首長竜の歴史一元化
紀元前2億800万年、海に最初の首長竜が生まれた──
中生代の海を支配した首長竜、その全系譜を一冊に一元化。
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本書について
紀元前2億800万年、海洋爬虫類グループであるサウロプテリギア上目から分岐して、最初の首長竜「ラエティコサウルス」が誕生する。4つの鰭状の肢・小さな頭部・長い首を持ち、海洋で魚類や小型海洋生物を捕食していた、全長約2.37mの生き物であった。同じ年には、中程度の首と4つの鰭を持つ全長約2.4mの「レティコサウルス」も現れている。此処から、紀元前7,200万年の濾過摂食者「アリストネクテス」に至る迄——本書は、中生代の海を1億3,600万年に亙って泳ぎ続けた首長竜138種の歴史を、一本の時系列に貫き、一元化した記録である。
本書は種ごとに、体長・首の長さ(頸椎の数)・頭部の大きさ・歯の形状・捕食対象・生息環境を明記してゆく。三畳紀末に現れた全長2m台の小型種から始まり、紀元前1億9,900万年には一挙に19種が名を連ねる。約40椎骨の長い首・小さな頭・4枚の鰭・短い尾を持つ「プレシオサウルス」、40椎骨前後の長い首を備えた「ミクロクレイドゥス」、そして約1.5mの大きな頭・短い首・がっしりした体躯・強力な顎を持ち、魚類も頭足類も海洋爬虫類も捕食した全長約7mの頂点捕食者「ロマレオサウルス」——長い首と大きな頭という、首長竜の二つの道筋が、此処で既に分かれている。
ジュラ紀に入ると、其の二系統は更に極端になってゆく。紀元前1億6,600万年の「クリプトクレイドゥス」は約30椎骨の中程度の首と針の様な鋭い歯で小型魚類や頭足類を濾過摂食し、「ムラエノサウルス」は約44椎骨もの長い首と小さな頭を持った。「ペロネウステス」は細長い吻を、紀元前1億5,700万年の「オフタルモトゥーレ」は大きな目を備えて低光量環境に適応する。「カイフェケア」は中程度の首・大きな目・多数の小さな歯で、烏賊等の軟体動物を濾し取っていた。狩りの方法が違えば、体の作りも違ってくる。
白亜紀は巨大化の時代であった。紀元前1億3,000万年には、約2.5mもの大きな頭を持つ全長約10mの「サチカサウルス」、大きな頭で海洋爬虫類まで捕食した全長約10mの「モンキラサウルス」が現れる。紀元前1億1,300万年の「ブラカウケニウス」は短い首・約2mもの巨大な頭・円錐状の鋭い歯を持つ頂点捕食者であり、紀元前1億年の「クロノサウルス」は約2.3mの大きな頭と鋭い円錐状の歯で、大型魚類・頭足類・亀類・海洋爬虫類を捕食した。紀元前9,400万年の「タラッソメドン」は62椎骨もの長い首を、紀元前8,500万年の「プリオサウルス」は約2mの大きな頭・三角断面の歯・巨大な4枚の鰭を備え、魚竜や他の首長竜すら餌にしている。
首長竜が勝ち取った生態的地位は、外洋の狩り場だけではない。汽水〜淡水に進出した「ブランカサウルス」「レプトクレイドゥス」「フルヴィオネクテス」、淡水性の「ビシャノプリオサウルス」、深海に潜って小型魚類を追った「アビッソサウルス」、浅海で幅の広い体を持った「タテネクテス」、海底付近の魚類・無脊椎動物を漁った「パキコスタサウルス」。日本の海で見つかった「フタバサウルス」も、紀元前8,500万年の項に長い首と小さな頭を持つ全長約7mの姿で記録されている。
