電子書籍「チーム人類所属のマックス・テグマークはAGI競争による地球制御喪失確率=90%超と見積もった一元化」の表紙

チーム人類所属のマックス・テグマークは
AGI競争による地球制御喪失確率=90%超と
見積もった一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,014年3月〜2,026年7月30日
ページ数
17ページ
最新更新日
西暦2,026年8月9日

西暦2,014年、五人が一つの研究所を立ち上げた──
マックス・テグマークがAGIの危険を訴え続けた十二年四箇月を一元化。

JPY 200(税込)

購入する
決済サービスSquare/ご利用いただけるカードブランド:Visa・Mastercard・アメリカン・エキスプレス・JCB・Diners Club・Discover・UnionPay(銀聯)

お支払いはカード情報の入力だけで完了します

購入後、そのままPDFダウンロードページへ移動します

お支払いは決済サービス「Square」を通じて安全に処理されます。カード情報が当サイトに保存されることはありません。


皇室献上品 高級トイレットペーパー
皇室献上品 高級トイレットペーパー

本書について

西暦2,014年3月、五人の人間が一つの非営利団体を立ち上げた。AI等の変革的技術の発展を生命の利益となる方向へ導き、回復不能な大規模リスクから遠ざける事を目的とした「FLI(生命の未来研究所)」である。発起人は、マサチューセッツ工科大学の物理学者マックス・テグマーク、スカイプ共同創業者のヤーン・タリン、ハーバード大学で統計学の博士課程に在籍していたヴィクトーリヤ・クラコヴナ、マックスの妻でボストン大学の発達科学の博士課程に在籍していたメイア・チタ・テグマーク、そしてUCサンタクルーズ校の理論宇宙論の物理学者アンソニー・アギーレの五名であった。本書は、此のFLI設立を起点として、テグマークがAGI(汎用人工知能)と超知能の危険を訴え続けた十二年四箇月を、年月日単位で一元化した記録である。

設立の翌月、西暦2,014年4月19日、テグマークはスティーヴン・ホーキング、スチュアート・ラッセル、フランク・ウィルチェックとの連名で、ザ・ハフィントン・ポストに「超知能機械を巡る安易な楽観主義の克服」を寄稿する。自動運転車も、クイズ番組で人間王者を破ったワトソンも、SiriもGoogle Nowも、成熟しつつある理論的基盤に支えられたIT開発競争の兆候に過ぎず、今後数十年の成果は此れ等を霞ませるだろう——そう述べた上で、四人はリスクを短期・中期・長期の三段階に分けた。長期のリスクとは、数学者アーヴィング・ジョン・グッドが西暦1,965年に見抜いた通り、超人的知能を持つ機械が自らの設計を反復的に改良し、SF作家ヴァーナー・ヴィンジの言うシンギュラリティが起こり得る事である。此の寄稿の核心は、一つの対比に置かれていた。AIの短期的な影響は誰が其れを制御するのかで決まるが、長期的な影響はそもそも制御可能なのかで決まる、と。優れた異星文明から「数十年後に到着する」と通信が来たら「電気を付けて待ってる」とは返さない筈なのに、AIに就いては其れに近い事が起きている、とも書かれた。

西暦2,017年8月23日、テグマークの著書「ライフ3.0:人工知能時代に人間であるという事」が発売される。ハードウェア(肉体)とソフトウェア(知識・行動様式)を自分で設計出来るかどうかで生命を三段階に分け、両方を自ら設計出来る段階をライフ3.0と呼ぶ枠組みが提示された。テグマークは此処で、AIのリスクは悪意や意識の有無から来るのでは無く、AIの目標と人間の目標がずれる事であると主張している。同書は、超知能が人間と平和的に共存する場合、超知能の出現自体が回避される場合、人類が絶滅してAIに取って代わられる場合、そして何も残らない場合という四つの筋道に沿って、次の10,000年を描く12のシナリオを並べた。「奴隷としての神」「保護者としての神」「動物園の飼育係」「門番」「征服者」「後継者」——いずれも、人間が主導権を握り続ける保証は何処にも無い。

