電子書籍「マハトマ・ガンディーは人口避妊を『性的快楽の助長』と否定した一元化」の表紙

マハトマ・ガンディーは人口避妊を「性的快楽の助長」と否定した一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,922年4月11日〜1,938年12月1日頃
最新更新日
西暦2,025年12月28日

マーガレット・サンガーの北京大学教育学部教授蔣夢麟・コロンビア大学社会学博士課程陳達招待による上海港到着並びに中国マルサス主義的イメージ強化・出生制限優生学的側面議論喚起、北京大学2,500名学生対象哲学者胡適通訳講演と北京協和医学院看護師対象講演及び第14代北京大学学長蔡元培夕食招待・産児制限中国語パンフレット北京市全体配布・于慶棠翻訳上海講演、ベルリンのアグネス・スメドレーのマーガレット・サンガー宛書簡とインド人医師雇用出生制限推進勧め・子供改善・人種改善目的、アグネス・スメドレーのマーガレット・サンガー資金提供北京産児制限クリニック設立、マーガレット・サンガーのニューヨークからインド出航とエディス・ハウ・マーティン協力AIWCゲストスピーカー10,000,000名インド人女性代表招待、マーガレット・サンガーのボンベイ到着と医療専門家向け避妊専門講義・デモ映画上映・ボンベイ・クロニクル紙メディア報道・ラグナート・ドンド・カルヴェ・アヴァバイ・プルショタムダス・ピライ・ナラヤン・シタラム・ファドケ接触、マーガレット・サンガーのインド18ヶ所訪問計64回講演とジャワハルラール・ネルー・ラビンドラナート・タゴール会談、ワルダーでのマハトマ・ガンディーとマーガレット・サンガー対談とガンディーの「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」主張並びにサンガーの「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」訴え及びマハデヴ・デサイメモ記録、マハトマ・ガンディー体調不良休養とマーガレット・サンガー都市訪問継続、パトナでの第54代国民会議党首ラージェーンドラ・プラサードとマーガレット・サンガー会談、ティルヴァナンタプラム訪問とトラヴァンコール王国後継マハラニセトゥ・パルヴァティ・バイ招待及びカトリック修道女達反対実現せず、キングスウェイ・ホール「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」3日間開催と新マルサス主義連盟・BCIIC主催並びにマハトマ・ガンディー対談決裂文化的障壁言及・ジャワハルラール・ネルー・AIWC国際代表ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ支持強調・エディス・ハウ・マーティン資金提供約束、ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ・マーガレット・サンガー協力「第1回家族衛生会議」ボンベイ開催と避妊教育・公衆衛生・母子保健議論及びサンガー「避妊の科学的利点とインドの未来」テーマ講演・人口爆発植民地支配産物批判・避妊具使用法デモ迄──
マーガレット・サンガーの中国訪問を起点に、アグネス・スメドレーのインド出生制限推進提案と北京産児制限クリニック設立、サンガーのインド訪問とマハトマ・ガンディーとの「性的快楽の助長」を巡る対談決裂、ジャワハルラール・ネルー・ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ達との協力関係構築、第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議と第1回家族衛生会議開催に至った、マハトマ・ガンディーの人口避妊否定とマーガレット・サンガーのアジア生殖制御運動の17年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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本書について

西暦1,922年4月11日、マーガレット・サンガーが上海港に到着した。①北京大学教育学部教授蔣夢麟②コロンビア大学社会学博士課程陳達の2名の招待であった。此れは、日本からイギリスへの船旅の途上での訪問で、中国に3週間滞在した。陳は其の儘博士号を取得し、後に著名な人口科学者となった。サンガーの訪問は、中国の産児制限運動に、過剰人口の増大を不十分な資源と関連付け出生制限の必要性を示すグローバルな例として中国のマルサス主義的イメージを強化した事、中国メディアで出生制限の優生学的な側面に関する議論を喚起した事、という影響を与えた。同月19日、マーガレット・サンガーが、北京大学にて講演を行ない、2,500名の学生が聴講した。通訳は、哲学者胡適が担った。翌20日午前、マーガレット・サンガーが、北京協和医学院にて講演を行ない、多くの看護師が聴講した。後日サンガーは、第14代北京大学学長蔡元培から夕食に招待され、中国の知識人達と交流した。此れが切っ掛けで、サンガーの産児制限の中国語に翻訳されたパンフレットが北京市全体に配布された。其の後サンガーは、ハーバード大学・イェール大学・コーネル大学のOBと北京市内の満洲レストランで昼食を摂った。続いてサンガーは、上海で講演を行ない、コロンビア大学で教育学の博士号を取得したばかりの于慶棠が翻訳した。

