電子書籍「モンサント社の除草剤・ラウンドアップ一元化」の表紙

モンサント社の除草剤・
ラウンドアップ一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,970年〜2,019年8月7日
ページ数
14ページ
最新更新日
西暦2,026年7月24日

「食卓塩より安全」と謳われた除草剤は、やがて発癌性物質に認定された──
ラウンドアップとグリホサートを巡る半世紀の攻防を一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦1,970年、アメリカのモンサント社が、グリホサート化合物を含んだ除草剤「ラウンドアップ」を開発した。同社の株主には、ブッシュ家・ロックフェラー家、そしてロックフェラー家とロスチャイルド家の息の掛かったバンガードグループが名を連ねている。グリホサート化合物は、人間の臍帯・胚・胎盤の細胞にダメージを与え、又、発癌・土壌細菌及び腸内細菌の損傷・自閉症・認知症・精子の数の減少という現象を誘発する。西暦1,974年には市販製剤の販売が始まり、此の除草剤は世界の農地へと広がっていった。本書は、其の開発を起点として、ラウンドアップとグリホサートを巡る半世紀の攻防を、年月日単位で一元化した記録である。

普及の裏側では、早くから宣伝の文言が争われていた。西暦1,994年、ベトナムでグリホサートの使用が登録され、以降104もの市販製品が登録されてゆく。一方、西暦1,996年、ニューヨークの弁護士がモンサント社を相手取って訴訟を起こした。「食卓塩より安全」「飲んでも大丈夫」「安全で動物や環境へ有害な影響を引き起こす事は無い」「生分解性で土壌に蓄積されない」——ラウンドアップを謳った此等の宣伝は、後に虚偽且つ誤解を招く広告と判決されている。日本では西暦2,002年5月31日、日産化学が日本モンサント社の展開していた農薬除草剤事業を買収し、ラウンドアップを始めとする除草剤を同年7月1日より販売開始するとした。

禁止の動きは、まず地下水から始まった。西暦2,003年9月15日、デンマークは、グリホサートが土壌を通り抜けて地下水を汚染している事が明らかになった為、其の散布を禁じる。西暦2,012年にはカナダが芝生や庭での散布を、西暦2,014年にはスウェーデンとノルウェーが使用を、スリランカが販売を禁止し、同年4月にはロシアがラウンドアップ耐性の遺伝子組み換え食品の輸入を禁じた。西暦2,015年、コロンビアは空中散布を違法化し、オランダは同年末での使用禁止を決定する。同年10月にはスリランカが、カドミウム・ヒ素を含む土壌でラウンドアップを使用した場合、飲料水や米を通して重篤な慢性腎臓病を引き起こす原因となるとの研究報告から、グリホサートの輸入をも禁じた。

評価そのものも割れてゆく。西暦2,015年3月、WHOの外部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、グリホサートを発癌性物質に認定し、危険度を表す5段階評価で2番目に高い「グループ2A」に分類した。西暦2,016年4月、ベトナム農業農村開発省は新規登録を停止し、同成分の使用が人々の健康や環境に及ぼす影響に関する情報と科学的事実の収集を開始する。だが同年5月16日、JMPR(FAO(国連食糧農業機関)・WHO合同残留農薬専門家会議)は「グリホサートは食事を通しての曝露による人間への発癌性リスクは無い」と結論付けた。其の議長アラン・ブービスは、西暦2,012年にモンサント社から500,000ドルの資金提供を受け、他にもモンサント社が加盟する団体から500,000ドル以上の資金提供を受けていた人物である。

西暦2,017年6月26日、アメリカのカリフォルニア州は、同年7月7日からグリホサートを発癌性物質のリストに加えると発表した。同年10月24日、ANSES(フランス食品環境労働衛生安全庁)は、生殖毒性を疑われるグルホシネートを用いたバイエルS.A.S.社の除草剤「バスタ」について、使用している労働者や其の周辺の人々への健康リスクを除外出来ないとして販売許可を取り消す。然し同年11月27日、EUは、発癌性が懸念されているグリホサートを主成分とする除草剤の認可を、5年間更新する事を決定した。そして同年12月25日、厚労省が残留基準値を緩和する。蕎麦とライ麦は0.2ppmから30ppmへ、向日葵種子・胡麻種子・紅花種子は0.1〜0.2ppmから40ppmへ——16品目に亘る、150倍から400倍もの引き上げであった。

