ソロモン一元化
知恵を授かった王は神殿を築き、700の妻と栄華を極め──
やがて王国は引き裂かれた。第4代ヘブライ王国国王の全記録。
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本書について
紀元前980年、シバの女王マケダの来訪から、紀元前928年、崩御まで。本書は、第4代ヘブライ王国国王ソロモンの治世を一本の時系列に貫き、一元化した一冊である。
紀元前980年、シバの女王マケダがソロモンの宮殿を訪れ、両者の間にメネリク1世が生誕した。紀元前971年、病に倒れたダビデの下で、四男アドニヤが王位を僭称した。祭司アビアタルと将軍ヨアブがアドニヤに就いたが、預言者ナタンはバト・シェバと共にダビデに働きかけ、ザドクとナタンがギホンにてソロモンに油を注いだ。ソロモンは第4代ヘブライ王国国王に即位し、年間18,125kgの金の貢物を集めた。
即位直後、ソロモンはダビデの遺言を実行に移した。アドニヤがアビシャグとの結婚を求めた事を口実に、ベナヤに命じてアドニヤを殺害させた。祭司アビアタルをアナトテに追放し、幕屋の祭壇にしがみ付いたヨアブもベナヤに処刑させた。更にエルサレムからの外出を禁じたシメイが、逃亡した家来を追ってガトへ向かった事を理由に、紀元前968年、シメイをも処刑した。ソロモンはベナヤを軍司令官に任命し、ツァドクを祭司に据えて権力基盤を固めた。
紀元前968年、ソロモンは第6代エジプト第21王朝ファラオのシアメンの娘を娶り、ギブオンでの夢の中でヤハウェから知恵を授かった。シアメンからエツヨン・ゲベルでの船団編成の許可を得たソロモンは、ティルスの王ヒラムと交易の利益を共有する契約を結び、3年置きにオフィルへ航海して莫大な利益を上げ、苦しい国家財政を黒字に転換させた。2人の売春婦による子供の争いを見事に裁いた話は王国全土に伝わり、ソロモンの知恵は広く賞賛された。
紀元前966年4月、オフェルにてヤハウェの神殿の工事が着工された。ヒラムはレバノン杉と糸杉を供給し、見返りに小麦・オリーブ油とガリラヤ地方の20の町々を贈られた。長さ26.64m・幅8.88m・高さ13.32mの本殿には、純金で覆われた至聖所が設けられ、オリーブの板で造られた2体のケルビムがヤハウェの契約の箱を守った。紀元前959年10月に神殿は完成し、続いてレバノンの森の宮殿・柱の広間・ソロモン夫妻の住居から成る王宮の建設に着手した。紀元前946年、王宮が完成した。
しかし、700名の妻と300名の妾を抱えたソロモンは、やがてヤハウェの道から逸れた。紀元前928年、預言者アヒヤは、労役監督のヤロブアム1世に外套を12切れに引き裂いて渡し、10部族を与えるとのヤハウェの預言を伝えた。ヤロブアム1世は重税と強制労役に苦しむ民衆の憤りを背にソロモンに反旗を翻したが、エジプトのシェションク1世の下に逃亡した。ソロモンが崩御すると、息子レハブアムがシェケムにて第5代国王に即位したが、長老達の助言を退け若者達の強硬策を採った事で、王国分裂への道を歩み始めた。本書は、知恵の王と讃えられた栄光から王国崩壊の序曲に至るまでの全治世を、年月日単位で記録した年表である。
登場人物
- ソロモン ダビデとバト・シェバの息子。ザドクとナタンに油を注がれ、第4代ヘブライ王国国王に即位した。ヤハウェから知恵を授かり、神殿と王宮を建設して王国を繁栄させたが、700名の妻と300名の妾を抱え、ヤハウェの道から逸れた。紀元前928年に崩御した。
- ダビデ 第3代ヘブライ王国国王。ソロモンの父。病に倒れた後、ソロモンを後継者に指名し、ヨアブとシメイの殺害、バルジライへの恩義を遺言に残して崩御した。
- バト・シェバ ソロモンの母。ナタンと協力してダビデに働きかけ、ソロモンの即位を実現させた。アドニヤからアビシャグとの結婚の取り成しを依頼された。
- アドニヤ ダビデの四男でハギトを母に持つ。自身が次代国王になる事を宣言し、アビアタルとヨアブを味方に付けた。ソロモンの即位後、アビシャグとの結婚を求めた事を口実に、ベナヤにより殺害された。
- ナタン 預言者。バト・シェバと協力してダビデに働きかけ、ソロモンの即位を支援した。ギホンにてザドクと共にソロモンに油を注いだ。
- ザドク 祭司。アドニヤの王位僭称に従わず、ナタンと共にギホンにてソロモンに油を注いだ。後にアビアタルの後任として祭司に据えられた。
- ベナヤ 祭司エホヤダの息子。アドニヤの王位僭称に従わず、ソロモンの命によりアドニヤ・ヨアブ・シメイを処刑した。軍司令官に任命された。
