紀元前842年は、南北両王国の王が同じ日に討たれ、アラムでも王朝が代わった年である。ヨラム(ユダ王国国王)が崩御する。国民から全く惜しまれる事無く、過去の国王とは異なりお香も焚かれず、王墓にも葬られなかった。アハズヤが第6代ユダ王国国王に即位し、アタルヤの影響を受けてヨラム(ユダ王国国王)と同様にバアル礼拝を採用する。更にアハズヤは、アハブ家の人間に唆されてイスラエル王国と同盟を結んだ。同じ頃、エリシャがダマスカスを訪れる。病であったベネハダデ2世は、贈り物を持たせてハザエルを遣わせ、病が治るかどうかを尋ねさせた。エリシャは必ず治るが直ぐに死ぬと預言し、更にハザエルの顔を見つめて泣き出し、貴方はイスラエル王国の人々を剣で斬殺し要塞に火を放ち、アラムの王となると告げる。ハザエルは其の能力は無いと否定したが、ベネハダデ2世には必ず治ると伝えた翌日、寝台のベネハダデ2世に濡れた毛布を掛けて暗殺し、第5代アラム王に即位した。ハザエル征伐の為ラモト・ギルアデで戦闘を行っていたヨラム(イスラエル王国国王)の援軍としてアハズヤが出陣するが、ヨラム(イスラエル王国国王)は負傷してイズレエルへ帰る。見舞いに向かったアハズヤが居る所へイエフの軍勢が近付き、遣わされた騎兵二騎は次々にイエフの側へ付いた。ヨラム(イスラエル王国国王)とアハズヤは各々戦車でイエフを迎えに行き、イズレエル人ナボテの所有地で遭遇する。イエフは、母イゼベルの姦淫と呪術が盛んに行われているのに何が元気かと返し、逃げるヨラム(イスラエル王国国王)を弓で射抜いた。イエフは侍従ビデカルに、ナボテの血に対する報復というヤハウェの宣告を思い起こさせ、遺体をナボテの所有地であった葡萄畑に投げ捨てさせる。アハズヤはベテ・ハ・ガンの道へ逃走したが、イブレアム近くのグルへの上り道で傷を負い、メギドまで逃げて其処で崩御した。家来達はアハズヤをエルサレムへ運び、生前用意していた墓にダビデ等の先祖と共に葬っている。エリシャは預言者仲間の若者を遣わせ、ラモト・ギルアデでヨシャファトとニムシの子であるイエフに油を注がせた。若者は、アハブの家を打ち殺してイゼベルが流した預言者達の血の復讐をする事、アハブの家が悉く滅び失せる事、犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らう事を告げて逃げ去る。家来達は上着を脱いでイエフの足元に敷き、角笛を吹き鳴らして王であると宣言した。斯うしてイエフは第10代イスラエル王国国王に即位する。一方、アハズヤ崩御の知らせを聞いたアタルヤは、王位継承者となり得る者と一族を全て殺害して第7代ユダ王国国王に即位した。しかし大祭司エホヤダの妻エホシェバがアハズヤの息子ヨアシュと其の乳母を救出し、ヤハウェの神殿の神具を仕舞う小部屋に匿った為、ヨアシュは叔父・叔母・乳母達に守られて養育される。12月には、イゼベルが化粧をして屋上間の窓からイエフを見下ろしたが通用せず、イエフの命により宦官達に突き落とされて最期を迎えた。イエフが葬りを指示した時には既に野良犬に食われ、頭蓋骨・両足・両手首しか残っていなかった。イゼベルはティルスの王女であった事から、ティルスとイスラエル王国の関係は断絶した。

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≈は「頃」を意味しています。

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年月日 出来事
842 ヨラム(ユダ王国国王)が崩御する。内臓が身体の外にはみ出ての最期であった。国民から全く惜しまれる事無く、過去の国王とは異なり、お香も焚かれず、王墓にも葬られなかった。アハズヤが第6代ユダ王国国王に即位した。アハズヤは、アタルヤの影響を受け、ヨラム(ユダ王国国王)と同様にバアル礼拝を採用した。
842 アハズヤが、アハブ家の人間に唆され、イスラエル王国と同盟を結ぶ。
