西暦1858年は、日米修好通商条約が結ばれ、朝廷と幕府の対立が決定的となった年である。1月25日にタウンゼント・ハリスと下田奉行井上清直、目付岩瀬忠震の間で交渉が始まり、1月27日には幕府が朝廷へ締結の旨を伝えた。2月27日、孝明天皇は三大臣等へ開国か鎖国かを下問し、3月2日には「アメリカの思い通りになってしまっては天下の一大事だ。朕の代にこの様な事になるのは後代までの恥となる」と表明する。4月25日に関白九条尚忠が条約の議案を提出すると、堂上公家137家の内、岩倉具視や中山忠能等計88名が撤回を求めて抗議の座り込みを行った。6月4日に井伊直弼が大老に就任し、7月6日にハリスと井上清直が下田協約を締結、7月29日、日米修好通商条約がハリスと井上清直・岩瀬忠震との間で締結された。下田・箱館・神奈川等の開港、江戸・大坂の開市、治外法権と自由貿易を認める、日本側に不利な不平等条約である。西暦1854年3月31日の日米和親条約から四年での踏み込みであった。8月2日に堀田正睦と松平忠固の両老中が罷免され、同じ日に徳川慶喜が条約締結を違勅として井伊直弼を詰問、8月3日には徳川斉昭・松平春嶽・徳川慶勝が不時登城して失政を追求したが、井伊は平身低頭を繰り返す老獪な戦法でかわした。8月4日に徳川家茂の継嗣発表が為され、8月7日、締結を聞いた孝明天皇は譲位の意思を示す宸翰を下したが、8月8日の朝議で公家達の説得により思い止まっている。8月13日には慶喜に登城停止、斉昭・春嶽等に隠居謹慎処分が下され、8月14日に徳川家定が死去した。10月9日には日仏修好通商条約が締結されている。清では6月26日、イギリスとの間で天津条約が署名された。外交使節の北京常駐、内地旅行と揚子江沿岸開港場への自由往来、新たな貿易規則と関税改正の為の会議の開催が定められ、此れによりアヘン貿易が合法化された。西暦1726年の販売禁止から百三十二年、西暦1836年6月10日に許乃済が説いた合法化論を退けて西暦1839年に焼却へ踏み切った国が、戦に敗れて其の品を法の内へ入れる事になった訳である。海外では12月15日、フェルディナン・ド・レセップスが資本金200,000,000フランの「国際スエズ運河会社」を設立した。西暦1854年11月30日の許可書から四年での会社設立である。5月21日にはシャルル・ルイ・アヴァスが死去し、弐男オーギュストがオーナーの座を継いだ。西暦1832年にフランス・ロスチャイルド商会に雇われ、西暦1835年10月22日に通信社を興した男であった。又、デイヴィッド・サスーンが参男サスーン・デイヴィッド・サスーンをロンドンへ送り、レドンホール・ストリートに銀行を開設させている。1月1日には箱館へ着いたジョン万次郎が、住民から余所者は乗せないとして西洋式帆船への乗船を拒まれ、アメリカ式の捕鯨を根付かせようとしたが箱館の技術の方が優れており、1月11日に江戸へ向けて発った。

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年月日 出来事
1,858 デイヴィッド・サスーンが、イギリスでの事業拡大を意図し、上海でサスーン商会中国支店の貿易業務を行なっていた自身の参男サスーン・デイヴィッド・サスーンをロンドンへ送る。サスーン・デイヴィッド・サスーンは、レドンホール・ストリート(イギリスのロンドンのシティ・オブ・ロンドン)に銀行を開設し、以下2ヶ所にもサスーン商会の支店を設立し、サスーン家の貿易事業を拡大した。
①リヴァプール
②マンチェスター
其の後、南北戦争中に事業が成長し、イギリス国内の紡績工場・イギリス市場への綿花の主要な供給者となった。軈て、デイヴィッド・サスーンの四男ルーベン・サスーンもイギリス事業の運営に携わる様になった。
1,858 アダム・オペルが、修行の為、リュッセルスハイム(現在のドイツのヘッセン州グロース・ゲーラウ郡)を出発する。以下を経由して、目的地のパリに到着した。
①リエージュ(ベルギー)
②ブリュッセル
③ロンドン
1,858 1 1 ジョン万次郎が箱館に到着する。
1,858 1 2 ジョン万次郎が病気の名目で出勤せず。箱館の住民は余所者は乗せないとして、万次郎の西洋式帆船「箱館丸」への乗船を拒否した。また、万次郎はアメリカ式の捕鯨を根付かせようとしたが、箱館の技術の方が優れていた。
1,858 1 6 ジョン万次郎が出勤する。其の時来航したアメリカ船に対しては、万次郎は直接捕鯨指導せず、他の人間を派遣して指導させた。
1,858 1 11 ジョン万次郎が、江戸へ向けて箱館を出発する。
1,858 1 25 タウンゼント・ハリスと下田奉行井上清直、目付岩瀬忠震の間で通商条約の交渉が始まる。
1,858 1 27 江戸幕府が、朝廷に通商条約を締結する旨を伝える。
