電子書籍「ニコラ・テスラのフリーエネルギー構想を潰したジョン・モルガン一元化」の表紙

ニコラ・テスラのフリーエネルギー構想を潰したジョン・モルガン一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,900年1月15日頃〜1,943年
最新更新日
西暦2,026年1月22日

ニコラ・テスラのコロラドスプリングス9ヶ月研究からのニューヨーク帰還と拡大送信機による地球帯電体証明及び地球定常波発見、無線電信システム特許US787412A申請、「人類エネルギー増大の問題、特に太陽エネルギーの利用に就いて」論文発表とアンテナを使用した太陽エネルギー利用方法及び電気エネルギーで天候を制御する事の提案並びに機械無線制御による戦争不可能化、ジョン・モルガンの論文注目とテスラのニューヨーク自宅頻繁招待及び世界無線システム提案並びにグリエルモ・マルコーニのアメリカズカップ無線中継への感銘とテスラ特許優先権疑念、ジョン・モルガンによる150,000ドル資金提供契約と会社51%株式・無線特許51%権利取得及び27.432m送信塔発電所建設計画、ジェームズ・S・ウォーデンのラジオシティ建設構想とショアハム土地購入及び809,400㎡のテスラ提供、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーへの変圧器発電機製造依頼と建築家スタンフォード・ホワイトの実験室設計、テスラのタワー高さ2倍化提案とモルガンの追加資金拒否並びに57mタワー案決着、ウォーデンクリフでの無線電信工場電気研究所即時建設契約と100馬力蒸気エンジン2台・300kWオルタネーター設置、グリエルモ・マルコーニのポルドゥーからシグナルヒルへのモールス符号「S」大西洋横断送信成功とテスラの自身特許17件無断使用主張並びにモルガンのテスラ信頼揺らぎ、ウォーデンクリフ・タワー基礎据付と56.9976m八角形タワー50,000本青銅ボルト構造及び365.76㎡深さ36.576m井戸と16本鉄管91.44m打ち込み、エコー紙によるマルコーニ対テスラ報道、テスラの実験室イースト・ヒューストン・ストリートからウォーデンクリフ移転、大工ボイコット遅延、テスラのモルガン宛追加資金要請書簡連続発出とトーマス・エジソン・グリエルモ・マルコーニ・ミカエル・ピューピン・ジョン・フレミング嘲笑への言及、テスラのモルガンへのスカラー波による電線不要無線電力伝送構想真目的打ち明け、モルガンの銅独占とエネルギー業界打撃及び世界支配構造変化への危惧による資金提供打ち切りとモルガン以外資金提供禁止契約に因るテスラ資金難、トーマス・フォーチュン・ライアンからの資金提供合意とエレクトリカル・ワールド&エンジニア誌「テスラ宣言」掲載、グリエルモ・マルコーニ特許US763772A公開、ウォーデンクリフ・タワー完成とUS787412A特許認可及びブルックリン・タイムズ・ユニオン紙報道並びにコロラドスプリングス研究所売却裁判と180ドル支払命令及びウォーデンクリフ・タワー建築資材高騰に因るプロジェクト中止、レジナルド・フェッセンデンのマックリアニッシュ・オーシャン・ブラフ・ブラント・ロック間モールス信号双方向通信成功と支柱アンテナ強風倒壊、ウェスチングハウス・チャーチ・カー&カンパニー23,500ドル支払判決と機械設備撤去及びジョージ・ボルトへのウォーデンクリフ二重抵当権設定、テスラのブロードウェイオフィス開設とテスラ対マルコーニ訴訟開始、テスラ記事掲載とリーランド・I・アンダーソン地下墓地ネットワーク証言、ウォーデンクリフ・タワー解体とスクラップ売却、ウォルター・L・ジョンソンによるウォーデンクリフ・タワー跡地買取、ピアレス・フォト・プロダクツ社への研究所売却、サディー・E・ロビンソン尽力によるプランタクレス社の跡地買取、グリエルモ・マルコーニ特許US763772Aアメリカ最高裁無効判決迄──
コロラドスプリングスでの地球定常波発見を起点とし、ウォーデンクリフ・タワーによる世界無線システム構想の真目的であるスカラー波無線電力伝送がジョン・モルガンの銅独占とエネルギー業界支配構造を脅かす事に気付かれ資金を打ち切られて潰され、最終的にタワー解体迄追い込まれたニコラ・テスラの43年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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本書について