842 エリシャがダマスカスを訪れる。此の時病気であったベネハダデ2世はハザエルに「贈り物を持って、神の人を迎えに行き、私の此の病気が治るかどうか、エリシャを通してヤハウェの御旨を尋ねよ」と言った。そして、ハザエルがエリシャに伝えると、エリシャは「ベネハダデ2世は必ず治るが、直ぐに死ぬ」と預言した。そしてエリシャは、ハザエルの顔をじっと見つめると、泣き出し「貴方はイスラエル王国の若い男達・子供達・妊婦を剣で斬殺するだろう。又、イスラエル王国の要塞に火を放つ。そしてアラムの王となる」と告げた。しかしハザエルは、そんな行為をする能力は無いと否定した。其の後ハザエルは、ベネハダデ2世に病気は必ず治ると告げた。
842 ハザエルがベネハダデ2世にエリシャの預言を伝えた翌日、ハザエルが、寝台で横になっているベネハダデ2世に濡れた毛布を掛け、暗殺する。斯うしてハザエルは第5代アラム王に即位した。
842 ハザエル征伐の為、ラモト・ギルアデで戦闘を行っていたヨラム(イスラエル王国国王)率いるイスラエル王国軍の援軍として、アハズヤが兵を率い、ラモト・ギルアデへ出陣する。此の戦闘で、ヨラム(イスラエル王国国王)は負傷した。ヨラム(イスラエル王国国王)は傷を癒す為、イズレエル(現在のイスラエル北部地区)へと帰った。
842 アハズヤが、ヨラム(イスラエル王国国王)の見舞いの為、イズレエルへと向かう。其処に、イズレエルの塔に居た一人の見張りが、イエフの軍勢がやって来るのを発見した。ヨラム(イスラエル王国国王)は「騎兵1名を選んで彼らを迎えに送り、元気かどうか尋ねさせなさい」と指示した。騎兵がイエフを迎えに行き「ヨラム(イスラエル王国国王)が、元気かどうか尋ねておられます」と言うと、イエフは「元気かどうかお前の知った事では無い。私の後ろに付いて来い」と騎兵を味方に付けた。見張りは「使者はイエフの軍勢に辿り着きましたが、帰って来ません」と報告した。其処でヨラム(イスラエル王国国王)はもう1名の騎兵を送り込んだ。送り込まれた騎兵はイエフの軍勢に辿り着き、イエフに「ヨラム(イスラエル王国国王)が、元気かどうか尋ねておられます」と言った。イエフは「元気かどうかお前の知った事では無い。私の後ろに付いて来い」と此の騎兵も味方に付けた。見張りは「使者はイエフの軍勢に辿り着きましたが、帰って来ません。しかし、車の御し方は、イエフの御し方に似ています。狂った様に御しています」と報告した。ヨラム(イスラエル王国国王)は「馬を付けよ」と命じた。馬が戦車に付けられると、ヨラム(イスラエル王国国王)とアハズヤは、各々自分の戦車に乗って、イエフを迎えに行った。2人はイズレエル人ナボテの所有地でイエフと遭遇した。ヨラム(イスラエル王国国王)は「イエフ、元気か」と尋ねた。イエフは「何が元気か。貴方の母イゼベルの姦淫と呪術が盛んに行われているのに」と言った。ヨラム(イスラエル王国国王)は手綱を返して逃げ、アハズヤに「裏切りだ、アハズヤ」と叫んだ。イエフは力一杯弓を引き絞り、ヨラム(イスラエル王国国王)の心臓を射抜いた。ヨラム(イスラエル王国国王)は戦車の中に崩れ落ちた。イエフは、侍従ビデカルに「ヨラム(イスラエル王国国王)を運んで、ナボテの所有地であった葡萄畑に投げ捨てよ。思い起こすが良い。私と貴方が馬に乗ってアハブの後に並んで従って行った時にヤハウェがヨラム(イスラエル王国国王)に就いて宣告された「私は、昨日、ナボテの血と其の子達の血を確かに見届けた─ヤハウェのお告げだ─。私は、此の地所で貴方に報復する─ヤハウェのお告げだ─」という言葉を。アハズヤは、ベテ・ハ・ガン(現在のイスラエル北部地区)の道へ逃走した。イエフはアハズヤを追撃し「彼奴も討ち取れ」と叫んだ。イエフ率いる軍は、イブレアム(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ジェニーン県)近くのグルへの上り道で、戦車の上に居たアハズヤに傷を負わせた。アハズヤは、其れでも何とかメギドに逃げる事が出来たが、其処で崩御した。其の後家来達がアハズヤをエルサレムへ運び、生前用意していた自身の墓に、ダビデ等の先祖と共に葬られた。