西暦1,924年6月、ベルリンに居たアグネス・スメドレーが、マーガレット・サンガーに書簡を送った。スメドレーは、①子供の改善(避妊を母子保健の観点から推進し、頻繁な妊娠による母体死亡率の低下・子供の栄養・教育改善を強調。又、農村部の女性を中心としたインドの貧困層を対象とするクリニックの開設を提案)②人種の改善(質の高い子孫を産む為の科学的育種を指し、人口過剰を植民地支配の産物であると断じ、避妊でインド人の質を向上させて独立を目指すと主張)の2点を目的とした、インドの医師達を雇用した出生制限の推進を勧めた。西暦1,929年11月23日、アグネス・スメドレーが、マーガレット・サンガーの資金提供を受けて、北京に産児制限クリニックを設立した。此のクリニックは、サンガーの手法をモデルとして運営された。

西暦1,935年10月24日、マーガレット・サンガーが、ニューヨークからインドへ向けて出航した。サンガーは、植物学者マリー・ストープスの代理人で新マルサス主義連盟代表のエディス・ハウ・マーティンと協力し、インドの連絡網を強化していた。そしてサンガーは、AIWC(全インド女性会議)のゲストスピーカーとして、10,000,000名のインド人女性を代表する立場で招待された。同年11月1日、マーガレット・サンガーがボンベイに到着した。サンガーは、医療専門家向けに、避妊の専門講義やデモ映画の上映を行ない、此の活動は、ボンベイの英字新聞であるボンベイ・クロニクル紙等のメディアで報道され、大衆に避妊問題が認識された。又サンガーは、①西暦1,925年にプネー(インドのマハーラーシュトラ州)にてインド初の家族計画クリニックを設立したラグナート・ドンド・カルヴェ②婦人科医で前年迄ソーラープル(インドのマハーラーシュトラ州)優生学協会名誉ディレクターを務めたアヴァバイ・プルショタムダス・ピライ③哲学教授ナラヤン・シタラム・ファドケの3名等と接触し、インドの生殖制御運動の理解を進めた。同月15日、マーガレット・サンガーが、ボンベイ・アフマドナガル・ラホール(現在のパキスタンのパンジャーブ州)・デリー・ラクナウ(現在のインドのウッタル・プラデーシュ州)・パトナ(現在のインドのビハール州)・アラーハーバード(現在のインドのウッタル・プラデーシュ州アラーハーバード県プラヤーグラージ)・カルカッタ・ワルダー(現在のインドのマハーラーシュトラ州)・マドラス(現在のインドのタミル・ナードゥ州チェンナイ県)・マラバール(現在のインドのカルナータカ州、ケララ州、ゴア州、タミル・ナードゥ州)・ティルヴァナンタプラム(現在のインドのケララ州)等を含むインドの18ヶ所の訪問を開始した。テーマは「家族規模の制限の重要性」で、計64回の講演を行なったが、其の間、①第48・49代インド国民会議党首を務めたジャワハルラール・ネルー②タゴール国際大学創設者ラビンドラナート・タゴールの2名と会談した。

西暦1,935年12月4日、①インド国民会議の精神的指導者であったマハトマ・ガンディー②マーガレット・サンガーの2名が、ワルダーにて対談を行なった。ガンディーは「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」と主張した。サンガーは「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」と訴えたが、溝は埋まらなかった。ガンディーの秘書マハデヴ・デサイは、此の対談の内容の詳細をメモとして残した。同月7日、マハトマ・ガンディーが、突然の体調不良で休養となった。しかしマーガレット・サンガーは、都市の訪問を継続した。同月13日、①第54代国民会議党首ラージェーンドラ・プラサード②マーガレット・サンガーの2名が、パトナにて会談を行なった。サンガーは、人口過剰を貧困の原因とし、避妊教育の必要性を説いた。プラサードは此れを支持し、インド独立後の人口政策への可能性を探ったが、マハトマ・ガンディー達の反対を懸念し、慎重な議論に留まった。会談は約1時間で終了した。同月31日、マーガレット・サンガーが、ティルヴァナンタプラムを訪問した。サンガーは、トラヴァンコール王国の後継マハラニであるセトゥ・パルヴァティ・バイの招待で、AIWCの議論に参加する予定であったが、カトリック修道女達の反対により実現しなかった。