西暦1,900年1月15日、ニコラ・テスラが、コロラドスプリングス(アメリカのコロラド州エルパソ郡)での9ヶ月程度の研究を終え、ニューヨークに戻った。テスラはコロラドスプリングスに建設した研究所で、高周波振動の電気的共鳴を利用して巨大な電圧を発生させる「拡大送信機」を用い、地球が電気を帯びている帯電体である事を証明し、研究所の周囲で頻発する雷放電を観測して「地球定常波」を発見した。此の地球定常波を利用すれば、エネルギーを減衰させる事無く地球全体に送電出来るのではないかとテスラは考えた。同年5月16日、テスラは無線電信システムに関する特許「自然媒質を通じて電気エネルギーを送信する技術」(US787412A号)を申請した。同年6月、テスラは「人類エネルギー増大の問題、特に太陽エネルギーの利用に就いて」という論文を発表し、アンテナを使用して太陽エネルギーを利用する方法に就いて説明し、電気エネルギーで天候を制御する事が可能であると提案した。此のシステムの最大の目的は、機械を無線制御する事により戦争を不可能にする事であった。同年11月、テスラの論文がジョン・モルガンの目に留まり、以降モルガンはテスラを自身の自宅に頻繁に招く様になった。テスラは、無線による情報の伝達システムを構築する事で電話メッセージを瞬時に海を超えて中継し、音楽・ニュース・株式市場の報告・プライベートメッセージ・安全な軍事通信・画像を世界中に送信する事の出来る「世界無線システム」の計画をモルガンに提案したが、モルガンは前年のアメリカズカップのレポートをニューヨーク市に無線で伝えるデモを行ったグリエルモ・マルコーニに感銘を受けており、テスラのプロジェクトの実現可能性と特許の優先権に関し疑問を抱いていた。

西暦1,901年3月、ニコラ・テスラがモルガンに対し、自身のシステムがマルコーニや他の無線発明家のものを超える特許に基づいており優れている事、主要な競争相手である大西洋横断電信ケーブルの性能を遥かに上回る事を保証した上で、モルガンは此のプロジェクトの主要な投資家となる事を承諾し、契約を交わした。モルガンはテスラに150,000ドルの資金提供を行い、27.432mの送信塔及び発電所を有する無線ステーションを建設する事となった。此の契約にはモルガンが会社の51%の株式と、此のプロジェクトから生まれた現在及び将来開発される無線特許の51%の権利を持つ事も含まれていた。西部の弁護士兼銀行家のジェームズ・S・ウォーデンも、テスラの世界無線システムに賛同し、「ラジオシティ」を建設する為にショアハム(アメリカのニューヨーク州サフォーク郡)の土地を購入、ニューヨーク州道25A号線沿いの7,284,600㎡のジャガイモ農場の一部である809,400㎡をテスラに提供した。同月21日、テスラはウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニーの産業部門であるピッツバーグの「ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー」に発振器に電力を供給する為の変圧器と発電機の製造を依頼し、テスラの友人で建築家のスタンフォード・ホワイトが発電所と発振器を収容する実験室の建物を設計した。同年7月、テスラはモルガンに対しタワーの高さを当初の設計の2倍にする変更計画と更に多くの資金が必要である事を伝えたが、モルガンは此れを契約違反と見做し追加の資金提供を拒否、テスラは91mや180mのタワーの建設案を検討したものの、180mのタワーには450,000ドル掛かるとの見積もりから断念し、最終的に57mのタワーを建てる案に落ち着いた。此の背景には、モルガンが年に1度の長期滞在の為にヨーロッパへ行っていた間に、グリエルモ・マルコーニがテスラの装置を模倣しているという情報をテスラが掴んだ事が有った。