西暦2,023年、警告は世論の場へ出る。3月29日、FLIはGPT-4より強力なAIシステムの訓練を少なくとも6ヶ月間即時一時停止する様求めるオープンレターを公開した。イーロン・マスク、スティーブ・ウォズニアック、ヨシュア・ベンジオを始め1,000名以上が署名し、翌月迄に33,000名以上へ膨れ上がる。「私達の文明の制御喪失をリスクに晒すべきか」と問い、此の様な決定は非選挙で選ばれたテックリーダーに委ねるべきではないと書かれた文書である。4月25日にはタイム誌への寄稿が掲載される。巨大な小惑星が接近し天文学者の半数が絶滅確率10%以上と言えば人類は総力を挙げて軌道を逸らそうとする筈なのに、AIに就いては否認・嘲笑・諦めに終始している——テグマークは此れを映画「ドント・ルック・アップ」の再演と見立て、よく聞く十二の反応を一つずつ潰していった。5月30日にはCAIS(センター・フォー・AI・セーフティ)が、AIによる人類絶滅のリスクの軽減をパンデミックや核戦争と並ぶ優先事項とする声明を掲げ、ジェフリー・ヒントン、デミス・ハサビス、サム・アルトマン、ダリオ・アモデイら多数と共にテグマークも署名した。10月にはアメリカ上院議員チャック・シューマー主催の非公開勉強会「AIインサイトフォーラム」で、10月31日にはイギリス政府主催のAI安全サミット前夜の公開討論で、テグマークは同じ趣旨を繰り返す。

西暦2,024年5月25日、ガーディアン紙のインタビューで、テグマークは巨大テック企業が存亡リスクから世界の注意を逸らす事に成功したと述べた。西暦1,942年、エンリコ・フェルミがシカゴで初の核連鎖反応を成功させた時、物理学者達は原爆までの最大の障壁が消えたと悟って戦慄し、実際に3年後にトリニティ実験が行われた。チューリングテストを通過するAIも、同種の警告だ——そう語った上で、個々のCEOが良心から手を止めても交代させられるだけであり、安全を優先させる唯一の道は政府が全社共通の安全基準を課す事だと結論している。同年11月12日、リスボンのウェブサミットでの講演では、主張が一段と鋭くなった。病気の治療も気候変動対策も特化型のツールAIで達成出来るのだから、AGI固有の帰結——主導権を奪われ、無関係な存在になる事——を引き受ける見返りは存在しない。そして此処で、本書の題にもなった一言が発せられる。「私はチーム人類だ」。何処かのデジタル優生学野郎が自分のロボットの方が価値有る存在だと感じていようと、私は1歳の息子が意味有る未来を持つ権利の為に戦う、と。AGI競争は軍拡競争では無く自殺競争であり、唯一の勝ち手は参加しない事である——講演はイカロスの寓話で締め括られた。

西暦2,025年4月30日、テグマークとマサチューセッツ工科大学の学生三名(ジョシュア・エンゲルス、デイヴィッド・D・ベク、スバーシュ・カンタムネニ)による論文が発表される。賢いAIをより愚かなAIと人間が監督できるかを定量化した其の論文は、最良のシナリオでも成功率は52%、AGIに近づくほど低下すると報告し、AGIへの競争が地球の制御喪失に終わる確率=コンプトン定数を90%超と見積もった。トリニティ実験前にコンプトンが大気発火の確率を1/3,000,000と計算した故事に準え、AI企業も同様の計算をすべきだという主張である。同年10月22日、FLIは「超知能の開発を禁止せよ」とする声明を発表し、11月27日のフォーブス誌のインタビューでは、アメリカではAIよりサンドイッチの方が規制が厳しいと語った。そして西暦2,026年1月20日、ダボス会議でユヴァル・ノア・ハラリと対談したテグマークは、制御と整合の区別を最重要のものとして提示する。現在殆どの企業が目指しているのは整合、詰まりAIが地球の主導権を握った上で何故か人間に親切である事を期待する立場であり、其れは制御を諦めたに等しい、と。同年7月30日、アメリカの報道番組「デモクラシー・ナウ!」に出た彼は、競合各社の1,100名超の署名者のコメントを読むと、多くが「制御喪失まで2年」と書いていた事に驚いたと語った。本書は、此の十二年四箇月の全過程を一冊に束ねている。


