電子書籍「乙女座一元化」の表紙

乙女座一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前11,700,000,000年頃〜西暦2,700,000,000年頃
ページ数
31ページ
最新更新日
西暦2,026年8月13日

紀元前117億年、乙女座ν星に灯がともる──
乙女座の恒星19個の生涯を、一本の時間軸へ一元化。

JPY 200(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前117億年、乙女座ν星の原始星が誕生する。星間に漂う物質が自らの重力で集まり、やがて一つの星の形を取り始めた——本書が記録する最初の出来事である。そして西暦27億年、ポリマ(乙女座γ星)が熱核融合に用いる水素を使い尽くす日まで、実に144億年。本書は、黄道十二星座の一つ・乙女座に属する19個の恒星について、原始星の誕生と水素の枯渇という二つの節目を一本の時間軸へ並べ、年代順に一元化した年表である。

収録する19個のうち、10個は固有名を持つ——スピカ(α星)、ザヴィヤヴァ(β星)、ポリマ(γ星)、ミネラウバ(δ星)、ビンデミアトリックス(ε星)、ヘゼ(ζ星)、ザニアー(η星)、シルマ(ι星)、カン(κ星)、カンバリア(λ星)。残る9個は、θ星・μ星・ν星・ο星・π星・τ星・χ星というギリシャ文字と、109星・110星というフラムスティード番号で呼ばれる。各項目には、地球からの距離・太陽質量・太陽半径・スペクトル型・視等級が併記され、其の星がどれ程遠く、どれ程重く、どれ程大きく、どの様な明るさで輝いているのかが一目で分かる。

並べてみると、一つの法則が浮かび上がる。太陽質量1.2のν星は、誕生から水素の枯渇までに129億年を費やす。対して太陽質量11.4のスピカは、紀元前1,250万年に生まれ、西暦550万年には水素を使い果たす——僅か1,800万年である。質量にして9.5倍の違いが、寿命にして約700倍の違いとなって現れる。軽い星ほど長く、重い星ほど短いという恒星の掟が、乙女座という一つの星座の中に並んで見える。

中でも異彩を放つのがスピカである。太陽質量11.4は、二番目に重いビンデミアトリックスの2.6を4倍以上引き離す。視等級0.97は本書で唯一の1等星であり、スペクトル型B1 III-IV +B2 Vは最も高温の側に位置する。本書が記録する19個の中で最も遅く生まれ、最も早く燃え尽きる星——最も明るく輝く星が、最も短い時間しか持たないのである。

同じ年に複数の出来事が重なる箇所も多い。紀元前45億年にはカン(κ星)と110星が、紀元前28億年にはμ星とシルマ(ι星)が、紀元前3億5,000万年には109星とθ星が、揃って原始星として誕生する。枯渇の側も同様で、紀元前5,000万年にはビンデミアトリックス(ε星)・シルマ(ι星)・ο星の三つが同時に水素を使い果たし、西暦4億年にはミネラウバ(δ星)とザニアー(η星)が、西暦7億年にはτ星とπ星が、西暦12億年にはμ星とν星が、其々同じ年に節目を迎える。

本書の年表を「今」で切ると、乙女座の姿は二つに分かれる。110星・カン(κ星)・χ星・シルマ(ι星)・ο星・ビンデミアトリックス(ε星)・θ星の7個は、既に水素の枯渇という節目を過ぎている。残る12個は未来にその時を控え、最も早いのは西暦550万年のスピカ、最も遅いのは西暦27億年のポリマである。

スペクトル型は高温のB1から低温のM3まで、光度階級は主系列星のVから準巨星のIV、巨星のIIIまでが登場する。太陽半径はν星の50からポリマの1.4まで、距離はザヴィヤヴァの36光年からπ星の350光年まで開いており、χ星には1つの惑星を持つ星として注記が添えられている。年代は何れも概算値であり、原資料では「≈」を付して示される。億年という単位でしか測れない星の一生を、人間の作った年表の形式へ落とし込んだ時、何が見えるのか——本書は乙女座という一つの星座を通して、其の問いに答える一冊である。


