電子書籍「タリバン政権は芥子の栽培を禁止した為打倒された一元化」の表紙

タリバン政権は芥子の栽培を禁止した為打倒された一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,977年11月〜2,008年12月31日
最新更新日
西暦2,026年1月29日

西暦1,977年のズビグネフ・ブレジンスキーによるムジャーヒディーンへの資金提供、西暦1,979年のジミー・カーターによるCIAへのアフガニスタン非軍事支援の秘密命令とCIA・ISIによるムジャーヒディーン訓練キャンプの設置、西暦1,980年代のアフガニスタン産アヘンからのヘロイン製造とアメリカ・ヨーロッパ市場への流入、西暦1,994年のタリバンによる芥子畑の一掃、西暦1,996年のムハンマド・オマルの麻薬反対声明、西暦1,997年と2,000年の芥子栽培の禁止令、西暦1,999年の国連安保理決議第1267号、西暦2,001年のアメリカによるアフガニスタン侵攻とタリバン政権の崩壊・ハーミド・カルザイの暫定行政機構議長就任、西暦2,008年の芥子生産量のピーク迄──
アフガニスタンの芥子の年間生産量の推移を軸に、CIA・ISIによる支援とヘロインの拡大、タリバンの麻薬禁止、政権の崩壊と生産量の急増に至った系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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本書について

西暦1,977年11月、第10代国家安全保障問題担当大統領補佐官ズビグネフ・ブレジンスキーが、アフガニスタンとパキスタンのムジャーヒディーンの諸組織に対し、ソ連を挑発する為の軍事訓練を施す資金を提供した。西暦1,979年7月、第39代アメリカ大統領ジミー・カーターが、CIAに対し69万5,000ドルのアフガニスタンへの非軍事支援の秘密命令に署名した。CIAは、サウジアラビアとパキスタンの諜報機関ISI(軍統合情報局)の協力を得てパキスタンにムジャーヒディーンの訓練キャンプを設置し、西暦1,989年迄、対ソ連のアドバイザー派遣や武器・資金の提供を続けた。武装組織HIGの創設者グルブッディーン・ヘクマティヤールは、CIA・ISI等から6億ドルの資金提供を受けたとされる。

西暦1,980年、アフガニスタンの芥子の年間生産量は200tであった。ムジャーヒディーンの武器購入資金に充てる為、この年から生産が活発化したとされる。芥子の栽培は主にジャラーラーバードで行われ、抽出されたアヘンはパキスタンに密輸されてISIの運営する研究所でヘロインに加工された。西暦1,984年、芥子の年間生産量は41tに減少したが、この時既にアフガニスタン産アヘンから製造されたヘロインは、アメリカ市場の60%、ヨーロッパ市場の80%を占めていたとされ、製造元のパキスタンでも130万名のヘロイン中毒者が発生していたとされる。

芥子の年間生産量は、西暦1,989年に650t、西暦1,993年に2,330tと増加を続けた。西暦1,994年12月、タリバンが、カンダハール州・ニームルーズ州を始めとするアフガニスタン南部の幾つかの州で芥子畑を一掃し、真のイスラム価値と麻薬活動の不一致を宣言した。

西暦1,996年12月2日、初代タリバン最高指導者ムハンマド・オマルが、アフガニスタンの国営ラジオ放送「シャリアート」にて、麻薬の生産・使用・取引を国際問題かつ人類への脅威と位置付け、タリバン政権が領土における麻薬の生産・使用・取引を断固として追及すると誓う声明を発表した。同声明では、反麻薬キャンペーンへの協力に対する用意と支持を表明し、国連麻薬監督プログラムに対し、タリバン政権への財政・技術援助を期待する旨も述べられた。同年末の芥子の年間生産量は2,300tであった。

西暦1,997年12月、タリバン政権が芥子の栽培を禁止したが、効力は無く、同年末の生産量は2,800tと前年比1.22倍に増加した。西暦1,999年10月、ムハンマド・オマルが、全てのアフガニスタンの農民は芥子畑を3分の1削減しなければならず、違反者は処罰するとの命令を下した。同年11月15日、国連安保理が決議第1267号を採択し、前年8月のケニア・タンザニアのアメリカ大使館爆破の実行犯と断定されたウサーマ・ビン・ラーディンらの身柄引渡しをアメリカ政府がタリバン政権に要求したが、ムハンマド・オマルはこれに従わなかった。同年末の生産量は4,565tに達した。

西暦2,000年7月、ムハンマド・オマルがアフガニスタンでの芥子の栽培を全面的に禁止した。結果、芥子の年間生産量は3,276tと前年比0.72倍に減少した。同年10月12日には、給油の為アデンに停泊中のミサイル駆逐艦「コール」がアルカーイダの自爆攻撃を受け、乗組員17名が死亡、39名が負傷した。同年12月、アメリカとロシアが国連安保理を利用し、タリバン職員のアフガニスタンからの出国を禁止させた。

西暦2,001年10月7日、アメリカが、ウサーマ・ビン・ラーディンを匿っている事を名目にアフガニスタン侵攻を開始し、戦略爆撃機による空爆や潜水艦からの巡航ミサイル発射を行った。同年12月22日、パキスタン国境沿いでヘロインの密輸を行っていたパシュトゥーン軍閥の一員であるハーミド・カルザイが、アフガニスタン暫定行政機構議長に就任した。カルザイの後ろ盾はCIAであったとされ、弟のアフマド・ワリー・カルザイもCIAの資金提供を受けてヘロイン取引に従事したとされる。前年の芥子栽培禁止の影響で、同年末の生産量は185tに留まった。