同月30日、ウォーデンクリフに無線電信工場と電気研究所を即時建設する契約が締結され、9月に着工、11月にウォーデンクリフの発電所に100馬力の蒸気エンジン2台とウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニー製の300kWのオルタネーターが設置された。同年12月12日、グリエルモ・マルコーニがポルドゥー(イギリスのイングランドのコーンウォール)からシグナルヒル(カナダのニューファンドランド・ラブラドール州セントジョンズ)迄、「S」を意味するモールス符号の送信に成功した。テスラは此の実験を成功させる為にマルコーニが自分の特許を少なくとも17件無断で使用したと説明したが、ジョン・モルガンのテスラに対する信頼は揺らいでいった。

西暦1,902年1月、ニコラ・テスラがジョン・モルガンに対し、①微量のエネルギー伝達による微弱効果、②感度の高い装置を必要とせず少量電力で動作する装置への顕著なエネルギー伝送、③産業的に意義のある電力送信、という3段階のステップを示唆する書簡を送った。同年2月8日時点で、ウォーデンクリフに発電所が建設され、36.576mの掘削が行われ、ウォーデンクリフ・タワーの基礎が据えられていた。タワーは銅のガセットで接合された木製の梁で地上で組み立てられ、クレーンで所定の位置に吊り上げられた約50,000本の青銅ボルトで出来ており、磁気ヒステリシスによる発熱と電力損失を避ける為鉄金属は使用されなかった。発電所はボイラー室・エンジン室・ダイナモ室・8台の金属旋盤を備えた機械工場・実験室を有し、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーの管理下に置かれた。ウォーデンクリフ・タワーは八角形で、高さ56.9976m・底辺の直径30.48m・頂部の直径20.7264mで、頂上には直径20.7264mで重さ55tの銅のメッシュドームが取り付けられた。タワーの中には365.76㎡で深さ36.576mの井戸が掘られ、銅管が45.72mの深さまで打ち込まれて良好なアース接続が確保され、更に16本の鉄管が91.44mの深さまで打ち込まれた。同月22日、エコー紙が「ウォーデンクリフに建設中の巨大な無線電信設備は、マルコーニとテスラの本当の戦いの始まりを示している」と報じた。同年6月、テスラは実験室をイースト・ヒューストン・ストリートからウォーデンクリフに移転し、其処で世界無線システムの開発を本格的に開始した。200kWのウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニー製のオルタネーターが設置され、4つの大型オイル充填変圧器が高電圧供給源として使われた。同年7月、プロジェクトは電気機器の納品の大幅な遅れや、大工間の軋轢で遅延し、タワー上部担当の請負業者が木材の棒を地面に落下させた事を切っ掛けに大工達がボイコットしポートチェスターの自宅に帰る事態となった。

西暦1,903年4月8日、ニコラ・テスラがジョン・モルガンに対し「貴方は産業界に大きな波を起こし、其の幾つかが私の小さな船に打ち寄せています。其の結果、価格は2倍、或いは3倍にまで上昇しました」と追加の資金提供を依頼する書簡を送った。背景にはジョージ・シェルフからの「資金が危険な程少なくなっており、債権者が未払いの勘定に就いて圧力を掛け始めるだろう」との警告が有った。同月22日にも「トーマス・エジソン、グリエルモ・マルコーニ、ミカエル・ピューピン、ジョン・フレミング等、多くの人々が公然と私の事業を嘲笑し、成功は不可能だと言っても貴方は私に高貴な支援をして下さいました」と追加資金を依頼したが、モルガンは応じなかった。同年5月、テスラはジョン・モルガンの下を訪れ、世界無線システムの真の目的である、電線が不要でより安価に電力を供給出来るスカラー波による電力を送電するシステムの構想を打ち明けた。同年7月3日、テスラは「もし無線電力伝送構想を事前に伝えていたら、貴方は私をオフィスから追い出していたでしょう。私の略完成している偉大な仕事の支援して頂けるのでしょうか?それとも無駄にしてしまうのでしょうか?」と書簡を送り、モルガンからの資金提供が打ち切られる事を悟ったテスラは、此の頃から無線電信と電話の実験を行っているウォーデンクリフの45.72mのタワーで実験を始め、毎晩様々な種類の稲妻の様な閃光を放った。