イスラム教の預言者ムハンマド一元化
啓示・迫害・聖遷・征服・死去──
預言者ムハンマドの生涯とイスラム教の誕生を一本の時系列に貫く。
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本書について
西暦610年8月、ムハンマド・イブン・アブドゥッラーフがヒラー山の洞窟にて天使ジブリールより唯一神アッラーの啓示を受けてから、西暦632年6月に遺言を残し死去する迄。本書は、イスラム教の預言者ムハンマドの生涯の全過程を一本の時系列に貫き、一元化した一冊である。
西暦614年、ムハンマドがメッカでイスラム教の宣教を始めると、クライシュ族は当初嘲笑していたが、信者が増えるに連れ迫害を行うようになった。西暦615年には100名以上のムスリムがアクスム王国へ亡命し、西暦619年には最初の妻ハディージャと叔父アブー・ターリブが相次いで死去した事で迫害が激化した。
西暦620年、ヤスリブから来た巡礼団がイスラム教に改宗した事を契機に、ムハンマドとヤスリブの関係が深まった。西暦622年、ムハンマドはクライシュ族の迫害を受けヤスリブへの聖遷(ヒジュラ)を行った。以降、西暦624年のバドルの戦いでメッカ軍を破り、西暦625年のウフドの戦いでは苦戦しながらもマディーナを守り、西暦627年の塹壕の戦いでは10,000名の連合軍を撃退した。
西暦628年、ムハンマドはカイバーのナディール族を降伏させ、フダイビーヤの和約をクライシュ族と締結した。西暦629年にはムウタの戦いで東ローマ帝国軍と交戦し、ハーリド・イブン・アル・ワリードが撤退を成功させた。西暦630年、ムハンマドはアブー・スフヤーンとの折衝によりメッカを無血征服し、カアバ神殿の360体の偶像を破壊した。続くフナインの戦いではハワジン族・タキフ族連合軍を撃破した。西暦632年、ムハンマドはメッカへの大巡礼を行った後、遺言を残して死去し、アブー・バクルが初代正統カリフに選出された。
登場人物
- ムハンマド ムハンマド・イブン・アブドゥッラーフ。イスラム教の預言者。西暦610年にヒラー山の洞窟で天使ジブリールより啓示を受け、イスラム教を始めた。メッカでの迫害を受けヤスリブへ聖遷し、バドル・ウフド・塹壕等の戦いを経てメッカを無血征服した。西暦632年に死去。
- アブー・バクル ムハンマドの友人。最初期のイスラム教徒の一人。ムハンマドと共にヤスリブへ聖遷した。ムハンマドの死後、初代正統カリフに選出された。
- アリー・イブン・アビー・ターリブ ムハンマドの従兄弟。最初期のイスラム教徒の一人。フナインの戦いではムハンマドの傍で戦った。
- ハディージャ・ビント・フワイリド ムハンマドの最初の妻。ムハンマドが最初の啓示を受けた際に最初に相談した人物。西暦619年11月22日に死去。
- アーイシャ・ビント・アブー・バクル アブー・バクルの娘。西暦623年にムハンマドと再婚した。
- ウマル・イブン・ハッターブ ムハンマドの教友。フダイビーヤの和約ではクライシュ族との敵対を理由に使者を辞退した。ムハンマドの死後、アブー・バクルを後継者として推薦した。
- アブー・スフヤーン メッカ軍の指導者。ウフドの戦い・塹壕の戦いでムハンマド軍と交戦した。西暦630年にムハンマドと折衝しメッカの無血征服に応じ、イスラム教に改宗した。
- ザイド・イブン・ハリータ ムハンマドの養子。ワーディー・アル・クラーへの遠征を指揮した。ムウタの戦いで司令官を務め、戦死した。
- ジャファル・イブン・アビ・ターリブ ムウタの戦いでザイドの副官を務めた。ザイド戦死後に指揮を引き継いだが、両腕を切り落とされ殺害された。ムハンマドは「神は彼に一対の翼を与えた」と冥福を祈った。
- ハーリド・イブン・アル・ワリード ムウタの戦いで、指揮官が次々に戦死した後に指揮を引き継ぎ、機転を働かせてムスリム軍を無事に撤退させた。
