ロイター通信・アヴァス通信社・ヴォルフ電報局は、
三社協定でヨーロッパの情報を掌握した一元化
パリのフランス・ロスチャイルド商会、ベルリンのツィンマー通り、ロンドンのシティ地区にある王立取引所、ストラスブールのオテルブリオン、ベルリン証券取引所、プロイセン国庫から年100,000ターレの資金、ロンドンの秘密情報局──
シャルル・ルイ・アヴァスの雇用とアヴァス通信社設立、ベルンハルト・ヴォルフによるヴォルフ電報局設立、ポール・ジュリアス・ロイターによるロイター通信設立、三社協定でのヨーロッパ分割、ヴォルフ電報局の株式公開とプロイセン政府出資、オットー・フォン・ビスマルクとの提携による大陸電報社改称、ロイター通信から派生したMI6設立、ウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドとキャサリン・ヴォルフの結婚迄、ロスチャイルド家の手によって三社協定でヨーロッパの情報が掌握されていった93年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。
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本書について
西暦1,832年、フランス・ロスチャイルド商会が、パリでシャルル・ルイ・アヴァスを雇った。其れから3年後の西暦1,835年10月22日、シャルル・ルイ・アヴァスは「アヴァス通信社」を設立した。世界最初の通信社の誕生であった。其れから14年後の西暦1,849年1月11日、ベルンハルト・ヴォルフが、ヴェルナー・フォン・ジーメンスの従兄弟の弁護士と共に、ベルリンのツィンマー通り(現在のフリードリヒスハイン・クロイツベルク区とミッテ区の間)にて「ヴォルフ電報局」を設立した。ヴェルナー・フォン・ジーメンスが2年前に設立したジーメンス・ウント・ハルスケ電信製造所と提携し、情報伝達に必要なインフラを確保する事で、電信の利用で優位に立った。本書は、此のヨーロッパ三大通信社の発祥から、三社協定によるヨーロッパ情報の分割支配、ヴォルフ電報局の株式公開とプロイセン政府出資、オットー・フォン・ビスマルクとの提携による大陸電報社改称、ロイター通信から派生したMI6設立、ウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドとキャサリン・ヴォルフの結婚迄、93年間に亘る系譜を、一本の時系列に貫き、一元化した一冊である。
西暦1,851年10月10日、ポール・ジュリアス・ロイターが、ロンドンのシティ地区にある王立取引所の裏に「ロイター通信」を設立した。最初の顧客はライオネル・ド・ロスチャイルドであった。世界中に広がるイギリス植民地の商人ネットワークから届く情報をイギリスの投資家や政府に提供する事で、彼らを儲けさせ、大きな利益を得た。イギリス政府や商社はロイターの力で成長する事となる。西暦1,856年、アヴァス通信社とロイター通信が、お互いの国内金融市場に関する相場情報を交換し、首都での取引結果を伝えるという協定に調印した。其の後間も無くヴォルフ電報局も招かれ、ベルリン証券取引所のデータを共有する事となった。此処に、ロスチャイルド家の手によるヨーロッパ三大通信社の情報共有体制の原型が築かれた。
西暦1,858年5月21日、シャルル・ルイ・アヴァスがブージヴァル(現在のフランスのイヴリーヌ県)で死去し、弐男のオーギュスト・アヴァスがオーナーの座を引き継いだ。翌西暦1,859年7月15日、パリでベルンハルト・ヴォルフとポール・ジュリアス・ロイターが、シャルル・ルイ・アヴァスの長男シャルル・ギヨーム・アヴァスとオーギュスト・アヴァスの2名に迎えられ、3年前に交わした協定を改定し、情報の交換対象を一般ニュースに拡げ、暫定協定を正式協定に進展させた。其の3日後の西暦1,859年7月18日、ストラスブール(現在のフランスのバ・ラン県)のオテルブリオンに在るアヴァス通信社本社にて、ロイター通信・ヴォルフ電報局を含む3社にてヨーロッパを分割し、独占的に取材・配信出来る地域を定める協定が結ばれた。此の三社協定により、ヨーロッパの情報は3社の手で完全に分割・掌握される事となった。
西暦1,865年5月1日、ヴォルフ電報局が会社組織に改組され株式公開した。主な株主はベルンハルト・ヴォルフ、銀行家、プロイセン政府であった。プロイセン政府の支援により国内でのヴォルフの地位は磐石なものとなった。其れから4年後の西暦1,869年6月10日、ベルンハルト・ヴォルフが、ポール・ジュリアス・ロイターがヴォルフ電報局を買収しようとした事に反発し、第22代プロイセン王国首相オットー・フォン・ビスマルクと提携して、ヴォルフ電報局を「大陸電報社」と改称した。報道部門は大陸電報局と呼ばれる様になった。当時ビスマルクはプロイセン国庫から100,000ターレ/年の資金提供をヴォルフ電報局に行っていた。プロイセン政府と通信社が一体化した瞬間であった。
