第6代ユダ王国国王
アハズヤ一元化
侵攻・同盟・討伐──
末子として只1人生き残り、イエフの弓に斃れた王の全記録を一元化。
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本書について
紀元前847年頃、ユダ王国はペリシテ人とアラビア人の侵攻を受けた。ヨラム(ユダ王国国王)は王宮の財産を悉く奪われ、アタルヤを除く王妃を殺害され、末子アハズヤを除く全ての子供を殺害される。王家に残された男子は、たった1人であった。本書は、此の掃討を生き延びた末子が王座に就き、数年後にイエフの弓に斃れる迄の全過程を、年月日単位で一元化した記録である。
紀元前844年頃、ヨラム(ユダ王国国王)は不治の内臓の病に侵され、アハズヤが政務を担う事となった。そして紀元前842年頃、ヨラム(ユダ王国国王)は崩御する。内臓が身体の外にはみ出ての最期であった。国民から全く惜しまれる事は無く、過去の国王とは異なってお香も焚かれず、王墓に葬られる事も無かった。跡を継いで第6代ユダ王国国王に即位したアハズヤは、母アタルヤの影響を受け、父と同じくバアル礼拝を採用する。
間も無くアハズヤは、アハブ家の人間に唆されてイスラエル王国と同盟を結んだ。ハザエル征伐の為にラモト・ギルアデで戦闘を行っていたヨラム(イスラエル王国国王)の援軍として、自ら兵を率いて出陣する。此の戦闘でヨラム(イスラエル王国国王)は負傷し、傷を癒す為にイズレエル(現在のイスラエル北部地区)へと帰った。アハズヤは、其の見舞いの為にイズレエルへ向かう。同盟の証として選んだ此の見舞いが、彼にとって最期の旅路となった。
イズレエルの塔に居た1人の見張りが、イエフの軍勢がやって来るのを発見する。ヨラム(イスラエル王国国王)は騎兵を1名遣わして安否を尋ねさせたが、イエフは「元気かどうかお前の知った事では無い。私の後ろに付いて来い」と其の騎兵を味方に付けてしまった。2人目の騎兵も同じく戻らない。見張りは、使者が帰って来ない事に加え、車の御し方がイエフのものに似ている、狂った様に御している、と報告した。そこでヨラム(イスラエル王国国王)は馬を戦車に付けさせ、アハズヤと共に各々の戦車でイエフを迎えに出る。2人が彼と行き合ったのは、イズレエル人ナボテの所有地であった。
「イエフ、元気か」と尋ねたヨラム(イスラエル王国国王)に、イエフは「何が元気か。貴方の母イゼベルの姦淫と呪術が盛んに行われているのに」と返す。手綱を返して逃げ、「裏切りだ、アハズヤ」と叫んだヨラム(イスラエル王国国王)の心臓を、力一杯引き絞られた矢が射抜いた。イエフは侍従ビデカルに、ナボテの所有地であった葡萄畑へ遺体を投げ捨てる様命じ、ナボテとその子達の血に報復するというヤハウェの宣告を思い起こさせる。アハズヤはベテ・ハ・ガン(現在のイスラエル北部地区)の道へ逃走したが、イエフは「彼奴も討ち取れ」と叫んで追撃し、イブレアム(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ジェニーン県)近くのグルへの上り道で、戦車の上のアハズヤに傷を負わせた。アハズヤは何とかメギドまで逃れたものの、其処で崩御する。家来達は遺体をエルサレムへ運び、生前用意していた自身の墓に、ダビデ等の先祖と共に葬った。王墓に入れられなかった父とは、対照的な最期であった。
此の討伐に先立ち、預言者エリシャは部下に命じてイエフに油を注がせていた。イゼベルの手に掛かった預言者達の血の復讐としてアハブの家を撃つ事、アハブに属する全ての男子が滅ぼされる事、犬がイズレエルの所有地でイゼベルを食う事——其の預言と共に、イエフは第10代イスラエル王国国王に即位する。一方、アハズヤ崩御の知らせを聞いたアタルヤは、王位継承者となり得る者と一族を全て殺害し、自ら第7代ユダ王国国王に即位した。唯1人、大祭司エホヤダの妻エホシェバがアハズヤの息子ヨアシュと其の乳母を救い出し、ヤハウェの神殿の神具を仕舞う小部屋に匿う。ヨアシュは其処で、叔父・叔母・乳母達に守られて養育された。父の代の掃討で1人だけ生き残った王の家系が、其の子の代でも再び1人だけ残される——本書は、此の反復に至る全過程を一冊に束ねている。
登場人物
- アハズヤ 本書の中心人物。第6代ユダ王国国王。ヨラム(ユダ王国国王)の末子であり、ペリシテ人・アラビア人の侵攻で兄弟が悉く殺害される中、唯1人生き残った。父の発病により政務を担い、崩御を受けて即位。母アタルヤの影響でバアル礼拝を採用し、イスラエル王国と同盟を結んでラモト・ギルアデへ出陣した。イズレエルへの見舞いの途上でイエフに追撃され、メギドで崩御した。
