電子書籍「リーマン・ブラザースの前身クーン・ローブ商会共同設立者のエイブラハム・クーンとソロモン・ローブ一元化」の表紙

リーマン・ブラザースの前身
クーン・ローブ商会共同設立者の
エイブラハム・クーンと
ソロモン・ローブ一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦1,785年〜西暦1,923年
最新更新日
西暦2,026年1月14日

フランクフルト・ゲットー、ラファイエット、シンシナティ、ニューヨーク・ウォール街──
緑の盾でのロスチャイルド家とシフ家の同居から関東大震災後の凋落迄、138年に亘るクーン・ローブ商会の足跡を年月日単位で追跡した一冊。

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本書について

西暦1,785年、メイヤー・アムシェル・ロスチャイルドはフランクフルトのゲットーにあるユーデンガッセ148番地の5階建ての家「緑の盾」に移り住んだ。此の建物の内部は2つの区画に分かれ、一方にロスチャイルド家が住み、もう一方にはシフ家が住んでいた。ロスチャイルド家の側には赤い盾が、シフ家の側には船が描かれ、両家の姓の由来となった。本書は、此の同居から、エイブラハム・クーンとソロモン・ローブによるクーン・ローブ商会設立、ジェイコブ・シフによる発展、ウォーバーグ家との縁戚化、そして西暦1,923年9月1日11:58の関東大震災後の井上準之助によるJ.P.モルガン商会選択迄、リーマン・ブラザースの前身クーン・ローブ商会共同設立者の138年に亘る活動を、一本の時系列に貫き、一元化した一冊である。

西暦1,839年、エイブラハム・クーンが兄のソロモン・クーン・マックス・クーンと共に、生まれ故郷のヘッセン大公国のハルックスハイムからニューヨークへ移住した。西暦1,849年、行商人としてアメリカのインディアナ州で衣類の卸売業を経営して生計を立てていたエイブラハム・クーンは、親戚のソロモン・ローブを呼び寄せ、エイブラハムはソロモン・ローブの妹レジーナ・ローブと結婚し、ソロモンはエイブラハムの妹と結婚した。斯うしてエイブラハムとソロモンは共同経営者となった。翌西暦1,850年、エイブラハム・クーンは義兄であるソロモン・ローブとラファイエット(インディアナ州)にて商品販売会社のゼネラル・パートナーシップを締結した。

西暦1,860年、エイブラハム・クーンとソロモン・ローブは経営する商品販売会社を紳士服メーカーに転身させ「クーン・ネッター社」とし、其の後シンシナティ(オハイオ州)で乾物商として成功を収め、軍服の製造・供給で財を成した。西暦1,861年、ジェイコブ・シフが見習いとして銀行や証券会社に就職した(敬虔なユダヤ教徒であった父のモーゼス・シフとは折り合いが悪かった)。西暦1,865年、エイブラハム・クーンとソロモン・ローブはサミュエル・ウォルフと共に、経営するクーン・ネッター社を衣料品事業から銀行事業に転身させた。同年8月6日、ジェイコブ・シフはイギリスのロスチャイルド家の代理人としてニューヨークに到着し、其の後はニューヨークの商社で働き始めた。翌西暦1,866年11月21日にはシフが株式仲買業者のフランク・アンド・ガンズ社に雇われブローカーとなった。

西暦1,867年、エイブラハム・クーンとソロモン・ローブは「クーン・ローブ商会」をニューヨークに設立した。資本金は500,000ドルであった。設立当初のクーン・ローブ商会は公債と鉄道債券を取り扱った。西暦1,865年の南北戦争終結後、アメリカ国内は鉄道建設事業が盛んで、事業資金の巨大な需要が有った。クーン・ローブ商会は西暦1,870年代に入ると、イギリス・ロスチャイルド商会やウォーバーグ家との交友関係を利用し、アメリカの鉄道会社の発行する債券をヨーロッパの銀行等に売り捌き、其の後逆にヨーロッパ各国の政府・企業が発行する債券をアメリカの投資家に売り捌く事となった。同年、ヘンリー・バッジとジェイコブ・シフは「バッジ・シフ商会」を設立し共同経営者となった。