西暦1,936年1月1日、マーガレット・サンガーが、インド訪問の全日程を終えた。同年7月25日、此の日から3日間、キングスウェイ・ホール(イギリスのロンドンのシティ・オブ・ウェストミンスター)にて、①新マルサス主義連盟②マーガレット・サンガーが設立したBCIIC(国際避妊情報センター)の主催により「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」が開催された。サンガーは、前年のインドでの各都市の訪問を振り返り、マハトマ・ガンディーとの対談での決裂を、文化的障壁の例の1つとして挙げた。又サンガーは、①インドの人口過剰を植民地支配の産物とし、避妊をインド独立の準備として位置付けた。ガンディーの自然主義に反対し、❶ジャワハルラール・ネルー❷AIWC国際代表ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ等の支持を強調した②64講演で聴衆が数万人に達した。ボンベイ・クロニクル紙等のメディア報道により、大衆意識を喚起した③インドに国際的な避妊クリニックを設立し、女性教育を推進する。エディス・ハウ・マーティン等の此の会議の参加者から、資金提供の約束を得た、という内容を発表した。

西暦1,938年12月1日、①ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ②マーガレット・サンガーの2名の協力により「第1回家族衛生会議」がボンベイにて開催された。メインテーマは「家族衛生」で、避妊教育・公衆衛生・母子保健を議論した。優生学的視点をベースに、女性の権利を強調した。主な参加者は、①ラウ(開会挨拶・女性中心のパネルセッションを主宰)②サンガー(「避妊の科学的利点とインドの未来」というテーマで講演し、人口爆発を植民地支配の産物と批判、避妊具の使用法のデモを行なった)③ラグナート・ドンド・カルヴェ④アヴァバイ・プルショタムダス・ピライ⑤ナラヤン・シタラム・ファドケ⑥ジャワハルラール・ネルー(名誉ゲスト)⑦エディス・ハウ・マーティンであった。本書は、此の17年に亘る、マーガレット・サンガーの中国訪問を起点とする、アグネス・スメドレーによるインドの出生制限推進の提案と北京産児制限クリニック設立、サンガーのインド訪問とインド国民会議の精神的指導者マハトマ・ガンディーとの「性的快楽の助長」を巡るブラフマチャリヤ(禁欲)精神を根拠とした対談決裂、ジャワハルラール・ネルー・ラージェーンドラ・プラサード・ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ達との協力関係の構築、キングスウェイ・ホールでの第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議とボンベイでの第1回家族衛生会議の開催迄、マハトマ・ガンディーの人口避妊否定とマーガレット・サンガーのアジア生殖制御運動の全過程を、年月日単位で記録した年表である。


