電子書籍「兵庫県知事・斎藤元彦の所業一元化」の表紙

兵庫県知事・
斎藤元彦の所業一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,023年10月頃〜2,024年10月11日
ページ数
29ページ
文字数
18,160字
最新更新日
西暦2,026年9月22日

告発から13日、告発者の公用PCは押収された──
兵庫県知事・斎藤元彦を巡る一年を一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦2,023年10月頃、兵庫県地域産業経済課は、新型コロナ対策の特例で無利子の融資を受けた事業者が返済出来る様、指導や報告書の作成を担う金融機関へ県が補助する「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」の継続を決めた。翌月9日、兵庫県産業労働部が財政課に要求した予算は約100,000,000円。然し翌10日、副知事の片山安孝は「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の発言をし、前年度の補正額800,000,000円を引き合いに、細かな積み上げに基づく見積もりを根拠の無い額へと変更させる。同月21日の知事査定では、斎藤元彦が全体を丸く400,000,000円で計上する様指示し、最終的に20の金融機関へ399,950,000円の交付が決まった。其の内、計355,650,000円の交付先となった13の金融機関は、同じ11月の17日から14日間、阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードへの協賛金を兵庫県に寄付している。本書は、此の補助金の増額を起点として、兵庫県知事・斎藤元彦と其の県政を巡る一年を、年月日単位で一元化した記録である。

西暦2,024年2月29日、片山は、ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長・五百籏頭眞に、副理事長の御厨貴と河田惠昭の解任を通告した。3月6日、五百籏頭は理事長室で息苦しさを訴えて搬送され、同日、急性大動脈解離で急逝する。其の6日後の3月12日、西播磨県民局長の渡瀬康英は「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した文書を、兵庫県関係者やメディアの約10名に郵送した。五百籏頭の逝去に至る経緯から、知事選挙を巡る県職員の事前運動、贈答品の受領、政治資金パーティー券の購入依頼、そしてパワーハラスメント迄——文書は7つの項目を挙げ、優勝パレードの寄付の不足を、補助金を増額した信用金庫からのキックバックで補ったとも指摘していた。

3月20日に文書を把握した斎藤は、翌日、片山等と協議して調査を指示する。25日午前、片山は井ノ本知明を伴って西播磨県民局を突然訪れ、事前に作成されたマニュアルに沿って渡瀬を問い質し、公用PCを押収した。渡瀬は文書を書いた事を認めつつ、内容は全て事実であると伝えている。27日の記者会見で、斎藤は「業務時間中に嘘八百の文章を作って流すという行為は公務員として失格」という主旨の発言をして懲戒処分の方針を示し、同月31日に退職を予定していた渡瀬の退職を認めず、西播磨県民局長の職を解いた。4月4日、渡瀬は兵庫県職員公益通報制度の窓口へ、告発文書と同じ内容を通報する。然し5月7日、斎藤は「兵庫県特別弁護士」の肩書を持つ藤原正広を同席させた記者会見で、文書の核心的な部分は事実と異なるとして、公益通報の結果を待たずに渡瀬へ停職3ヶ月の懲戒処分を課す事を発表した。此の間の4月20日には、優勝パレードの資金調達を担当し、休職していた県民生活部の総務課長が亡くなっている。其の死が兵庫県職員に知らされたのは、3ヶ月余り後の7月23日であった。

県議会議員の丸尾牧が職員に配ったアンケートには、斎藤のパワーハラスメントや、告発文書に無い贈答品に就いての回答も寄せられた。6月13日、兵庫県議会は、地方自治法100条に基づく調査特別委員会——百条委員会の設置を賛成多数で可決する。其の証人喚問を12日後に控えた7月7日、渡瀬康英が死去した。妻は12日、渡瀬が作成した陳述書と、斎藤が地元の首長に特産のワインを求める音声データを委員会へ提出し、百条委員会を最後迄やり通して欲しいという渡瀬の遺志を伝えている。同じ日、兵庫県人事課は、職務上の秘密に関わる証言を求められた職員に守秘義務免除の申請と承認を求める通達を出し、19日の委員会で調査妨害との批判を浴びた。片山は12日の夕方に辞表を提出し、31日に副知事を辞職する。