タリバン政権の崩壊後、芥子の年間生産量は急増した。西暦2,005年には4,100tと西暦2,001年比22.16倍に達し、西暦2,008年には8,200tとピークに達した。本書は、アフガニスタンの芥子の年間生産量の推移を軸に、CIA・ISIによるムジャーヒディーン支援とヘロインの拡大、タリバンによる麻薬禁止令、アメリカによる侵攻と政権崩壊、その後の生産量の急増に至るまでを、年月日単位で記録した年表である。


登場人物

  • ムハンマド・オマル 初代タリバン最高指導者。西暦1,996年12月2日、国営ラジオ放送「シャリアート」で麻薬反対声明を発表した。西暦1,997年・2,000年に芥子の栽培の禁止令を出し、西暦1,999年10月には全農民に芥子畑の3分の1削減を命じた。同年、ウサーマ・ビン・ラーディンの身柄引渡し要求には従わなかった。
  • ズビグネフ・ブレジンスキー 第10代国家安全保障問題担当大統領補佐官。西暦1,977年11月、ソ連を挑発する為の軍事訓練を施す資金を、アフガニスタンとパキスタンのムジャーヒディーンの諸組織に提供した。
  • ジミー・カーター 第39代アメリカ大統領。西暦1,979年7月、CIAに対し、69万5,000ドルのアフガニスタンへの非軍事支援の秘密命令に署名した。この資金は、ムジャーヒディーンによるアフガニスタン政府を標的にした宣伝活動に使われたとされる。
  • グルブッディーン・ヘクマティヤール アフガニスタンの武装組織HIG(ヒズベ・イスラミ・ヘクマティアル派)の創設者。CIA・ISI等から6億ドルの資金提供を受けたとされる。
  • ウサーマ・ビン・ラーディン アルカーイダの指導者。西暦1,998年8月のケニア・タンザニアのアメリカ大使館爆破の実行犯と断定された。西暦1,999年の国連安保理決議第1267号では、アメリカ政府がタリバン政権に対し、その身柄引渡しを要求した。西暦2,001年のアメリカによるアフガニスタン侵攻の名目とされた。
  • ハーミド・カルザイ パシュトゥーン軍閥の一員。西暦2,001年12月22日、アフガニスタン暫定行政機構議長に就任した。その後ろ盾はCIAであったとされる。

主要な概念・組織

  • ムジャーヒディーン アフガニスタンの武装勢力。西暦1,977年以降、ズビグネフ・ブレジンスキーやCIA・ISI・サウジアラビアから、対ソ連のアドバイザー派遣や武器・資金の提供を受けた。その武器購入資金を充てる為に芥子の栽培が活発化したとされる。
  • CIAとISI CIAはアメリカの中央情報局、ISI(軍統合情報局)はパキスタンの諜報機関。両者は協力してパキスタンにムジャーヒディーンの訓練キャンプを設置し、武器・資金の提供を続けた。ISIはパキスタンに研究所を運営し、アフガニスタン産アヘンからヘロインを製造したとされる。
  • 芥子の年間生産量 本書の軸となる指標。西暦1,980年の200tから増減を経て、西暦1,999年に4,565tに達し、ムハンマド・オマルの全面禁止令で西暦2,001年には185tまで激減したが、タリバン政権の崩壊後に急増し、西暦2,008年に8,200tのピークに達した。
  • タリバンによる麻薬禁止令 タリバンは西暦1,994年に芥子畑の一掃を、西暦1,997年と2,000年に芥子栽培の禁止を行った。特に西暦2,000年7月の全面禁止令は、翌年の生産量を185tまで激減させた。
  • 国連安保理決議第1267号 西暦1,999年11月15日に採択された決議。アメリカ大使館爆破の実行犯と断定されたウサーマ・ビン・ラーディンらがタリバン政権の下に隠れたとして、アメリカ政府がタリバン政権に身柄引渡しを要求した。
  • アフガニスタン侵攻 西暦2,001年10月7日にアメリカが開始した軍事行動。ウサーマ・ビン・ラーディンを匿っている事が名目とされた。戦略爆撃機による空爆や潜水艦からの巡航ミサイル発射が行われ、タリバン政権は崩壊した。侵攻後、芥子の年間生産量は急増した。

西暦1,977年のズビグネフ・ブレジンスキーによるムジャーヒディーンへの資金提供、西暦1,979年のジミー・カーターによるCIAへのアフガニスタン非軍事支援の秘密命令とCIA・ISIによるムジャーヒディーン訓練キャンプの設置、西暦1,980年代のアフガニスタン産アヘンからのヘロイン製造とアメリカ・ヨーロッパ市場への流入、西暦1,994年のタリバンによる芥子畑の一掃、西暦1,996年のムハンマド・オマルの麻薬反対声明、西暦1,997年と2,000年の芥子栽培の禁止令、西暦1,999年の国連安保理決議第1267号、西暦2,001年のアメリカによるアフガニスタン侵攻とタリバン政権の崩壊・ハーミド・カルザイの暫定行政機構議長就任、西暦2,008年の芥子生産量のピーク迄──
アフガニスタンの芥子の年間生産量の推移を軸に、CIA・ISIによる支援とヘロインの拡大、タリバンの麻薬禁止、政権の崩壊と生産量の急増に至った系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「一元化」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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