電子書籍「ソロモン一元化」の表紙

ソロモン一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
紀元前980年〜928年頃
※ユダヤ暦は全て西暦に変換しています
ページ数
10ページ
最新更新日
西暦2,026年8月4日

知恵を授かった王は神殿を築き、700の妻と栄華を極め──
やがて王国は引き裂かれた。第4代ヘブライ王国国王の全記録。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

紀元前980年、シバの女王マケダがソロモンの宮殿を訪れた。ソロモンはマケダの美貌に惹きつけられ、2人の間にはメネリク1世がハマシエン(現在のエリトリア首都圏)にて生誕している。本書は、此の来訪を起点として、紀元前928年のソロモン崩御とヘブライ王国の分裂に至る迄の52年を一元化した、第4代ヘブライ王国国王ソロモンの記録である。

紀元前971年、ダビデは病を得て、服を重ね着しても体が温まらなくなっていた。臣僕達はシュネム(現在のイスラエル北部地区)出身の若い処女アビシャグを招いて仕えさせたが、性交する事は無かった。此の頃、軍司令官ヨアブはダビデから距離を置き、四男アドニヤに接近する。ダビデはソロモンに、裏切り者ヨアブの殺害を命じた。程無くアドニヤは、自身が次代国王になる事を宣言する。アビアタルとヨアブを味方に付けた其の動きに対し、ザドク・ベナヤ・ナタンは従わなかった。ナタンはバト・シェバに入れ知恵し、自らも後から寝室に入って言葉を裏付ける——此の段取りによってダビデはソロモンの指名を明言した。ソロモンは騾馬に乗せられてギホン(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県)に下り、ザドクが幕屋から持ち出した油の角でナタンと共に油を注がれ、ラッパの音と「ソロモン王万歳」の声の中で第4代ヘブライ王国国王に即位した。ソロモンは以降、年に18,125kgの金の貢物を集めている。

ダビデは、神の戒めを守って神殿を建てる事、アブネル・アマサ・アブサロムを殺めたヨアブを討つ事、マハナイムで自らを呪ったベニヤミン人シメイを討つ事、そして逃避行を援けたギルアデ人バルジライに恵みを施す事を遺言して死去した。ソロモンはシメイにエルサレムへの定住とキドロンを越えぬ事を命じる。やがてアドニヤがアビシャグとの結婚をバト・シェバ経由で願い出ると、ソロモンは「アビシャグを与えるのは王国を与えたも同然」と看破し、其の日の内にベナヤに殺害させた。アビアタルはアナトテ(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県)へ追われて祭司職を罷免され、ヤハウェの幕屋に逃げ込んで祭壇の角にしがみ付いたヨアブは、「此処で死なせてくれ」という言葉の通り祭壇の側で討たれた。ベナヤが軍司令官に、ツァドクがアビアタルの後任の祭司に据えられ、王権は固まった。

紀元前968年、シメイは逃亡した2名の家来を追ってガトへ赴き、禁を破ってエルサレムへ戻った所をベナヤに撃ち殺された。同じ年、ソロモンは第6代エジプト第21王朝ファラオ・シアメンの娘を娶る(妻は合計700名、妾は300名に上った)。ギブオンで盛大な捧げ物をした夜、夢に現れたヤハウェから「願いを叶えよう」と告げられたソロモンは、富でも長寿でもなく知恵を求めた。ヤハウェは「貴方の様な賢い人は、過去に居なかったし、今後も現れない」と応じる。其の知恵は、同じ子を我が子と主張し合う2名の売春婦の前で「生きている子供を半分にし、両者に分け与えよ」と剣を呼んだ裁きに現れた。子を殺すまいと譲った側こそ実の母である——此の審判の話は王国全土に伝わった。