西暦1,869年、エイブラハム・クーンは妻の死去により、クーン・ローブ商会の経営への直接的な関与を止め、幼い娘アイーダ・エミリーと共にフランクフルトのフォイヤバッハ通り14番の大きな庭のある家に居を構え、以降も西暦1,887年迄パートナーとしてクーン・ローブ商会に関与した。西暦1,870年8月1日、ジェイコブ・シフはホレス・ブリガム・クラフリン・マーセラス・ハートレー・ロバート・リビングストン・カッティング・ジョセフ・セリグマンと共に「ニューヨーク・コンチネンタル銀行」を設立した。西暦1,872年、ヘンリー・バッジが家庭の事情でドイツに戻る事となりバッジ・シフ商会が解散し、シフもドイツに帰国した。西暦1,873年には「ロンドン&ハンゼアティック銀行」が設立されシフが同行ハンブルク支店支店長に就任、同年8月24日にはロスチャイルド家のブローカーであった父モーゼス・シフが死去し、シフはハンブルクのウォーバーグ銀行から誘いを受けていたものの、生まれ故郷のフランクフルトへ戻り、其処でエイブラハム・クーンと出会い外国為替取引の知識を認められた。

西暦1,874年、ジェイコブ・シフはエイブラハム・クーンの誘いを受けニューヨークへ戻った。翌西暦1,875年1月1日、シフはエイブラハム・クーンの招待を受けてクーン・ローブ商会に入社した。クーンが銀行家ジャック・ドレフュスの自宅でシフと会った事が切っ掛けであった。シフはアーネスト・カッセル・投資信託会社創業者ロバート・フレミング・パリ銀行経営者エドゥアール・ノーツリンとの人脈をクーン・ローブ商会に持ち込み、収入の10%を必ず慈善事業に寄付した。同年5月6日、シフはソロモン・ローブの長女テレーズ・ローブと結婚しパートナーに昇進した。西暦1,877年、クーン・ローブ商会はシカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道に融資を行い、此れを機に鉄道融資に参入した。西暦1,881年にはペンシルバニア鉄道とミルウォーキー鉄道に融資を行った。

西暦1,885年、ソロモン・ローブが第一線から退き、ジェイコブ・シフがクーン・ローブ商会の代表に就任した。此の頃、アメリカ国内の鉄道建設が最盛期を迎え、クーン・ローブ商会は12以上の鉄道に融資した。西暦1,888年、第11代レディング鉄道社長オースティン・コービンが土地開発からユダヤ人を締め出した事を受け、シフはクーン・ローブ商会として社債の売り出しには協力しないと通告した。同年、ソロモン・ローブの弐男ジェームズ・ローブがクーン・ローブ商会に入社した。西暦1,892年、ニューヨーク・オンタリオ・アンド・ウエスタン鉄道が反ユダヤ人のパンフレットを配布し、シフは同様に社債の売り出しに協力しないと通告し、後に同鉄道は謝罪した。同年5月30日、エイブラハム・クーンがフランクフルトにて死去した。

西暦1,893年2月23日、ペンシルベニア州及び其の周辺の州で運行していたレディング鉄道が破産した。此れに端を発した恐慌が発生し、経営難に陥るアメリカの鉄道会社が続出した。J.P.モルガン商会を始めとする投資会社が、再建・整理・統合の主導権を握った。クーン・ローブ商会もユニオン・パシフィック鉄道を買収し再編に尽力し、ジェイコブ・シフはエドワード・ヘンリー・ハリマンと提携して名声を高めた。クーン・ローブ商会は此の頃から西暦1,900年代初頭に掛けて、ウォール街にてJ.P.モルガン商会に次ぐ地位を確立し、主な顧客はウエスタンユニオン社・ポラロイド社・ウェスチングハウス・エレクトリック&マニュファクチャリング・カンパニー・グッドイヤー社・アメリカン・スメルティング・アンド・リファイニング社等であった。西暦1,895年10月1日、銀行家ポール・ウォーバーグがソロモン・ローブの娘ニーナ・J・ローブと結婚した。

