電子書籍「ビル&メリンダ・ゲイツ財団とBARDAが開発を促進するモデルナ社製鳥インフルエンザワクチン一元化」の表紙

ビル&メリンダ・ゲイツ財団と
BARDAが開発を促進する
モデルナ社製鳥インフルエンザ
ワクチン一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,012年〜2,025年1月17日
ページ数
8ページ
文字数
1,956字
最新更新日
西暦2,026年8月19日

西暦2,012年、GHICは「世界の健康向上」を名目に生まれた──
ゲイツ財団とBARDAがモデルナ社へ注いだ資金の流れを一元化。

139円(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦2,012年、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援の下、JPモルガン・チェースの協力を得て、「世界の健康向上と健康安全保障の強化」を名目に「GHIC(グローバルヘルス・インベストメント・コーポレーション)」が設立される。同時に「GHIF(グローバルヘルス・インベストメント・ファンド)」も発足した。ドイツ政府はBMZ(ドイツ経済協力開発省)とKfW(復興金融公庫)開発銀行を通じ、初期助成金を以ってGHICの資本化を支援している。GHIFのステークホルダー及び投資機関には、グランド・チャレンジズ・カナダ、SIDA(スウェーデン国際開発庁)、IFC(国際金融公社)、GSK社、メルク社、ファイザー社、アクサ・インベストメント・マネージャーズ、オスロに本拠を置くストアブランド、JPモルガン・ソーシャル・ファイナンス、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドが名を連ねた——本書は、此の資金の器が組み上がった一点を起点として、其れがモデルナ社製の鳥インフルエンザワクチンへと注ぎ込まれてゆく十三年を、年月日単位で一元化した記録である。

西暦2,016年1月12日、ワクチン開発企業のモデルナ・セラピューティクス社が、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から初期助成金20,000,000ドルを獲得したと発表する。目的は、HIV感染の予防を目的としたmRNAベースの抗体治療薬の開発に於ける、抗体の組み合わせの前臨床研究と第1相臨床試験であった。同社は、此のプロジェクトを主導するのは「ヴァレラ社」であるとした。西暦2,015年1月に設立され、モデルナ社のプラットフォームを活用して、ウイルス・細菌・寄生虫によるワクチンや治療薬の開発を行う会社である。

西暦2,020年6月4日の朝、スタンフォード大学メディカルセンターと共同で健康医療関連のデータ構築に取り組むエビデーション・ヘルス社が、行動と症状のデータを分析してCOVID-19の早期警告アルゴリズムを開発する、という研究イニシアチブを発表する。此の取り組みへ資金を提供したのは、HHS(アメリカ保健福祉省)内のASPR(戦略準備対応局)に属するBARDA(生物医学先端研究開発局)と、ビル&メリンダ・ゲイツ財団であった。エビデーション・ヘルス社は、医療研究の為に個人が健康データを共有するのを支援する非営利団体「4ユーアンドミー」と協力し、医療従事者・救急隊員・COVID-19への感染リスクの高い其の他個人から成る300名の参加者から、自己申告とウェアラブル端末によってデータを収集した。

西暦2,021年、GHICがBARDAと10年間のベンチャー投資パートナーシップを締結する。GHICは第三者資本を動員し、将来のパンデミックや其の他健康安全保障上の脅威に対応又は予防する為の技術開発へ資金提供し、一方のBARDAは、資金提供と科学技術的助言を行う——民間の投資機関と、アメリカ政府の一部局とが、十年の期限で結ばれた。

西暦2,023年、モデルナ社が、18歳以上の健康な成人を対象として、治験中のパンデミックインフルエンザワクチンmRNA-1018の安全性及び免疫原性に関するデータを生成する第1/2相試験を開始する。H5及びH7鳥インフルエンザウイルスに対するワクチンを含む試験であった。同年2月16日には、成人を対象としたmRNAベースの季節性インフルエンザワクチン候補mRNA-1010の、第3相安全性及び免疫原性試験の中間結果が発表される。WHOが推奨するインフルエンザ A/H1N1、A/H3N2、B/山形系統、B/ビクトリア系統という4つの株のヘマグルチニンタンパク質をコードするワクチンであり、同社社長スティーブン・ホーグは、mRNAベースのインフルエンザワクチンの開発に於ける重要な一歩であると手応えを述べた。

