザル2世がゲダルヤを総督に就かせ、バビロンへ連行しなかった者達を其の手に委ねると、エリシャマの孫でネタニヤの子イシュマエル、カレアの子ヨハナン、ネトファ人タンフメトの子セラヤ、マアカ人の子ヤアザンヤといった軍の長達や、モアブ人・アモン人・エドム人の領地等、凡ゆる地方に避難していたユダの人々が、ミツパのゲダルヤの下へ集結する。カルデア人の役人を恐れてはならない、此の地に留まりネブカドネザル2世に仕えなさい、葡萄酒・夏の果物・油を収穫して器に納め、自分達が手に入れた町々に住むが良い——ゲダルヤの言葉を受けて、人々は沢山の葡萄酒と夏の果物を収穫した。エレミヤとバルクも、其の後ミツパに住み続けている。

しかし同年9月頃、イシュマエルが10名の部下を率いてゲダルヤの下を訪れ、食事を共にする最中に突然立ち上がり、剣で暗殺した。ミツパに居たユダの人々やカルデア人、ネブカドネザル2世が監督を委ねた者も殺害される。ゲダルヤに忠実であった者達は下手人を捕える事が出来ず、ユダの人々と軍の長達は皆、ネブカドネザル2世やカルデア人の怒りを恐れて、エレミヤとバルクを連れてエジプト第26王朝へ逃亡した。ヨハナンがエレミヤに預言を求めた10日後、エレミヤは告げる——此の地に留まるならばヤハウェは貴方方を建てて倒さず、植えて抜かず、ネブカドネザル2世の手から救い出す、しかしエジプト第26王朝へ行くならば、恐れている剣は其の地で貴方方に追い付き、飢饉も直ぐ後を追い、其処で貴方方は死ぬ、と。ヨハナン達は反発した。貴方は偽りを言っている、バルクが貴方を唆して我々に逆らわせ、我々をカルデア人の手に渡して殺すか、或いは捕らえてバビロンに移させるのだ、と。かくしてヨハナンは、エレミヤ・バルク・ネブザラダンがゲダルヤに渡しておいた者・軍の長・ユダの人々を連れて出発し、タフパヌヘス(現在のエジプトのイスマイリア県)に入った。巻物を記しただけの男が、最後には唆した者として名指しされる迄——本書は其の全過程を一冊に束ねている。