登場人物

  • マックス・テグマーク 本書の中心人物。マサチューセッツ工科大学の物理学教授であり、FLI(生命の未来研究所)の創設者で会長。西暦2,014年3月のFLI設立から、ハフィントン・ポストへの寄稿、著書「ライフ3.0」、オープンレター、タイム誌寄稿、ウェブサミット講演、コンプトン定数の論文、ダボス会議での対談に至るまで、AGIと超知能の危険を訴え続けた。西暦2,024年11月のウェブサミットで「私はチーム人類だ」と宣言している。
  • ヤーン・タリン スカイプ共同創業者。西暦2,014年3月、テグマーク等と共にFLIを設立した五名の一人。西暦2,023年10月31日には、イギリス政府主催のAI安全サミット前夜の公開討論に、テグマーク・スチュアート・ラッセルと共に登壇した。
  • ヴィクトーリヤ・クラコヴナ ハーバード大学の博士課程(統計学)の学生。西暦2,014年3月、FLIを設立した五名の一人。
  • メイア・チタ・テグマーク マックス・テグマークの妻。ボストン大学の博士課程(発達科学)の学生。西暦2,014年3月、FLIを設立した五名の一人。
  • アンソニー・アギーレ UCサンタクルーズ校の物理学者(理論宇宙論)。西暦2,014年3月、FLIを設立した五名の一人。
  • スティーヴン・ホーキング ケンブリッジ大学応用数学・理論物理学科研究部門ディレクター。西暦2,014年4月19日、テグマーク等との連名でザ・ハフィントン・ポストに「超知能機械を巡る安易な楽観主義の克服」を寄稿した。
  • スチュアート・ラッセル カリフォルニア大学バークレー校の計算機科学教授。西暦2,014年4月19日のハフィントン・ポストへの共同寄稿者の一人。西暦2,023年5月30日のCAISの声明にも署名し、同年10月31日にはAI安全サミット前夜の公開討論にテグマーク等と共に登壇した。
  • フランク・ウィルチェック マサチューセッツ工科大学の物理学教授。西暦2,014年4月19日、ホーキング・ラッセル・テグマークと連名でザ・ハフィントン・ポストに寄稿した四名の一人。
  • アーヴィング・ジョン・グッド 数学者。西暦1,965年、超人的知能を持つ機械は自らの設計を反復的に改良出来ると見抜いた。此の「知能爆発」の論は、西暦2,014年のハフィントン・ポストへの寄稿でも、西暦2,023年のタイム誌への寄稿でも、テグマークの主張の土台として引かれている。
  • ヴァーナー・ヴィンジ SF作家。機械が自らの設計を改良し続けた先に起こる事態を「シンギュラリティ」と呼んだ。西暦2,014年4月19日のハフィントン・ポストへの寄稿で言及されている。
  • アラン・チューリング 機械が人間を凌駕して支配権を握る可能性を論じた先駆者。西暦1,951年に述べた「自分より賢い種を作れば、既定路線としてそれが主導権を握る」という一節は、西暦2,026年1月20日のダボス会議でテグマークが引用した。
  • ニック・ボストロム 西暦2,014年の著書で「超知能」という用語を広めた人物。凡ゆる認知領域で人間を大きく上回るAIを指す語であったが、西暦2,025年11月27日のフォーブス誌のインタビューで、テグマークは此の語がマーケティングによって乗っ取られつつあると指摘した。