西暦1,909年7月、イギリス政府が、帝国防衛委員会の推薦に基づき「秘密情報局」を設立した。同年10月1日、秘密情報局の国外部門として、ロンドンに「MI6(秘密情報部)」が設立された。ロイター通信から派生している。情報の収集と諜報が、通信社と国家情報機関の間で一体化していった証左である。西暦1,925年4月28日、オーストリア・ロスチャイルド商会のウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドが、キャサリン・ヴォルフと結婚した。アヴァス通信社の設立から数えて93年、ロスチャイルド家とヨーロッパ三大通信社の系譜は、婚姻関係によって完全に結び付けられた。本書は、此の93年に亘る、シャルル・ルイ・アヴァスの雇用から、アヴァス通信社・ヴォルフ電報局・ロイター通信の設立、三社協定によるヨーロッパ情報の分割支配、ヴォルフ電報局のプロイセン政府との一体化、ロイター通信から派生したMI6設立、ウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドとキャサリン・ヴォルフの結婚迄、ロスチャイルド家の手によって三社協定でヨーロッパの情報が掌握されていった系譜の全過程を、年月日単位で記録した年表である。
登場人物
- シャルル・ルイ・アヴァス 西暦1,832年にパリでフランス・ロスチャイルド商会に雇われ、西暦1,835年10月22日に「アヴァス通信社」を設立した人物。世界最初の通信社の創設者。西暦1,858年5月21日にブージヴァル(現在のフランスのイヴリーヌ県)で死去し、弐男のオーギュスト・アヴァスがオーナーの座を引き継いだ。
- ベルンハルト・ヴォルフ 西暦1,849年1月11日、ヴェルナー・フォン・ジーメンスの従兄弟の弁護士と共に、ベルリンのツィンマー通り(現在のフリードリヒスハイン・クロイツベルク区とミッテ区の間)にて「ヴォルフ電報局」を設立した人物。西暦1,869年6月10日、ポール・ジュリアス・ロイターがヴォルフ電報局を買収しようとした事に反発し、第22代プロイセン王国首相オットー・フォン・ビスマルクと提携して、ヴォルフ電報局を「大陸電報社」と改称した。
- ポール・ジュリアス・ロイター 西暦1,851年10月10日、ロンドンのシティ地区にある王立取引所の裏に「ロイター通信」を設立した人物。最初の顧客はライオネル・ド・ロスチャイルドであった。世界中に広がるイギリス植民地の商人ネットワークから届く情報をイギリスの投資家や政府に提供する事で、彼らを儲けさせ、大きな利益を得た。西暦1,869年にはヴォルフ電報局を買収しようとしたが、ベルンハルト・ヴォルフの反発に遭った。
- ライオネル・ド・ロスチャイルド ロイター通信の最初の顧客となったロスチャイルド家のイギリス当主。西暦1,851年10月10日の同社設立直後から、世界中に広がるイギリス植民地の商人ネットワークから届く情報を入手し、投資に活用した。
- ヴェルナー・フォン・ジーメンス ジーメンス・ウント・ハルスケ電信製造所の創設者。西暦1,849年1月11日のヴォルフ電報局設立に際し、其の従兄弟の弁護士がベルンハルト・ヴォルフと共同で同局を設立した。ヴォルフ電報局はジーメンスの電信製造所と提携し、情報伝達に必要なインフラを確保する事で、電信の利用で優位に立った。
- オーギュスト・アヴァス シャルル・ルイ・アヴァスの弐男。西暦1,858年5月21日の父の死去に伴い、アヴァス通信社のオーナーの座を引き継いだ。西暦1,859年7月15日のパリでの三社協定改定にも、長兄シャルル・ギヨーム・アヴァスと共に立ち会った。
- シャルル・ギヨーム・アヴァス シャルル・ルイ・アヴァスの長男。西暦1,859年7月15日、パリでのベルンハルト・ヴォルフとポール・ジュリアス・ロイターとの三社協定改定に、弟オーギュスト・アヴァスと共に立ち会い、暫定協定を正式協定に進展させた。
- オットー・フォン・ビスマルク 第22代プロイセン王国首相。西暦1,869年6月10日、ポール・ジュリアス・ロイターによるヴォルフ電報局買収に反発したベルンハルト・ヴォルフと提携し、ヴォルフ電報局を「大陸電報社」に改称させた。当時、プロイセン国庫から100,000ターレ/年の資金提供をヴォルフ電報局に行っていた。
- ウジェーヌ・フォン・ロスチャイルド オーストリア・ロスチャイルド商会の一員。西暦1,925年4月28日、キャサリン・ヴォルフと結婚した。ロスチャイルド家とヨーロッパ三大通信社の系譜が婚姻関係によって結び付けられた象徴的な出来事となった。
- キャサリン・ヴォルフ ヴォルフ家の女性。西暦1,925年4月28日、オーストリア・ロスチャイルド商会のウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドと結婚した。
主要な概念・組織
- フランス・ロスチャイルド商会 パリのロスチャイルド家の商会。西暦1,832年、シャルル・ルイ・アヴァスを雇った。3年後の西暦1,835年10月22日に同人物が設立する「アヴァス通信社」の発端となった。