7月31日、百条委員会は兵庫県職員約9,700名を対象に、告発文書に関する情報提供を求めるアンケートを始め、2日間で3,500件以上の回答が寄せられた。8月7日の記者会見で、斎藤は、補助金とパレードの寄付集めは別の事業だと説明したが、19日の産業労働委員会では、産業労働部が約30社に協賛を依頼し、其の内の金融機関3社には何れも補助金の交付が決まっていた事が明らかになる。22日、出張先の鳥取県で、斎藤は蟹や牡蠣に就いて、個人で食べる事は有っても飽く迄県としての受領だと述べた。そして10月11日、アンケートの最終集計が公表される。パワーハラスメントを「直接知っている」と答えた職員は140名、「直接知る人から聞いた」は800名、寄せられた自由記述は1,345件——補助金の増額に始まり、1通の告発文書が百条委員会へと至る迄の兵庫県政の一年を、本書は一冊に束ねている。


登場人物

  • 斎藤元彦 本書の中心人物。兵庫県知事。西暦2,023年11月21日の知事査定で、中小企業経営改善・成長力強化支援事業の予算を全体で丸く400,000,000円とする様指示した。西暦2,024年3月20日に渡瀬康英の告発文書を把握して調査を指示し、27日の記者会見では文書を「嘘八百」と断じる。5月7日には公益通報の結果を待たずに停職3ヶ月の懲戒処分を発表した。百条委員会の職員アンケートでは、自身のパワーハラスメントを「直接知っている」とする回答が140名から寄せられている。
  • 渡瀬康英 西播磨県民局長。西暦2,024年3月12日、7項目から成る「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」を約10名に郵送した。25日に片山安孝の事情聴取を受けて公用PCを押収され、文書を書いた事は認めつつ、内容は全て事実であると伝える。27日に局長職を解かれ、4月1日にはラインホルド・ニーバーの言葉を添えた反論の書簡を配布、4日に兵庫県職員公益通報制度の窓口へ通報したが、5月7日に停職3ヶ月の懲戒処分を受けた。7月19日の証人喚問を前に死去し、遺された陳述書と音声データは妻の手で百条委員会へ提出された。
  • 片山安孝 兵庫県副知事。西暦2,023年11月10日、約100,000,000円と見積もられた中小企業経営改善・成長力強化支援事業の予算を、400,000,000円に引き上げる様指示した。西暦2,024年2月29日には五百籏頭眞へ副理事長2名の解任を通告し、3月25日、西播磨県民局で渡瀬康英を問い質して公用PCを押収する。在職中に5度辞職を進言したが斎藤元彦に拒まれ、7月12日に辞表を提出して31日に辞職した。
  • 五百籏頭眞 ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長。西暦2,024年2月29日、片山安孝から、副理事長の御厨貴と河田惠昭の解任を通告された。3月6日、人と防災未来センターの理事長室で息苦しさを訴えて病院に搬送され、同日、急性大動脈解離で急逝する。告発文書は、其の第1項目で逝去に至る経緯を取り上げた。7月27日に神戸大学で開かれた偲ぶ会で、斎藤元彦は献花を供えただけで会場を離れている。
  • 河田惠昭 ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長。西暦2,024年2月29日、片山安孝が理事長の五百籏頭眞に解任を通告した副理事長2名の1人で、もう1人は御厨貴であった。告発文書は、2人を阪神淡路大震災の分野に於ける第一人者と記し、震災30年を目前にした解任を、五百籏頭と前知事・井戸敏三への嫌がらせと断じている。7月27日の五百籏頭眞を偲ぶ会では弔辞を読み上げた。
  • 井ノ本知明 兵庫県幹部。告発文書では、西暦2,021年の知事選挙に際して事前運動を行った4名の1人とされ、トレック・ジャパンのロードバイクを巡る件も其の手配と記された。西暦2,024年3月25日、片山安孝に同行して西播磨県民局を訪れ、渡瀬康英の事情聴取に立ち会う。7月24日頃から、体調不良を理由に出勤しなくなった。
  • 原田剛治 兵庫県産業労働部長。告発文書では、知事選挙の事前運動を行った4名の1人とされ、斎藤元彦の投票依頼への随行や、株式会社千石の高級コーヒーメーカーを巡る件でも名が挙がった。西暦2,024年6月30日頃、此のコーヒーメーカーの件で兵庫県警の事情聴取を受ける。8月19日の産業労働委員会では、パレードの協賛金集めに「積極的にお願いに回った」と認め、批判を受け止めると釈明した。
  • 小橋浩一 兵庫県幹部。告発文書では、知事選挙の事前運動を行った4名の1人とされた。西暦2,024年7月17日の総務常任委員会では、休職中に亡くなった課長の遺児育英資金を巡る竹内英明の質問に「守るべきは今のご家族のプライバシー」と答え、此の遣り取りがSNSで拡散されて兵庫県庁に抗議電話が殺到する。7月24日頃から体調不良で公務を休んで自ら降格を申し出、8月1日付で部長級に降格された。
  • 丸尾牧 兵庫県議会議員。西暦2,024年4月26日、兵庫県庁前で職員300名にアンケート用紙を配布し、5月14日迄に21名から回答を得た。百条委員会の委員を務め、8月19日の産業労働委員会では、補助金を出している産業労働部が寄付金集めをする事は道義的に許されないのではないかと質した。
  • 竹内英明 兵庫県議会議員。西暦2,024年7月17日の総務常任委員会で、休職中に亡くなった優勝パレードの資金調達担当の課長を巡り、遺児育英資金の集金を止めた人間が居るという話が届いていると質した。此の質疑を切っ掛けに、課長の死を伏せていた兵庫県は軌道修正を迫られた。
  • 奥谷謙一 兵庫県議会議員で、西暦2,024年6月13日に設置された百条委員会の委員長。渡瀬康英の妻は、委員長の奥谷を始めとする委員の尽力で問題の真実が解明される事を願うメールを委員会に送った。百条委員会は7月31日から兵庫県職員約9,700名へのアンケートを実施し、8月2日には、斎藤元彦に証人喚問への出頭を要請する事を決めた。
  • 藤原正広 弁護士。渡瀬康英の処分に関する西暦2,024年5月2日の決裁書・報告書に、文書の作成・配布を誹謗中傷と見做す意見を寄せ、5月7日の記者会見には「兵庫県特別弁護士」の肩書で同席した。後から公益通報の手続きを取っても其れ以前の配布は保護の対象にならないとする発言は、斎藤元彦が処分の妥当性を主張する根拠となった。兵庫県信用保証協会の顧問弁護士でもあった。

