エリシャ一元化
ヨルダン川に7度身を浸すと、肌は幼子の様になった──
預言者エリシャの生涯を紀元前861年から一元化。
249円(税込)
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本書について
紀元前861年、ツァーラアトに罹っていたアラム王ベネハダデ2世の軍最高司令官ナアマンは、妻の召使の少女——イスラエル王国を侵略した際に捕虜とした娘——から、サマリアに居る預言者を訪ねる様勧められた。ベネハダデ2世はアハブ宛の紹介状を書き、ナアマンは金68.4kg・銀340kg・着物10着を携えて出発する。紹介状を読んだアハブは服を裂き、自分は生かしたり殺したり出来る神ではない、此れは侵略の口実を見付ける罠に違いないと言った。取り乱すアハブの下に人を遣わせ、ナアマンを寄越す様進言したのが預言者エリシャであった。イスラエル王国には神の預言者が居る事を、彼に知らせようというのである。本書は、此の癒しの一件から、紀元前798年のエリシャの死去に至る迄を一元化した記録である。
馬と戦車を従えて玄関に立ったナアマンに対し、エリシャは使いの者を遣わせ、ヨルダン川で体を7回洗えば跡形も無く治ると助言した。直々に出て来て患部に手を当ててくれると思っていたナアマンは立腹し、バラダ川(現在のシリアのダマスカス県・ダマスカス郊外県)やパルパル川の方が余程綺麗だと言って憤慨して去ろうとする。難しい事を言われたなら従った筈だと部下に説き伏せられ、ヨルダン川で7回身を浸すと、皮膚は幼子の様に艶々となり、ツァーラアトは完治した。礼の贈り物をエリシャは頑なに断り、ナアマンは代わりに、2頭の騾馬に載せられるだけの土を分けて貰う事と、ベネハダデ2世がリモンの神殿に参拝する際に共に身を屈める事の許しを願う。だが、エリシャの従者ゲハジは贈り物を惜しみ、ナアマンの後を追って銀68kgと着物2着を受け取り、隠して何食わぬ顔で戻った。心の目で見ていたエリシャは、ナアマンのツァーラアトが子孫迄降り掛かると告げ、ゲハジは忽ち肌が雪の様に白くなった。
紀元前857年、40日間何も食べずに約300km歩いたエリヤは、ホレブ山(現在のエジプトの南シナイ県)の洞穴で霊者に会い、ダマスコの荒野へ帰ってハザエルに油を注いでアラム王とし、ニムシの子イエフに油を注いでイスラエル王国国王とし、アベル・メホラ(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区トゥーバース県・現在のヨルダンのイルビド県・現在のイスラエル北部地区付近)出のシャファテの子エリシャに油を注いで預言者とせよと預言された。エリシャは軈て其の後を継ぐ者であり、ハザエルの剣を逃れる者はイエフが、イエフの剣を逃れる者はエリシャが殺すとも告げられる。アベル・メホラに着いたエリヤは、12頭の軛の牛を前に行かせ、其の12番目の牛の側で畑を耕すエリシャの側を通り過ぎる時、自らの外套を掛けた。エリシャは牛を捨てて後を追い、父母への接吻を願って引き返し、1頭の軛の牛を屠って装具を燃やし、肉を家族に振る舞ってから、エリヤに付き従って仕えた。
紀元前851年、モアブの王メシャの離反を鎮圧しようとしたヨラムは、ヨシャファトをモアブ征伐に誘い、エドムの荒れ野の道を選んだ。ヨシャファトはエドムの王と合流して南方から出陣したが、迂回に7日を費やし、部隊と家畜の為の水が底を突いてしまう。泣き言を言うヨラムに対し、ヨシャファトはヤハウェの預言者に頼る事を勧め、家臣が挙げたのが、エリヤの手に水を注いだ者と呼ばれたシャファテの子エリシャであった。エリシャは、ヨシャファトに敬意を抱いていなければ目もくれなかったと言い、竪琴を弾く者を呼んで其の音の中で預言する。風も大雨も無く涸れた谷に水が溢れ、其れは小さな事であって、ヤハウェはモアブを手に渡し、砦の町と選り抜きの町を打ち破り、有用な木を倒し、泉を塞ぎ、耕地を石だらけの荒れ地とするだろう——翌朝、捧げ物を献上する頃、水はエドムの方から流れて来て谷を満たした。3名の王は進軍し、モアブでは剣を帯びる年齢に達した者全てが招集されて国境に配置された。