1,858 2 27 日米修好通商条約の調印勅許を得る目的で堀田正睦が上京する為、第121代天皇の孝明天皇が、左大臣近衛忠煕、右大臣鷹司輔煕、内大臣三条実万及び議奏、武家伝奏へ開国か鎖国か下問をする。
1,858 3 2 孝明天皇が関白九条尚直に対し、「アメリカの思い通りになってしまっては、天下の一大事だ。朕の代にこの様な事になるのは、後代までの恥となる」と表明する。
1,858 4 25 関白九条尚忠が朝廷に条約の議案を提出するが、堂上公家137家の内、岩倉具視や中山忠能等計88名が条約案の撤回を求めて抗議の座り込みを行う。
1,858 5 21 シャルル・ルイ・アヴァスがブージヴァル(現在のフランスのイヴリーヌ県)で死去し、弐男のオーギュスト・アヴァスがオーナーの座を引き継ぐ。
1,858 6 4 井伊直弼が老中から大老職拝命を伝えられ、大老に就任する。
1,858 6 26 清とイギリスの間で天津条約が署名される。主な内容は以下である。
①外交使節の北京常駐
②内地旅行と揚子江沿岸開港場への自由往来
③新たな貿易規則と関税改正の為の会議の開催(アヘン貿易が合法化される)
④牛荘、登州、漢口、九江、鎮江、台南、淡水、潮州(後に同地方の汕頭に変更)、瓊州、南京の開港
⑤キリスト教布教の自由と宣教師の保護
⑥軍事費の賠償(イギリスに対し4,000,000両、フランスに対し2,000,000両の銀)
1,858 7 6 タウンゼント・ハリスと井上清直が下田協約を締結する。主な内容は以下の通り。
①日米貨幣交換比率改定
②下田・箱館における米人居住権
③長崎港の追加開港
④領事の日本国内旅行権
⑤領事裁判権の承認
1,858 7 29 日米修好通商条約が、タウンゼント・ハリスと井上清直、岩瀬忠震との間で締結される。 日本側には不利な不平等条約であった。内容は以下の通り。
①下田・箱館・神奈川等の開港
②江戸・大坂の開市
③下田・箱館の外国人居留地の設定
④治外法権、自由貿易を認める
⑤関税自主権を否定
1,858 8 1 日米修好通商条約締結が諸大名に公表される。
1,858 8 2 堀田正睦、松平忠固両老中が罷免される。
1,858 8 2 御三卿による将軍への公式な面会日であった徳川慶喜が登城し、条約締結を違勅として井伊直弼を詰問する。
1,858 8 3 徳川斉昭、第16代福井藩主松平春嶽、第14代尾張藩主徳川慶勝が不時登城を行う。入れ替わり立ち代わり井伊直弼に面会しその失政を追求したが、井伊直弼はひたすら平身低頭を繰り返す老獪な戦法で、これをかわす。春嶽は老中久世広周に将軍継嗣発表の延期を勧説した。
1,858 8 4 徳川家定の意思により、徳川家茂の継嗣発表が為される。
1,858 8 6 日米修好通商条約調印の旨が、宿継奉書で朝廷に知らされる。
1,858 8 7 日米修好通商条約の締結を聞いた孝明天皇は、左大臣、右大臣、内大臣の三役等に「天皇の位から降りる」と伝えるほどの怒りを見せる。孝明天皇が九条尚忠に譲位の意思を示した宸翰を下す。
1,858 8 8 朝議が開かれ、公家たちの説得で孝明天皇が譲位を思いとどまる。
1,858 8 13 徳川家定から、徳川慶喜に登城停止、徳川斉昭、松平春嶽等に隠居謹慎処分が発表される。
1,858 8 14 徳川家定が死去。
1,858 8 14 第10代水戸藩主徳川慶篤に登城停止処分が下される。
1,858 8 30 孝明天皇が近衛忠煕に譲位の意思を示した宸翰を下す。
1,858 10 9 フランスの外交官のジャン・バティスト・ルイ・グロ男爵と日本の外国奉行(水野忠徳、永井尚志、井上清直、堀利煕、岩瀬忠震)及び野々山鉦蔵との間で日仏修好通商条約が締結される。
1,858 11 12 以下2名の間に参男オリバー・ハザード・ペリ-・ベルモントが生誕する。
①オーガスト・ベルモント
②キャロライン・スライデル・ペリー
1,858 12 15 フェルディナン・ド・レセップスが、資本金200,000,000フランの「国際スエズ運河会社」を設立する。400,000株が公募されたが、其の内207,160株をフランス人が、177,642株をムハンマド・アリー朝が引き受けた。此の頃イギリスは、インドへのルートとして、スエズ-アレクサンドリア間の鉄道建設を始めており、レセップスの運河計画に反対していた為、スエズ運河を重要な貿易ルートと認識していたものの、申込みをしなかった。国際世論は懐疑的で、イギリスの他にも、以下の国は国際スエズ運河会社の株を一切購入しなかった。
①アメリカ
②オーストリア帝国
③ロシア帝国
イギリスは、此のフランスのスエズ運河プロジェクトを、自国の地政学的及び財政的利益に対する脅威と見做した。
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