告発文書の7項目

  • ①五百旗頭眞先生ご逝去に至る経緯 斎藤元彦の命を受けた片山安孝が、ひょうご震災記念21世紀研究機構の副理事長2名の解任を理事長の五百籏頭眞に通告し、其の理不尽な仕打ちが先生の命を縮めたと訴えた項目。百条委員会の最終集計では、「直接知っている」が9名、「直接知る人から聞いた」が56名であった。
  • ②知事選挙に際しての違法行為 西暦2,021年7月18日の兵庫県知事選挙に際し、井ノ本知明・原田剛治・小橋浩一・三宅隆之の4名の県職員が、知人等への投票依頼といった事前運動や選挙公約の作成を手伝い、其の論功行賞で昇任したと指摘した項目。最終集計では、「直接知っている」が28名、「直接知る人から聞いた」が88名であった。
  • ③選挙投票依頼行脚 西暦2,023年下半期から斎藤元彦が次回知事選挙での投票依頼を始め、西暦2,024年2月13日に但馬地域の商工会、16日に龍野商工会議所へ、原田剛治を伴って出向いたと記した項目。最終集計では、「直接知っている」が7名、「直接知る人から聞いた」が36名であった。
  • ④贈答品の山 株式会社千石の高級コーヒーメーカー、トレック・ジャパンのロードバイク、神崎郡市川町のゴルフのアイアンセット等を例に、知事への贈答品の受領を指摘した項目。百条委員会の中間報告には、播磨の牡蠣や但馬の蟹、姫路城のレゴブロックを巡る自由記述が並び、最終集計では「直接知っている」が94名、自由記述は572件に上った。
  • ⑤政治資金パーティー関係 西暦2,023年7月30日の斎藤元彦の政治資金パーティーに際し、商工会議所・商工会に経営指導員の定数削減を仄めかしてパーティー券を大量購入させた事と、兵庫県信用保証協会の幹部が保証業務を背景に企業へ購入を依頼した事を指摘した項目。最終集計では、「直接知っている」が2名、「直接知る人から聞いた」が37名であった。
  • ⑥優勝パレードの陰で 県費を掛けない方針で開いた阪神・オリックスの優勝パレードの寄付が必要額を大きく下回り、中小企業経営改善・成長力強化支援事業の補助金を増額して信用金庫からキックバックさせる事で補ったと指摘した項目。本書は予算の増額と協賛金の寄付を日付で並べ、協賛を依頼した金融機関3社に何れも補助金の交付が決まっていた事が明らかになる迄を記録する。最終集計では、「直接知っている」が10名であった。
  • ⑦パワーハラスメント 出張先で20m程歩かされただけで職員を怒鳴り散らす、知事レクで机を叩いて激怒する、夜中や休日にもチャットで指示を送る等の振る舞いを挙げた項目。職員アンケートで「知らない」以外の回答が最も多く、最終集計では「直接知っている」が140名、「直接知る人から聞いた」が800名、自由記述は1,345件に上った。

補助金の増額から職員アンケートの最終集計迄──
兵庫県政を揺るがした一年の全軌跡を一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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