そして資金の桁が変わる。西暦2,024年7月2日、モデルナ社は、改良されたmRNAベースのH5N1鳥インフルエンザワクチンの翌年の後期臨床試験の為に、BARDAが資金提供するコンソーシアムであるRRPV(緊急対応パートナーシップ)から176,000,000ドルの資金提供を受けたと発表する。更に西暦2,025年1月17日、HHSが、mRNAベースの鳥インフルエンザワクチン及び其の他インフルエンザワクチンの開発を促進する為に、モデルナ社がHHS・ASPR・BARDAから590,000,000ドルの資金提供を受けたと発表した。此の契約もまた、RRPVを通じて締結されている。慈善財団の助成金として始まった資金が、政府機関の巨額契約へと姿を変えてゆく——其の全軌跡を、本書は一冊に束ねている。


登場する組織・人物

  • モデルナ社 本書の中心に在るワクチン開発企業。西暦2,016年1月12日にビル&メリンダ・ゲイツ財団から20,000,000ドルの初期助成金を獲得し、西暦2,023年にはmRNA-1018の第1/2相試験とmRNA-1010の第3相試験を進めた。西暦2,024年7月2日にRRPVから176,000,000ドル、西暦2,025年1月17日にはHHS・ASPR・BARDAから590,000,000ドルの資金提供を受けている。
  • ヴァレラ社 西暦2,015年1月に設立され、モデルナ社のプラットフォームを活用して、ウイルス・細菌・寄生虫によるワクチンや治療薬の開発を行う会社。西暦2,016年、ゲイツ財団の助成によるHIV予防のmRNAベース抗体治療薬プロジェクトを主導するとされた。
  • ビル&メリンダ・ゲイツ財団 西暦2,012年のGHIC設立を支援した財団。西暦2,016年にはモデルナ・セラピューティクス社へ20,000,000ドルの初期助成金を提供し、西暦2,020年にはBARDAと共にエビデーション・ヘルス社のCOVID-19早期警告アルゴリズム研究へ資金を提供した。
  • JPモルガン・チェース 西暦2,012年、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援の下でGHICが設立される際に協力した金融機関。傘下のJPモルガン・ソーシャル・ファイナンスは、GHIFのステークホルダー及び投資機関にも名を連ねている。
  • GHIC(グローバルヘルス・インベストメント・コーポレーション) 西暦2,012年、世界の健康向上と健康安全保障の強化を名目に設立された組織。ドイツ政府がBMZとKfW開発銀行を通じ、初期助成金で以って其の資本化を支援した。西暦2,021年にはBARDAと10年間のベンチャー投資パートナーシップを締結している。
  • GHIF(グローバルヘルス・インベストメント・ファンド) 西暦2,012年、GHICと同時に発足したファンド。ステークホルダー及び投資機関には、グランド・チャレンジズ・カナダ、SIDA、IFC、GSK社、メルク社、ファイザー社、アクサ・インベストメント・マネージャーズ、ストアブランド、JPモルガン・ソーシャル・ファイナンス、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドが名を連ねた。
  • ドイツ政府(BMZ・KfW開発銀行) GHICの資本化を初期助成金で支援した政府。窓口となったのは、BMZ(ドイツ経済協力開発省)とKfW(復興金融公庫)開発銀行の2つである。
  • HHS(アメリカ保健福祉省) ASPR・BARDAを内に持つアメリカの省庁。西暦2,025年1月17日、mRNAベースの鳥インフルエンザワクチン及び其の他インフルエンザワクチンの開発を促進する為に、モデルナ社が590,000,000ドルの資金提供を受けたと発表した。
  • ASPR(戦略準備対応局) HHS内の部局で、BARDAが属する上位組織。西暦2,025年1月17日のモデルナ社への590,000,000ドルの資金提供にも、HHS・BARDAと並んで名を連ねている。
  • BARDA(生物医学先端研究開発局) HHS内のASPRに属する組織。西暦2,020年にはゲイツ財団と共にエビデーション・ヘルス社の研究へ資金を提供し、西暦2,021年にはGHICと10年間のベンチャー投資パートナーシップを締結して、資金提供と科学技術的助言を担うとした。モデルナ社が資金を受け取ったRRPVも、BARDAが資金提供するコンソーシアムである。
  • RRPV(緊急対応パートナーシップ) BARDAが資金提供するコンソーシアム。西暦2,024年7月2日にモデルナ社へ176,000,000ドルを提供し、西暦2,025年1月17日の590,000,000ドルの契約も、此のRRPVを通じて締結された。
  • エビデーション・ヘルス社 スタンフォード大学メディカルセンターと共同で健康医療関連のデータ構築に取り組む企業。西暦2,020年6月4日、行動と症状のデータを分析してCOVID-19の早期警告アルゴリズムを開発する研究イニシアチブを発表した。
  • スタンフォード大学メディカルセンター エビデーション・ヘルス社と共同で、健康医療関連のデータ構築に取り組んだ医療機関。
  • 4ユーアンドミー 医療研究の為に個人が健康データを共有するのを支援する非営利団体。西暦2,020年、エビデーション・ヘルス社と協力し、医療従事者・救急隊員・感染リスクの高い個人から成る300名の参加者から、自己申告とウェアラブル端末によるデータ収集を行った。
  • スティーブン・ホーグ モデルナ社社長。西暦2,023年2月16日のmRNA-1010の第3相試験の中間結果発表に際し、インフルエンザによって引き起こされる大きな疾病負担に対処する為の、mRNAベースのインフルエンザワクチンの開発に於ける重要な一歩であると述べた。