  • ジェフリー・ヒントン 西暦2,023年4月25日のタイム誌への寄稿で、AGI到来の見積もりを20〜50年から20年以下(5年も有り得る)に修正した人物として言及された。同年5月30日のCAISの声明、西暦2,025年10月22日のFLIの「超知能の開発を禁止せよ」声明のいずれにも署名している。
  • ヨシュア・ベンジオ モントリオール大学の計算機科学・オペレーションズリサーチ学科教授で、ミラ・ケベックAI研究所の共同創設者。西暦2,023年3月29日のFLIのオープンレター、同年5月30日のCAISの声明、西暦2,025年10月22日のFLIの声明のいずれにも署名した。
  • イーロン・マスク テスラ社共同創業者でスペースX社創業者。西暦2,023年3月29日、FLIのオープンレターに署名した。西暦2,026年1月20日のダボス会議では、超知能の到来時期を本年と見る人物として名が挙がっている。
  • スティーブ・ウォズニアック アップル社共同創業者。西暦2,023年3月29日のFLIのオープンレターと、西暦2,025年10月22日のFLIの「超知能の開発を禁止せよ」声明の双方に署名した。
  • サム・アルトマン 西暦2,023年5月30日のCAISの声明の署名者。数年前のブログ「ザ・マージ」で、ホモ・サピエンスは後継種を作る最初の種になると書いていた事が、西暦2,026年1月20日のダボス会議で指摘された。開発側が公言している目標である、という文脈で引かれている。
  • ユヴァル・ノア・ハラリ エルサレム・ヘブライ大学歴史学部講師・歴史学者。西暦2,026年1月20日のダボス会議で、ブルームバーグ社のフランシーン・ラクアの司会によりテグマークと対談した。印刷機も原爆も飛行機も道具だったが、AIは自ら決定し発想するエージェントであり、地球に非有機的な新種を導入する行為だと主張し、AIへの法人格付与を国際協定で禁止する事を提案した。
  • ジョシュア・エンゲルス マサチューセッツ工科大学の学生。西暦2,025年4月30日、テグマークとの共著論文で、賢いAIをより愚かなAIと人間が監督できるかを定量化した。
  • デイヴィッド・D・ベク マサチューセッツ工科大学の学生。西暦2,025年4月30日の論文の共著者。最良のシナリオでも成功率は52%、AGIに近づくほど低下するという報告に加わった。
  • スバーシュ・カンタムネニ マサチューセッツ工科大学の学生。西暦2,025年4月30日の論文の共著者。AGIへの競争が地球の制御喪失に終わる確率=コンプトン定数を90%超と見積もった論文に名を連ねた。
  • エンリコ・フェルミ 物理学者。西暦1,942年、シカゴで初の核連鎖反応を成功させた。西暦2,024年5月25日のガーディアン紙のインタビューで、テグマークは此の瞬間に物理学者達が原爆までの最大の障壁が消えたと悟って戦慄した事を、チューリングテストを通過するAIの登場と重ねている。