そして首の長さは、終盤に極まる。紀元前8,000万年、72頸椎もの長い首・小さな頭・4枚の大きな鰭を持つ全長約14mの「エラスモサウルス」が群れに突進し、76個の頸椎という首長竜で最長の首を備えた全長約12mの「アルベルトネクテス」が現れた。同じ頃、「アレクサンドロネクテス」は長い首と濾過摂食的な歯で小型魚類や沖醤蝦様甲殻類を漉し取っている。最後の紀元前7,200万年には、約85cmの大きな頭・中程度の首・濾過摂食的な多数の細い歯を持つ全長約12mの「アリストネクテス」、約50椎骨の長い首を持つ「マウイサウルス」等が名を連ねる。長い首の系統と大きな頭の頂点捕食者の系統が海を分け合った1億3,600万年——其の全系譜を、本書は一冊に束ねている。
登場首長竜
- ラエティコサウルス 紀元前2億800万年に誕生した最初の首長竜。サウロプテリギア上目から分岐し、4つの鰭状の肢・小さな頭部・長い首を持つ。魚類や小型海洋生物を捕食していた。体長は約2.37m。
- プレシオサウルス 首長竜(プレシオサウルス)の名を冠する代表種。約40椎骨の長い首・小さな頭・4枚の鰭・短い尾を持つ。小型魚類・頭足類を捕食していた。体長は約3.5m。
- ロマレオサウルス ジュラ紀前期の頂点捕食者。約1.5mの大きな頭・短い首・がっしりした体躯・強力な顎を持つ。魚類・頭足類・海洋爬虫類を捕食していた。体長は約7m。
- クリプトクレイドゥス 約30椎骨の中程度の首・針の様な鋭い歯・4枚の大きな鰭を持つ。小型魚類・頭足類を濾過摂食で捕食していた。体長は約4m。
- ムラエノサウルス 約44椎骨もの長い首と小さな頭を持つジュラ紀の首長竜。小型魚類・頭足類を捕食していた。体長は約6m。
- オフタルモトゥーレ 中程度の首・大きな目を持ち、低光量環境に適応した首長竜。魚類・頭足類を捕食していた。体長は約6m。
- カイフェケア 中程度の首・大きな目・多数の小さな歯を持つ。烏賊等の軟体動物を濾過摂食で捕食していた。体長は約7m。
- サチカサウルス がっしりした体躯と約2.5mもの巨大な頭を持つ。魚類・頭足類・海洋爬虫類を捕食していた。体長は約10m。
- ブラカウケニウス 短い首・約2mもの巨大な頭・円錐状の鋭い歯を持つ頂点捕食者。海洋爬虫類・大型魚類・頭足類を捕食していた。体長は約10m。
- クロノサウルス 約2.3mもの大きな頭・短い首・鋭い円錐状の歯を持つ白亜紀の頂点捕食者。大型魚類・頭足類のほか亀類や海洋爬虫類も捕食した。体長は約10m。
- タラッソメドン 62椎骨もの長い首を持つ大型首長竜。魚類・頭足類を捕食していた。体長は約12m。
- ドリコリンコプス 高速遊泳捕食者。細長い吻・短い首・多数の尖った歯・大きな目・4枚の強力な鰭を持つ。魚類・頭足類を捕食していた。体長は約5m。
- リオプレウロドン 巨大な頭・短い首・円錐形の鋭い歯を持つ。大型魚類・頭足類・海洋爬虫類を捕食していた。体長は約7m。
- プリオサウルス 約2mの大きな頭・三角断面の歯・短い首・巨大な4枚の鰭を持つ頂点捕食者。魚竜や首長竜等の海洋爬虫類すら捕食した。体長は約12m。
- フタバサウルス 日本で発見された首長竜。長い首・小さな頭を持ち、魚類・頭足類を捕食していた。体長は約7m。
- エラスモサウルス 72頸椎もの長い首・小さな頭・4枚の大きな鰭を持つ。群れに突進し、小型魚類・頭足類を捕食していた。体長は約14m。
- アルベルトネクテス 76個の頸椎を備えた、首長竜中で最も長い首の持ち主。小型魚類・頭足類を捕食していた。体長は約12m。
- スティクソサウルス 長い首を持つ白亜紀後期の大型首長竜。魚類・頭足類を捕食していた。体長は約12m。
- マウイサウルス 約50椎骨もの長い首を持つ南半球の大型首長竜。魚類・頭足類を捕食していた。体長は約12m。