西暦2,018年、日本のラウンドアップ使用量は6,179tに達し、西暦2,010年比で1.49倍に増える。同年8月10日、アメリカのサンフランシスコ地裁は、ラウンドアップと「レンジャー・プロ」がグラウンドキーパーの非ホジキンリンパ腫を齎したと判断し、陪審員はモンサント社の行為を「悪意がある」と認定して、2名の幼い子供を持ち癌の末期であったデウェイン・ジョンソンへ289,000,000ドルを支払うようバイエル社に命じた。西暦2,019年1月15日、ANSESは「ラウンドアッププロ360」を即日販売禁止とし、4月にはコストコが全店舗で仕入れと販売を中止する。同年5月13日、カリフォルニア州裁判所の陪審は、癌を発症した夫婦へ2,000,000,000ドルを支払う評決を下した。原告1名当たり1,000,000,000ドルという額は、西暦2,017年にモンサント社が農薬部門で得た利益892,000,000ドルに基づいている。7月2日にはオーストリア国民議会(下院)が全面禁止法案を可決した。然し同年8月7日、EPA(アメリカ環境保護庁)は、グリホサートに「発癌の恐れがある」と表示する事を、FIFRA(連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法)が規定する誤表示に該当するとして禁じるガイダンスを発布する。開発から半世紀を経て、禁じられたのは除草剤ではなく、警告の表示の方であった。本書は、其の全過程を一冊に束ねている。


登場人物・企業

  • モンサント社 本書の中心となるアメリカの企業。株主にブッシュ家・ロックフェラー家、及びロックフェラー家とロスチャイルド家の息の掛かったバンガードグループがいる。西暦1,970年にグリホサート化合物を含む除草剤「ラウンドアップ」を開発し、西暦1,974年に市販製剤の販売を開始した。西暦1,996年には「食卓塩より安全」等の宣伝が訴訟となり、後に虚偽且つ誤解を招く広告と判決されている。西暦2,017年の農薬部門の利益は892,000,000ドルであった。
  • バイエル社 モンサント社を買収したドイツの企業。西暦2,018年8月10日のサンフランシスコ地裁判決でデウェイン・ジョンソンへの289,000,000ドルの支払いを、西暦2,019年5月13日のカリフォルニア州裁判所の陪審評決で夫婦への2,000,000,000ドルの支払いを命じられた。子会社バイエルS.A.S.社の除草剤「バスタ」は、西暦2,017年10月24日にANSESによって販売許可を取り消された。
  • 日産化学 日本の化学企業。西暦2,002年5月31日、日本モンサント社が展開していた農薬除草剤事業を買収し、ラウンドアップを始めとする除草剤を同年7月1日より販売開始するとした。
  • アラン・ブービス JMPR(FAO・WHO合同残留農薬専門家会議)の議長。西暦2,016年5月16日、JMPRは「グリホサートは食事を通しての曝露による人間への発癌性リスクは無い」と結論付けたが、ブービスは西暦2,012年にモンサント社から500,000ドルの資金提供を受け、他にもモンサント社が加盟する団体から500,000ドル以上の資金提供を受けていた。
  • デウェイン・ジョンソン グラウンドキーパー。2名の幼い子供を持ち、癌の末期であった。西暦2,018年8月10日、アメリカのサンフランシスコ地裁が、グリホサート系除草剤ラウンドアップと「レンジャー・プロ」が彼の非ホジキンリンパ腫を齎したと判断し、陪審員はモンサント社の行為を「悪意がある」と認定して、バイエル社に289,000,000ドルの支払いを命じた。
  • パメラ・レンディ・ワーグナー オーストリアのSPÖ(社会民主党)議長。西暦2,019年7月2日、オーストリア国民議会(下院)がグリホサートの使用を全面禁止する法案を可決した際、グリホサートの発癌性を裏付ける科学的証拠は増えており、身の回りから此の毒物を追放する事は我々の責務だとした。