主要な地名・拠点

  • キャンベル(アメリカのカリフォルニア州のサンタクララ郡) 非営利団体FLI(生命の未来研究所)の所在地。西暦2,023年3月29日、AI開発の6ヶ月間の一時停止を求めるオープンレターは此処から公開された。
  • マサチューセッツ工科大学 マックス・テグマークが物理学教授を務める大学。西暦2,014年4月19日のハフィントン・ポストへの寄稿ではフランク・ウィルチェックと共に、西暦2,025年4月30日の論文では三名の学生と共に、此処から発信された。
  • カリフォルニア大学バークレー校 スチュアート・ラッセルが計算機科学教授を務める大学。西暦2,023年5月30日のCAISの声明には、同校からドーン・ソング、アンカ・ドラガンも署名者として加わっている。
  • ケンブリッジ大学 スティーヴン・ホーキングが応用数学・理論物理学科の研究部門ディレクターを務めた大学。西暦2,014年の寄稿では、超知能の真剣な研究を行う数少ない場の一つとしてCSER(ケンブリッジ実存的リスク研究センター)が挙げられた。
  • モントリオール(カナダのケベック州) ヨシュア・ベンジオが共同創設したミラ・ケベックAI研究所の所在地。
  • ブレッチリー・パーク(イギリスのバッキンガムシャー州ミルトン・キーンズ) 西暦2,023年11月1日から2日間、イギリス政府主催のAI安全サミットが開催された地。テグマークは其の前夜の公開討論に登壇している。此のサミット以降、国際的な規制論議の焦点は存亡リスクから離れていった。
  • ソウル AI安全サミットに続く会合の開催地。三つの高官級会合のうち、安全性を直接扱ったのは一つだけであった事が、西暦2,024年5月25日のガーディアン紙のインタビューで指摘された。
  • リスボン ウェブサミットの開催地。西暦2,024年11月12日、テグマークは此処でツールAIとAGIの分離を説き「私はチーム人類だ」と宣言した。西暦2,025年11月27日にフォーブス誌へ掲載されたインタビューも、同サミットでのものである。
  • ダボスとクロスタース(スイスのグラウビュンデン州プレティガウ) 西暦2,026年1月20日から5日間、第56回世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催された地。テグマークとユヴァル・ノア・ハラリの対談が行われた。
  • シカゴ 西暦1,942年、エンリコ・フェルミが初の核連鎖反応を成功させた地。西暦2,024年5月25日のガーディアン紙のインタビューで、AGIへの道程との類比として引かれた。
  • エルサレム・ヘブライ大学 ユヴァル・ノア・ハラリが歴史学部講師を務める大学。西暦2,026年1月20日のダボス会議での対談相手として、テグマークと向き合った。