紀元前842年、エリシャは預言者仲間の若者に油の壺を持たせ、ラモト・ギルアデでニムシの子イエフを探し、奥の間で頭に油を注いで、終わったら直ぐに逃げる様指示した。若者は軍の高官達の会議の中からイエフを呼び出し、アハブの家を打ち殺し、イゼベルによって流された預言者達の血の復讐を果たす王とする預言を伝えて逃げ去る。家来達は上着を脱いで階段のイエフの足元に敷き、角笛を吹き鳴らして王であると唱えた。折しもイズレエルでは、ヨラムの見舞いに来ていたアハズヤが居合わせ、塔の見張りがイエフの軍勢を発見する。迎えに出した騎兵2名が次々にイエフの側に付き、狂った様な車の御し方が伝えられると、ヨラムとアハズヤは各々戦車でイエフを迎えに出た。イズレエル人ナボテの所有地で遭遇した2人に、イエフは母イゼベルの姦淫と呪術を突き付け、逃げるヨラムの心臓を弓で射抜いた。侍従ビデカルは、ナボテの所有地であった葡萄畑へ其の遺体を投げ捨てる様命じられる。ベテ・ハ・ガン(現在のイスラエル北部地区)の道へ逃げたアハズヤも、イブレアム(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ジェニーン県)近くのグルへの上り道で傷を負い、メギドで崩御してエルサレムの自らの墓に葬られた。斯うしてイエフが第10代イスラエル王国国王に即位する。
同じ紀元前842年、ダマスカスを訪れたエリシャの下に、病床のベネハダデ2世から遣わされたハザエルが、病の行く末を尋ねに来た。エリシャは、必ず治るが直ぐに死ぬと預言し、ハザエルの顔をじっと見つめて泣き出すと、彼がイスラエル王国の若い男達・子供達・妊婦を剣で斬殺し、要塞に火を放ち、アラムの王となると告げた。ハザエルは其の様な力は無いと否定したが、ベネハダデ2世には必ず治ると伝え、翌日、寝台の彼に濡れた毛布を掛けて暗殺し、第5代アラム王に即位した。そして紀元前798年、病床のエリシャを見舞ったヨアシュは、枕元で「我が父、我が父、貴方はイスラエル王国の力です」と泣いた。エリシャは弓と矢を取らせ、其の手に自らの手を重ねて東の窓から矢を射させ、アフェクでアラムを討つ勝利の矢だと預言する。続けて矢で地面を打たせたが、ヨアシュが3回で止めた為、5回、6回打つべきであった、アラムを打つのは3度だけになると怒った。程無くエリシャは死去し、葬られた——其の全過程を、本書は一冊に束ねている。
登場人物
- エリシャ 本書の中心人物。アベル・メホラ出のシャファテの子。畑を耕していた所にエリヤの外套を掛けられ、牛を捨てて付き従った。ナアマンにヨルダン川で7回洗う事を助言して其のツァーラアトを癒し、礼の贈り物は断った。モアブ征伐では水と勝利を預言し、イエフに油を注がせ、ハザエルにはアラム王となる事を涙ながらに告げた。紀元前798年、見舞いに来たヨアシュへ最後の預言を残して死去した。
- エリヤ 預言者。紀元前857年、ホレブ山の洞穴でハザエル・イエフ・エリシャへの油注ぎを預言され、アベル・メホラで畑を耕すエリシャに自らの外套を掛けた。エリシャは「エリヤの手に水を注いだ者」として後に王達へ紹介される。
- ナアマン アラム王ベネハダデ2世が全幅の信頼を寄せた軍の最高司令官。ツァーラアトに罹り、妻の召使の少女の勧めでイスラエル王国へ向かった。直々の治療を期待して立腹したが、部下に説き伏せられてヨルダン川で7回身を浸すと完治し、2頭の騾馬分の土を願って帰国した。
- ゲハジ エリシャの従者。贈り物を断ったエリシャを惜しみ、ナアマンの後を追って銀68kgと着物2着を受け取り、隠して何食わぬ顔で戻った。心の目で見ていたエリシャに咎められ、ナアマンのツァーラアトが子孫迄降り掛かると告げられ、忽ち肌が雪の様に白くなった。
- ベネハダデ2世 第4代アラム王。ツァーラアトのナアマンをイスラエル王国へ送り出し、アハブ宛の紹介状を書いた。紀元前842年には病床からハザエルを遣わせてエリシャに病の行く末を尋ねさせ、必ず治るが直ぐに死ぬと預言された翌日、ハザエルに濡れた毛布を掛けられて暗殺された。
- ハザエル ベネハダデ2世の家臣。エリシャの下に遣わされ、其の顔を見つめられて涙と共に、イスラエル王国を剣で荒らしアラムの王となると告げられた。否定しながらもベネハダデ2世には必ず治ると伝え、翌日暗殺して第5代アラム王に即位した。