- アヴァス通信社 西暦1,835年10月22日、シャルル・ルイ・アヴァスがパリに設立した世界最初の通信社。西暦1,856年にロイター通信と相場情報交換協定を結び、西暦1,859年7月18日にはストラスブール(現在のフランスのバ・ラン県)のオテルブリオンに在る本社にて、ロイター通信・ヴォルフ電報局と三社協定を結び、ヨーロッパを独占的に取材・配信出来る地域に分割した。
- ヴォルフ電報局 西暦1,849年1月11日、ベルンハルト・ヴォルフとヴェルナー・フォン・ジーメンスの従兄弟の弁護士が、ベルリンのツィンマー通りに設立した電報局。ジーメンス・ウント・ハルスケ電信製造所と提携し、情報伝達インフラを確保した。西暦1,856年に三社情報交換協定に招かれ、ベルリン証券取引所のデータを共有した。西暦1,865年5月1日に株式公開し、ベルンハルト・ヴォルフ・銀行家・プロイセン政府が主な株主となった。
- ロイター通信 西暦1,851年10月10日、ポール・ジュリアス・ロイターがロンドンのシティ地区にある王立取引所の裏に設立した通信社。最初の顧客はライオネル・ド・ロスチャイルドであった。世界中に広がるイギリス植民地の商人ネットワークから届く情報をイギリスの投資家や政府に提供する事で大きな利益を得た。西暦1,909年10月1日に設立されたMI6は同社から派生している。
- ジーメンス・ウント・ハルスケ電信製造所 西暦1,847年にヴェルナー・フォン・ジーメンスが設立した電信製造所。西暦1,849年1月11日のヴォルフ電報局設立に際し、其の従兄弟の弁護士がベルンハルト・ヴォルフと共同設立した縁で提携し、ヴォルフ電報局に情報伝達インフラを提供した。此の提携によりヴォルフ電報局は電信の利用で優位に立った。
- 三社情報交換協定(西暦1,856年) 西暦1,856年、アヴァス通信社とロイター通信が、お互いの国内金融市場に関する相場情報を交換し、首都での取引結果を伝えるという協定。其の後間も無くヴォルフ電報局も招かれ、ベルリン証券取引所のデータを共有する事となった。
- 三社協定(西暦1,859年) 西暦1,859年7月18日、ストラスブール(現在のフランスのバ・ラン県)のオテルブリオンに在るアヴァス通信社本社にて、アヴァス通信社・ロイター通信・ヴォルフ電報局の3社にて、ヨーロッパを分割し、独占的に取材・配信出来る地域を定める協定。3日前の同年7月15日のパリでの協定改定で、情報の交換対象が一般ニュースに拡げられ、暫定協定が正式協定に進展させられたのを受けて、地域分割が定められた。
- 大陸電報社 西暦1,869年6月10日、ベルンハルト・ヴォルフが、ポール・ジュリアス・ロイターによるヴォルフ電報局買収に反発し、第22代プロイセン王国首相オットー・フォン・ビスマルクと提携して、ヴォルフ電報局を改称した会社。報道部門は大陸電報局と呼ばれる様になった。当時ビスマルクはプロイセン国庫から100,000ターレ/年の資金提供を行っていた。
- プロイセン国庫からの資金提供 西暦1,869年6月10日の大陸電報社改称当時、オットー・フォン・ビスマルクがプロイセン国庫からヴォルフ電報局に行っていた100,000ターレ/年の資金提供。プロイセン政府と通信社が一体化した事を示す事象。
- 秘密情報局 西暦1,909年7月、イギリス政府が、帝国防衛委員会の推薦に基づき設立した情報機関。同年10月1日には国外部門として、ロンドンに「MI6(秘密情報部)」が設立された。
- MI6(秘密情報部) 西暦1,909年10月1日、秘密情報局の国外部門として、ロンドンに設立されたイギリスの諜報機関。ロイター通信から派生している。通信社と国家情報機関が一体化していった証左。
- 帝国防衛委員会 イギリスの防衛政策を司る委員会。西暦1,909年7月、其の推薦に基づきイギリス政府が秘密情報局を設立した。
- オーストリア・ロスチャイルド商会 オーストリアのロスチャイルド家の商会。西暦1,925年4月28日、其の一員であるウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドがキャサリン・ヴォルフと結婚した。ロスチャイルド家とヨーロッパ三大通信社の系譜が婚姻関係によって結び付けられた。
フランス・ロスチャイルド商会によるシャルル・ルイ・アヴァスの雇用から、アヴァス通信社・ヴォルフ電報局・ロイター通信の設立、三社協定によるヨーロッパ情報の分割支配、ヴォルフ電報局の株式公開とプロイセン政府出資、オットー・フォン・ビスマルクとの提携による大陸電報社改称、ロイター通信から派生したMI6設立、ウジェーヌ・フォン・ロスチャイルドとキャサリン・ヴォルフの結婚迄──
ロスチャイルド家の手によって三社協定でヨーロッパの情報が掌握されていった93年間の系譜を年月日単位で追跡した一冊。
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