登場人物

  • バルク 本書の中心人物。ネリヤの子で書記官。エレミヤが23年間語ってきた預言を口述筆記し、巻物として完成させた。囚人であったエレミヤに代わり、断食日にゲマルヤの事務所の食堂から巻物を読み上げ、宮殿の会議室でも読み聞かせた。エホヤキムに巻物を焼かれた後、再度エレミヤの口述を記して作り直している。エレミヤと共にミツパに住んだが、ゲダルヤ暗殺後、エレミヤを唆した者として名指しされ、エジプト第26王朝へ連れて行かれた。
  • エレミヤ 預言者。23年間語ってきた預言をバルクに口述して巻物を完成させた。囚人の身であった為、神殿での朗読をバルクに託した。巻物の焼却後、より重い一項目を加えて再度口述している。ミツパに住み続けた後、この地に留まる様預言したが容れられず、バルクと共にエジプト第26王朝へ連れて行かれた。
  • ネリヤ バルクの父。
  • エホヤキム ユダ王国国王。巻物の報告を受けてエフディに取って来させ、暖房設備の有る部屋の暖炉の前で、3〜4段読み上げられる度に小刀で切り裂いて火に投じた。バルクとエレミヤの逮捕を命じたが、作り直された巻物では、子孫から王座に就く者が居なくなり、死体は捨てられて太陽の炎熱と夜の霜に晒されると宣告された。
  • ゲマルヤ シャファンの子で書記官。バルクが巻物を読み上げた事務所の主。事務所は新しい門の入り口に近く、境内の奥の集会所の側に在った。巻物を焼かない様に抗議した3名の1人。
  • シャファン ゲマルヤの父。
  • ミカヤ ゲマルヤの子。事務所でバルクの言葉を聞くと、宮殿の会議室へ報告に行った。巻物が王の耳に届く発端となった人物。
  • エフディ クシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子。会議室の一同に遣わされてバルクを呼び寄せた。後にエリシャマの部屋から巻物を持ち出し、エホヤキムと側近達の前で読み上げた。
  • デラヤ シェマヤの子。宮殿の会議室に居た人物の1人。巻物を焼かない様に抗議した3名の1人。
  • エルナタン アクボルの子。宮殿の会議室に居た人物の1人。巻物を焼かない様に抗議した3名の1人。
  • エリシャマ 書記官。宮殿の会議室に居た人物の1人であり、巻物が一時隠された部屋の主。エフディは此の部屋から巻物を持ち出した。
  • ゼデキヤ ハナヌヤの子。宮殿の会議室に居た人物の1人。ミカヤの報告を聞いてバルクを呼び寄せた側にあたる。
  • エラフメエル 王子。エホヤキムからバルクとエレミヤの逮捕を命じられた3名の1人。
  • セラヤ(アズリエルの子) エホヤキムからバルクとエレミヤの逮捕を命じられた3名の1人。
  • シェレムヤ(アブデエルの子) エホヤキムからバルクとエレミヤの逮捕を命じられた3名の1人。
  • ネブカドネザル2世 新バビロニア王国国王。イェハドに人を残し、ゲダルヤを総督に就かせて、バビロンに連行しなかった者達を其の手に委ねた。エレミヤは、此の王を恐れるなとユダの人々に預言している。
  • ゲダルヤ ネブカドネザル2世が就かせた総督。ミツパに住み、集結した者達にカルデア人の役人を恐れず此の地に留まる様告げ、葡萄酒・夏の果物・油の収穫を勧めた。紀元前586年9月頃、食事の最中にイシュマエルと10名の部下によって剣で暗殺された。
  • イシュマエル エリシャマの孫でネタニヤの子。ミツパのゲダルヤの下に集結した軍の長の1人であったが、10名の部下を率いて訪れ、食事の最中にゲダルヤを暗殺した。ミツパに居たユダの人々やカルデア人も殺害している。
  • ヨハナン カレアの子。ミツパに集結した軍の長の1人。イシュマエルから取り返した者達を連れてエレミヤに預言を求めたが、其の内容を偽りと断じ、バルクがエレミヤを唆していると非難した。エレミヤ・バルクらを連れてエジプト第26王朝へ出発し、タフパヌヘスに入った。
  • セラヤ(タンフメトの子) ネトファ人タンフメトの子。ミツパのゲダルヤの下に集結した軍の長の1人。
  • ヤアザンヤ マアカ人の子。ミツパのゲダルヤの下に集結した軍の長の1人。
  • ネブザラダン ゲダルヤに人々を渡しておいた人物。其の渡された者達も、ヨハナンによってエジプト第26王朝へ連れて行かれた。

主要な地名・拠点

  • エルサレム ユダ王国の首都。断食日にユダ王国全土から人々が上って来た地であり、バルクが巻物を読み上げ、エホヤキムが暖炉の前で其れを焼いた地。
  • 神殿 エレミヤが、囚人である自分に代わってバルクに巻物を読み上げる様託した場所。断食日には儀式に参列する人々がユダ王国全土から集まった。
  • ゲマルヤの事務所 新しい門の入り口に近く、境内の奥の集会所の側に在った。バルクが其の食堂から、エレミヤの預言を記した巻物を読み上げた場所。
  • 宮殿の会議室 ミカヤが報告に走った先。書記官エリシャマ・デラヤ・エルナタン・ゲマルヤ・ゼデキヤらが居合わせ、呼び寄せられたバルクが巻物を読み聞かせた場所。
  • エリシャマの部屋 会議室の一同が、エホヤキムに報告へ出掛ける前に巻物を隠した場所。後にエフディが此処から巻物を持ち出した。
  • ミツパ 総督ゲダルヤが住んだ地。軍の長達や各地に避難していたユダの人々が集結し、エレミヤとバルクも住み続けた。ゲダルヤがイシュマエルに暗殺された地でもある。
  • バビロン 新バビロニア王国の都。ネブカドネザル2世が連行しなかった者達はゲダルヤに委ねられた。ヨハナン達は、バルクが自分達をカルデア人に渡すか此処へ移させるつもりだと疑った。
  • タフパヌヘス 現在のエジプトのイスマイリア県。ヨハナンがエレミヤ・バルクらを連れてエジプト第26王朝へ逃亡し、辿り着いた地。

口述・朗読・焼却・再作成・暗殺・連行──
19年に亘るバルクの全記録を一冊に。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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