- ヨラム(ユダ王国国王) 第5代ユダ王国国王。アハズヤの父。ペリシテ人・アラビア人の侵攻で王宮の財産を全て奪われ、妻子の大半を殺害された。不治の内臓の病に侵され、内臓が身体の外にはみ出ての最期を遂げる。国民から全く惜しまれず、お香も焚かれず、王墓にも葬られなかった。
- アタルヤ アハブの娘。イゼベルの娘。ヨラム(ユダ王国国王)の妻でアハズヤの母。ペリシテ人・アラビア人の侵攻で唯1人殺害を免れた王妃であり、息子にバアル礼拝を採らせた。アハズヤ崩御の知らせを聞くと、王位継承者となり得る者と一族を全て殺害し、第7代ユダ王国国王に即位した。
- ヨラム(イスラエル王国国王) イスラエル王国国王。アハブの子。ハザエル征伐の為ラモト・ギルアデで戦い負傷し、傷を癒す為にイズレエルへ帰還した。近付くイエフに騎兵を2度遣わすも戻らず、自ら戦車で迎えに出て、ナボテの所有地で心臓を射抜かれた。遺体はナボテの葡萄畑へ投げ捨てられた。
- イエフ 第10代イスラエル王国国王。エリシャの部下によって油を注がれ、アハブの家を撃つ使命を帯びた。遣わされた騎兵を次々味方に付け、ナボテの所有地でヨラム(イスラエル王国国王)を射殺。更にアハズヤを追撃し、グルへの上り道で傷を負わせた。
- エリシャ 預言者。部下に命じてイエフに油を注がせ、イスラエルの王とする預言と、アハブの家の全滅・イゼベルへの裁きの宣告を伝えさせた。
- ビデカル イエフの侍従。イエフの命により、ヨラム(イスラエル王国国王)の遺体をナボテの所有地であった葡萄畑に投げ捨てた。かつてイエフと共にアハブに従い、ヤハウェの宣告を聞いた人物でもある。
- イゼベル アハブの妻。アタルヤの母。イエフはヨラム(イスラエル王国国王)に対し、イゼベルの姦淫と呪術が盛んに行われている事を突き付けた。犬がイズレエルの所有地でイゼベルを食い、葬る者は居ないと預言された。
- アハブ 第7代イスラエル王国国王。アタルヤの父。ヤハウェにより、アハブの家は全滅し、属する全ての男子が滅ぼされ、ヤロブアム1世やバシャの家の様になると宣告されていた。
- ヨアシュ アハズヤの息子。アタルヤによる王位継承者の皆殺しの際、エホシェバによって乳母と共に救出され、ヤハウェの神殿の神具を仕舞う小部屋で、叔父・叔母・乳母達に守られて養育された。
- エホヤダ 大祭司。エホシェバの夫。妻がヨアシュを匿った事により、王統の存続に関わった。
- エホシェバ 大祭司エホヤダの妻。アタルヤによる王位継承者殺害の際、アハズヤの息子ヨアシュと其の乳母を救出し、ヤハウェの神殿の神具を仕舞う小部屋に匿った。
- ナボテ イズレエル人。其の所有地でヨラム(イスラエル王国国王)とアハズヤがイエフと遭遇した。ヤハウェはナボテと其の子達の血を見届け、此の地所で報復すると宣告していた。
- ハザエル ヨラム(イスラエル王国国王)がラモト・ギルアデで征伐を行った相手。アハズヤは此の戦闘に援軍として出陣した。
主要な地名・拠点
- ラモト・ギルアデ ハザエル征伐の為の戦闘が行われた地。アハズヤがイスラエル王国軍の援軍として出陣し、ヨラム(イスラエル王国国王)が負傷した戦場。
- イズレエル 現在のイスラエル北部地区。負傷したヨラム(イスラエル王国国王)が傷を癒す為に帰還した地。アハズヤが見舞いに訪れ、塔の見張りがイエフの軍勢を発見した場所でもある。
- ナボテの所有地 イズレエル人ナボテの地所。ヨラム(イスラエル王国国王)とアハズヤがイエフと遭遇し、ヨラム(イスラエル王国国王)が射殺された場所。遺体が投げ捨てられた葡萄畑も此処に在った。
- ベテ・ハ・ガン 現在のイスラエル北部地区。イエフとの遭遇の後、アハズヤが逃走の為に選んだ道。
- イブレアム 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ジェニーン県。此の近くでアハズヤがイエフの軍に追い付かれた。
- グル イブレアム近くの上り道。戦車の上に居たアハズヤが、イエフの軍によって傷を負わされた地点。
- メギド 傷を負ったアハズヤが何とか逃げ延びた地。しかし其処で崩御した。
- エルサレム ユダ王国の首都。家来達がアハズヤの遺体を運び、生前用意していた自身の墓に、ダビデ等の先祖と共に葬った地。
同盟の見舞いが最期の旅路となり、王統は再び1人だけ残された──
アハズヤの全過程を一元化。
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