規制と裁判の系譜

  • ラウンドアップとグリホサート化合物 本書の主題。モンサント社が西暦1,970年に開発した、グリホサート化合物を含む除草剤。グリホサート化合物は人間の臍帯・胚・胎盤の細胞にダメージを与え、又、発癌・土壌細菌及び腸内細菌の損傷・自閉症・認知症・精子の数の減少を誘発する。西暦1,974年に市販製剤の販売が開始され、世界各地に普及した。
  • 虚偽且つ誤解を招く広告の判決 西暦1,996年、ニューヨークの弁護士がモンサント社の宣伝に対して起こした訴訟。「食卓塩より安全」「飲んでも大丈夫」「安全で動物や環境へ有害な影響を引き起こす事は無い」「生分解性で土壌に蓄積されない」という四つの文言は、後に虚偽且つ誤解を招く広告と判決された。
  • IARCのグループ2A認定 西暦2,015年3月、WHOの外部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、グリホサートを発癌性物質に認定し、危険度を表す5段階評価で2番目に高い「グループ2A」に分類した。以後の各国の規制と訴訟の基点となった判断。
  • JMPRの結論と議長の資金提供 西暦2,016年5月16日、JMPR(FAO(国連食糧農業機関)・WHO合同残留農薬専門家会議)が「グリホサートは食事を通しての曝露による人間への発癌性リスクは無い」と結論付けたもの。然し議長アラン・ブービスは、モンサント社及び同社が加盟する団体から合わせて1,000,000ドル以上の資金提供を受けていた。
  • 各国・地域の使用禁止と規制 デンマーク(西暦2,003年・地下水汚染による散布禁止)、カナダ(西暦2,012年・芝生や庭での散布禁止)、スウェーデン・ノルウェー・スリランカ(西暦2,014年)、ロシア(西暦2,014年・耐性遺伝子組み換え食品の輸入禁止)、コロンビア(西暦2,015年・空中散布の違法化)、オランダ(西暦2,015年)、ベトナム(西暦2,016年・新規登録停止)、オーストリア(西暦2,019年・全面禁止法案可決)、コストコ(西暦2,019年・全店舗で取扱中止)等、世界各地へ広がった禁止と規制。
  • EUの認可5年更新 西暦2,017年11月27日、EUが、発癌性が懸念されているグリホサートを主成分とする除草剤について、認可を5年間更新する事を決定したもの。各国が禁止へ向かう流れの中で、逆の判断が下された局面。
  • 厚労省の残留基準値緩和 西暦2,017年12月25日、厚労省が16品目に亘りグリホサートの残留基準値を緩和したもの。トウモロコシ1ppm→5ppm、小麦5ppm→30ppm、蕎麦及びライ麦0.2ppm→30ppm、向日葵種子・胡麻種子・紅花種子0.1〜0.2ppm→40ppm、綿実10ppm→40ppm、菜種10ppm→30ppm等、多くが国際基準に合わせて引き上げられた。日本のラウンドアップ使用量は西暦2,018年に6,179tと、西暦2,010年比で1.49倍に増加している。
  • ANSESの販売許可取消と販売禁止 ANSES(フランス食品環境労働衛生安全庁)は、西暦2,017年10月24日にバイエルS.A.S.社の除草剤「バスタ」の販売許可を取り消し、西暦2,019年1月15日には、規制当局が安全上の懸念を考慮せずに販売許可を出したとするリヨンの行政裁判所の判決を受け、「ラウンドアッププロ360」を即日販売禁止されたと発表した。
  • アメリカの二つの賠償評決 西暦2,018年8月10日、サンフランシスコ地裁がデウェイン・ジョンソンへの289,000,000ドルの支払いをバイエル社に命じ、西暦2,019年5月13日には、カリフォルニア州裁判所の陪審が癌を発症した夫婦へ2,000,000,000ドルを支払う評決を下した。原告1名当たり1,000,000,000ドルという額は、西暦2,017年にモンサント社が農薬部門で得た利益892,000,000ドルに基づいている。
  • ATSDRの報告書草案とEPAの表示禁止 西暦2,019年4月8日、ATSDR(アメリカ有害物質疾病登録局)が「グリホサートと非ホジキンリンパ腫との因果関係の可能性は否定できない」という主旨の報告書の草案を公表した。一方、同年8月7日、EPA(アメリカ環境保護庁)は、グリホサートに「発癌の恐れがある」と表示する事を、FIFRA(連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法)が規定する誤表示に該当するとして禁じるガイダンスを発布した。本書が記録する到達点。

開発から発癌性認定、各国の禁止、そして巨額の賠償評決へ──
モンサント社の除草剤ラウンドアップを巡る半世紀の全過程を一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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