西暦1,112年は、東南アジアに四つの言語を並べた碑文が刻まれた年である。此の年頃、バガン(現在のミャンマー)にてパーリ語・ピュー語・モン語・ビルマ語で碑文が作られた。ミャゼディ碑文である。パーリ語は上座部仏教の経典の言語であり、ピュー語とモン語は此の地に先に栄えた勢力の言語、ビルマ語は其の時代に台頭しつつあった言語である。同じ内容を四つの言語で並べて刻むという営みは、複数の言語集団が一つの王権の下に併存していた実情を映すと同時に、読み手を限定しない為の配慮でもあった。此の碑文は、既に使われなくなったピュー語を読み解く手掛かりを後世に残す事にもなり、東南アジアの言語史を辿る上で欠かせない資料となっている。文字に刻まれた事によって、話し手を失った言葉が千年を越えて残った例である。パーリ語が伝えた経典は、当サイトの年表で西暦402年に鳩摩羅什が阿弥陀経を、西暦649年には玄奘三蔵が般若心経を漢語へ移した経典群と源を同じくし、西暦538年には其の教えが日本へも伝わっている。同じ源から出た教えが、東アジアでは漢語へ訳され、此処では原語の儘で石に刻まれた事になる。

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≈は「頃」を意味しています。

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年月日 出来事
1,112 バガン(現在のミャンマー)にてパーリ語、ピュー語、モン語、ビルマ語で碑文が作られる(ミャゼディ碑文)。
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