同月14日、ジョン・モルガンがニコラ・テスラに対し「貴方の手紙を受け取りました。現時点では此れ以上の資金提供を行う気はありません」と書簡を送った。モルガンは銅を独占しており、銅を用いた電線による送電方式を採用していた。テスラの無線電力伝送システムが実現した場合、社会が石油や石炭に依存しなくなり、エネルギー業界が打撃を受け、世界の支配構造が変わる事から、モルガンは此のプロジェクトを阻止すべく動く事となった。又テスラはモルガン以外からの資金提供は受けないという契約を交わしていた為、プロジェクトは資金難に陥った。同年12月、テスラは西暦1,883年にニューヨーク ケーブル鉄道を設立したトーマス・フォーチュン・ライアンから資金提供を受ける事で合意したが、得た資金は抱えていた負債に使われた。

西暦1,904年2月6日、エレクトリカル・ワールド&エンジニア誌に、世界無線システムと、新たな投資家を探す為に行った「テスラ宣言」が掲載された。同年6月28日、グリエルモ・マルコーニの無線電信装置に関する特許US763772Aが公開された。西暦1,905年、ニコラ・テスラがショアハムに建設していたウォーデンクリフ・タワーが完成し、同年4月18日には西暦1,900年5月16日に申請したUS787412A特許が認可された。同年6月、ブルックリン・タイムズ・ユニオン紙が、ウォーデンクリフの工場から同紙のオフィスの電動モーターや大型印刷機を動かす事が出来た事を掲載した。同年9月6日、テスラはコロラドスプリングスでの未払い請求書に関する裁判に出廷し、コロラドスプリングスの研究所を売却して180ドルを支払う様命じられた。交流電動機の特許がヨーロッパで失効してロイヤリティが無くなり、株式市場の暴落によってウォーデンクリフ・タワーの建築資材が2倍に高騰した事から、ウォーデンクリフ駅の建設も断念し、十分な投資家を見つけられなかった事も相まってプロジェクトは中止された。西暦1,906年1月、レジナルド・フェッセンデンがマックリアニッシュとオーシャン・ブラフ・ブラント・ロックの間でモールス信号の双方向通信に成功したが、同年12月6日にマックリアニッシュの支柱アンテナが強風で倒壊し、商業サービスを開始する前に終了した。西暦1,912年、ウェスチングハウス・チャーチ・カー&カンパニーがウォーデンクリフの機械設備に関し23,500ドルを支払う判決を得て機械設備は撤去され、テスラはホテル「ウォルドルフ・アストリア」経営者ジョージ・ボルトにウォーデンクリフの2つの抵当権を与え20,000ドルのホテル代の支払いを保証していた。西暦1,915年、テスラはブロードウェイにオフィスを開設し、グリエルモ・マルコーニとの訴訟を開始したが、テスラを利する結果にはならなかった。西暦1,916年、テスラは「交流電流の研究と無線電信・電話・電力伝送への応用に就いて」と「ウォーデンクリフ差し押さえ訴訟手続」の2つの記事にて、ウォーデンクリフ・タワーの詳細構造と地球を介した電力・通信送信構想に就いて言及し、電気技師リーランド・I・アンダーソンは「建物の基部・地下深く・螺旋階段に沿って下がっている所に、車輪のスポークの様に広がる地下墓地のネットワークが有りました。其処には鉄のパイプが16本有りました」と証言した。西暦1,917年7月、ウォーデンクリフ・タワーは解体され、スクラップとして売却された。西暦1,925年にウォーデンクリフ・タワー跡地はブルックリンのウォルター・L・ジョンソンによって買い取られ、西暦1,938年にウォーデンクリフの研究所・建物がピアレス・フォト・プロダクツ社に売却され感光紙工場に改装された。西暦1,939年3月6日にはウォルター・L・ジョンソンの妻サディー・E・ロビンソンがジョンソンの代理人として尽力し、ウォーデンクリフ・タワーの跡地はプランタクレス社によって買い取られた。西暦1,943年、グリエルモ・マルコーニの西暦1,904年6月28日公開の特許US763772Aが、アメリカに於いて無効との判決をアメリカ最高裁判所が下した。ニコラ・テスラの特許に含まれていないものは何も無いとの理由からであった。本書は、此の43年に亘る、コロラドスプリングスでの地球定常波発見を起点とする、世界無線システム構想とモルガン契約・ウォーデンクリフ・タワー建設・スカラー波無線電力伝送構想真目的打ち明けとモルガンの銅独占・エネルギー業界支配構造保護に因る資金打ち切り・プロジェクト中止・ウォーデンクリフ・タワー解体・テスラ対マルコーニ訴訟・マルコーニ特許のアメリカ最高裁無効判決迄、ニコラ・テスラのフリーエネルギー構想がジョン・モルガンによって潰されていく系譜の全過程を、年月日単位で記録した年表である。