ソロモンは、シアメンからエツヨン・ゲベル(現在のエジプト南シナイ県)での船団編成の許可を得た。エイラート(現在のイスラエル南部地区)を支配していたソロモンは、紅海に出る機会を窺っていたティルスの王ヒラムに利益の共有を持ち掛け、ヒラムはフェニキアから航海士を送って之に応じる。両者の船隊は3年置きにオフィル(現在のソマリア)へ航海し、金・銀・象牙・猿・狒々を運んだ。莫大な利益はヘブライ王国の苦しい財政を建て直し、黒字へと転換させた。紀元前967年には、シアメンがゲゼルを攻略・焼き払ってソロモンに嫁いだ娘に贈り、ソロモンは之を要塞化した上で、下ベト・ホロン・バアラト・タドモルへと町を築いてゆく。補給基地・戦車隊・騎兵隊と役割を明確にした町も開発され、国民は王の家臣・将軍・戦車隊長・騎兵隊長・戦士・工事現場監督(550名)へ登用された。其の一方で、アムル人・ヒッタイト人・ペリジ人・ヒビ人・エブス人は奴隷として使役された。

紀元前966年4月、オフェル(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県)にてヤハウェの神殿が着工される。ヒラムとの契約でレバノン杉と糸杉が供給され、見返りに小麦・オリーブ油とガリラヤ地方の20の町々が贈られたが、別途4.1tの金を贈っていたヒラムは、視察の末に其の町々を気に入らなかった。本殿は長さ26.64m・幅8.88m・高さ13.32m。石切場で完全に仕上げた石を用いた為、槌や鉄の工具の音は一切内部に漏れなかった。内壁には瓢模様と花模様を浮き彫りにした杉板、床には樅板が張られ、板は全て純金で覆われる。奥の至聖所は長さ・幅・高さいずれも8.88m、契約の箱を守る2体のケルビムは高さ4.44m、翼は神殿の真ん中で触れ合っていた。紀元前959年10月に神殿が完成すると、ソロモンは同時に王宮の建設に着手する。レバノンの森の宮殿、柱の広間と「裁きの広間」、そして神殿よりも豪華な夫妻の住居。ヒラムはスコテとツァレタンの間の粘土の地で、高さ7.99mの青銅の柱ボアズとヤキン、容量920Lの洗盤、東西南北を向いた牛12頭等を鋳造した。エルサレムには城壁が築かれ、ハツォルとメギドが要塞化される。紀元前946年、王宮が完成し、オフィルとの交易は金14.4t・白壇・宝石を齎した。

紀元前928年、ソロモンはダビデの町の破れ口を塞ぐ為にミロ(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県)へ砦を築かせ、其の働きぶりを見てヤロブアム1世をヨセフ族の労役全体の監督に任じた。だが、エルサレムを出たヤロブアム1世を待っていたのは、真新しい外套を着た預言者アヒヤであった。アヒヤは其の外套を12切れに引き裂き、10切れを取れと告げる——ヤハウェがソロモンの手から王国を取り上げ、10部族を与えるという預言であった。神殿と王宮の造営に民が駆り出され重税を課せられている現状に憤ったヤロブアム1世は反旗を翻し、初代エジプト第22王朝ファラオ・シェションク1世の下へ逃れて、ソロモンの崩御まで其処に留まった。ソロモンが崩御し、アモン人ナアマの息子レハブアムがシェケム(現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ナーブルス県)で第5代国王に即位すると、北部の人々は軌を軽くする様訴える。長老達は民の僕となれと諭したが、レハブアムが選んだのは若者達の言葉——「私の小指はソロモンの腰より太い」「私は蠍で懲らしめる」であった。知恵を授かった王が築いた栄華は、其の代償と共に、次代へ引き渡されたのである。