登場天体

  • 乙女座ν星 本書が最初に記録する恒星。紀元前117億年に原始星として誕生し、西暦12億年に熱核融合に用いる水素が枯渇する。太陽質量1.2は本書で最も軽く、其の分だけ寿命は129億年と最も長い。太陽半径50も本書で最大。距離313光年、スペクトル型M1 III、視等級4.04。
  • カン(乙女座κ星) 110星と同じ紀元前45億年に誕生し、紀元前5億年に水素が枯渇する。距離256光年、太陽質量1.8、太陽半径32、スペクトル型K3 III、視等級4.18。
  • 乙女座110星 ギリシャ文字ではなくフラムスティード番号で呼ばれる二つの星の一つ。紀元前45億年に誕生し、紀元前25億年に水素が枯渇する。距離180光年、太陽質量1.5、太陽半径12、スペクトル型K0 III、視等級4.4。
  • ミネラウバ(乙女座δ星) 紀元前43億年に誕生し、西暦4億年に水素が枯渇する。スペクトル型M3 IIIは本書で最も低温側にあり、太陽半径48はν星に次ぐ大きさ。距離198光年、太陽質量1.4、視等級3.39。
  • ザヴィヤヴァ(乙女座β星) 距離36光年は本書で最も近い。紀元前30億年に誕生し、西暦15億年に水素が枯渇する。太陽質量1.4、太陽半径1.7、スペクトル型F9 V、視等級3.6。
  • 乙女座μ星 シルマと同じ紀元前28億年に誕生し、ν星と同じ西暦12億年に水素が枯渇する。距離61光年、太陽質量1.5、太陽半径2.1、スペクトル型F2 III、視等級3.87。
  • シルマ(乙女座ι星) 紀元前28億年に誕生し、紀元前5,000万年に水素が枯渇する。距離70光年、太陽質量1.5、太陽半径2.6、スペクトル型F6 III、視等級4.08。
  • 乙女座χ星 1つの惑星を持つ星として記録される。紀元前8億6,000万年に誕生し、紀元前6,000万年に水素が枯渇する。距離315光年、太陽質量2.28、太陽半径20.2、スペクトル型K2 III、視等級4.65。
  • カンバリア(乙女座λ星) 紀元前8億年に誕生し、西暦5億年に水素が枯渇する。スペクトル型はA1 V +A4 Vと、二つの成分を「+」で繋ぐ表記になっている。距離187光年、太陽質量1.9、太陽半径2、視等級4.52。
  • 乙女座ο星 紀元前6億年に誕生し、ビンデミアトリックス・シルマと同じ紀元前5,000万年に水素が枯渇する。距離171光年、太陽質量2.5、太陽半径11、スペクトル型G8 III、視等級4.12。
  • ビンデミアトリックス(乙女座ε星) 太陽質量2.6はスピカに次いで重い。紀元前5億6,000万年に誕生し、紀元前5,000万年に水素が枯渇する。視等級2.83はスピカ・ポリマに次ぐ明るさ。距離110光年、太陽半径10.6、スペクトル型G8 III。
  • ヘゼ(乙女座ζ星) 紀元前5億5,000万年に誕生し、西暦6億年に水素が枯渇する。距離74光年、太陽質量2、太陽半径2.1、スペクトル型A3 V、視等級3.38。
  • 乙女座π星 距離350光年は本書で最も遠い。紀元前5億年に誕生し、τ星と同じ西暦7億年に水素が枯渇する。太陽質量2、太陽半径2、スペクトル型A5 V、視等級4.65。
  • 乙女座τ星 紀元前4億5,000万年に誕生し、西暦7億年に水素が枯渇する。太陽質量2・太陽半径2はπ星と同じで、スペクトル型A3 Vはヘゼと同じ。距離218光年、視等級4.23。
  • 乙女座109星 フラムスティード番号で呼ばれるもう一つの星。θ星と同じ紀元前3億5,000万年に誕生し、西暦4億5,000万年に水素が枯渇する。距離129光年、太陽質量2.4、太陽半径2.5、スペクトル型A0 V、視等級3.72。
  • 乙女座θ星 紀元前3億5,000万年に誕生し、紀元前500万年に水素が枯渇する——既に節目を過ぎた7個のうち、最も新しい出来事。スペクトル型A1 IVは本書で唯一の準巨星。距離315光年、太陽質量2.5、太陽半径2.5、視等級4.38。
  • ザニアー(乙女座η星) 紀元前3億年に誕生し、ミネラウバと同じ西暦4億年に水素が枯渇する。距離265光年、太陽質量2.5、太陽半径2.4、スペクトル型A2 V、視等級3.89。
  • スピカ(乙女座α星) 乙女座で最も明るい恒星であり、視等級0.97は本書で唯一の1等星。太陽質量11.4は二番目に重い星の4倍以上で、其の分だけ寿命は1,800万年と最も短い。紀元前1,250万年に誕生し、西暦550万年に水素が枯渇する。距離250光年、太陽半径7.5、スペクトル型B1 III-IV +B2 V。
  • ポリマ(乙女座γ星) 本書が最後に記録する恒星。紀元前1,100万年に誕生し、西暦27億年に水素が枯渇する。太陽半径1.4は本書で最小、距離38光年はザヴィヤヴァに次ぐ近さ。スペクトル型はF0 V +F0 Vと同じ型を二つ並べる表記。太陽質量1.5、視等級2.74。