登場人物

  • ニコラ・テスラ ウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニー所属の発明家。西暦1,900年1月15日、コロラドスプリングスでの9ヶ月研究から戻り、拡大送信機による地球帯電体証明と地球定常波発見を行った。同年5月16日にUS787412A無線電信特許を申請、同年6月に太陽エネルギー利用と天候制御を提案する論文を発表した。同年11月、ジョン・モルガンの目に留まり世界無線システムを提案。西暦1,901年3月にモルガンと150,000ドル契約を結びウォーデンクリフでのタワー建設に着手。西暦1,903年5月、世界無線システムの真の目的であるスカラー波による無線電力伝送構想をモルガンに打ち明けた事で同年7月14日に資金提供を打ち切られ、プロジェクトは資金難に陥った。西暦1,915年からブロードウェイにオフィスを開設しグリエルモ・マルコーニとの訴訟を開始。西暦1,917年7月のウォーデンクリフ・タワー解体迄、世界無線システムの実現に追われ続けた。
  • ジョン・モルガン アメリカの金融家。銅を独占していた。西暦1,900年11月にニコラ・テスラの「人類エネルギー増大の問題」論文に目を留め、テスラを自宅に頻繁に招く様になった。グリエルモ・マルコーニのアメリカズカップ無線中継デモに感銘を受けていた。西暦1,901年3月、テスラと契約し150,000ドルを資金提供、会社の51%株式と無線特許の51%権利を取得した。同年7月のタワー高さ2倍化提案を契約違反として追加資金提供を拒否。西暦1,903年5月にテスラから無線電力伝送構想の真目的を打ち明けられ、銅独占とエネルギー業界打撃及び世界支配構造変化への危惧から、同年7月14日に資金提供を打ち切りプロジェクトを阻止すべく動いた。
  • グリエルモ・マルコーニ 無線通信の発明家。前年のアメリカズカップのレポートをニューヨーク市に無線で伝えるデモを行いジョン・モルガンに感銘を与えた。西暦1,901年7月、モルガンのヨーロッパ長期滞在中にテスラの装置を模倣しているという情報がテスラに掴まれた。同年12月12日、ポルドゥーからシグナルヒル迄モールス符号「S」の大西洋横断送信に成功したが、テスラは此の送信を成功させる為にマルコーニが自身の特許を少なくとも17件無断使用したと主張した。西暦1,904年6月28日に無線電信特許US763772Aが公開された。西暦1,915年からのテスラ対マルコーニ訴訟を経て、西暦1,943年、US763772Aがアメリカ最高裁判所により「ニコラ・テスラの特許に含まれていないものは何も無い」との理由から無効と判決された。
  • ジェームズ・S・ウォーデン 西部の弁護士兼銀行家。ニコラ・テスラの世界無線システムに賛同し、「ラジオシティ」を建設する為にショアハム(アメリカのニューヨーク州サフォーク郡)の土地を購入。ニューヨーク州道25A号線沿いの7,284,600㎡のジャガイモ農場の一部である809,400㎡をテスラに提供した。最終的にテスラの工場で働く2,000~2,500名の従業員の為の住宅の建設を計画していた。
  • スタンフォード・ホワイト 建築家。ニコラ・テスラの友人。西暦1,901年3月21日以降、発電所と発振器を収容する実験室の建物を設計、ウォーデンクリフ・タワーと井戸も担当し、完成迄に1年以上を費やした。180mのタワー建設には450,000ドル掛かると見積もり、テスラは断念した。西暦1,901年9月、ニコラ・テスラから差し押さえに直面しているという主旨の書簡を受け取った。
  • W・D・クロウ スタンフォード・ホワイトの仲間。イースト・オレンジ(アメリカのニュージャージー州)の人物。ウォーデンクリフの実験室の建設工事を監督した。