登場人物

  • マーガレット・サンガー アメリカの産児制限活動家。本書の中心人物。西暦1,922年4月11日に北京大学教育学部教授蔣夢麟・コロンビア大学社会学博士課程陳達の招待で上海港に到着、4月19日に北京大学・4月20日に北京協和医学院で講演を行ない、第14代北京大学学長蔡元培から夕食招待を受けた。西暦1,929年11月23日にはアグネス・スメドレーへの資金提供により北京産児制限クリニックを設立。西暦1,935年10月24日にニューヨークからインドへ出航し、植物学者マリー・ストープスの代理人で新マルサス主義連盟代表エディス・ハウ・マーティンと協力、AIWCのゲストスピーカーとして10,000,000名のインド人女性を代表する立場で招待された。11月1日にボンベイ到着、11月15日からインド18ヶ所訪問計64回講演を実施。12月4日にワルダーでマハトマ・ガンディーと対談し「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」と訴えたが溝は埋まらなかった。西暦1,936年7月25日からキングスウェイ・ホールで「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」を主催、西暦1,938年12月1日にダンヴァンティ・ラーマ・ラウとの協力で「第1回家族衛生会議」をボンベイで開催した。
  • マハトマ・ガンディー インド国民会議の精神的指導者。西暦1,935年12月4日、ワルダーでマーガレット・サンガーと対談を行ない「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」と主張した。サンガーの「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」という主張との間の溝は埋まらなかった。秘書のマハデヴ・デサイが対談の内容の詳細をメモとして残した。同月7日、突然の体調不良で休養となった。西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」では、サンガーから対談での決裂を文化的障壁の例の1つとして挙げられた。
  • 蔣夢麟 北京大学教育学部教授。西暦1,922年4月11日、コロンビア大学社会学博士課程陳達と共にマーガレット・サンガーを上海に招待した。
  • 陳達 コロンビア大学社会学博士課程の学生。西暦1,922年4月11日、北京大学教育学部教授蔣夢麟と共にマーガレット・サンガーを上海に招待した。其の儘博士号を取得し、後に著名な人口科学者となった。
  • 胡適 中国の哲学者。西暦1,922年4月19日、マーガレット・サンガーの北京大学での2,500名の学生対象の講演で通訳を担った。
  • 蔡元培 第14代北京大学学長。西暦1,922年4月20日、マーガレット・サンガーを夕食に招待した。此れが切っ掛けで、サンガーの産児制限の中国語に翻訳されたパンフレットが北京市全体に配布された。
  • 于慶棠 コロンビア大学で教育学の博士号を取得したばかりの人物。西暦1,922年4月20日以後、マーガレット・サンガーの上海での講演を翻訳した。
  • アグネス・スメドレー 西暦1,924年6月、ベルリンに居た時にマーガレット・サンガーに書簡を送り、①子供の改善②人種の改善の2点を目的とした、インドの医師達を雇用した出生制限の推進を勧めた。西暦1,929年11月23日には、マーガレット・サンガーの資金提供を受けて、北京に産児制限クリニックを設立した。此のクリニックはサンガーの手法をモデルとして運営された。
  • エディス・ハウ・マーティン 植物学者マリー・ストープスの代理人で新マルサス主義連盟代表。西暦1,935年10月24日のマーガレット・サンガーのニューヨークからインドへの出航以前から、サンガーと協力してインドの連絡網を強化していた。西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」では、インドへの国際的な避妊クリニック設立と女性教育推進への資金提供を約束した。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」にも参加した。
  • マリー・ストープス 植物学者。エディス・ハウ・マーティンが代理人を務めた。
  • ラグナート・ドンド・カルヴェ 西暦1,925年にプネー(インドのマハーラーシュトラ州)にてインド初の家族計画クリニックを設立した人物。西暦1,935年11月1日のマーガレット・サンガーのボンベイ到着以後、サンガーと接触してインドの生殖制御運動の理解を進めた。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」にも参加した。
  • アヴァバイ・プルショタムダス・ピライ 婦人科医。西暦1,934年迄ソーラープル(インドのマハーラーシュトラ州)優生学協会名誉ディレクターを務めた。西暦1,935年11月1日のマーガレット・サンガーのボンベイ到着以後、サンガーと接触してインドの生殖制御運動の理解を進めた。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」にも参加した。
  • ナラヤン・シタラム・ファドケ 哲学教授。西暦1,935年11月1日のマーガレット・サンガーのボンベイ到着以後、サンガーと接触してインドの生殖制御運動の理解を進めた。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」にも参加した。
  • ジャワハルラール・ネルー 第48・49代インド国民会議党首。西暦1,935年11月15日からのマーガレット・サンガーのインド18ヶ所訪問中にサンガーと会談した。西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」では、サンガーがガンディーの自然主義に反対するに当たって支持を強調した1人。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」では名誉ゲストとして参加した。
  • ラビンドラナート・タゴール タゴール国際大学創設者。西暦1,935年11月15日からのマーガレット・サンガーのインド18ヶ所訪問中にサンガーと会談した。
  • マハデヴ・デサイ マハトマ・ガンディーの秘書。西暦1,935年12月4日のワルダーでのマハトマ・ガンディーとマーガレット・サンガーの対談の内容の詳細をメモとして残した。
  • ラージェーンドラ・プラサード 第54代国民会議党首。西暦1,935年12月13日、パトナにてマーガレット・サンガーと会談を行なった。サンガーは人口過剰を貧困の原因とし、避妊教育の必要性を説き、プラサードは此れを支持し、インド独立後の人口政策への可能性を探ったが、マハトマ・ガンディー達の反対を懸念し、慎重な議論に留まった。会談は約1時間で終了した。
  • セトゥ・パルヴァティ・バイ トラヴァンコール王国の後継マハラニ。西暦1,935年12月31日、マーガレット・サンガーをティルヴァナンタプラムでのAIWCの議論に参加する様招待したが、カトリック修道女達の反対により実現しなかった。
  • ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ AIWC国際代表。西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」では、サンガーがガンディーの自然主義に反対するに当たって支持を強調した1人。西暦1,938年12月1日のボンベイでの「第1回家族衛生会議」では、マーガレット・サンガーと協力して会議を開催し、開会挨拶を行ない女性中心のパネルセッションを主宰した。