主要な概念・用語

  • mRNA-1018 モデルナ社の治験中のパンデミックインフルエンザワクチン。西暦2,023年、18歳以上の健康な成人を対象に、H5及びH7鳥インフルエンザウイルスに対するワクチンを含む形で、安全性及び免疫原性に関するデータを生成する第1/2相試験が開始された。
  • mRNA-1010 成人を対象としたmRNAベースの季節性インフルエンザワクチン候補。WHOが推奨するインフルエンザ A/H1N1、A/H3N2、B/山形系統、B/ビクトリア系統の4株のヘマグルチニンタンパク質をコードする。西暦2,023年2月16日、第3相安全性及び免疫原性試験の中間結果が発表された。
  • mRNAベースの抗体治療薬 HIV感染の予防を目的とした治療薬。西暦2,016年1月12日、モデルナ・セラピューティクス社が、抗体の組み合わせの前臨床研究と第1相臨床試験の為に、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から20,000,000ドルの初期助成金を獲得したと発表した。
  • COVID-19の早期警告アルゴリズム 行動と症状のデータを分析して開発される予測手法。西暦2,020年6月4日、エビデーション・ヘルス社がBARDAとビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金提供を受け、300名の参加者の自己申告とウェアラブル端末のデータを用いて研究を進めた。
  • GHICとBARDAの10年間のベンチャー投資パートナーシップ 西暦2,021年に締結された協定。GHICが第三者資本を動員し、将来のパンデミックや其の他健康安全保障上の脅威に対応又は予防する為の技術開発へ資金提供する一方、BARDAは資金提供と科学技術的助言を行うとされた。
  • 590,000,000ドルの資金提供 西暦2,025年1月17日にHHSが発表した、モデルナ社への資金提供。mRNAベースの鳥インフルエンザワクチン及び其の他インフルエンザワクチンの開発を促進する為の物で、HHS・ASPR・BARDAの3機関から、RRPVを通じて締結された。

20,000,000ドルの助成から590,000,000ドルの契約まで──
鳥インフルエンザワクチンを取り巻く十三年の資金の流れを一元化。

139円(税込)

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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