電子書籍「ジェフリー・エプスタインのロリータ・エクスプレス(N908JE・N909JE)飛行記録1995~2015一元化」の表紙

ジェフリー・エプスタインのロリータ・エクスプレス(N908JE・N909JE)
飛行記録1995~2015一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,995年11月17日〜2,015年12月28日
ページ数
337ページ
最新更新日
西暦2,026年7月22日

パームビーチの一件の通報から、勾留中の死、そして共犯者の有罪評決へ──
エプスタイン事件を、司法手続きで確定した経緯を軸に一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

ジェフリー・エプスタインは、金融業で富を築いたアメリカの実業家であった。その名が全米を揺るがす事件として立ち上がったのは、西暦2,005年である。フロリダ州パームビーチで、ある母親が「エプスタインが14歳の娘に性的な行為をした」と地元警察に通報し、捜査が始まった。捜査の過程で、被害を受けた未成年の少女は一人にとどまらないことが明らかになってゆく。本書は、この一件の通報を起点として、エプスタインによる未成年者への性的虐待事件が、どのように立件され、幾度も揺らぎ、最終的に司法の場で決着していったのか──その経緯を、裁判資料や公的機関の記録など、司法手続きで確定した事実を軸に一元化した記録である。

最初の捜査は、異例の幕引きを迎えた。西暦2,007年から2,008年にかけて、当時のフロリダ州南部地区連邦検事アレクサンダー・アコスタの下で、連邦としては訴追しないという「不起訴合意(NPA)」が結ばれる。エプスタインは西暦2,008年6月、州法上の売春勧誘と、18歳未満の未成年者に売春をあっせんした罪の2件で有罪を認め、18ヶ月の刑を言い渡された。だが実際に服役したのは約13ヶ月で、日中は外出できる労役釈放の措置が認められ、性犯罪者としての登録と被害者への賠償を条件に、彼は塀の外へと戻っていった。この合意は被害者に事前に知らされておらず、後に連邦裁判所は、それが被害者の権利に関する法律に反すると判断することになる。「あまりに寛大な取引」への批判は、長く尾を引いた。

事件を再び動かしたのは、一本の調査報道であった。西暦2,018年、地方紙マイアミ・ヘラルドの記者ジュリー・K・ブラウンが、エプスタインの犯罪と2,008年の司法取引の経緯を掘り下げた連載を発表する。埋もれかけていた事件に、再び強い光が当たった。西暦2,019年7月、ニューヨーク南部地区連邦検察がエプスタインを未成年者への性的人身売買などの容疑で逮捕・起訴する。フロリダでの不起訴合意はこの連邦検察を拘束しなかった。しかし裁判が始まる前の同年8月、エプスタインはマンハッタンの勾留施設内で死亡しているのが見つかった。ニューヨーク市の監察医は、これを自殺と結論づけている。事件をめぐる批判の高まりの中で、労働長官に転じていたアコスタも、同年7月に辞任した。

刑事責任の追及は、エプスタインの死で終わらなかった。彼の長年の側近であった英国出身のギレーヌ・マクスウェルが、西暦2,020年7月に連邦当局に逮捕される。西暦2,021年12月、陪審は彼女を、未成年者の性的人身売買を含む6訴因中5訴因で有罪と評決した。翌西暦2,022年6月、連邦地裁のアリソン・ネイサン判事は、少女たちを勧誘・手なずけてエプスタインによる虐待に供したとして、マクスウェルに禁錮20年を言い渡した。エプスタイン本人が裁かれることのなかった罪について、共犯者が有罪判決を受けた瞬間であった(マクスウェル側は控訴している)。

エプスタインが所有した自家用ジェット機は、報道の中で「ロリータ・エクスプレス」と呼ばれ、その飛行記録は後に訴訟を通じて公開記録の一部となった。ただし、本書はこの事件を扱うにあたり、一つの原則を守っている──飛行記録に名前が現れること、あるいはエプスタインと接点があったこと自体は、その人物が彼の犯罪に関与した証拠ではない、ということである。記録に登場する人々の多くは、何ら訴追も告発もされていない。だからこそ本書は、憶測で人物を並べるのではなく、有罪が確定した者、公的機関が下した判断、裁判所が認定した事実に軸足を置く。

エプスタインの遺産財団は、その後、被害者やアメリカ領ヴァージン諸島との間で民事上の和解に応じ、関係した金融機関も相次いで和解金を支払った。関連する裁判記録の開示は現在も続いており、事件はなお公的な検証の対象であり続けている。本書は、二十年近くにわたって幾度も揺らいだこの事件を、確定した司法の記録を軸に、被害当事者の尊厳に配慮しながら一冊に束ねたものである。数の上でしか語られないことの多い被害者たちが、権利の回復を求めて重ねてきた長い法廷闘争こそが、この決着を手繰り寄せた原動力であったことを、本書は記録にとどめる。


