電子書籍「巨嘴鳥座一元化」の表紙

巨嘴鳥座一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前3,000,000,000年頃〜西暦7,300,000,000年頃
ページ数
13ページ
最新更新日
西暦2,026年8月13日

紀元前30億年、巨嘴鳥座ζ星に灯がともる──
巨嘴鳥座の恒星7個の生涯を、一本の時間軸へ一元化。

JPY 200(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前30億年、巨嘴鳥座ζ星の原始星が誕生する。星間に漂う物質が自らの重力で集まり、やがて一つの星の形を取り始めた——本書が記録する最初の出来事である。そして西暦73億年、同じζ星が熱核融合に用いる水素を使い尽くす日まで、実に103億年。本書は、南天の星座・巨嘴鳥座に属する7個の恒星について、原始星の誕生と水素の枯渇という二つの節目を一本の時間軸へ並べ、年代順に一元化した年表である。

収録するのは、固有名ラング・エクスターを持つα星、そしてβ1星・β2星・γ星・δ星・ε星・ζ星の計7個。各項目には、地球からの距離・太陽質量・太陽半径・スペクトル型・視等級が併記され、其の星がどれ程遠く、どれ程重く、どれ程大きく、どの様な明るさで輝いているのかが一目で分かる。最も明るいのは視等級2.86のラング・エクスター、最も近いのは28光年のζ星、最も遠いのは373光年のε星である。

並べてみると、一つの法則が浮かび上がる。太陽質量0.99のζ星は、誕生から水素の枯渇までに103億年を費やす。対して太陽質量4のε星は、紀元前1億2,000万年に生まれ、西暦1億9,000万年には水素を使い果たす——僅か3億1,000万年である。質量にして4倍の違いが、寿命にして30倍以上の違いとなって現れる。軽い星ほど長く、重い星ほど短いという恒星の掟が、巨嘴鳥座という一つの星座の中に並んで見える。

中でも異彩を放つのがラング・エクスターである。太陽質量3に対して太陽半径は37.3——本書の他の6個が1.08から3.9の範囲に収まる中、この星だけが桁違いに膨れ上がっている。スペクトル型はK3 IIIの巨星。そして7個のうち、既に水素の枯渇という節目を過ぎているのは、紀元前8億年に生まれ紀元前1億年に燃料を使い果たした、このラング・エクスターただ一つである。

その紀元前1億年という年には、もう二つの出来事が重なる。ラング・エクスターが水素を枯渇させたのと同じ年に、β1星とβ2星が原始星として誕生するのである。一つの星が終わりの節目を迎える傍らで、二つの星が始まりを迎える。しかも同時に生まれた二つは、太陽質量3.84と2という差の分だけ、西暦2億5,000万年と17億年という枯渇の時期の差を背負う事になる。

本書の年表を「今」で切ると、残る6個——ε星・β1星・δ星・β2星・γ星・ζ星——は、それぞれ西暦1億9,000万年・2億5,000万年・4億年・17億年・19億年・73億年に、その時を迎える事になる。とりわけζ星は、太陽質量0.99・太陽半径1.08と太陽に極めて近い体格を持ちながら、28光年という近さで輝いている。年代は何れも概算値であり、原資料では「≈」を付して示される。億年という単位でしか測れない星の一生を、人間の作った年表の形式へ落とし込んだ時、何が見えるのか——本書は巨嘴鳥座という一つの星座を通して、其の問いに答える一冊である。