- ウスマーン・イブン・アッファーン フダイビーヤの和約の際、ムハンマドの使者としてクライシュ族との交渉に臨んだ。一時監禁されたが、後に解放された。
- ムスアブ・イブン・ウマイル ムハンマドの弟子。ヤスリブに派遣され布教に成功し、どの家庭にもムスリムがいる状態を作り上げた。
- サルマーン・アル・ファーリスィー ムハンマドの教友であり土木技術者。塹壕の戦いに先立ち、マディーナの防衛の為に塹壕を掘った。
- アブドゥッラー・イブン・ラワハ カズラジ族の指導者。カイバルへの情報収集任務を行った。ムウタの戦いでは第三の指揮官として戦死した。
- ウサーマ・ビン・ザイド ザイド・イブン・ハリータの子。ムハンマドの死の直前、東ローマ帝国のバルカへの遠征の司令官に任命された。
- ワラカ・イブン・ナウファル ハディージャの従兄弟でキリスト教ネストリウス派修道僧。ムハンマドの最初の啓示について、過去の預言者も同様の経験をした事を伝えた。
- ハバブ・イブン・ムンドヒール バドルの戦いでムハンマドに1つの井戸を除く全ての井戸を埋める事を助言した。ムハンマドの死後の後継者問題ではクライシュ族とアンサール族の共同統治を提案した。
- スハイル・イブン・アムル クライシュ族の使者。フダイビーヤにてムハンマドとの和約交渉を行った。
- アル・ユサイル・イブン・リザム カイバルのユダヤ人の長。ムハンマドの襲撃を計画していたが、アブドゥッラー・イブン・ウナイスに殺害された。
- マリク・ビン・アウフ フナインの戦いで4,000名の部下を率い、ムスリム軍への先制攻撃を指揮した。
主要な地名・拠点
- メッカ 現在のサウジアラビアのマッカ州。ムハンマドが啓示を受け、イスラム教の宣教を始めた地。カアバ神殿が所在する。西暦630年にムハンマドが無血征服した。
- ヤスリブ(マディーナ) 現在のサウジアラビアのマディーナ州。ムハンマドがメッカの迫害を受けて聖遷した先。アウス族とハズラジュ族が抗争を繰り広げていた。イスラム教の拠点となった。
- ヒラー山 メッカ近郊の山。ムハンマドがこの山の洞窟で天使ジブリールより最初の啓示を受けた。
- バドル 現在のサウジアラビアのマディーナ州。西暦624年、ムハンマド率いる300名がクライシュ族の1,000名を破った戦場。
- ウフド 現在のサウジアラビアのマディーナ州。西暦625年、アブー・スフヤーン率いる3,000名のメッカ軍と交戦した地。ムハンマドも負傷したが、マディーナを守り切った。
- フダイビーヤ 現在のサウジアラビアのマッカ州。西暦628年、ムハンマドとクライシュ族の間で10年間の休戦を含む和約が成立した場所。
- カイバー 現在のサウジアラビアのマディーナ州。マディーナから追放されたナディール族の移住先。西暦628年にムハンマドが征伐し降伏させた。
- ムウタ 現在のヨルダンのカラク県。西暦629年、ムスリム軍3,000名が東ローマ帝国軍と交戦した戦場。ザイド・ジャファル・ラワハの三指揮官が戦死した。
- フナイン 現在のサウジアラビアのマッカ州。西暦630年、メッカ無血征服直後にムハンマド軍がハワジン族・タキフ族連合軍を撃破した戦場。
- アクスム王国 現在のエリトリア。西暦615年、メッカでの迫害を受け100名以上のムスリムが亡命し、保護を受けた先。
- アカバ 現在のヨルダン。西暦621年と622年にヤスリブの使節団とムハンマドが会見を開き、忠誠の誓いが行われた場所。
- ターイフ 現在のサウジアラビアのマッカ州。タキフ族の拠点。西暦620年にムハンマドが布教を試みたが拒否された地。
啓示・迫害・聖遷・征服・死去──
イスラム教の誕生と預言者ムハンマドの全記録を一冊に。
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