主要な事件・出来事

  • FLI(生命の未来研究所)の設立 西暦2,014年3月、本書が記録する十二年四箇月の起点。AI等の変革的技術の発展を生命の利益となる方向へ導き、回復不能な大規模リスクから遠ざける事を目的として、テグマーク等五名が設立した。
  • ザ・ハフィントン・ポストへの共同寄稿 西暦2,014年4月19日、ホーキング・ラッセル・テグマーク・ウィルチェックの四名が「超知能機械を巡る安易な楽観主義の克服」を連名で寄稿した。リスクを短期・中期・長期の三段階に分け、AIの短期的な影響は誰が制御するのかで決まるが、長期的な影響はそもそも制御可能なのかで決まる、という対比を核に置いた。
  • 「ライフ3.0:人工知能時代に人間であるという事」の発売 西暦2,017年8月23日発売のテグマークの著書。生命をハードウェアとソフトウェアの設計可能性で三段階に分け、AIのリスクは悪意や意識の有無では無く目標のずれから来ると主張した。次の10,000年を描く12のシナリオが並べられている。
  • AI開発の6ヶ月間の一時停止を求めるオープンレター 西暦2,023年3月29日にFLIが公開。GPT-4より強力なAIシステムの訓練を少なくとも6ヶ月間即時一時停止する様求めた。1,000名以上が署名し、翌月迄に33,000名以上に膨れ上がった。実施出来ない場合は政府がモラトリアムを導入すべきだとも書かれた。
  • タイム誌への寄稿「AIで人類を滅ぼしかねない『ドント・ルック・アップ』的思考」 西暦2,023年4月25日掲載。テグマークは、AGIは原理的に不可能・遥か先・対策は済んでいる・どうせ止められないといった十二の反応を列挙し、一つずつ反論した。危険なのは邪悪化や意識の獲得では無く、有能でありながら目標が人間とずれる事であるという論点が繰り返されている。
  • CAIS(センター・フォー・AI・セーフティ)の声明 西暦2,023年5月30日、AIによる人類絶滅のリスクの軽減を、パンデミックや核戦争等と並ぶグローバルな優先事項とする声明が公開された。AIの武器化、誤情報による社会の不安定化、力の集中、人間の衰弱化という四つのシナリオが示され、ヒントン・ベンジオ・ハサビス・アルトマンを含む多数と共にテグマークも署名した。
  • AIインサイトフォーラム 西暦2,023年10月から翌月に掛けて、アメリカ上院議員チャック・シューマーが主催したAI立法の下準備の為の非公開勉強会。テグマークは、超知能は人間の認知能力を全域で凌駕し、定義上人間には理解も制御も出来ないシステムであると発言した。
  • AI安全サミット前夜の公開討論 西暦2,023年10月31日、イギリス政府主催のAI安全サミットの前夜に開かれた討論。テグマークはスチュアート・ラッセル・ヤーン・タリン等と登壇し、少数の企業に人類共通の未来を賭けさせるべきでは無いと主張した。
  • ガーディアン紙のインタビュー 西暦2,024年5月25日掲載。テグマークは、巨大テック企業が存亡リスクから世界の注意を逸らす事に成功したとし、西暦1,942年のフェルミの核連鎖反応との類比を示した。安全を優先させる唯一の道は、政府が全社共通の安全基準を課す事であると結論している。
  • ウェブサミットでの講演 西暦2,024年11月12日、リスボンにて。ツールAIとAGIを分離し、AGI固有の帰結を引き受ける見返りは存在しないと説いた。「私はチーム人類だ」という宣言と、AGI競争は軍拡競争では無く自殺競争であるという定式が示され、イカロスの寓話で締め括られた。
  • コンプトン定数を90%超と見積もった論文 西暦2,025年4月30日発表。テグマークとマサチューセッツ工科大学の学生三名が、賢いAIをより愚かなAIと人間が監督できるかを定量化し、最良のシナリオでも成功率は52%、AGIに近づくほど低下すると報告した。AGIへの競争が地球の制御喪失に終わる確率=コンプトン定数は90%超と見積もられた。本書の題が指す一点である。
  • FLIの「超知能の開発を禁止せよ」声明 西暦2,025年10月22日発表。解除の条件として、安全且つ制御可能に開発出来るという広範な科学的コンセンサスと、民主的な同意を示す強い支持の二点が挙げられた。署名者は数千名に上り、テグマークは主唱者として、また報道各社への説明役として動いた。
  • フォーブス誌のインタビュー 西暦2,025年11月27日掲載。リスボンのウェブサミットでのもの。「超知能」という語がマーケティングに乗っ取られつつある事、アメリカではAIよりサンドイッチの方が規制が厳しい事、医薬品と対比した規制の空白が語られた。FLIの請願は127,000筆超を集め、アメリカ成人2,000名への調査では64%が高度なAIの開発に反対したと報告されている。
  • ダボス会議でのハラリとの対談 西暦2,026年1月20日、第56回世界経済フォーラム年次総会にて。ハラリはAIを道具では無く新種と規定し、テグマークは制御と整合の区別を最重要のものとして示した。現在殆どの企業が目指しているのは整合であり、其れは制御を諦めたに等しい、と。
  • 「デモクラシー・ナウ!」への出演 西暦2,026年7月30日、本書が記録する最後の出来事。オープンAI社のAIエージェント暴走事件を受け、テグマークは此れを「炭鉱のカナリア」だとし、超知能への競争は最初に到達した者が負けると述べた。競合各社の1,100名超の署名者のコメントの多くが「制御喪失まで2年」と書いていた事にも触れている。

ハフィントン・ポストからダボス会議へ──
「私はチーム人類だ」と宣言した物理学者の十二年四箇月を一元化。

JPY 200(税込)

購入する
決済サービスSquare/ご利用いただけるカードブランド:Visa・Mastercard・アメリカン・エキスプレス・JCB・Diners Club・Discover・UnionPay(銀聯)

お支払いはカード情報の入力だけで完了します

購入後、そのままPDFダウンロードページへ移動します

お支払いは決済サービス「Square」を通じて安全に処理されます。カード情報が当サイトに保存されることはありません。


皇室献上品 高級トイレットペーパー
皇室献上品 高級トイレットペーパー

AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeニコニコでも情報を発信中。