特別会計・特殊法人の廃止を訴え暗殺された石井紘基議員一元化
西暦1,993年の石井紘基の衆議院議員初当選、西暦1,994年以降の国政調査権を駆使した住宅・都市整備公団とファミリー企業・天下りの追及、西暦1,999年の日本道路公団と特別会計への批判、西暦2,002年の著書『日本が自滅する日』『だれも知らない日本国の裏帳簿』の出版、西暦1,995年以降の成城教会の設立を巡る反対運動、西暦2,002年10月25日の自宅前での暗殺、西暦2,004年〜2,005年の伊藤白水の裁判、西暦2,006年の週刊新潮の獄中インタビュー迄──
石井紘基による官制経済への追及と、未解明のまま残されたその死を巡る系譜を年月日単位で追跡した一冊。
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本書について
西暦1,993年7月18日、日本新党から出馬した石井紘基が、第40回衆議院議員総選挙にて初当選した。翌西暦1,994年、石井は、建設会社を経営する友人から、住宅・都市整備公団の営繕工事の入札がいつも同公団の子会社である日本総合住生活株式会社に落札されてしまうという訴えを聞いた。これを公金の私物化と捉えた石井は、国会議員の特権である国政調査権を駆使し、同公団の出資額や子会社の財務資料の提出を求めた。建設省は資料を出し渋ったが、石井は執念深く調査を続けた。
石井が突き止めたのは、住宅・都市整備公団からの出資・寄付により株式会社24社・営利財団6法人が設立され、その子会社全体への天下り役人が100名を超え、日本総合住生活社1社の売上が年間1,600億円規模で、同公団東京支社の発注契約の7割を占めるという構造であった。石井は、その後も他の特殊法人や公益法人へと調査を広げ、発注操作・放漫経営・ファミリー企業への天下りを調べ上げ、特殊法人を巡る国会議員の利権の縄張りにも目を向けた。
西暦1,995年から西暦1,997年にかけて、石井は、東京都世田谷区成城における統一教会の教会施設の設立を巡る住民の反対運動を支持し、同教会への批判活動を行った。本書では、この問題に石井が関与する中で「統一教会の息の掛かった政治家が随分居る様だ」との地元住民の証言を得たとされる。施設の設立は、反対運動と訴訟、賃貸借契約の解除を経て、最終的に別の場所へ移転して継続した。一方この時期、石井は、弁護士紀藤正樹と「オウム真理教問題を考える国会議員の会」を発足させ、地下鉄サリン事件の被害者救済にも取り組んだ。
西暦1,997年6月3日、石井は、第140回国会の行政改革に関する特別委員会で、住宅・都市整備公団と日本総合住生活社の関係を公然と追及した。西暦1,998年には防衛庁の装備品調達を巡る工数水増し疑惑を、西暦1,999年には日本道路公団のファミリー企業(子会社・孫会社約700社)への資金流用を追及した。石井は、特殊法人77団体・関連法人1200社・ファミリー企業2000社超に300万名が就業する構造を「官制経済」と呼び、その廃止と民営化を提唱した。同年、石井は、民主党の有志13名と共に「政治と行政の不正を監視する民主党有志の会(民主党国会Gメン)」を立ち上げた。
西暦2,001年、石井は、決算行政監視委員会で、一般会計の背後にある特別会計の巨大さを指摘し、財務大臣経験者でさえ国家予算の総額を即答できないという財政の不透明さを露呈させた。西暦2,002年には、著書『日本が自滅する日―「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』と『だれも知らない日本国の裏帳簿』を相次いで出版した。本書では、石井が、国会で審議されない特別会計にメスを入れれば消費税は不要であると訴え、財政の実態が国民に知らされないまま経済が崩壊したアルゼンチンと日本を重ね合わせた、とされる。
西暦2,002年10月、石井の周辺で不穏な出来事が続いた。本書では、石井が友人に身辺への注意を促す書簡を送り、車で追われて知人の事務所に駆け込み、何者かに暴行を受けて負傷した、とされる。石井は家族に、国家を揺るがす情報を掴んだことや、10月28日の国会質問で与党がひっくり返るという主旨の発言をしたとされる。そして西暦2,002年10月25日午前、石井は、自宅駐車場で国会へ向かおうとしたところを、伊藤白水に柳刃包丁で刺され、殺害された。石井が国会質問用に携えていた証拠資料と手帳は、現場から持ち去られた。