主要な概念・組織

  • ブラフマチャリヤ(禁欲) 本書の中心となる概念。マハトマ・ガンディーが信奉した精神。西暦1,935年12月4日のワルダーでのマーガレット・サンガーとの対談で、ガンディーは「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」と主張した。此れが、サンガーの「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」という主張と対立し、対談は決裂した。西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」では、サンガーから対談での決裂が文化的障壁の例の1つとして挙げられた。
  • サンガーの中国訪問 西暦1,922年4月11日、マーガレット・サンガーが北京大学教育学部教授蔣夢麟・コロンビア大学社会学博士課程陳達の招待で上海港に到着、日本からイギリスへの船旅の途上で中国に3週間滞在した。4月19日に北京大学(2,500名学生対象、哲学者胡適通訳)・4月20日午前に北京協和医学院で講演を行ない、第14代北京大学学長蔡元培から夕食招待を受け、サンガーの産児制限の中国語に翻訳されたパンフレットが北京市全体に配布された。ハーバード大学・イェール大学・コーネル大学のOBと北京市内の満洲レストランで昼食を摂り、上海では于慶棠の翻訳で講演を行なった。サンガーの訪問は、中国のマルサス主義的イメージを強化し、出生制限の優生学的な側面に関する議論を中国メディアで喚起した。
  • 北京産児制限クリニック 西暦1,929年11月23日、アグネス・スメドレーがマーガレット・サンガーの資金提供を受けて北京に設立したクリニック。サンガーの手法をモデルとして運営された。
  • AIWC(全インド女性会議) 全インド女性会議。西暦1,935年10月24日、マーガレット・サンガーが10,000,000名のインド人女性を代表する立場でゲストスピーカーとして招待され、ニューヨークからインドへ出航する切っ掛けとなった。西暦1,935年12月31日にはトラヴァンコール王国後継マハラニのセトゥ・パルヴァティ・バイの招待でティルヴァナンタプラムでの議論にサンガーが参加する予定であったが、カトリック修道女達の反対により実現しなかった。ダンヴァンティ・ラーマ・ラウが国際代表を務めた。
  • サンガーのインド18ヶ所訪問 西暦1,935年11月15日から開始されたマーガレット・サンガーのインド訪問。ボンベイ・アフマドナガル・ラホール(現在のパキスタンのパンジャーブ州)・デリー・ラクナウ・パトナ・アラーハーバード・カルカッタ・ワルダー・マドラス・マラバール・ティルヴァナンタプラム等の18ヶ所を訪問。テーマは「家族規模の制限の重要性」で、計64回の講演を行なった。其の間、第48・49代インド国民会議党首ジャワハルラール・ネルー、タゴール国際大学創設者ラビンドラナート・タゴールと会談、ワルダーではマハトマ・ガンディーとの対談、パトナでは第54代国民会議党首ラージェーンドラ・プラサードとの会談も行なわれた。西暦1,936年1月1日に全日程を終えた。
  • ガンディー・サンガー対談 西暦1,935年12月4日、ワルダー(現在のインドのマハーラーシュトラ州)にて行なわれた、マハトマ・ガンディーとマーガレット・サンガーの対談。ガンディーは「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」と主張、サンガーは「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」と訴えたが、溝は埋まらなかった。ガンディーの秘書マハデヴ・デサイが、対談の内容の詳細をメモとして残した。サンガーは西暦1,936年7月のキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」で、此の対談での決裂を文化的障壁の例の1つとして挙げた。
  • 新マルサス主義連盟 エディス・ハウ・マーティンが代表を務めた連盟。植物学者マリー・ストープスの系譜を引く組織。西暦1,936年7月25日からのキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」をBCIICと共に主催した。
  • BCIIC(国際避妊情報センター) マーガレット・サンガーが設立した国際避妊情報センター。西暦1,936年7月25日からのキングスウェイ・ホールでの「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」を新マルサス主義連盟と共に主催した。
  • 第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議 西暦1,936年7月25日から3日間、キングスウェイ・ホール(イギリスのロンドンのシティ・オブ・ウェストミンスター)にて、新マルサス主義連盟とマーガレット・サンガーが設立したBCIIC(国際避妊情報センター)の主催により開催された会議。サンガーは、前年のインドでの各都市の訪問を振り返り、マハトマ・ガンディーとの対談での決裂を文化的障壁の例の1つとして挙げた。インドの人口過剰を植民地支配の産物とし、避妊をインド独立の準備として位置付け、ガンディーの自然主義に反対し、ジャワハルラール・ネルー・AIWC国際代表ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ等の支持を強調、64講演で聴衆が数万人に達した事をボンベイ・クロニクル紙等のメディア報道に基づき主張、インドに国際的な避妊クリニックを設立し女性教育を推進する事をエディス・ハウ・マーティン等の参加者から資金提供の約束を得て発表した。
  • 第1回家族衛生会議 西暦1,938年12月1日、ダンヴァンティ・ラーマ・ラウとマーガレット・サンガーの協力により、ボンベイにて開催された会議。メインテーマは「家族衛生」で、避妊教育・公衆衛生・母子保健を議論した。優生学的視点をベースに、女性の権利を強調した。主な参加者は、ラウ(開会挨拶・女性中心のパネルセッションを主宰)、サンガー(「避妊の科学的利点とインドの未来」テーマで講演し、人口爆発を植民地支配の産物と批判、避妊具の使用法のデモを行なった)、ラグナート・ドンド・カルヴェ、アヴァバイ・プルショタムダス・ピライ、ナラヤン・シタラム・ファドケ、ジャワハルラール・ネルー(名誉ゲスト)、エディス・ハウ・マーティンであった。

