電子書籍「ケンタウルス座一元化」の表紙

ケンタウルス座一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前4,850,000,000年頃〜西暦10,000,000,000年頃
ページ数
25ページ
最新更新日
西暦2,026年8月13日

紀元前48億年、太陽系の隣に二つの星が生まれた──
ケンタウルス座40の恒星の誕生と終焉を一元化。

JPY 200(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前4,850,000,000年頃、太陽系から4.36光年の距離で、二つの原始星が同時に産声を上げた。リギル・ケンタウルス(ケンタウルス座α星A)と、トリマン(同α星B)である。太陽に最も近い恒星系となる此の二つの星は、同じ雲から生まれながら、其の後の運命を大きく違えてゆく。太陽質量1.1のリギル・ケンタウルスが水素を使い果たすのは西暦4,000,000,000年頃。太陽質量0.91のトリマンは、其の更に60億年後、西暦10,000,000,000年頃まで燃え続ける。本書は、此の二星の誕生を起点として、ケンタウルス座に属する40の恒星の生涯を、一本の時間軸の上に並べた記録である。

ケンタウルス座は南天に大きく横たわる星座で、其の版図には太陽系最寄りの恒星系から、1,254光年の彼方に浮かぶ輝巨星までが含まれる。本書に収めた40天体について記録したのは、距離・太陽質量・太陽半径・スペクトル型・視等級の五項目と、原始星の誕生および熱核融合に用いる水素が枯渇する時点である。視等級-0.01のリギル・ケンタウルスから、肉眼で辛うじて捉えられる4.52等のJ星・HD 116243まで、明るさも大きさも異なる恒星が、同じ書式で並んでいる。

此の年表を通して読むと、一つの法則が浮かび上がる。太陽質量5のκ星・ν星・μ星・φ星・υ1星・χ星・HD 125823は、揃って西暦250,000,000年頃に水素を枯渇させる。太陽質量4.5のσ星・ρ星・J星・HD 102776は西暦320,000,000年頃、太陽質量3.5のλ星・π星・3星は西暦450,000,000年頃。質量が僅かに軽くなるだけで、燃え尽きるまでの時間は数千万年から一億年の単位で延びてゆく。恒星の寿命は、生まれた時に背負った質量で殆ど決まっているのである。

其の極北に立つのがハダル(ケンタウルス座β星Aa)である。太陽の12倍の質量を持つ此のB型巨星は、紀元前14,000,000年頃に生まれ、西暦3,000,000年頃には早くも水素を使い果たす。恒星としての一生は僅か1,700万年ほど。対極にあるのがトリマンで、太陽の0.91倍という慎ましい質量ゆえに、実に148億年余りを燃やし続ける。同じ星座に属しながら、二つの星の生涯には千倍に近い開きがある。重い星ほど激しく、そして短い。

一方で、質量だけでは説明の付かない天体も並んでいる。メンケント(ケンタウルス座θ星)は太陽質量1.27に過ぎないが、水素の枯渇は紀元前100,000,000年頃——本書の中で唯一、既に主系列を終えている恒星である。太陽半径の10.77倍まで膨れたK0IIIb型の巨星となった其の姿は、質量から予想される寿命との食い違いを物語る。太陽とほぼ同じ質量のケンタウルス座2星(M5III型)、太陽の0.6倍しかないB星(K4III型)も同様に、既に巨星へと姿を変えている。数字を並べて初めて見えてくる例外が、此処には確かに在る。

誕生と終焉の両方を記録し得たのは、リギル・ケンタウルス、トリマン、ハダル、HD 117440、HD 125288の5天体のみ。残る35天体については、水素が枯渇する時点だけが記されている。人の一生から見れば、恒星の変化は殆ど静止しているに等しい。其の静止した光の中に、いつ生まれ、いつ燃え尽きるのかという時間の目盛りを打ち込んでゆく——ケンタウルス座という一つの星座を舞台に、紀元前48.5億年から西暦100億年に至る149億年の全過程を、本書は一冊に束ねている。