登場天体

  • 巨嘴鳥座ζ星 本書の最初と最後に現れる恒星。紀元前30億年に原始星として誕生し、西暦73億年に熱核融合に用いる水素が枯渇する。太陽質量0.99は本書で最も軽く、其の分だけ寿命は103億年と最も長い。距離28光年は本書で最も近く、太陽半径1.08と併せて、太陽に極めて近い体格を持つ。スペクトル型F9.5 V、視等級4.23。
  • 巨嘴鳥座γ星 紀元前14億年に誕生し、西暦19億年に水素が枯渇する。生涯は33億年で、ζ星に次いで長い。距離75光年、太陽質量1.55、太陽半径2.2、スペクトル型F1 III、視等級3.99。
  • ラング・エクスター(巨嘴鳥座α星) 巨嘴鳥座で最も明るい恒星(視等級2.86)であり、本書で唯一固有名を持つ。太陽半径37.3は他の6個を一桁引き離し、スペクトル型K3 IIIの巨星として膨れ上がっている。紀元前8億年に誕生し、紀元前1億年に水素が枯渇する——本書で唯一、既に其の節目を過ぎた星。距離184光年、太陽質量3。
  • 巨嘴鳥座δ星 紀元前2億3,000万年に誕生し、西暦4億年に水素が枯渇する。距離251光年、太陽質量2.99、太陽半径2.7、スペクトル型B9 Vn、視等級4.48。太陽質量はラング・エクスターとほぼ等しいが、大きさは十分の一以下にとどまる。
  • 巨嘴鳥座ε星 太陽質量4は本書で最も重く、誕生から枯渇までの3億1,000万年は最も短い。紀元前1億2,000万年に誕生し、西暦1億9,000万年に水素が枯渇する。距離373光年は本書で最も遠い。太陽半径3.9、スペクトル型B8 V、視等級4.5。
  • 巨嘴鳥座β1星 ラング・エクスターが水素を枯渇させた紀元前1億年に、β2星と共に原始星として誕生する。西暦2億5,000万年に水素が枯渇する。距離140光年、太陽質量3.84、太陽半径2.73、スペクトル型B9 V、視等級4.37。
  • 巨嘴鳥座β2星 β1星と同じ紀元前1億年に誕生するが、太陽質量2と軽い分、水素の枯渇は西暦17億年と遥かに遅い。距離166光年、太陽半径1.6、スペクトル型A2 V。視等級4.54は本書で最も暗い。

主要な概念・用語

  • 原始星 星間のガスと塵が自らの重力で収縮し、中心部が高温高密度になった段階の天体。本書は7個全ての恒星について、此の誕生の時点を一つ目の節目として記録する。
  • 熱核融合に用いる水素の枯渇 恒星は中心核で水素をヘリウムへ変える熱核融合によって輝く。其の燃料である水素を使い尽くす時点が、本書の記録するもう一つの節目である。7個のうち此の時を過ぎているのはラング・エクスターだけで、残る6個は未来に控えている。
  • 太陽質量(M☉) 太陽の質量を1とした単位。恒星の寿命を決める最大の要因で、重い星ほど中心部の温度が高く、水素の消費が速い。本書には0.99(ζ星)から4(ε星)までが登場し、其の4倍の差が30倍以上の寿命の差を生む。
  • 太陽半径(R☉) 太陽の半径を1とした単位。本書では37.3(ラング・エクスター)が突出して大きく、1.08(ζ星)が最小。質量の順序と半径の順序が一致しない事が、其々の恒星の置かれた段階の違いを物語る。
  • スペクトル型 表面温度による恒星の分類。高温側からO・B・A・F・G・K・Mの順に並び、各型は0〜9の数字で細分される(F9.5の様に小数が付く事もある)。本書に現れるのは、高温のB8(ε星)から低温のK3(ラング・エクスター)まで。
  • 光度階級 スペクトル型に添えるローマ数字。IIIは巨星、Vは主系列星(矮星)を表す。本書に現れるのは此の二つだけで、K3 IIIのラング・エクスターとF1 IIIのγ星が巨星、残る5個が主系列星である。B9 Vnのnは吸収線の広がりを示す。
  • 視等級 地球から見た明るさの尺度。数値が小さいほど明るく、肉眼で見える限界は概ね6等級とされる。本書ではラング・エクスターの2.86が最も明るく、β2星の4.54が最も暗い。
  • 光年 光が真空中を1年に進む距離(約9兆4,600億km)。本書ではζ星の28光年が最も近く、ε星の373光年が最も遠い。同じ星座に見えても、其の奥行きは13倍以上に開いている。
  • バイエル符号 星座内の恒星にギリシャ文字を割り当てる呼び名。同じ文字を複数の星が分け合う場合は、β1・β2の様に数字を添えて区別する。本書ではβ1星とβ2星が該当し、紀元前1億年という同じ年に誕生を記録されている。
  • 巨嘴鳥座 南天の星座で、大きな嘴を持つ鳥・オオハシの名を冠する。最も明るい恒星はα星ラング・エクスター。天の南極に近い為、日本の大半の地域では地平線の下にあって見る事ができない。小マゼラン雲や球状星団47 Tucanaeを領域内に抱える一帯でもある。本書は此の星座に属する恒星を対象とする。

原始星の誕生から、水素の枯渇まで──
質量が決める星の寿命を、103億年の年表で辿る。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeニコニコでも情報を発信中。