ビル・ゲイツによる
子宮頸がんワクチン攻撃
一元化
西暦2,009年、インドの少女23,000名が実験台にされた──
ゲイツ財団から厚労省へと連なる子宮頸癌ワクチンの十四年を一元化。
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本書について
西暦2,009年、インドの地方に住む23,000名の少女が、一つの実験の被験者となった。資金を出したのは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団である。少女達に打たれたのは、GSK社と、メルク・アンド・カンパニーの日本法人であるMSD社が開発した、実験的な子宮頸癌(HPV)ワクチンであった。結果、1,200名程度が自己免疫疾患や不妊症等の重篤な副作用を患い、7名が命を落とした。更に、ゲイツが資金を提供する研究者達は、村のか弱い少女たちを強制的に裁判にかけ、両親をいじめ、同意書を偽造し、副作用の出た少女の医療を拒否した。インド政府は、此の四つの倫理違反を以て告訴に踏み切っている。本書は、此の実験を起点として、日本の子宮頸癌ワクチン政策が積極的勧奨の再開へと至るまでの十四年を、年月日単位で一元化した記録である。
同じ西暦2,009年、規制する側と作る側とを隔てる壁が、一人の人物によって越えられた。1月20日、第15代CDC所長ジュリー・ルイーズ・ガーバーディングがCDC所長を辞任する。そして同年12月、彼女はメルク社のワクチン部門長へと天下った。CDCはアメリカのワクチン政策と安全性の監視を担う機関であり、其の頂点に立っていた人物が、規制対象であるメルクのワクチン部門の責任者へと直接移った事になる。日本では、其の間の10月26日に厚労省がGSK社製の子宮頸癌予防2価ワクチン「サーバリックス」の製造販売を承認し、12月22日に発売された。其の後、接種した者に、頭痛・全身の仏痛・知覚過敏・脱力・不随意運動・歩行障害・激しい倦怠感・睡眠障害・記憶障害・学習障害という十の重篤な症状が現れる事になる。
西暦2,010年から翌年に掛けて、WHOの財布へ巨額の資金が流れ込む。WHOは予算の7割を任意の寄付に依存しており、其処へビル&メリンダ・ゲイツ財団が455億円(予算の約1割に相当)、GAVIアライアンスが101億円、GSK社が82億円相当の金銭と現物のワクチンを寄付した。同じ西暦2,010年11月、日本はサーバリックスの接種費用の9割を公費で負担する補正予算を組み、本年度107億円・翌年度580億円を計上する。西暦2,011年8月26日にはMSD社が子宮頸癌予防4価ワクチン「ガーダシル」を発売し、二社のワクチンが日本の少女達へ届く道筋が整えられた。
被害は、程無くして声になった。西暦2,013年3月25日、被害者の救済、会員同士の情報共有と国・企業への原因究明・治療法の確立・診療体制の要求、そして症例や実態の周知を目的として「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が設立される。だが其の一週間後の4月1日、子宮頸癌ワクチンは12〜16歳の女性を対象とする定期予防接種となった。そして僅か2ヶ月半後の6月14日、厚労省の検討部会は積極的勧奨の一時中止に踏み切る。全身の仏痛・知覚障害・運動障害・失神・痙攣・記憶障害が多発した為であった。定期接種化と勧奨の中止とが、同じ一年の内に起きている。
次に問われたのは、金の出所であった。西暦2,014年6月18日、「薬害オンブズパースン会議」は、副反応を検討した厚生労働省の委員の内7割と「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」とがGSK社・MSD社の2社から資金提供を受けていた事に関し、専門家会議へ公開質問状を送付し、此の2社との金銭関係を過去に遡って明らかにする様求めた。其の2日後の6月20日、当の専門家会議が東京都内で開かれ、WHO理事等が日本の積極的勧奨の再開を促している。西暦2,016年4月21日には、日本小児科学会等17団体が、接種後の診療体制が整備されたとして、積極的な接種を推奨する見解を発表した。そして同年7月27日、接種後に健康被害が出た15歳から22歳の女性64名が、東京・名古屋・大阪・福岡の四つの地裁で、国・GSK社・MSD社を相手取り一斉に提訴する。慰謝料は一律1,500万円を請求した上で、各原告に応じた損害額を追加で求めるとした。