  • ジョージ・シェルフ ニコラ・テスラの関係者。西暦1,903年、資金が危険な程少なくなっており、債権者が未払いの勘定に就いて圧力を掛け始めるだろうとテスラに警告した。テスラから「プロジェクトの詳細を絶対に明かしてはならない。又、従業員以外は誰も敷地内に立ち入ってはならない」と厳命されていた。
  • トーマス・フォーチュン・ライアン 西暦1,883年にニューヨーク ケーブル鉄道を設立した人物。西暦1,903年12月、ジョン・モルガンがニコラ・テスラへの資金提供を打ち切った事を切っ掛けにテスラが探していた新しい投資家として、テスラに対する資金提供を合意した。但し、得た資金は抱えていた負債に使われた。
  • トーマス・エジソン 西暦1,903年4月22日のニコラ・テスラからジョン・モルガン宛書簡で、グリエルモ・マルコーニ・ミカエル・ピューピン・ジョン・フレミングと共に「公然と私の事業を嘲笑し、成功は不可能だと言った」者として言及された人物。
  • ミカエル・ピューピン 西暦1,903年4月22日のニコラ・テスラからジョン・モルガン宛書簡で、トーマス・エジソン・グリエルモ・マルコーニ・ジョン・フレミングと共に「公然と私の事業を嘲笑し、成功は不可能だと言った」者として言及された人物。
  • ジョン・フレミング 西暦1,903年4月22日のニコラ・テスラからジョン・モルガン宛書簡で、トーマス・エジソン・グリエルモ・マルコーニ・ミカエル・ピューピンと共に「公然と私の事業を嘲笑し、成功は不可能だと言った」者として言及された人物。
  • レジナルド・フェッセンデン 西暦1,906年1月、マックリアニッシュ(イギリスのスコットランドのアーガイル・アンド・ビュート)とオーシャン・ブラフ・ブラント・ロック(アメリカのマサチューセッツ州プリマス郡マーシュフィールド)に設置した128mの支柱アンテナ間でモールス信号の双方向通信に成功したが、日中や干渉レベルが強い夏季には通信距離を維持出来ず、同年12月6日にマックリアニッシュの支柱アンテナが強風で倒壊し、商業サービスを開始する前に終了した。
  • ジョージ・ボルト ホテル「ウォルドルフ・アストリア」(アメリカのニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区ミッドタウン)経営者。西暦1,912年、ニコラ・テスラが20,000ドルのホテル代の支払いを保証する為に、ウォーデンクリフの2つの抵当権を与えられた。テスラは此の件が公になれば全てのプロジェクトが台無しになると考え、抵当権を記録しない様要請した。
  • ウォルター・L・ジョンソン ブルックリンの人物。西暦1,925年、ウォーデンクリフ・タワーの跡地を買い取った。西暦1,939年3月6日には妻サディー・E・ロビンソンが代理人として尽力し、跡地はプランタクレス社によって買い取られた。
  • サディー・E・ロビンソン ウォルター・L・ジョンソンの妻。西暦1,939年3月6日、ジョンソンの代理人として尽力し、ウォーデンクリフ・タワー跡地がプランタクレス社によって買い取られた。其の土地は、ニコラ・テスラが所有していた元の土地の60702.8㎡を占めていた。
  • リーランド・I・アンダーソン 電気技師。西暦1,916年、「建物の基部・地下深く・螺旋階段に沿って下がっている所に、車輪のスポークの様に広がる地下墓地のネットワークが有りました。其処には鉄のパイプが16本有りました」とウォーデンクリフ・タワーの地下構造を証言した。

主要な概念・組織

  • 世界無線システム ニコラ・テスラが構想した、無線による情報の伝達システム。電話メッセージを瞬時に海を超えて中継し、音楽・ニュース・株式市場の報告・プライベートメッセージ・安全な軍事通信・画像を世界中に送信する事の出来るシステム。西暦1,900年11月にジョン・モルガンに提案、西暦1,901年3月にモルガンと契約。其の真の目的は、電線が不要でより安価に電力を供給出来る「スカラー波による電力を送電するシステム」であり、西暦1,903年5月にニコラ・テスラがジョン・モルガンに打ち明けた事で同年7月14日に資金提供が打ち切られた。