登場天体

  • リギル・ケンタウルス(ケンタウルス座α星A) G2V型主系列星。距離4.36光年、太陽質量1.1、太陽半径1.22、視等級-0.01。紀元前4,850,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦4,000,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。太陽系に最も近い恒星系の主星であり、本書で最も明るい天体。太陽と同じG型で、質量・半径ともに太陽に近い。
  • ハダル(ケンタウルス座β星Aa) B1III型巨星。距離525光年、太陽質量12、太陽半径9、視等級0.61。紀元前14,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦3,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も質量の大きい天体。誕生から水素の枯渇までが約1,700万年と、収録天体の中で最も短命。
  • トリマン(ケンタウルス座α星B) K1V型主系列星。距離4.36光年、太陽質量0.91、太陽半径0.86、視等級1.35。紀元前4,850,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦10,000,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。リギル・ケンタウルスと同時に生まれた伴星。本書で最も長命で、時系列の最後を締めくくる天体でもある。
  • メンケント(ケンタウルス座θ星) K0IIIb型巨星。距離61光年、太陽質量1.27、太陽半径10.77、視等級2.06。紀元前100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書の中で唯一、既に水素を使い果たしている天体。太陽の10.77倍まで膨れた巨星である。
  • ムリファイン(ケンタウルス座γ星) A1IV型準巨星。距離130光年、太陽質量2.8、太陽半径3.8、視等級2.2。西暦762,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座ε星 B1III型巨星。距離376光年、太陽質量11.6、太陽半径6.25、視等級2.29。西暦22,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座η星 B1Vn+A型主系列星。距離308光年、太陽質量12、太陽半径6.10、視等級2.33。西暦20,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。ハダルと並んで本書で最も質量が大きい。
  • レープワル(ケンタウルス座ζ星) B2.5IV型準巨星。距離384光年、太陽質量9、太陽半径5.8、視等級2.55。西暦32,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座δ星 B2IVne型準巨星。距離395光年、太陽質量9、太陽半径6.7、視等級2.58。西暦32,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。レープワルと同じ太陽質量9で、水素の枯渇時期も一致する。
  • アルハキム(ケンタウルス座ι星) A2V型主系列星。距離59光年、太陽質量1.8、太陽半径1.9、視等級2.75。西暦1,200,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座λ星 B9III型巨星。距離410光年、太陽質量3.5、太陽半径5.3、視等級3.11。西暦450,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座κ星 B2IV型準巨星。距離539光年、太陽質量5、太陽半径5.3、視等級3.13。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も遠い部類に入る、距離539光年の天体。
  • ケンタウルス座ν星 B2IV型準巨星。距離475光年、太陽質量5、太陽半径5.2、視等級3.41。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座μ星 B2IV-Ve型準巨星。距離527光年、太陽質量5、太陽半径5.2、視等級3.47。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座φ星 B2IV型準巨星。距離465光年、太陽質量5、太陽半径5.1、視等級3.83。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座τ星 A2V型主系列星。距離132光年、太陽質量1.8、太陽半径1.6、視等級3.85。西暦1,200,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。アルハキムと同じ太陽質量1.8で、枯渇の時期も一致する。
  • ケンタウルス座υ1星 B2IV-V型準巨星。距離417光年、太陽質量5、太陽半径5.1、視等級3.87。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座π星 B5Vn型主系列星。距離321光年、太陽質量3.5、太陽半径4.8、視等級3.9。西暦450,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 117440 G8II/III型輝巨星〜巨星。距離1,254光年、太陽質量7.5、太陽半径12、視等級3.9。紀元前40,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦59,700,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も遠い天体。距離1,254光年で、誕生と枯渇の両方が記録されている5天体の一つ。
  • ケンタウルス座σ星 B3V型主系列星。距離443光年、太陽質量4.5、太陽半径4.6、視等級3.91。西暦320,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座ρ星 B3V型主系列星。距離342光年、太陽質量4.5、太陽半径4.6、視等級3.97。西暦320,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 129116 B2.5V型主系列星。距離305光年、太陽質量5.5、太陽半径5、視等級4.01。西暦220,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座ψ星 A0IV型準巨星。距離247光年、太陽質量2、太陽半径2.1、視等級4.05。西暦1,000,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 129456 K3III型巨星。距離205光年、太陽質量1.23、太陽半径3.2、視等級4.06。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 102350 G0II型輝巨星。距離434光年、太陽質量3、太陽半径10、視等級4.11。西暦50,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。太陽質量3に対して太陽半径10と、既に大きく膨らんだ輝巨星。
  • ケンタウルス座2星 M5III型巨星。距離177光年、太陽質量1、太陽半径3.8、視等級4.19。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で唯一のM型天体。太陽とほぼ同じ質量ながら、既に巨星へと姿を変えている。
  • ケンタウルス座1星 F3V型主系列星。距離63光年、太陽質量1.2、太陽半径1.2、視等級4.23。西暦5,000,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 111968 A4IV型準巨星。距離155光年、太陽質量1.9、太陽半径2.2、視等級4.25。西暦800,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座ξ2星 B1.5V型主系列星。距離412光年、太陽質量7、太陽半径4.5、視等級4.27。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 125288 B6Ib型超巨星。距離1,185光年、太陽質量9.3、太陽半径14、視等級4.3。紀元前30,000,000年頃に原始星が誕生し、西暦70,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で唯一の超巨星。太陽半径14は収録天体で最大である。
  • ケンタウルス座HD 102776 B3V型主系列星。距離459光年、太陽質量4.5、太陽半径4.7、視等級4.3。西暦320,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座3星 B5型B5型星。距離297光年、太陽質量3.5、太陽半径4.8、視等級4.32。西暦450,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 111915 K3/K4III型巨星。距離303光年、太陽質量4、太陽半径3.2、視等級4.33。西暦50,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座υ2星 F6II型輝巨星。距離448光年、太陽質量1.3、太陽半径6.5、視等級4.34。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座χ星 B2V型主系列星。距離446光年、太陽質量5、太陽半径4.7、視等級4.36。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 125823 B2V型主系列星。距離418光年、太陽質量5、太陽半径4.7、視等級4.41。西暦250,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 105382 B2IIIne型巨星。距離376光年、太陽質量5.5、太陽半径4.6、視等級4.46。西暦220,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座B星 K4III型巨星。距離464光年、太陽質量0.6、太陽半径3.5、視等級4.47。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。本書で最も質量の小さい天体。太陽の0.6倍しかないが、既に巨星である。
  • ケンタウルス座J星 B3V型主系列星。距離354光年、太陽質量4.5、太陽半径4.7、視等級4.52。西暦320,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。
  • ケンタウルス座HD 116243 G5III-IV型巨星〜準巨星。距離257光年、太陽質量1.4、太陽半径3.2、視等級4.52。西暦100,000,000年頃に熱核融合に用いる水素が枯渇する。HD 116243とJ星は視等級4.52。本書で最も暗い天体である。