西暦2,020年以降、再開へ向けた歯車が噛み合ってゆく。4月15日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団及び全国弁護団が、ガーダシルの後継である9価ワクチン「シルガード9」の承認審査に関する意見書を第22代厚労大臣加藤勝信に提出したが、3ヶ月後の7月21日、厚労省は其の製造販売を認可した。西暦2,021年1月1日、前年に厚労省からMSD社へ天下っていた橘薫子が執行役員医薬政策部門統括兼社長室長となり、積極的勧奨を再開させる為の厚労省との交渉のパイプ役を担う。8月30日、細田博之が会長を務める「HPVワクチンの積極勧奨再開をめざす議員連盟」は、10月に再開しなければワクチンが期限切れとなって大量廃棄となり、メーカーに迷惑をかけるとの主旨の要望書を、第84代内閣官房長官加藤勝信と第23代厚労大臣田村憲久に提出する。翌9月1日には、MSD社もまた、大量廃棄は今後の供給にも悪影響を及ぼし得ると警告する文書を厚労省へ提出していた事が公表された。10月1日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会は、西暦2,013年6月14日から続いた一時中止を解除する方向性を打ち出し、11月26日に翌年4月の再開を発表する。西暦2,022年4月1日、積極的勧奨は再開され、西暦2,025年3月31日までを期限とする「キャッチアップ接種」でサーバリックスとガーダシルが公費の対象となった。そして西暦2,023年4月1日、シルガード9も其処へ加えられる。少女の身体を巡って動いた十四年の全過程を、本書は一冊に束ねている。
登場人物
- ビル・ゲイツ 本書の中心人物。西暦2,009年、自身が共同設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じ、インドの地方在住の23,000名の少女を対象とする、GSK社・MSD社の実験的子宮頸癌(HPV)ワクチンの実験に資金を提供した。結果、1,200名程度が自己免疫疾患や不妊症等の重篤な副作用を患い、7名が死亡している。西暦2,010年から翌年に掛けては、関連する三団体がWHOへ合計600億円超を寄付し、予算の7割を任意の寄付に依存するWHOへの影響力を強めた。
- ジュリー・ルイーズ・ガーバーディング 第15代CDC所長。西暦2,009年1月20日にCDC所長を辞任し、同年12月、メルク社のワクチン部門長に天下った。CDCはアメリカのワクチン政策と安全性の監視を担う機関であり、其の頂点に立つ人物が、規制対象であるメルクのワクチン部門の責任者へと直接移籍した形となった。
- 加藤勝信 第22代厚労大臣・第84代内閣官房長官。西暦2,020年4月15日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・全国弁護団から「シルガード9の承認審査に関する意見書」を厚労大臣として受け取った。其の3ヶ月後の同年7月21日、厚労省はシルガード9の製造販売を認可している。西暦2,021年8月30日には、内閣官房長官として、細田博之会長の議員連盟から積極的勧奨の再開を求める要望書を受領した。
- 田村憲久 第23代厚労大臣。西暦2,021年8月30日、HPVワクチンの積極勧奨再開をめざす議員連盟から要望書を受け取った際、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に検討を求める意向を表明すると同時に、市町村の負担を考えると物理的に10月の再開は難しいと返答した。其の後、副反応検討部会は同年10月1日に一時中止の解除へ舵を切り、11月26日に翌年4月の再開を発表する。
- 細田博之 「HPVワクチンの積極勧奨再開をめざす議員連盟」会長。西暦2,021年8月30日、今年10月に積極的接種勧奨を再開しなければワクチンが期限切れとなって大量廃棄する事になり、メーカーに迷惑をかける為、早く接種を再開すべきだとの主旨の要望書を、内閣官房長官加藤勝信と厚労大臣田村憲久へ提出した。被害ではなく「大量廃棄」と「メーカーへの迷惑」が前面に置かれた要望書である。
- 橘薫子 西暦2,020年に厚労省からMSD社へ天下り、医薬政策部門ワクチン政策部長に就いた。西暦2,021年1月1日付で執行役員医薬政策部門統括兼社長室長となり、同年10月に子宮頸癌ワクチンの積極的接種勧奨を再開させる為の、厚労省との交渉のパイプ役を担った。
主要な概念・組織