登場人物

  • ジェフリー・エプスタイン 本書の中心人物。金融業で富を築いたアメリカの実業家。西暦2,008年、フロリダ州で州法上の売春勧誘と18歳未満の未成年者への売春あっせんの罪を認めて有罪となり、性犯罪者として登録された。西暦2,019年7月、ニューヨーク南部地区連邦検察に未成年者への性的人身売買などの容疑で逮捕・起訴されたが、裁判が始まる前の同年8月、勾留施設内で死亡しているのが見つかった。ニューヨーク市の監察医は自殺と結論づけている。
  • ギレーヌ・マクスウェル エプスタインの長年の側近であった英国出身の人物。西暦2,020年7月に連邦当局に逮捕され、西暦2,021年12月、陪審により未成年者の性的人身売買を含む5訴因で有罪と評決された。西暦2,022年6月、連邦地裁のアリソン・ネイサン判事は、少女たちを勧誘・手なずけてエプスタインによる虐待に供したとして禁錮20年を言い渡した。エプスタイン本人が裁かれなかった罪について有罪判決を受けた共犯者であり、判決を不服として控訴している。
  • アレクサンダー・アコスタ 西暦2,008年当時のフロリダ州南部地区連邦検事。エプスタインを連邦としては訴追しない「不起訴合意(NPA)」をまとめた人物。この合意は被害者に事前に知らされておらず、「あまりに寛大な取引」として長く批判された。後に労働長官に転じたが、西暦2,019年、事件をめぐる批判の高まりの中で辞任した。合衆国司法省は後の内部調査で、彼の判断を「不適切な裁量」と結論づけている。
  • ジュリー・K・ブラウン 地方紙マイアミ・ヘラルドの記者。西暦2,018年、埋もれかけていたエプスタインの犯罪と2,008年の司法取引の経緯を掘り下げた連載を発表し、事件に再び強い光を当てた。この調査報道が、西暦2,019年の連邦検察による再捜査・立件へとつながる大きな契機となった。
  • 被害者(サバイバー)たち エプスタインとマクスウェルによる被害を受けた人々。本書は個人を名指ししないが、彼女たちの存在なくして事件の決着は語れない。西暦2,008年の不起訴合意を無効とするための長い法廷闘争、連邦裁判での証言、そして民事での権利回復の訴えを、被害当事者たちは十年以上にわたって重ねてきた。この粘り強い闘いこそが、二度にわたる連邦の追及と共犯者の有罪判決を手繰り寄せた原動力である。

事件の系譜

  • パームビーチ捜査の開始 西暦2,005年、本書が記録する事件の起点。フロリダ州パームビーチで、ある母親が14歳の娘への性的な行為を地元警察に通報したことから捜査が始まった。捜査の過程で、被害を受けた未成年の少女が一人にとどまらないことが明らかになっていった。
  • 連邦不起訴合意(NPA)と司法取引 西暦2,007〜2,008年、フロリダ州南部地区連邦検事アレクサンダー・アコスタの下で、連邦としては訴追しない不起訴合意が結ばれた。この合意は被害者に事前に知らされておらず、後に連邦裁判所は被害者の権利に関する法律に反すると判断した。「あまりに寛大な取引」への批判は長く尾を引いた。
  • 州法での有罪答弁と服役 西暦2,008年6月、エプスタインは州法上の売春勧誘と18歳未満の未成年者への売春あっせんの罪を認め、18ヶ月の刑を言い渡された。だが実際の服役は約13ヶ月にとどまり、日中は外出できる労役釈放が認められ、性犯罪者としての登録と被害者への賠償を条件に釈放された。
  • マイアミ・ヘラルドの調査報道 西暦2,018年、記者ジュリー・K・ブラウンが、エプスタインの犯罪と2,008年の司法取引の経緯を掘り下げた連載を発表した。埋もれかけていた事件に再び強い光が当たり、翌年の連邦検察による再捜査・立件の大きな契機となった。
  • 連邦訴追と勾留中の死 西暦2,019年7月、ニューヨーク南部地区連邦検察がエプスタインを未成年者への性的人身売買などの容疑で逮捕・起訴した。フロリダでの不起訴合意はこの連邦検察を拘束しなかった。しかし裁判が始まる前の同年8月、エプスタインはマンハッタンの勾留施設内で死亡し、ニューヨーク市の監察医は自殺と結論づけた。
  • マクスウェルの逮捕 西暦2,020年7月、エプスタインの長年の側近であったギレーヌ・マクスウェルが連邦当局に逮捕された。エプスタインの死で終わらなかった刑事責任の追及が、共犯者へと向かった局面である。
  • マクスウェルの有罪評決 西暦2,021年12月、陪審はマクスウェルを、未成年者の性的人身売買を含む6訴因中5訴因で有罪と評決した。エプスタイン本人が裁かれることのなかった罪について、共犯者の刑事責任が認定された。
  • マクスウェルの量刑(禁錮20年) 西暦2,022年6月、連邦地裁のアリソン・ネイサン判事は、少女たちを勧誘・手なずけてエプスタインによる虐待に供したとして、マクスウェルに禁錮20年を言い渡した。マクスウェル側はこの判決を不服として控訴している。
  • 民事和解と継続する記録開示 エプスタインの遺産財団は、被害者やアメリカ領ヴァージン諸島との間で民事上の和解に応じ、関係した金融機関も相次いで和解金を支払った。関連する裁判記録の開示は現在も続いており、事件はなお公的な検証の対象であり続けている。

寛大すぎた司法取引から、共犯者への禁錮20年判決まで──
エプスタイン事件を、確定した司法の記録を軸に一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeニコニコでも情報を発信中。