登場人物

  • ソロモン 本書の中心人物。ダビデとバト・シェバの息子で、第4代ヘブライ王国国王。ギホンでザドクとナタンに油を注がれて即位した。ギブオンの夢でヤハウェに知恵を求め、2名の売春婦の争いを裁いて名声を博す。ヤハウェの神殿と王宮を造営し、オフィル交易で国家財政を黒字に転換させたが、重税と強制労働が人心を離反させ、王国分裂の因を残した。
  • ダビデ 第3代ヘブライ王国国王でソロモンの父。病により体が温まらなくなり、アビシャグが仕えた。アドニヤの王位宣言を受けてソロモンの即位を明言し、神殿建設・ヨアブとシメイの誅殺・バルジライへの報恩を遺言して死去した。
  • バト・シェバ ソロモンの母。ナタンの入れ知恵に従いダビデの寝室へ赴き、アドニヤの即位を問うてソロモンの指名を引き出した。後にアドニヤからアビシャグとの結婚の取り成しを依頼された。
  • アドニヤ ダビデの四男でハギトを母に持つ。アビアタルとヨアブを味方に付け、自身が次代国王になる事を宣言したが、ナタンとバト・シェバの働きで先を越された。アビシャグとの結婚を願い出た事で王位簒奪の意図を疑われ、其の日の内にベナヤに殺害された。
  • ナタン 預言者。アドニヤの動きを察してバト・シェバに進言し、自らも後から寝室に入って言葉を裏付ける段取りを組んだ。ギホンにてザドクと共にソロモンに油を注いだ。
  • ザドク 祭司。アドニヤに従わずソロモンを支持した。幕屋から油の角を取って来てナタンと共にソロモンに油を注ぎ、其の即位を成立させた。
  • ベナヤ 祭司エホヤダの息子。アドニヤに従わずソロモンを支持し、其の即位に立ち会った。ソロモンの命でアドニヤ・ヨアブ・シメイを討ち、ヨアブの後任として軍司令官に任命された。
  • ヨアブ ダビデの軍司令官。晩年のダビデから距離を置いてアドニヤに接近した。アブネル・アマサを殺害しダビデの命に背いてアブサロムを討った罪を問われ、ヤハウェの幕屋の祭壇の角にしがみ付いた儘、ベナヤに殺害された。
  • アビアタル 祭司。アドニヤの王位宣言に加担した。ダビデの治世にヤハウェの箱を担ぎ苦難を共にした功により死は免れたが、アナトテの実家へ帰され祭司職を罷免された。
  • アビシャグ シュネム出身の若い処女。病のダビデの体を温める為に招かれ、仕えたが性交する事は無かった。後にアドニヤが結婚を望んだ事が、其の処刑の引き金となった。
  • シメイ ベニヤミン人ゲラの子。マハナイムでダビデを呪った事によりダビデの遺言で誅殺の対象とされた。ソロモンからエルサレムへの定住とキドロンを越えぬ事を命じられたが、逃亡した家来を追ってガトへ赴いた為、紀元前968年にベナヤに撃ち殺された。
  • ヒラム フェニキアのティルスの王。紀元前979年のダビデの王宮建設に続き、ソロモンにもレバノン杉と糸杉を供給した。見返りのガリラヤ地方の20の町々を視察して気に入らず、別途贈った4.1tの金に見合わぬと感じた。オフィル交易では航海士と船員を派遣し、青銅の柱ボアズとヤキン等の鋳物も鋳造した。
  • シアメン 第6代エジプト第21王朝ファラオ。娘をソロモンに嫁がせ、エツヨン・ゲベルでの船団編成を許可した。紀元前967年にゲゼルを攻略・焼き払ってカナン人を殺害し、其の土地を娘への贈り物とした。
  • マケダ シバの女王。紀元前980年にソロモンの宮殿を訪れ、ソロモンは其の美貌に惹きつけられた。2人の間にメネリク1世がハマシエンにて生誕した。
  • メネリク1世 ソロモンとシバの女王マケダの息子。ハマシエン(現在のエリトリア首都圏)にて生誕した。
  • ヤロブアム1世 ヨセフ族の労役全体の監督。ミロの築城での働きぶりを見込まれて登用されたが、エルサレムを出た所で預言者アヒヤから外套の10切れを渡され、10部族の王となる預言を受けた。重税への憤りからソロモンに反旗を翻し、シェションク1世の下へ逃亡した。
  • アヒヤ 預言者。真新しい外套を着てヤロブアム1世と出会い、其れを12切れに引き裂いて10切れを渡した。ソロモンが異国の神々を拝んだ事を理由に、ヤハウェが王国から10部族を取り上げると預言した。
  • シェションク1世 初代エジプト第22王朝ファラオ。ソロモンに命を狙われたヤロブアム1世を庇護し、ソロモンが崩御する迄留め置いた。
  • レハブアム ソロモンとアモン人ナアマの息子。シェケムにて第5代ヘブライ王国国王に即位した。軌を軽くする様求める北部の人々に対し、民の僕となれという長老達の助言を退け、若者達の言葉を採って「私は蠍で懲らしめる」と宣言した。
  • バルジライ ギルアデ人。ダビデがアブサロムから逃げてマハナイムに来た際、寝床・小麦・大麦・麦粉・炒った穀物・そら豆・ひら豆・蜂蜜・バター・羊を与えて援助した。ダビデは遺言で、其の恵みに報いる様ソロモンに命じた。