主要な概念・用語

  • 原始星 星間ガスとチリの雲が自らの重力で収縮し、中心部が高温高密度になった段階の天体。まだ水素の熱核融合は本格的に始まっていない。本書は、リギル・ケンタウルス・トリマン・ハダル・HD 117440・HD 125288の5天体について、此の原始星が誕生した時点を記録している。
  • 熱核融合に用いる水素の枯渇 恒星は中心部で水素をヘリウムへ変える熱核融合によって輝いている。其の水素を使い果たした時点が、主系列星としての一生の終わりであり、以後は膨張して巨星・超巨星へと姿を変えてゆく。本書が記録する45件の出来事のうち、40件が此の枯渇の時点である。
  • 太陽質量(M☉) 太陽の質量を1とした単位。恒星の一生を最も強く支配する量で、重い星ほど中心部の温度と圧力が高く、水素を激しく消費する。本書の収録範囲は、ケンタウルス座B星の0.6から、ハダル・η星の12まで。
  • 太陽半径(R☉) 太陽の半径を1とした単位。同じ質量でも、主系列を離れた星は膨張して半径が大きくなる。本書の最大はHD 125288の14、最小はトリマンの0.86である。
  • スペクトル型 恒星の表面温度による分類で、高温側からO・B・A・F・G・K・Mと並ぶ。後ろに付くローマ数字は光度階級を表し、Vが主系列星、IVが準巨星、IIIが巨星、IIが輝巨星、Iが超巨星である。ケンタウルス座には高温のB型星が数多く含まれる。
  • 視等級 地球から見た明るさの尺度で、数字が小さいほど明るい。肉眼で見える限界は概ね6等。本書ではリギル・ケンタウルスの-0.01が最も明るく、J星とHD 116243の4.52が最も暗い。
  • 光年 光が1年間に進む距離。本書の収録天体は、4.36光年のリギル・ケンタウルス/トリマンから、1,254光年のHD 117440まで広がっている。
  • バイエル符号とHD番号 α・β・γといったギリシャ文字は、星座内の恒星に付けられたバイエル符号。数字やアルファベットで呼ばれる天体(1星・2星・3星・B星・J星)もある。固有名やバイエル符号を持たない恒星は、ヘンリー・ドレイパー星表の番号(HD ○○○○○○)で呼ばれる。

太陽の12倍から0.6倍まで──
質量が刻む星の寿命を、一つの星座の中に読む。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeニコニコでも情報を発信中。