西暦1,897年7月1日、ユニオン・パシフィック鉄道の後身として「ユニオン・パシフィック・レールロード社」が設立され、クーン・ローブ商会は同社との取引を通じアメリカの鉄道金融の主要な担い手としての地位を確立した。西暦1,899年、ソロモン・ローブがクーン・ローブ商会を退職し、其の後不動産業へと進出した。西暦1,901年、ジェームズ・ローブがクーン・ローブ商会を退職した。同年5月、クーン・ローブ商会の資金提供を受けたエドワード・ヘンリー・ハリマンが、ジェームズ・ジェローム・ヒル及びJ.P.モルガン商会と争った結果、ノーザン・パシフィック鉄道の経営権を獲得し、此れは恐慌を引き起こした。西暦1,902年、ポール・ウォーバーグがニューヨークに定住を始め、ジェイコブ・シフの妻テレーズ・ローブの妹と結婚しクーン・ローブ商会のパートナーとなった。同年、ポールの弟でモーリッツ・モーゼス・ウォーバーグの四男フェリックス・ウォーバーグがジェイコブ・シフの娘フリーダ・シフと結婚し、同様にパートナーとなった。

西暦1,903年12月12日、ソロモン・ローブが死去した。西暦1,908年8月31日、ジェイコブ・シフが高橋是清に、日本の投資負担を取り除く為に、南満洲鉄道のエドワード・ヘンリー・ハリマンへの売却を提案する主旨の書簡を送った。西暦1,910年2月、ポール・ウォーバーグがアメリカの金融機関であるウェルズ・ファーゴ社の取締役に就任した。西暦1,911年、クーン・ローブ商会とロックフェラー家が提携し、同年JPモルガン・チェースの前身に当たるエクイタブル・トラスト・カンパニーの支配権を獲得した。西暦1,914年9月、ポール・ウォーバーグがFRBの委員に任命される為にウェルズ・ファーゴ社の取締役を辞任し、後任には義兄のジェイコブ・シフが就いた。西暦1,923年9月1日11:58、関東大震災が発生し、日本は震災復興の為のニューヨークの外債発行を計画したが、第23代大蔵大臣井上準之助は、第一次世界大戦でのアメリカの反独感情の高まりにより、ジェイコブ・シフ等のドイツ系ユダヤ人の経営するクーン・ローブ商会の影響力に陰りが出て来た事や、高橋是清への対抗心から、クーン・ローブ商会では無くライバルのJ.P.モルガン商会を選択した。本書は、此の138年に亘るクーン・ローブ商会共同設立者の足跡を、年月日単位で記録した年表である。