マーガレット・サンガーの北京大学教育学部教授蔣夢麟・コロンビア大学社会学博士課程陳達招待による上海港到着並びに中国マルサス主義的イメージ強化・出生制限優生学的側面議論喚起、北京大学2,500名学生対象哲学者胡適通訳講演と北京協和医学院看護師対象講演及び第14代北京大学学長蔡元培夕食招待・産児制限中国語パンフレット北京市全体配布・于慶棠翻訳上海講演、ベルリンのアグネス・スメドレーのマーガレット・サンガー宛書簡とインド人医師雇用出生制限推進勧め・子供改善・人種改善目的、アグネス・スメドレーのマーガレット・サンガー資金提供北京産児制限クリニック設立、マーガレット・サンガーのニューヨークからインド出航とエディス・ハウ・マーティン協力AIWCゲストスピーカー10,000,000名インド人女性代表招待、マーガレット・サンガーのボンベイ到着と医療専門家向け避妊専門講義・デモ映画上映・ボンベイ・クロニクル紙メディア報道・ラグナート・ドンド・カルヴェ・アヴァバイ・プルショタムダス・ピライ・ナラヤン・シタラム・ファドケ接触、マーガレット・サンガーのインド18ヶ所訪問計64回講演とジャワハルラール・ネルー・ラビンドラナート・タゴール会談、ワルダーでのマハトマ・ガンディーとマーガレット・サンガー対談とガンディーの「性行為は生殖の為だけに行うものであり、人口避妊は、性的快楽を助長し、ブラフマチャリヤ(禁欲)精神に反する」主張並びにサンガーの「養える子だけを産む為の知識は、女性の基本的人権である」訴え及びマハデヴ・デサイメモ記録、マハトマ・ガンディー体調不良休養とマーガレット・サンガー都市訪問継続、パトナでの第54代国民会議党首ラージェーンドラ・プラサードとマーガレット・サンガー会談、ティルヴァナンタプラム訪問とトラヴァンコール王国後継マハラニセトゥ・パルヴァティ・バイ招待及びカトリック修道女達反対実現せず、キングスウェイ・ホール「第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議」3日間開催と新マルサス主義連盟・BCIIC主催並びにマハトマ・ガンディー対談決裂文化的障壁言及・ジャワハルラール・ネルー・AIWC国際代表ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ支持強調・エディス・ハウ・マーティン資金提供約束、ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ・マーガレット・サンガー協力「第1回家族衛生会議」ボンベイ開催と避妊教育・公衆衛生・母子保健議論及びサンガー「避妊の科学的利点とインドの未来」テーマ講演・人口爆発植民地支配産物批判・避妊具使用法デモ迄──
マーガレット・サンガーの中国訪問を起点に、アグネス・スメドレーのインド出生制限推進提案と北京産児制限クリニック設立、サンガーのインド訪問とマハトマ・ガンディーとの「性的快楽の助長」を巡る対談決裂、ジャワハルラール・ネルー・ダンヴァンティ・ラーマ・ラウ達との協力関係構築、第5回国際新マルサス主義及び産児制限会議と第1回家族衛生会議開催に至った、マハトマ・ガンディーの人口避妊否定とマーガレット・サンガーのアジア生殖制御運動の17年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。

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石田晋一

歴史データベース「一元化」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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