主要な地名・拠点

  • ハマシエン 現在のエリトリア首都圏。ソロモンとシバの女王マケダの息子メネリク1世が生誕した地。
  • エルサレム 現在のイスラエルのエルサレム地区。ヘブライ王国の首都。ソロモンはヤハウェの神殿と王宮を造営し、城壁を築いた。シメイには此処を出る事を禁じた。
  • ギホン 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。ダビデの命により騾馬に乗せられたソロモンが下り、ザドクとナタンに油を注がれて第4代ヘブライ王国国王に即位した場所。
  • アナトテ 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。祭司職を罷免されたアビアタルが帰された実家のある町。
  • ガト 王アキシュの治める町。シメイの家来2名が逃亡した先であり、シメイが之を追って禁を破った結果、其の死を招いた。
  • ギブオン 現在のイスラエルのエルサレム地区。ソロモンが盛大な捧げ物をした地。其の夜の夢にヤハウェが現れ、ソロモンは知恵を求めた。
  • エツヨン・ゲベル 現在のエジプト南シナイ県。ソロモンがシアメンの許可を得て船団を編成した港。紅海へ出る拠点となった。
  • オフィル 現在のソマリア。ソロモンとヒラムの船隊が3年置きに航海した交易先。金・銀・象牙・猿・狒々が運ばれ、紀元前946年には金14.4t・白壇・宝石が齎された。
  • ティルス フェニキアの都市。王ヒラムの本拠であり、レバノン杉と糸杉、航海士や船員がソロモンの下へ送り出された。
  • ゲゼル 紀元前967年、シアメンが攻略して焼き払い、カナン人を殺害した上でソロモンに嫁いだ娘へ贈った町。ソロモンは之を要塞化した。
  • タドモル 現在のシリアのホムス県タドムル。荒れ野の地でありながら、ソロモンが町を築いた拠点の1つ。
  • オフェル 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。紀元前966年4月にヤハウェの神殿が着工され、紀元前959年10月に完成した場所。至聖所には契約の箱と2体のケルビムが置かれた。
  • ハツォル・メギド いずれも現在のイスラエル北部地区。王宮の建設に着手した頃、ソロモンがエルサレムの城壁と併せて要塞化した2ヶ所。
  • スコテ・ツァレタン スコテは現在のヨルダンのバルカ県、ツァレタンは現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エリコ県。両者の間の粘土の地で、ヒラムが青銅の柱ボアズとヤキンや洗盤等を鋳造した。
  • ミロ 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。紀元前928年、ソロモンがダビデの町の破れ口を塞ぐ為に砦を築かせた地。此の工事でヤロブアム1世が登用された。
  • シェケム 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ナーブルス県。ソロモンが塔を建設させた地であり、ソロモンの崩御後、レハブアムが第5代ヘブライ王国国王に即位した場所。

知恵の王が築いた黄金の神殿、紅海を渡る交易船団、
そして預言者が引き裂いた外套──52年の全記録。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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