巨嘴鳥座一元化
南天の星座・きょしちょう座を形づくる七つの恒星──
その原始星の誕生から水素の枯渇まで、星々の生涯を一元化。
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本書について
きょしちょう座(巨嘴鳥座)は、南天に大きな嘴を持つ熱帯の鳥・オオハシをかたどった星座である。本書は、この星座を形づくるζ星・γ星・ラング・エクスター(α星)・δ星・ε星・β1星・β2星、七つの恒星それぞれの生涯を——星間物質の中から原始星として生まれる瞬間から、熱核融合の燃料である水素を使い果たす瞬間まで——年月日単位で一元化した記録である。掲載範囲は、最も早く生まれたζ星の誕生(紀元前3,000,000,000年頃)から、最も長く燃え続けるζ星の水素枯渇(西暦7,300,000,000年頃)に及び、実に百億年を超える時間の幅を持つ。
星々の誕生は、遠い過去から順に刻まれている。最初に姿を現したのは、太陽からわずか28光年と、七星の中で最も近くに位置するζ星で、紀元前3,000,000,000年頃のことであった。続いて紀元前1,400,000,000年頃にγ星が、紀元前800,000,000年頃には星座で最も明るく輝くことになるラング・エクスター(α星、視等級2.86)が原始星として灯る。さらにδ星(紀元前230,000,000年頃)、ε星(紀元前120,000,000年頃)が生まれ、紀元前100,000,000年頃には、β1星とβ2星が相次いで誕生した。
この紀元前100,000,000年頃は、星座の歴史の一つの節目でもある。新たにβ1星・β2星が生を受けるのとちょうど同じ頃、最初期に生まれたラング・エクスター(α星)が熱核融合の水素を枯渇させ、太陽の37倍もの半径を持つ巨星へと姿を変えていた。一つの星が主系列の生涯を終える傍らで、二つの星が生まれる——誕生と終焉が交差する時が、年表の中ほどに記されている。
星の一生の長さは、その質量によって大きく変わる。太陽の4倍の質量を持つ、七星で最も重いε星は、生まれてからおよそ3億年後の西暦190,000,000年頃には早くも水素を使い果たし、主系列星として真っ先に燃料を尽くした。質量3.84倍のβ1星も西暦250,000,000年頃には燃え尽き、δ星(西暦400,000,000年頃)、β2星(西暦1,700,000,000年頃)、γ星(西暦1,900,000,000年頃)と、おおむね重い星から順に水素を枯渇させてゆく。
そして、最も軽い星が、最も長く輝く。太陽とほぼ同じ質量(0.99M☉)のζ星は、誕生から実に100億年以上を燃え続け、西暦7,300,000,000年頃になってようやく水素を使い果たす。重い星ほど激しく、そして短く輝くという恒星進化の理が、七つの星の生没を並べた年表の上に、静かに描き出されている。本書は、距離・質量・半径・スペクトル型・視等級という数値とともに、きょしちょう座の星々の全生涯を一冊に束ねている。
収録する恒星
- 巨嘴鳥座ζ星 太陽からわずか28光年と、本書に登場する七星で最も近くに位置する、スペクトル型F9.5 Vの恒星。太陽とほぼ同じ質量(0.99M☉)・半径(1.08R☉)を持ち、視等級は4.23。紀元前3,000,000,000年頃に原始星として誕生し、七星の中で最も長く、西暦7,300,000,000年頃まで燃え続ける。
- 巨嘴鳥座γ星 距離75光年に位置する、スペクトル型F1 IIIの恒星。太陽の1.55倍の質量と2.2倍の半径を持ち、視等級は3.99。紀元前1,400,000,000年頃に原始星として誕生し、西暦1,900,000,000年頃に水素を枯渇させる。
- ラング・エクスター(巨嘴鳥座α星) 距離184光年に位置する、巨嘴鳥座で最も明るい恒星(視等級2.86)。太陽の3倍の質量を持ち、半径は37.3倍にまで膨れ上がったスペクトル型K3 IIIの巨星。紀元前800,000,000年頃に誕生し、β1星・β2星が生まれるのと同じ紀元前100,000,000年頃に水素を枯渇させた。