登場人物

  • エイブラハム・クーン クーン・ローブ商会共同設立者の1人。西暦1,839年に生まれ故郷のヘッセン大公国のハルックスハイムからニューヨークへ移住。インディアナ州で衣類の卸売業を経営し、西暦1,849年に親戚のソロモン・ローブを呼び寄せ、ローブの妹レジーナと結婚。西暦1,867年にニューヨークでクーン・ローブ商会を設立。西暦1,869年に妻の死去によりフランクフルトに居を構え経営から退いたが、西暦1,887年迄パートナーとして関与。西暦1,875年にジェイコブ・シフをクーン・ローブ商会に招待した。西暦1,892年5月30日にフランクフルトで死去。
  • ソロモン・ローブ クーン・ローブ商会共同設立者の1人。エイブラハム・クーンの義兄。西暦1,849年にクーンに呼び寄せられクーンの妹と結婚。西暦1,850年にラファイエットで商品販売会社のゼネラル・パートナーシップを締結。西暦1,867年にクーン・ローブ商会を共同設立。西暦1,875年5月6日に長女テレーズ・ローブがジェイコブ・シフと結婚。西暦1,885年に第一線から退き、シフが代表に就任。西暦1,899年にクーン・ローブ商会を退職し不動産業へ進出。西暦1,903年12月12日に死去。
  • ジェイコブ・シフ クーン・ローブ商会の発展を担った人物。西暦1,861年に銀行や証券会社に見習いとして就職。西暦1,865年8月6日にイギリスのロスチャイルド家の代理人としてニューヨークに到着。西暦1,867年にバッジ・シフ商会を設立、西暦1,870年にニューヨーク・コンチネンタル銀行を設立。西暦1,873年にロンドン&ハンゼアティック銀行ハンブルク支店長に就任。西暦1,875年1月1日にクーン・ローブ商会入社、同年5月6日にテレーズ・ローブと結婚しパートナー昇進。西暦1,885年に代表就任。西暦1,888年・西暦1,892年に反ユダヤ的鉄道会社への協力を拒否。西暦1,908年に高橋是清に南満洲鉄道売却を提案。西暦1,914年9月にウェルズ・ファーゴ社取締役に就任。収入の10%を必ず慈善事業に寄付した。
  • メイヤー・アムシェル・ロスチャイルド ロスチャイルド家の祖。西暦1,785年にフランクフルトのゲットーにあるユーデンガッセ148番地の5階建ての家「緑の盾」に移り住み、シフ家と同居した。ロスチャイルド家の側には赤い盾が描かれ、姓の由来となった。
  • モーゼス・シフ ジェイコブ・シフの父。敬虔なユダヤ教徒。ロスチャイルド家のブローカーであった。息子ジェイコブとは折り合いが悪かった。西暦1,873年8月24日に死去。
  • ソロモン・クーン エイブラハム・クーンの兄。西暦1,839年にエイブラハム・マックスと共に、ヘッセン大公国のハルックスハイムからニューヨークへ移住した。
  • マックス・クーン エイブラハム・クーンの兄。西暦1,839年にエイブラハム・ソロモンと共に、ヘッセン大公国のハルックスハイムからニューヨークへ移住した。
  • レジーナ・ローブ ソロモン・ローブの妹。西暦1,849年にエイブラハム・クーンと結婚した。
  • サミュエル・ウォルフ 西暦1,865年にエイブラハム・クーンとソロモン・ローブと共に、クーン・ネッター社を衣料品事業から銀行事業に転身させた人物。
  • アイーダ エイブラハム・クーンの娘。西暦1,869年にエイブラハム・エミリーと共にフランクフルトのフォイヤバッハ通り14番の大きな庭のある家に居を構えた。
  • エミリー エイブラハム・クーンの娘。西暦1,869年にエイブラハム・アイーダと共にフランクフルトのフォイヤバッハ通り14番の大きな庭のある家に居を構えた。
  • ヘンリー・バッジ 西暦1,867年にジェイコブ・シフと「バッジ・シフ商会」を設立した人物。西暦1,872年に家庭の事情でドイツに戻る事となり、同社が解散した。
  • ホレス・ブリガム・クラフリン 乾物の卸売会社「バルクリー&クラフリン」創業者。西暦1,870年8月1日にジェイコブ・シフ等と共に「ニューヨーク・コンチネンタル銀行」を設立した。