- ヨアブ ダビデの甥で軍司令官。アドニヤに接近し、ソロモンの即位後にヤハウェの幕屋に逃げ込んだが、ベナヤにより祭壇の側で殺害された。
- アビアタル 祭司。アドニヤを支持したが、ソロモンによりアナトテの実家に追放され、祭司職から罷免された。
- アビシャグ シュネム出身の女性。病に倒れたダビデに仕えたが、性交する事は無かった。アドニヤがアビシャグとの結婚を求めた事が、アドニヤ殺害の口実となった。
- シメイ ベニヤミン人ゲラの子。ダビデの遺言により殺害を命じられた。ソロモンからエルサレム定住を命じられたが、逃亡した家来を追ってガトへ向かい、帰還後にベナヤにより処刑された。
- ヒラム フェニキアのティルスの王。ヤハウェの神殿と王宮の建設にレバノン杉と糸杉を供給し、航海士を派遣してソロモンの交易を支援した。神殿の青銅の柱や鋳物を鋳造した。
- シアメン 第6代エジプト第21王朝ファラオ。娘をソロモンに嫁がせた。ゲゼルを攻略・焼き払い、其の土地を娘に贈った。ソロモンにエツヨン・ゲベルでの船団編成を許可した。
- マケダ シバの女王。紀元前980年にソロモンの宮殿を訪れた。ソロモンとの間にメネリク1世が生誕した。
- レハブアム ソロモンとアモン人ナアマの息子。ソロモンの崩御後、シェケムにて第5代ヘブライ王国国王に即位した。長老達の助言を退け、若者達の強硬策を採った。
- ヤロブアム1世 ヨセフ族の労役監督。預言者アヒヤから10部族を与えるとの預言を受けた。ソロモンに反旗を翻し、エジプトのシェションク1世の下に逃亡した。
- アヒヤ 預言者。ヤロブアム1世に真新しい外套を12切れに引き裂いて10切れを渡し、ヤハウェの預言を伝えた。
- シェションク1世 初代エジプト第22王朝ファラオ。ソロモンから逃亡したヤロブアム1世を匿い、ソロモンの崩御まで其処に留まらせた。
- バルジライ ギルアデ人。ダビデがアブサロムから逃げてマハナイムに来た際、寝床・小麦・大麦等を与えて援助した。ダビデの遺言により恵みを施す様命じられた。
主要な地名・拠点
- エルサレム ヘブライ王国の首都。ソロモンがヤハウェの神殿と王宮を建設し、城壁を築いた。シメイが定住を命じられた地。
- ギホン 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。ザドクとナタンがソロモンに油を注いだ場所。
- オフェル 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。ヤハウェの神殿が建設された場所。
- ギブオン ソロモンが盛大な捧げ物をし、夢の中でヤハウェから知恵を授かった場所。
- エツヨン・ゲベル 現在のエジプト南シナイ県。ソロモンがシアメンの許可を得て船団を編成し、オフィルとの交易の拠点とした。
- オフィル 現在のソマリア。ソロモンとヒラムが3年置きに航海し、金・銀・象牙・猿・狒々等を持ち込んだ交易先。
- ティルス フェニキアの都市。ヒラムの拠点。レバノン杉の供給や航海士の派遣等でソロモンを支援した。
- ゲゼル シアメンが攻略して焼き払い、ソロモンに嫁いだ娘に贈った地。ソロモンが要塞化した。
- ハツォル 現在のイスラエル北部地区。ソロモンが要塞化した拠点の一つ。
- メギド 現在のイスラエル北部地区。ソロモンが要塞化した拠点の一つ。
- タドモル 現在のシリアのホムス県。荒れ野にソロモンが町を築いた場所。
- アナトテ 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。ソロモンがアビアタルを追放した先。
- ガト ペリシテ人の都市。王アキシュの下にシメイの家来2名が逃亡し、シメイが追って向かった地。
- シェケム 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区ナーブルス県。ソロモンが塔を建設させた地。レハブアムが第5代国王に即位した地。
- ミロ 現在のパレスチナ国ヨルダン川西岸地区エルサレム県。ソロモンがダビデの町の破れ口を塞ぐ為に砦を築かせた場所。
- ハマシエン 現在のエリトリア首都圏。ソロモンとマケダの間にメネリク1世が生誕した地。
知恵の王が築いた黄金の神殿、紅海を渡る交易船団、
そして預言者が引き裂いた外套──52年の全記録。
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