- 巨嘴鳥座δ星 距離251光年に位置する、スペクトル型B9 Vnの恒星。太陽の2.99倍の質量と2.7倍の半径を持ち、視等級は4.48。紀元前230,000,000年頃に原始星として誕生し、西暦400,000,000年頃に水素を枯渇させる。
- 巨嘴鳥座ε星 距離373光年と、七星で最も遠くに位置する、スペクトル型B8 Vの恒星。太陽の4倍という七星で最も重い質量を持ち、半径は3.9倍、視等級は4.5。紀元前120,000,000年頃に誕生し、重い星ゆえに寿命は短く、西暦190,000,000年頃には七つの主系列星の中で最初に水素を枯渇させる。
- 巨嘴鳥座β1星 距離140光年に位置する、スペクトル型B9 Vの恒星。太陽の3.84倍の質量と2.73倍の半径を持ち、視等級は4.37。紀元前100,000,000年頃に原始星として誕生し、西暦250,000,000年頃に水素を枯渇させる。
- 巨嘴鳥座β2星 距離166光年に位置する、スペクトル型A2 Vの恒星。太陽の2倍の質量と1.6倍の半径を持ち、視等級は4.54。β1星と同じ紀元前100,000,000年頃に誕生し、より軽いため長く輝き、西暦1,700,000,000年頃に水素を枯渇させる。
本書が記録する出来事
- ζ星の誕生(紀元前3,000,000,000年頃) 本書が記録する最初の出来事。太陽から28光年、七星の中で最も近い距離に、後にスペクトル型F9.5 Vとなるζ星が原始星として生まれた。
- γ星の誕生(紀元前1,400,000,000年頃) 距離75光年に、スペクトル型F1 IIIとなるγ星が原始星として誕生した。
- ラング・エクスター(α星)の誕生(紀元前800,000,000年頃) 距離184光年に、やがて星座で最も明るく輝くことになるラング・エクスター(α星)が原始星として生まれた。
- δ星の誕生(紀元前230,000,000年頃) 距離251光年に、スペクトル型B9 Vnとなるδ星が原始星として誕生した。
- ε星の誕生(紀元前120,000,000年頃) 距離373光年と七星で最も遠く、かつ太陽の4倍と最も重いε星が原始星として生まれた。
- α星の終焉とβ星の誕生(紀元前100,000,000年頃) 年表の一つの節目。ラング・エクスター(α星)が水素を枯渇させて巨星となる一方、ちょうど同じ頃、β1星(距離140光年)とβ2星(距離166光年)が相次いで原始星として誕生した。
- ε星の水素枯渇(西暦190,000,000年頃) 七星で最も重いε星が、誕生からおよそ3億年で早くも水素を使い果たした。七つの主系列星の中で最初に燃料を尽くした星。
- β1星の水素枯渇(西暦250,000,000年頃) 太陽の3.84倍の質量を持つβ1星が、誕生からおよそ3億5千万年で水素を枯渇させた。
- δ星の水素枯渇(西暦400,000,000年頃) 太陽の2.99倍の質量を持つδ星が水素を枯渇させた。
- β2星の水素枯渇(西暦1,700,000,000年頃) β1星と同時に生まれたβ2星が、より軽い分だけ長く輝き、双子の兄弟から遅れて水素を枯渇させた。
- γ星の水素枯渇(西暦1,900,000,000年頃) 太陽の1.55倍の質量を持つγ星が水素を枯渇させた。
- ζ星の水素枯渇(西暦7,300,000,000年頃) 本書が記録する最後の出来事。太陽とほぼ同じ質量のζ星が、誕生から100億年以上を経てようやく水素を使い果たす。最も軽い星が、最も長く輝いた。
ζ星からβ2星まで、七つの恒星それぞれの誕生と終焉──
きょしちょう座の星々の全生涯を年月日単位で一元化。
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