主要な概念・用語

  • 原始星 星間のガスと塵が自らの重力で収縮し、中心部が高温高密度になった段階の天体。本書は19個全ての恒星について、此の誕生の時点を一つ目の節目として記録する。
  • 熱核融合に用いる水素の枯渇 恒星は中心核で水素をヘリウムへ変える熱核融合によって輝く。其の燃料である水素を使い尽くす時点が、本書の記録するもう一つの節目である。19個のうち7個は既に此の時を過ぎ、残る12個は未来に控えている。
  • 太陽質量(M☉) 太陽の質量を1とした単位。恒星の寿命を決める最大の要因で、重い星ほど中心部の温度が高く、水素の消費が速い。本書には1.2(ν星)から11.4(スピカ)までが登場し、其の9.5倍の差が約700倍の寿命の差を生む。
  • 太陽半径(R☉) 太陽の半径を1とした単位。本書では50(ν星)が最大、1.4(ポリマ)が最小で、其の開きは35倍を超える。質量の順序と半径の順序が一致しない事が、其々の恒星の置かれた段階の違いを物語る。
  • スペクトル型 表面温度による恒星の分類。高温側からO・B・A・F・G・K・Mの順に並び、各型は0〜9の数字で細分される。本書に現れるのは、高温のB1(スピカ)から低温のM3(ミネラウバ)まで。「A1 V +A4 V」の様に「+」で二つ並ぶ表記は、二つの成分のスペクトルが重なって観測される事を示す。
  • 光度階級 スペクトル型に添えるローマ数字。IIIは巨星、IVは準巨星、Vは主系列星(矮星)を表す。本書ではM1 IIIやK3 IIIの巨星、A1 IVの準巨星、F9 VやA3 Vの主系列星が並び、スピカのB1 III-IVの様に二つの階級に跨る表記も現れる。
  • 視等級 地球から見た明るさの尺度。数値が小さいほど明るく、肉眼で見える限界は概ね6等級とされる。本書ではスピカの0.97が唯一の1等星として最も明るく、χ星とπ星の4.65が最も暗い。
  • 光年 光が真空中を1年に進む距離(約9兆4,600億km)。本書ではザヴィヤヴァの36光年が最も近く、π星の350光年が最も遠い。同じ星座に見えても、其の奥行きは9倍以上に開いている。
  • 固有名・バイエル符号・フラムスティード番号 恒星の三通りの呼び名。固有名は古くから伝わる名で、本書では19個中10個が持つ。バイエル符号は星座内の恒星にα・β・γとギリシャ文字を割り当てる呼び名。フラムスティード番号は番号で示す呼び名で、本書では109星と110星が該当する。
  • 乙女座 黄道十二星座の一つで、全天の星座の中でも指折りの広さを持つ。最も明るい恒星はα星スピカで、日本からは春の宵に南の空高く見上げる事ができる。本書は此の星座に属する恒星を対象とする。

原始星の誕生から、水素の枯渇まで──
質量が決める星の寿命を、144億年の年表で辿る。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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