電子書籍「オリオン座一元化」の表紙

オリオン座一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前2,200,000,000年頃〜西暦1,800,000,000年頃
ページ数
24ページ
最新更新日
西暦2,026年8月13日

紀元前799万年、七つの星が相次いで生まれた──
オリオン座12の恒星の40億年を一元化。

JPY 200(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前2,200,000,000年頃、地球から26光年の距離で、太陽質量1.3の小さな星が生まれた。タビト(オリオン座π3星)である。此の星は其れから40億年にわたって静かに水素を燃やし続け、西暦1,800,000,000年頃に漸く其れを使い果たす。本書は、此のタビトの誕生を起点とし、其の枯渇を終点として、オリオン座に属する12の恒星の生涯を、40億年の時間軸の上に並べた記録である。

収録した12天体の全てについて、原始星が誕生した時点と水素が枯渇する時点の両方を記した。出来事の総数は24件。それぞれの恒星に、距離・太陽質量・太陽半径・スペクトル型・視等級の五項目を併記している。距離は26光年のタビトから1,360光年のハチサまで、太陽質量は1.3から33まで、太陽半径は1.3から702まで。冬の空に一つの人型として見えている星の並びが、実際にはどれ程隔たった天体の寄せ集めであるかが、数字の側から立ち上がってくる。

年代を追って読むと、一箇所で時間が異様に密集する。紀元前7,997,000年頃にσ星、其の千年後にアルニラム、更に千年後にミンタカとハチサが同じ年に、其の二千年後にサイフ、千年後にリゲル、そして二千年後にベテルギウス——七つの大質量星が、僅か七千年の幅の中で次々と原始星として産声を上げているのである。星が一つずつ孤独に生まれるのではなく、群れを成して生まれる。年表を千年単位で刻んだからこそ見えてくる、星形成の現場の記録である。

距離の分布も特異である。12天体のうち、タビトだけが26光年という近さにあり、残る11天体は全て250光年以遠、更に其のうち七天体は1,000光年を超える彼方に散らばっている。同じ「オリオン座」という枠に括られていても、タビトは手前を通り過ぎる無関係な星であり、他の十一星こそが遠方に横たわる一つの群れなのである。

寿命の開きは更に極端だ。太陽質量1.3のタビトが40億年を燃え続けるのに対し、太陽質量25のメイサは僅か約148万年で水素を使い果たす。其の差は実に二千七百倍。大質量星11天体の寿命は、メイサの約148万年からベラトリックスの約3,200万年までの狭い帯の中に収まっている。もっとも、太陽質量33のアルニタクが約500万年、25のメイサが約148万年と順序が入れ替わっており、寿命が質量のみで一義に決まるわけではない事も、同時に示されている。

そして冬の空で最も知られた二つの星が、本書の中でも際立った位置を占める。太陽半径702のベテルギウス(α星)は、収録天体で群を抜いて巨大であり、其の水素の枯渇は紀元前40,000年頃——本書が記録する枯渇の中で最も新しい紀元前の出来事である。対する視等級0.13のリゲル(β星)は本書で最も明るく、水素が尽きるのは西暦7,007,000年頃と、紀元前799万年前後に生まれた七天体の中で最も長く燃え続ける。既に水素を使い果たしたメイサ・ハチサ・アルニタク・ベテルギウスの4天体と、今なお燃え続ける8天体。オリオン座という一つの星座の中で進行する、四十億年分の時間の目盛りを、本書は一冊に束ねている。