  • マーセラス・ハートレー 武器商人。西暦1,870年8月1日にジェイコブ・シフ等と共に「ニューヨーク・コンチネンタル銀行」を設立した。
  • ロバート・リビングストン・カッティング ニューヨーク証券取引所の人物。西暦1,870年8月1日にジェイコブ・シフ等と共に「ニューヨーク・コンチネンタル銀行」を設立した。
  • ジョセフ・セリグマン 西暦1,870年8月1日にジェイコブ・シフ等と共に「ニューヨーク・コンチネンタル銀行」を設立した人物。
  • ジャック・ドレフュス 銀行家。西暦1,875年1月1日のジェイコブ・シフのクーン・ローブ商会入社の切っ掛けとなった人物。クーンが此の人物の自宅でシフと会った。
  • アーネスト・カッセル ジェイコブ・シフがクーン・ローブ商会に持ち込んだ人脈の1人。シフとは家族ぐるみの関係であり、イギリス王室とも親しかった。
  • ロバート・フレミング 投資信託会社創業者。ジェイコブ・シフがクーン・ローブ商会に持ち込んだ人脈の1人。
  • エドゥアール・ノーツリン パリ銀行経営者。ジェイコブ・シフがクーン・ローブ商会に持ち込んだ人脈の1人。
  • テレーズ・ローブ ソロモン・ローブの長女。西暦1,875年5月6日にジェイコブ・シフと結婚した。
  • オースティン・コービン 第11代レディング鉄道社長。西暦1,888年に土地開発からユダヤ人を締め出した。此れを受けジェイコブ・シフはクーン・ローブ商会として社債の売り出しに協力しないと通告した。
  • ジェームズ・ローブ ソロモン・ローブの弐男。西暦1,888年にクーン・ローブ商会に入社、西暦1,901年に退職した。
  • エドワード・ヘンリー・ハリマン アメリカの実業家。西暦1,893年の恐慌後、ジェイコブ・シフが提携し名声を高めた相手。西暦1,901年5月、クーン・ローブ商会の資金提供を受けてジェームズ・ジェローム・ヒル及びJ.P.モルガン商会と争いノーザン・パシフィック鉄道の経営権を獲得し、恐慌を引き起こした。西暦1,908年にはシフから南満洲鉄道売却の打診相手となった。
  • ポール・ウォーバーグ 銀行家。西暦1,895年10月1日にソロモン・ローブの娘ニーナ・J・ローブと結婚。西暦1,902年にニューヨーク定住を始め、ジェイコブ・シフの妻テレーズ・ローブの妹と結婚しクーン・ローブ商会のパートナーとなり、エマヌエル寺院の会員となった。西暦1,910年2月にウェルズ・ファーゴ社取締役に就任、西暦1,914年9月にFRB委員任命の為に同職を辞任した。
  • ニーナ・J・ローブ ソロモン・ローブの娘。西暦1,895年10月1日にポール・ウォーバーグと結婚した。
  • モーリッツ・モーゼス・ウォーバーグ ポール・ウォーバーグとフェリックス・ウォーバーグの父。フェリックスは四男に当たる。
  • フェリックス・ウォーバーグ モーリッツ・モーゼス・ウォーバーグの四男でポール・ウォーバーグの弟。西暦1,902年にジェイコブ・シフの娘フリーダ・シフと結婚し、ポールと同様にクーン・ローブ商会のパートナーとなった。
  • フリーダ・シフ ジェイコブ・シフの娘。西暦1,902年にフェリックス・ウォーバーグと結婚した。
  • ジェームズ・ジェローム・ヒル アメリカの鉄道経営者。西暦1,901年5月、エドワード・ヘンリー・ハリマンとノーザン・パシフィック鉄道の経営権を巡り争ったが、敗れた。
  • 高橋是清 西暦1,908年8月31日にジェイコブ・シフから日本の投資負担を取り除く為に南満洲鉄道のエドワード・ヘンリー・ハリマンへの売却を提案する書簡を受け取った人物。西暦1,923年9月1日の関東大震災後に第23代大蔵大臣井上準之助の対抗心の対象となった。
  • 井上準之助 第23代大蔵大臣。西暦1,923年9月1日11:58の関東大震災後、震災復興の為のニューヨークの外債発行を計画する際、第一次世界大戦でのアメリカの反独感情の高まりによりクーン・ローブ商会の影響力に陰りが出て来た事や、高橋是清への対抗心から、クーン・ローブ商会では無くライバルのJ.P.モルガン商会を選択した。

