西暦1860年(万延元年)は、幕末の転換点となった年である。3月、桜田門外の変で大老井伊直弼が水戸・薩摩の脱藩浪士に暗殺され、安政の大獄を進めた幕府の権威は大きく揺らいだ。日米修好通商条約の批准のため、新見正興を正使とする万延元年遣米使節がポーハタン号で渡米し、その護衛として咸臨丸が勝海舟・福澤諭吉・ジョン万次郎らを乗せて太平洋を渡り、日本の艦船として初の太平洋横断を成し遂げた。使節はワシントンでブキャナン大統領に謁見し、ニューヨークでは50万人の歓迎を受けた。国内では清河八郎らが虎尾の会を結び、孝明天皇が和宮親子内親王の将軍家降嫁を勅許した。アメリカでは大統領選でエイブラハム・リンカーンが当選し、南北の対立は決定的となった。

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年月日 出来事
1,860 靴職人の息子エドゥアルト・ホイヤーがサン・ティミエ(現在のスイスのベルン州)に時計工房「エドゥアルト・ホイヤー・ウォッチメーカーズ」を設立する。
1,860 肉屋・理髪店・八百屋・焼き栗屋経営者ジョヴァンニ・パネライがフィレンツェのグラツィエ橋に時計の販売店・時計工房・時計製造学校である「オフィチーネ・パネライ」を設立する。
1,860 エイブラハム・クーンとソロモン・ローブが、経営する商品販売会社を紳士服メーカーに転身させ「クーン・ネッター社」とし、其の後シンシナティ(アメリカのオハイオ州)で乾物商として成功を収め、軍服の製造・供給で財を成す。
1,860 1 ジャーディン・マセソン商会横浜支店の「英一番館」が完成する。
1,860 2 庄内藩清河八郎、幕臣の山岡鉄舟、松岡万等15名により、虎尾の会が結成される。
1,860 2 4 アメリカ海軍の外輪フリゲート艦「ポーハタン号」の護衛と遠洋実習の名目で江戸幕府の軍艦「咸臨丸」が品川を出港する。江戸幕府は、タウンゼント・ハリスの勧めもあり、日米修好通商条約の批准書交換の為、使節団をポーハタン号に乗船させ、アメリカに派遣する事を決定していた。咸臨丸には以下の人間が乗船していた。
①軍艦奉行木村芥舟
②勝海舟
③福澤諭吉
④ジョン万次郎(主席通弁官)
⑤塩飽諸島出身の水夫等92名
1,860 2 10 咸臨丸が浦賀を出港する。
1,860 2 13 以下3名を始めとする日本使節団77名の乗船するポーハタン号が、ワシントンD.C.へ向けて横浜を出港する。
①正使新見正興
②副使村垣範正
③監察小栗忠順
1,860 3 17 咸臨丸がサンフランシスコに到着する。浦賀を出港してから38日での到着であったが、其の内34日は荒天であった。木村芥舟と勝海舟は船酔いが酷く、船室に篭りきりであった。特に勝は、38日の航海で3度しか船室を出なかった。一行はお土産として、以下の品物を購入した。
①ミシン
②カメラ
③本(ジョン万次郎が福澤諭吉に購入を勧めたウェブスター辞典を含む)
1,860 3 24 江戸城桜田門外(現在の東京都千代田区霞が関)で水戸藩脱藩浪士17名と鹿児島藩士1名が彦根藩の行列を襲撃、大老井伊直弼を暗殺する。
1,860 3 28 日本使節団の乗船するポーハタン号がサンフランシスコに寄港する。途中燃料を使い過ぎて補給の為ホノルルに立ち寄った事から、予定より遅れての到着であった。
1,860 4 7 咸臨丸が、日本へ向けてサンフランシスコを出港する。往路の反省から、運用体制を見直し、日本人乗組員の技量不足を補う為にアメリカ人乗組員を5名雇った。但し此れは問題の先送りに過ぎなかった。
1,860 4 21 久世広周が、老中安藤信正の推挙を受け、老中に再任される。
1,860 4 23 此の日から同年5月3日迄、チャールストン(アメリカのサウスカロライナ州)にて、アメリカ民主党の全国大会が開かれる。オーガスト・ベルモントは議長を務めた。奴隷制を強く支持し、アメリカからの脱退を促し、南部諸州の独立を唱える南部過激派「ファイア・イーター」に従う形で、南部民主党員の一部が退席した。
1,860 5 15 日本使節団の乗船する「ノーロック号」がワシントンD.C.に到着する。途中パナマでポーハタン号から乗り換えていた。其の後第15代アメリカ大統領ジェームズ・ブキャナンに謁見し、以下を訪問した。
①スミソニアン博物館(アメリカのワシントンD.C.北西地区)
②アメリカ議会議事堂(アメリカのワシントンD.C.)
③ワシントン海軍工廠(アメリカのワシントンD.C.南東地区)
④アメリカ海軍天文台(アメリカのワシントンD.C.北西地区)
1,860 5 22 日本使節団が日米修好通商条約の批准書を交換する。
1,860 5 23 咸臨丸が浦賀に帰港する。往路と異なり天候には恵まれた。
1,860 6 1 幕命により、京都所司代酒井忠義が九条尚忠に、和宮親子内親王の将軍家降嫁を奏請する。
1,860 6 8 日本使節団が、ニューヨークへ向けてワシントンD.C.を出発する。
1,860 6 16 日本使節団が以下を経由してニューヨークに到着する。
①ボルチモア(アメリカのメリーランド州)
②フィラデルフィア
その後ブロードウェイでパレードを行い、500,000名の人々から歓迎された。
1,860 6 28 処女航海であったグレート・イースタン号がニューヨークに入港する。日本使節団は、巨大な船体を見て仰天した。
1,860 6 29 日本使節団が、ナイアガラ号に乗船し日本へ向けて出港する。
1,860 10 17 徳川慶喜の隠居謹慎処分が解除となる。
1,860 11 6 第19回アメリカ大統領選が行われる。候補者は以下の4名であった。
①エイブラハム・リンカーン(共和党)
②ジョン・ブレッキンリッジ(南部民主党)
③ジョン・ベル(立憲連合党)
④スティーブン・ダグラス(北部民主党、ダグラスの計らいで民主党全国委員会委員長に就いていたオーガスト・ベルモントが資金提供)
結果、反奴隷制の北部民主党と奴隷制維持の南部民主党に分裂した事で、リンカーンが、南部で1州も勝てなかったにも拘らず、第16代アメリカ大統領に選出された。
1,860 11 9 日本使節団が品川に帰港する。以下を経由した。
①北大西洋
②カーボベルデ
③アンゴラ
④喜望峰
⑤バタヴィア
⑥香港
1,860 11 30 孝明天皇が、和宮親子内親王の将軍家降嫁を勅許する。
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