伊藤白水は、犯行の動機を一貫して金銭トラブルであると供述した。しかし石井が所持していた現金は持ち去られておらず、西暦2,005年11月15日、最高裁判所は、金銭トラブルという動機の信用性を否定しながらも、真相の究明は難しいとして、無期懲役を確定させた。西暦2,006年9月、千葉刑務所に収監中の伊藤は、週刊新潮の取材に応じ、本書では、伊藤が「殺害は頼まれてやった」「自分に罪を被せた」と語った一方で、黒幕については最後まで語らなかった、とされる。本書は、石井紘基が遺した官制経済への問いと、未解明のまま残されたその死を巡る系譜を、年月日単位で記録した年表である。
登場人物
- 石井紘基 本書の中心人物。西暦1,993年に衆議院議員に初当選した。国政調査権を駆使して特別会計・特殊法人・ファミリー企業・天下りの構造を追及し、著書『日本が自滅する日』『だれも知らない日本国の裏帳簿』を著した。西暦2,002年10月25日、自宅前で暗殺された。
- 伊藤白水 右翼団体の代表を名乗った人物。西暦2,002年10月25日に石井紘基を殺害したとして無期懲役が確定した。動機を金銭トラブルと供述したが、最高裁はその信用性を否定した。西暦2,006年の週刊新潮の取材では、本書によれば「頼まれてやった」と語りつつ黒幕は明かさなかったとされる。
- 石井ターニャ 石井紘基の娘。父の死後、約束された党による資料調査が果たされなかったことを受け、紘基が10年掛けて集めた資料を自宅に持ち込み、独自に調査することを決意した。
- 紀藤正樹 全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属する弁護士。西暦1,995年に石井紘基と共に「オウム真理教問題を考える国会議員の会」を発足させた。
- 菅直人・江田五月 石井紘基の死後、西暦2,003年2月11日に、紘基が遺した63箱の資料の解明作業に着手した民主党幹部。本書では、徹底調査を約束したものの、それが果たされることはなかったとされる。
主要な概念・組織
- 特別会計 一般会計とは別に、特定の事業や資金を経理するために設けられた国の会計。本書では、石井紘基が、国会で十分に審議されないこの特別会計こそ財政の不透明さの核心であると訴えたとされる。
- 特殊法人とファミリー企業 国の出資等により設立された法人と、その子会社・孫会社群。石井紘基は、住宅・都市整備公団や日本道路公団を例に、本体が赤字を抱える一方で関連企業が黒字を生む構造と、天下りの実態を追及した。
- 官制経済 石井紘基が、中央集権・官僚制・計画経済を三原則として定義した概念。著書『日本が自滅する日』で、石井は、日本がソ連型の官僚制国家資本主義と同じ道を辿る可能性を警告したとされる。
- 国政調査権 国会及び国会議員に認められた、国政に関する調査の権限。石井紘基は、この権限を駆使して、行政側が出し渋る財務資料の提出を求め、特殊法人を巡る構造を解明した。
- 民主党国会Gメン 西暦1,999年11月16日、石井紘基を含む民主党の有志14名が、公共事業を巡る予算の無駄づかいや不正の調査・追及を意図して立ち上げた「政治と行政の不正を監視する民主党有志の会」。
- 石井紘基の遺した資料 石井紘基が約10年掛けて収集した、特別会計や特殊法人を巡る調査資料。暗殺当日に国会質問用の証拠資料が現場から持ち去られた一方、自宅等には63箱のダンボールが残された。
西暦1,993年の石井紘基の衆議院議員初当選、西暦1,994年以降の国政調査権を駆使した住宅・都市整備公団とファミリー企業・天下りの追及、西暦1,999年の日本道路公団と特別会計への批判・民主党国会Gメンの結成、西暦2,002年の著書『日本が自滅する日』『だれも知らない日本国の裏帳簿』の出版、西暦1,995年以降の成城教会の設立を巡る反対運動、西暦2,002年10月25日の自宅前での暗殺、西暦2,004年〜2,005年の伊藤白水の裁判、西暦2,006年の週刊新潮の獄中インタビュー迄──
石井紘基による官制経済への追及と、未解明のまま残されたその死を巡る系譜を年月日単位で追跡した一冊。
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