主要な概念・組織

  • 緑の盾 フランクフルトのゲットーにあるユーデンガッセ148番地の5階建ての家。西暦1,785年にメイヤー・アムシェル・ロスチャイルドが移り住んだ。建物の内部は2つの区画に分かれ、一方にロスチャイルド家、もう一方にシフ家が住んでいた。ロスチャイルド家の側には赤い盾が、シフ家の側には船が描かれ、両家の姓の由来となった。
  • ユーデンガッセ フランクフルトのゲットー。148番地に「緑の盾」があり、ロスチャイルド家とシフ家が同居していた。
  • クーン・ネッター社 西暦1,860年にエイブラハム・クーンとソロモン・ローブが商品販売会社を紳士服メーカーに転身させて作った会社。シンシナティ(オハイオ州)で乾物商として成功し軍服の製造・供給で財を成した。西暦1,865年にサミュエル・ウォルフと共に衣料品事業から銀行事業に転身した。
  • クーン・ローブ商会 リーマン・ブラザースの前身。西暦1,867年にエイブラハム・クーンとソロモン・ローブがニューヨークに設立。資本金500,000ドル。設立当初は公債と鉄道債券を取り扱い、西暦1,870年代以降はイギリス・ロスチャイルド商会やウォーバーグ家との交友関係を利用しアメリカの鉄道会社の発行する債券をヨーロッパの銀行等に売り捌いた。西暦1,893年の恐慌後、ウォール街にてJ.P.モルガン商会に次ぐ地位を確立。西暦1,911年にロックフェラー家と提携、エクイタブル・トラスト・カンパニーの支配権を獲得した。
  • バッジ・シフ商会 西暦1,867年にヘンリー・バッジとジェイコブ・シフが共同経営者として設立した商会。西暦1,872年にバッジが家庭の事情でドイツに戻る事となり解散した。
  • ニューヨーク・コンチネンタル銀行 西暦1,870年8月1日にジェイコブ・シフがホレス・ブリガム・クラフリン・マーセラス・ハートレー・ロバート・リビングストン・カッティング・ジョセフ・セリグマンと共に設立した銀行。
  • ロンドン&ハンゼアティック銀行 西暦1,873年に設立された銀行。ジェイコブ・シフが同行ハンブルク支店支店長に就任した。
  • シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道 西暦1,877年にクーン・ローブ商会が融資を行った鉄道会社。クーン・ローブ商会の鉄道融資参入の切っ掛けとなった。
  • ペンシルバニア鉄道 西暦1,881年にクーン・ローブ商会が融資を行った鉄道会社。
  • ミルウォーキー鉄道 西暦1,881年にクーン・ローブ商会が融資を行った鉄道会社。
  • レディング鉄道 ペンシルベニア州及び其の周辺の州で運行していた鉄道会社。第11代社長オースティン・コービンが西暦1,888年に土地開発からユダヤ人を締め出した。西暦1,893年2月23日に破産し、此れに端を発した恐慌が発生した。
  • ニューヨーク・オンタリオ・アンド・ウエスタン鉄道 西暦1,892年に反ユダヤ人のパンフレットを配布した鉄道会社。ジェイコブ・シフは社債の売り出しに協力しないと通告し、後に同社は謝罪した。
  • ユニオン・パシフィック鉄道 西暦1,893年の恐慌後、クーン・ローブ商会が買収し再編に尽力した鉄道会社。
  • ユニオン・パシフィック・レールロード社 西暦1,897年7月1日にユニオン・パシフィック鉄道の後身として設立された会社。クーン・ローブ商会は同社との取引を通じアメリカの鉄道金融の主要な担い手としての地位を確立した。
  • ノーザン・パシフィック鉄道 西暦1,901年5月、クーン・ローブ商会の資金提供を受けたエドワード・ヘンリー・ハリマンが、ジェームズ・ジェローム・ヒル及びJ.P.モルガン商会と争った結果、経営権を獲得した鉄道会社。此れは恐慌を引き起こした。
  • エマヌエル寺院 アメリカのニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区イースト65番ストリートにある寺院。西暦1,902年のニューヨーク定住後、ポール・ウォーバーグが会員となった。
  • ウェルズ・ファーゴ社 アメリカの金融機関。西暦1,910年2月にポール・ウォーバーグが取締役に就任、西暦1,914年9月にFRB委員任命の為に辞任し、後任には義兄のジェイコブ・シフが就いた。
  • エクイタブル・トラスト・カンパニー JPモルガン・チェースの前身に当たる会社。西暦1,911年にクーン・ローブ商会とロックフェラー家が提携し、其の支配権を獲得した。
  • FRB 連邦準備制度理事会。西暦1,914年9月にポール・ウォーバーグが委員に任命された。
  • 南満洲鉄道 西暦1,908年8月31日にジェイコブ・シフが高橋是清に対し、日本の投資負担を取り除く為にエドワード・ヘンリー・ハリマンへの売却を提案した鉄道。
  • 関東大震災 西暦1,923年9月1日11:58に発生した震災。日本は震災復興の為のニューヨークの外債発行を計画したが、第23代大蔵大臣井上準之助は、第一次世界大戦でのアメリカの反独感情の高まりによりクーン・ローブ商会の影響力に陰りが出て来た事や、高橋是清への対抗心から、クーン・ローブ商会では無くライバルのJ.P.モルガン商会を選択した。
  • J.P.モルガン商会 クーン・ローブ商会のライバルとなった投資会社。西暦1,893年のレディング鉄道破産による恐慌後、再建・整理・統合の主導権を握った。西暦1,901年5月のノーザン・パシフィック鉄道経営権争いではエドワード・ヘンリー・ハリマンに敗れた。西暦1,923年の関東大震災後、井上準之助によりクーン・ローブ商会の代わりに選択された。

緑の盾でのロスチャイルド家とシフ家の同居から、クーン・ローブ商会設立、ウォーバーグ家との縁戚化、FRB委員任命、関東大震災後の凋落迄──
リーマン・ブラザースの前身クーン・ローブ商会共同設立者の138年に亘る足跡を年月日単位で追跡した一冊。

JPY 200(税込)

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石田晋一

歴史データベース「一元化」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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