登場天体

  • リゲル(オリオン座β星) B8 Ia型超巨星。距離863光年、太陽質量21、太陽半径74、視等級0.13。紀元前7,992,000年頃に原始星が誕生し、西暦7,007,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も明るい天体(視等級0.13)であり、時系列の最後から二番目を占める。誕生から枯渇まで約1,500万年と、紀元前799万年前後に生まれた七天体の中では最も長く燃え続ける。
  • ベテルギウス(オリオン座α星) M1‒M2 Ia‒ab型超巨星。距離548光年、太陽質量16.5、太陽半径702、視等級0.5。紀元前7,990,000年頃に原始星が誕生し、紀元前40,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。太陽半径702は本書で群を抜いて最大。其の枯渇は、本書が記録する枯渇の中で最も新しい紀元前の出来事でもある。
  • ベラトリックス(オリオン座γ星) B2 III型巨星。距離250光年、太陽質量8.6、太陽半径6.4、視等級1.64。紀元前25,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦7,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も軽い大質量星(太陽質量8.6)。約3,200万年を燃え続け、重い星々の中では突出して長命である。
  • アルニラム(オリオン座ε星) B0 Ia型超巨星。距離1,250光年、太陽質量28、太陽半径33、視等級1.69。紀元前7,996,000年頃に原始星が誕生し、西暦2,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。オリオン座の三つ星の中央に位置する超巨星。太陽質量28で約1,000万年を燃える。
  • アルニタク(オリオン座ζ星) O9.5 Iab型超巨星。距離1,260光年、太陽質量33、太陽半径20、視等級1.77。紀元前6,000,000年頃に原始星が誕生し、紀元前1,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も重い天体(太陽質量33)。三つ星の東端に位置し、誕生から枯渇まで約500万年と短い。
  • サイフ(オリオン座κ星) B0.5 Ia型超巨星。距離650光年、太陽質量15.5、太陽半径12、視等級2.09。紀元前7,993,000年頃に原始星が誕生し、西暦3,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も軽い超巨星(太陽質量15.5)。約1,100万年を燃え続ける。
  • ミンタカ(オリオン座δ星) O9.5 II型輝巨星。距離1,200光年、太陽質量18、太陽半径16、視等級2.23。紀元前7,995,000年頃に原始星が誕生し、西暦1,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。三つ星の西端に位置する輝巨星。ハチサと同じ紀元前7,995,000年頃に生まれた。
  • ハチサ(オリオン座ι星) O9 III型巨星。距離1,360光年、太陽質量23、太陽半径15、視等級2.75。紀元前7,995,000年頃に原始星が誕生し、紀元前1,100,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も遠い天体(1,360光年)。ミンタカと同じ年に生まれながら、約200万年早く水素を使い果たした。
  • タビト(オリオン座π3星) F6 V型主系列星。距離26光年、太陽質量1.3、太陽半径1.3、視等級3.16。紀元前2,200,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦1,800,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書の時系列の起点と終点を一手に担う天体。26光年と最も近く、太陽質量1.3・太陽半径1.3と最も小さい。約40億年を燃え続ける、収録天体で唯一の主系列星である。
  • メイサ(オリオン座λ星) O8 III型巨星。距離1,100光年、太陽質量25、太陽半径18、視等級3.39。紀元前4,200,000年頃に原始星が誕生し、紀元前2,720,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。誕生から枯渇までが約148万年と、本書で最も短命な天体。枯渇の時点も本書で最も古く、紀元前2,720,000年頃である。
  • オリオン座σ星 O9.5 V型主系列星。距離1,150光年、太陽質量18、太陽半径5.6、視等級3.81。紀元前7,997,000年頃に原始星が誕生し、西暦2,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も早く生まれた大質量星(紀元前7,997,000年頃)。太陽質量18でありながら太陽半径5.6と小さく、光度階級Vの主系列星に留まっている。
  • オリオン座ν星 O9 III型巨星。距離817光年、太陽質量20、太陽半径10、視等級4.35。紀元前5,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦600,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も暗い天体(視等級4.35)。太陽質量20で約560万年を燃え続ける。

主要な概念・用語

  • 原始星 星間ガスとチリの雲が自らの重力で収縮し、中心部が高温高密度になった段階の天体。まだ水素の熱核融合は本格的に始まっていない。本書は収録した12天体すべてについて、此の原始星が誕生した時点を記録している。
  • 熱核融合に用いる水素の枯渇 恒星は中心部で水素をヘリウムへ変える熱核融合によって輝いている。其の水素を使い果たした時点が主系列星としての一生の終わりであり、以後は膨張して巨星・超巨星へと姿を変えてゆく。本書が記録する24件の出来事のうち、12件が此の枯渇の時点である。
  • 太陽質量(M☉) 太陽の質量を1とした単位。恒星の一生を最も強く支配する量で、重い星ほど中心部の温度と圧力が高く、水素を激しく消費する。本書の収録範囲は、タビトの1.3からアルニタクの33まで。タビトを除く11天体はすべて太陽質量8.6以上の大質量星である。
  • 太陽半径(R☉) 太陽の半径を1とした単位。主系列を離れた星は膨張して半径が大きくなる為、同じ質量でも段階によって値が大きく変わる。本書の最大はベテルギウスの702、最小はタビトの1.3で、其の差は五百倍を超える。
  • スペクトル型と光度階級 スペクトル型は表面温度による分類で、高温側からO・B・A・F・G・K・Mと並ぶ。後ろに付くローマ数字が光度階級で、Vが主系列星、IIIが巨星、IIが輝巨星、Iab・Iaが超巨星を表す。本書の12天体はO型5・B型5・F型1・M型1に分かれる。
  • O型星 スペクトル型の先頭に立つ、表面温度3万度を超える最も高温・大質量の恒星。強い紫外線と恒星風を放ち、寿命は極めて短い。本書ではσ星・ミンタカ・ハチサ・アルニタク・ν星・メイサが之に当たる。
  • 三つ星(オリオンの帯) オリオン座の中央に一直線に並ぶ三つの二等星。東からアルニタク(ζ星)・アルニラム(ε星)・ミンタカ(δ星)で、いずれも1,200光年前後に位置する超巨星・輝巨星である。本書は此の三天体それぞれの誕生と枯渇を個別に記録している。
  • 視等級 地球から見た明るさの尺度で、数字が小さいほど明るい。肉眼で見える限界は概ね6等。本書ではリゲルの0.13が最も明るく、ν星の4.35が最も暗い。
  • 光年 光が1年間に進む距離。本書の収録天体は、26光年のタビトから1,360光年のハチサまで散らばっており、タビト以外の11天体はすべて250光年以遠に位置する。
  • バイエル符号 α・β・γ・δ・ε・ζ・ι・κ・λ・ν・σ・πといったギリシャ文字は、星座内の恒星に付けられた符号。π3星の様に添え字が付くのは、同じ文字を共有する複数の恒星を区別する為である。

太陽半径1.3のタビトから702のベテルギウスまで──
質量が刻む星の寿命を、冬の星座の中に読む。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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