エリシャは、部下に命じてイエフに油を注がせた。其の部下はイエフに「イスラエルの神、ヤハウェは斯う言われる。『私は貴方に油を注ぎ、貴方をヤハウェの民イスラエルの王とする。貴方は、主君であるアハブの家を撃たねばならない。斯うして私は、イゼベルの手に掛かった私の僕達、預言者達の血、全てのヤハウェの僕達の血の復讐をする。アハブの家は全滅する。私は、イスラエルに於いて縛られている者も、解き放たれている者も、アハブに属する全ての男子を滅ぼし、アハブの家をヤロブアム1世やバシャの家の様にする。犬がイズレエルの所有地でイゼベルを食い、彼女を葬る者は居ない』と」と預言を伝えた。斯うして、イエフは第10代イスラエル王国国王に即位した。
842 アハズヤ崩御の知らせを聞いたアタルヤが、大祭司エホヤダの妻エホシェバによって匿われたアハズヤの息子ヨアシュを除く、王位継承者となり得る者と一族を全て殺害し、第7代ユダ王国国王に即位する。エホシェバは、ヨアシュと其の乳母を救出し、ヤハウェの神殿の神具を仕舞う小部屋に匿い、ヨアシュは其処で、叔父・叔母・乳母達に守られ養育された。
842 エリシャが、預言者仲間の若者1名を呼んで「腰に帯を締め、手に此の油の壺を持って、ラモト・ギルアデに行きなさい。着いたら、ヨシャファトとニムシの子であるイエフを見つけなさい。そして奥の間に連れて行き、同僚達の中でイエフを立たせ、油の壺を取って、彼の頭の上に油を注いで斯う言いなさい。「ヤハウェは斯う言われる。『私は貴方に油を注いでイスラエルの王とする』と」と。終わったら戸を開け、直ぐに逃げなさい」と指示した。そして若者がラモト・ギルアデへ向かうと、軍の高官達が会議中であった。若者は「隊長、申し上げる事がございます」と言った。イエフは「此の中の誰か」と尋ねた。若者は「隊長、貴方にです」と答えた。若者は油をイエフの頭に注いで「イスラエルの神、ヤハウェは斯う言われる。『私は貴方に油を注いで、ヤハウェの民イスラエルの王とする。貴方は、主君アハブの家の者を打ち殺さなければならない。斯うして私は、私の僕である預言者達の血、イゼベルによって流された全てのヤハウェの僕達の血の復讐をする。其れでアハブの家は悉く滅び失せる。私はイスラエルの中の、アハブに属する小童から奴隷や自由の者に至るまでを絶ち滅ぼし、アハブの家をネバテの子ヤロブアムの家の様に、又アヒヤの子バアシャの家の様にする。犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らい、彼女を葬る者は誰も居ない』と」と言った。若者は戸を開けて逃げた。イエフが彼の主君の家来達の所に出て来ると、1人が「何事も無かったのですか。あの気の触れた者は何の為に来たのですか」彼に尋ねた。イエフは「あの男は私に「ヤハウェは斯う言われる。『私は貴方に油を注いで、イスラエルの王とする』と」と言った」と答えた。すると、家来達は皆大急ぎで自分の上着を脱ぎ、入口の階段に居たイエフの足元に敷き、角笛を吹き鳴らして「イエフは王である」と言った。
842 12 或る日、イゼベルは、目に化粧をし、髪を結い、屋上間の窓からイエフを見下す様に見下ろしていた。フェニキア仕込みの化粧で魅惑し、イエフを圧倒しようとした。しかし通用せず、イエフは窓を見上げ「私の味方になる者は誰だ」と言うと、2、3名の宦官が見下ろした。イエフは宦官達に「其の女を突き落とせ」と命じた。宦官達がイゼベルを突き落とすと、イゼベルの血が壁や馬に飛び散った。そして馬がイゼベルを踏み付けた。イエフは其の様な状況に目も呉れず、自宅で食事を済ませてから、葬りの指示を行った。しかし其の間に、野良犬がイゼベルの死体を食べ、頭蓋骨・両足・両手首しか残っていなかった。イゼベルはティルス(現在のレバノン南レバノン県スール)の王女であった事から、ティルスとイスラエル王国の関係は断絶した。
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