- イエフ ニムシの子。ホレブ山の預言で油注ぎの対象として名を挙げられ、紀元前842年、エリシャが遣わせた若者にラモト・ギルアデで油を注がれた。イズレエルでヨラムの心臓を弓で射抜き、アハズヤも討たせて、第10代イスラエル王国国王に即位した。
- ヨラム(イスラエル王国国王) アハブの弐男で第9代イスラエル王国国王。離反したモアブの王メシャの鎮圧にヨシャファトを誘い、水の尽きた荒れ野でエリシャを訪ねた。紀元前842年、イズレエル人ナボテの所有地でイエフに射抜かれ、其の葡萄畑へ投げ捨てられた。
- アハズヤ(ユダ王国国王) ユダ王国の王。ヨラムの見舞いでイズレエルに居合わせ、イエフの軍勢を迎えに出た。ベテ・ハ・ガンの道へ逃げたが、イブレアム近くのグルへの上り道で傷を負い、メギドで崩御し、エルサレムの自らの墓にダビデ等の先祖と共に葬られた。
- ヨシャファト ユダ王国の王。紀元前851年、モアブ征伐の遠征に加わってエドムの王と合流し、南方から出陣した。水が底を突くとヤハウェの預言者に頼る事を勧め、エリシャを訪ねる事となった。エリシャはヨシャファトへの敬意を理由にヨラムと会ったと語っている。
- ヨアシュ(イスラエル王国国王) イスラエル王国の王。紀元前798年、病床のエリシャを見舞い、枕元で我が父と呼んで泣いた。弓と矢を取らされ、東の窓から矢を射てアフェクでの勝利を預言されたが、矢で地面を打つのを3回で止めた為、アラムを打つのは3度だけになると怒られた。
- メシャ モアブの王。子羊100,000匹と雄羊100,000匹分の羊毛を貢物としてイスラエル王国に納めていたが、紀元前851年に離反し、反旗を翻した。
- ビデカル イエフの侍従。射抜かれたヨラムの遺体を、イズレエル人ナボテの所有地であった葡萄畑へ投げ捨てる様命じられた。
- ナアマンの妻の召使の少女 イスラエル王国を侵略した際に捕虜とされた娘。サマリアに居る預言者を訪ねればツァーラアトは治ると主人に勧め、癒しの一件の発端となった。
主要な地名・拠点
- ヨルダン川 エリシャの助言でナアマンが7回身を浸した川。皮膚は幼子の様に艶々となり、ツァーラアトは完治した。
- バラダ川 現在のシリアのダマスカス県・ダマスカス郊外県。ヨルダン川で洗えと言われて立腹したナアマンが、パルパル川と共に、其方の方が余程綺麗だと挙げた川。
- アベル・メホラ 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区トゥーバース県・現在のヨルダンのイルビド県・現在のイスラエル北部地区付近。エリシャの出身地で、畑を耕す彼にエリヤが外套を掛けた地。
- ホレブ山 現在のエジプトの南シナイ県。40日間歩いたエリヤが洞穴で霊者に会い、ハザエル・イエフ・エリシャへの油注ぎを預言された山。
- エドムの荒れ野 紀元前851年、モアブ征伐に向かうヨラム・ヨシャファト・エドムの王が選んだ道。迂回に7日を費やして水が底を突き、翌朝、水は此の方角から流れて来た。
- イズレエル 紀元前842年、ヨラムの見舞いにアハズヤが訪れていた地。塔の見張りがイエフの軍勢を発見し、イズレエル人ナボテの所有地でヨラムが射抜かれた。
- ラモト・ギルアデ エリシャが遣わせた預言者仲間の若者が向かい、軍の高官達の会議の中からイエフを呼び出して頭に油を注いだ地。
- ダマスカス 紀元前842年にエリシャが訪れた地。病床のベネハダデ2世がハザエルを遣わせ、病の行く末を尋ねさせた。
- ベテ・ハ・ガン 現在のイスラエル北部地区。ヨラムが射抜かれた後、アハズヤが逃走した道の在る地。
- イブレアム 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ジェニーン県。近くのグルへの上り道で、戦車の上のアハズヤがイエフ率いる軍に傷を負わされた。
- メギド 傷を負ったアハズヤが何とか逃げ延び、崩御した地。遺体は家来達によってエルサレムへ運ばれた。
- アフェク 紀元前798年、病床のエリシャがヨアシュに矢を射させ、此処でアラムを討って絶ち滅ぼすと預言した地。
外套を継いだ者は、王に油を注ぎ、王の死を告げた──
預言者エリシャの預言と最期を一元化。
249円(税込)
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