  • ウォーデンクリフ・タワー ニコラ・テスラがショアハム(アメリカのニューヨーク州サフォーク郡)に建設した電波塔。八角形で、高さ56.9976m・底辺の直径30.48m・頂部の直径20.7264mで、頂上には直径20.7264mで重さ55tの銅のメッシュドームが取り付けられた。約50,000本の青銅ボルトで出来ており、磁気ヒステリシスを避ける為鉄金属は使用されなかった。中には365.76㎡で深さ36.576mの井戸が掘られ、銅管が45.72m、16本の鉄管が91.44mの深さまで打ち込まれた。西暦1,905年に完成、西暦1,917年7月に解体されスクラップとして売却された。
  • 拡大送信機・地球定常波 「拡大送信機」は、ニコラ・テスラがコロラドスプリングスに建設した研究所で開発した、高周波振動の電気的共鳴を利用して巨大な電圧を発生させる装置。此れにより地球が電気を帯びている帯電体である事を証明した。「地球定常波」は、研究所の周囲で頻発する雷放電を観測して発見した、周波数の等しい波が干渉し合い波動が全く動いていない様に見える現象。地球定常波を利用すれば、エネルギーを減衰させる事無く地球全体に送電出来るとテスラは考えた。
  • スカラー波・無線電力伝送 ニコラ・テスラが構想した、電線が不要でより安価に電力を供給出来る送電技術。世界無線システムの真の目的。西暦1,903年5月、テスラはジョン・モルガンの下を訪れ此の構想を打ち明けた。此のシステムが実現した場合、社会が石油や石炭に依存しなくなり、エネルギー業界が打撃を受け、世界の支配構造が変わる事から、銅を独占していたモルガンは此のプロジェクトを阻止すべく動いた。
  • 銅独占・エネルギー業界支配構造 ジョン・モルガンは銅を独占しており、銅を用いた電線による送電方式を採用していた。ニコラ・テスラの無線電力伝送システムが実現した場合、社会が石油や石炭に依存しなくなり、エネルギー業界が打撃を受け、世界の支配構造が変わる事から、西暦1,903年7月14日にモルガンはテスラへの資金提供を打ち切り、プロジェクトを阻止すべく動いた。又テスラはモルガン以外からの資金提供は受けないという契約を交わしていた為、プロジェクトは資金難に陥った。
  • US787412A特許 西暦1,900年5月16日にニコラ・テスラが申請した、無線電信システムに関する特許「自然媒質を通じて電気エネルギーを送信する技術」。西暦1,905年4月18日に認可された。
  • US763772A特許 西暦1,904年6月28日に公開された、グリエルモ・マルコーニの無線電信装置に関する特許。H03B11/02スパークによって励起された共振回路を使用して振動を生成する方法に就いて述べられている。西暦1,943年、アメリカ最高裁判所により、ニコラ・テスラの特許に含まれていないものは何も無いとの理由からアメリカに於いて無効と判決された。
  • US645576A・US649621A特許 ニコラ・テスラがグリエルモ・マルコーニとの訴訟で、マルコーニが使用したと主張した特許。①US645576A「電気エネルギー伝送システム」(西暦1,897年9月2日にテスラが申請)、②US649621A「電気エネルギー伝送装置」(西暦1,900年2月19日にテスラが申請)。西暦1,915年からの訴訟ではテスラを利する結果にはならなかった。
  • ウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニー ニコラ・テスラの所属会社。産業部門である「ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー」がピッツバーグに所在し、西暦1,901年3月21日以降、発振器に電力を供給する為の変圧器と発電機の製造を担当した。300kWのオルタネーターや200kWのオルタネーターをウォーデンクリフに供給した。
  • ラジオシティ ジェームズ・S・ウォーデンが世界無線システムに賛同して、ショアハム(アメリカのニューヨーク州サフォーク郡)の土地を購入して建設しようとした計画。最終的にテスラの工場で働く2,000~2,500名の従業員の為の住宅の建設を計画していた。