- サーバリックス(GSK社) GSK社製の子宮頸癌予防2価ワクチン。西暦2,009年10月26日に厚労省が製造販売を承認し、同年12月22日に発売された。其の後、頭痛・全身の仏痛・知覚過敏・脱力・不随意運動・歩行障害・激しい倦怠感・睡眠障害・記憶障害・学習障害という重篤な症状を引き起こした。西暦2,010年11月には、日本が接種費用の9割を公費負担とする補正予算(本年度107億円・翌年度580億円)を計上している。
- ガーダシル(MSD社) MSD社製の子宮頸癌予防4価ワクチン。西暦2,011年8月26日に発売された。西暦2,022年4月1日から西暦2,025年3月31日までの「キャッチアップ接種」では、サーバリックスと共に公費接種の対象とされた。
- シルガード9(MSD社) MSD社製の子宮頸癌予防9価ワクチンで、ガーダシルの後継商品。西暦2,020年4月15日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・全国弁護団が承認審査に関する意見書を第22代厚労大臣加藤勝信へ提出したが、同年7月21日に厚労省が製造販売を認可した。西暦2,023年4月1日には公費での接種が可能となり、キャッチアップ接種に追加された。本書の系譜の終点に置かれるワクチンである。
- ビル・ゲイツ関連団体によるWHOへの寄付 西暦2,010年から翌年に掛けて行われた寄付。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が455億円(WHO予算の約1割に相当)、GAVIアライアンスが101億円、GSK社が82億円相当の金銭と現物のワクチンを拠出した。WHOは予算の7割を任意の寄付に依存しており、其の構造が資金提供者の影響力を大きくした。
- 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会 西暦2,013年3月25日設立。被害者の救済、会員同士の情報共有と国・企業への原因究明・治療法の確立・診療体制等の要求、症例や実態の周知を目的とする。西暦2,016年7月27日には、接種後に健康被害が出た15歳から22歳の女性64名が、東京・名古屋・大阪・福岡の四つの地裁で国・GSK社・MSD社を相手取り一斉提訴した。慰謝料は一律1,500万円を請求した上で、各原告に応じた損害額を追加で求めるとした。
- 薬害オンブズパースン会議 西暦2,014年6月18日、子宮頸癌ワクチンの副反応を検討した厚生労働省の委員の内7割、及び「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」がGSK社・MSD社から資金提供を受けていた事に関し、専門家会議へ公開質問状を送付した団体。此の2社との金銭関係を過去に遡って明らかにする様求めた。
- 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議 GSK社・MSD社からの資金提供を薬害オンブズパースン会議に問われた会議体。公開質問状の2日後にあたる西暦2,014年6月20日、東京都内で会議が開かれ、WHO理事等が、子宮頸癌ワクチンの接種に対する日本の積極的勧奨の再開を促した。
- HPVワクチンの積極勧奨再開をめざす議員連盟 細田博之を会長とする議員連盟。西暦2,021年8月30日、内閣官房長官加藤勝信と厚労大臣田村憲久へ、10月に再開しなければワクチンが期限切れで大量廃棄となりメーカーに迷惑をかけるとの主旨の要望書を提出した。其の2日後の同年9月1日、MSD社もまた、大量廃棄は今後の供給に悪影響を及ぼし得ると警告する文書を厚労省へ提出していた事が公表されている。
- 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会 厚労省の検討部会。西暦2,013年6月14日、全身の仏痛・知覚障害・運動障害・失神・痙攣・記憶障害の多発を受け、同年4月1日に定期予防接種化したばかりの子宮頸癌ワクチンの積極的勧奨を一時中止した。西暦2,021年10月1日、此の一時中止を解除する方向性を打ち出し、同年11月26日に翌西暦2,022年4月からの再開を発表している。
- キャッチアップ接種 西暦2,022年4月1日の積極的勧奨再開と同時に、厚労省が西暦2,025年3月31日までの期限付きで設けた公費接種の枠組み。当初はサーバリックスとガーダシルが対象とされ、西暦2,023年4月1日にシルガード9が追加された。
インドの実験から日本のキャッチアップ接種へ──
天下り・寄付・利益相反が織り成す子宮頸癌ワクチン政策の系譜を一元化。
JPY 200(税込)
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