- アリストネクテス 約85cmの大きな頭・中程度の首・濾過摂食的な多数の細い歯を持つ最後期の首長竜。小型魚類・頭足類・甲殻類を濾過摂食で捕食していた。体長は約12m。
本書が記録する時代
- 紀元前2億800万年 サウロプテリギア上目から最初の首長竜「ラエティコサウルス」が分岐して誕生し、「レティコサウルス」も現れる。共に全長2m台の小型種で、小型魚類や海洋生物を捕食していた、本書の発端。
- 紀元前2億500万年 獲物を捕らえるのに最適な細長い歯を持つ魚食性の「アレクセイサウルス」と、体長約3.5mの「ボボサウルス」が誕生する。
- 紀元前2億100万年 比較的長い首と小さな頭を持つ体長約2mの「タラッシオドラコン」、及び「エオプレシオサウルス」が誕生する。
- 紀元前1億9,900万年 「プレシオサウルス」「ロマレオサウルス」「マクロプラタ」「ミクロクレイドゥス」「アッテンボロサウルス」等20種が一挙に誕生する、本書で最も多くの種が現れた年。長い首の系統と大きな頭の頂点捕食者の系統が、此処で既に分かれている。
- 紀元前1億7,000万年 短い首の「ボレアロネクテス」、長い吻の「マルモルネクテス」、「ユーチョウプリオサウルス」が誕生する。何れも体長約5mであった。
- 紀元前1億6,600万年 濾過摂食を行う「クリプトクレイドゥス」、約44椎骨の長い首を持つ「ムラエノサウルス」、細長い吻の「ペロネウステス」等5種が誕生する。
- 紀元前1億5,700万年 軟体動物を濾し取る「カイフェケア」、低光量環境に適応した「オフタルモトゥーレ」、長い首の「ジュペダリア」「スピトラサウルス」等8種が誕生する。狩りの方法に応じた体の作りが出揃った年。
- 紀元前1億4,000万年 汽水〜淡水性の「ブランカサウルス」「レプトクレイドゥス」、体長約8mの「ラゲナネクテス」等7種が誕生し、首長竜が淡水域へも進出する。
- 紀元前1億3,000万年 深海性の「アビッソサウルス」、約2.5mの巨大な頭を持つ「サチカサウルス」、体長約10mの「モンキラサウルス」等11種が誕生する、白亜紀の巨大化の始まり。
- 紀元前1億1,300万年 約2mもの巨大な頭を持つ頂点捕食者「ブラカウケニウス」、体長約10mの「ウーランガサウルス」、3つの鶏冠状の突起を持つ「ウモオナサウルス」等8種が誕生する。
- 紀元前1億年 約2.3mの大きな頭と鋭い円錐状の歯で亀類まで捕食した頂点捕食者「クロノサウルス」、長い首の「エロマンガサウルス」「オパリオネクテス」が誕生する。
- 紀元前9,400万年 62椎骨もの長い首を持つ体長約12mの「タラッソメドン」、約1.75mの大きな頭を持つ「メガケファロサウルス」、縦溝の多い大きな歯の「ポリプティコドン」等5種が誕生する。
- 紀元前8,500万年 頂点捕食者「プリオサウルス」、日本で見つかった「フタバサウルス」、高速遊泳捕食者「ドリコリンコプス」、「リオプレウロドン」等31種が誕生する、本書で二番目に多くの種が現れた年。
- 紀元前8,000万年 76頸椎という首長竜で最長の首を持つ「アルベルトネクテス」、72頸椎・体長約14mの「エラスモサウルス」、濾過摂食的な歯の「アレクサンドロネクテス」等23種が誕生する、首の長さが極まった年。
- 紀元前7,200万年 濾過摂食で甲殻類まで捕食した「アリストネクテス」、約50椎骨の長い首を持つ「マウイサウルス」、「トゥアランギサウルス」等8種が誕生する、本書の終結点。
三畳紀末から白亜紀末まで──
1億3,600万年の海を泳いだ首長竜138種の全史を一元化。
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