  • テスラ宣言 西暦1,904年2月6日、ニコラ・テスラが新たな投資家を探す為に行った宣言。エレクトリカル・ワールド&エンジニア誌に世界無線システムと共に掲載され、テスラがコンサルティングエンジニアリングの分野に進出する事が記載された。

ニコラ・テスラのコロラドスプリングス9ヶ月研究からのニューヨーク帰還と拡大送信機による地球帯電体証明・地球定常波発見、無線電信システム特許US787412A申請、「人類エネルギー増大の問題、特に太陽エネルギーの利用に就いて」論文発表とアンテナを使用した太陽エネルギー利用方法及び電気エネルギーで天候を制御する事の提案並びに機械無線制御による戦争不可能化、ジョン・モルガンの論文注目とテスラ自宅頻繁招待及び世界無線システム提案並びにグリエルモ・マルコーニのアメリカズカップ無線中継への感銘とテスラ特許優先権疑念、ジョン・モルガンによる150,000ドル資金提供契約と会社51%株式・無線特許51%権利取得及び27.432m送信塔発電所建設計画、ジェームズ・S・ウォーデンのラジオシティ建設構想とショアハム土地購入及び809,400㎡のテスラ提供、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーへの変圧器発電機製造依頼と建築家スタンフォード・ホワイトの実験室設計、テスラのタワー高さ2倍化提案とモルガンの追加資金拒否並びに57mタワー案決着、ウォーデンクリフでの無線電信工場電気研究所即時建設契約と100馬力蒸気エンジン2台・300kWオルタネーター設置、グリエルモ・マルコーニのポルドゥーからシグナルヒルへのモールス符号「S」大西洋横断送信成功とテスラの自身特許17件無断使用主張並びにモルガンのテスラ信頼揺らぎ、ウォーデンクリフ・タワー基礎据付と56.9976m八角形タワー50,000本青銅ボルト構造及び365.76㎡深さ36.576m井戸と16本鉄管91.44m打ち込み、エコー紙によるマルコーニ対テスラ報道、テスラの実験室イースト・ヒューストン・ストリートからウォーデンクリフ移転、大工ボイコット遅延、テスラのモルガン宛追加資金要請書簡連続発出とトーマス・エジソン・グリエルモ・マルコーニ・ミカエル・ピューピン・ジョン・フレミング嘲笑への言及、テスラのモルガンへのスカラー波による電線不要無線電力伝送構想真目的打ち明け、モルガンの銅独占とエネルギー業界打撃及び世界支配構造変化への危惧による資金提供打ち切りとモルガン以外資金提供禁止契約に因るテスラ資金難、トーマス・フォーチュン・ライアンからの資金提供合意とエレクトリカル・ワールド&エンジニア誌「テスラ宣言」掲載、グリエルモ・マルコーニ特許US763772A公開、ウォーデンクリフ・タワー完成とUS787412A特許認可及びブルックリン・タイムズ・ユニオン紙報道並びにコロラドスプリングス研究所売却裁判とプロジェクト中止、レジナルド・フェッセンデンのマックリアニッシュ・オーシャン・ブラフ・ブラント・ロック間モールス信号双方向通信成功と支柱アンテナ強風倒壊、ウェスチングハウス・チャーチ・カー&カンパニー23,500ドル支払判決と機械設備撤去及びジョージ・ボルトへのウォーデンクリフ二重抵当権設定、テスラのブロードウェイオフィス開設とテスラ対マルコーニ訴訟開始、テスラ記事掲載とリーランド・I・アンダーソン地下墓地ネットワーク証言、ウォーデンクリフ・タワー解体とスクラップ売却、ウォルター・L・ジョンソンによる跡地買取とピアレス・フォト・プロダクツ社売却及びサディー・E・ロビンソン尽力によるプランタクレス社買取、グリエルモ・マルコーニ特許US763772Aアメリカ最高裁無効判決迄──
コロラドスプリングスでの地球定常波発見を起点とし、ウォーデンクリフ・タワーによる世界無線システム構想の真目的であるスカラー波無線電力伝送がジョン・モルガンの銅独占とエネルギー業界支配構造を脅かす事に気付かれ資金を打ち切られて潰され、最終的にタワー解体迄追い込まれたニコラ・テスラの43年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「一元化」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeとニコニコでも情報を発信中。