電子書籍「兵庫県知事_斎藤元彦の所業一元化」の表紙

兵庫県知事_斎藤元彦の
所業一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,023年10月頃〜2,024年8月7日
ページ数
17ページ
最新更新日
西暦2,026年7月26日

補助金の増額、告発文書、そして二つの死──
兵庫県知事斎藤元彦を巡る十一ヶ月を一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦2,023年10月、兵庫県地域産業経済課は、新型コロナ対策の特例で無利子融資を受けた事業者を支援した金融機関に対し、県が補助金を出す「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」の継続を決めた。1事業者当たり初年度100,000円、2年目以降75,000円——制度上定められた、細かな積み上げの上に立つ数字である。本書は、此の一つの補助金事業から始まり、告発文書・懲戒処分・二つの死・百条委員会へと連なってゆく十一ヶ月を、年月日単位で一元化した記録である。

西暦2,023年11月9日、兵庫県産業労働部は財政課に約100,000,000円の予算を要求した。其の翌日、副知事片山安孝は「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の発言をし、前年度補正額の半分という根拠を持ち出して、積み上げに基づく見積もりを覆させる。11月14日、知事斎藤元彦は「此処には今100,000,000円と書いてありますが、此れから変わるかも知れません」という説明を受け、11月21日には「全体を丸く400,000,000円で計上する様」指示を出した。同じ11月17日から14日間、但馬銀行・みなと銀行と県内11の信用金庫が、阪神・オリックスの優勝パレードの協賛金を県に寄付している。11月23日、二球団の優勝パレードは御堂筋と三宮で開催された。

年が明けて西暦2,024年2月29日、片山安孝は、ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長五百籏頭眞に対し、副理事長御厨貴・河田惠昭の解任を通告する。相談ではなく通告であった。3月6日、五百籏頭は同機構の理事長室で息苦しさ等を訴えて搬送され、同日、急性大動脈解離で急逝する。そして3月12日、西播磨県民局長渡瀬康英が「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した告発文書を、県関係者やメディアなど約10名へ郵送した。

告発文書は七つの項目から成っていた。五百籏頭の逝去に至る経緯、知事選挙に際しての事前運動、投票依頼行脚、贈答品の受領、政治資金パーティー券の購入圧力、優勝パレードの資金を補助金増額によるキックバックで補ったとする指摘、そしてパワーハラスメント。文書は最後に、関係者の名誉毀損が目的ではない旨を添えていた。3月20日に斎藤は文書を把握し、翌21日、片山らと協議して調査を指示する。3月25日午前、片山は井ノ本知明を伴って西播磨県民局を突然訪れ、事前に用意されたマニュアルに基づいて渡瀬を尋問した上、渡瀬の公用PCを押収した。渡瀬は文書を自身が書いた事は認めたが、内容は全て事実であるとし、約40年間の公務員生活に何の不満も無い旨を伝えている。

3月27日の記者会見で、斎藤は「有りもしない事を縷々並べた内容を作成したと、渡瀬康英も認めている」「公務員として失格」という主旨の発言をし、同月末で退職予定であった渡瀬の退職を認めず、西播磨県民局長職を解任した。4月4日、渡瀬は兵庫県職員公益通報制度の窓口に通報する。しかし5月2日、綱紀委員会は告発文書の核心的部分が事実で無いとする人事課の報告を受けて処分を妥当とし、5月7日、斎藤は停職3ヶ月の懲戒処分を記者会見で発表した。公益通報者保護法により渡瀬が保護対象であったにも拘らず、公益通報の結果を待たずしての処分であった。同席した弁護士藤原正広は、兵庫県信用保証協会の顧問弁護士でもあった。

4月20日、優勝パレードの資金調達を担当した県民生活部総務課長橋本浩良が自死する。片山安孝・井ノ本知明・原田剛治・小橋浩一の4名は、其の死を秘匿し、同僚が行おうとした遺児育英資金の集金を妨害した。6月13日、県議会は百条委員会の設置議案を可決し、15名の委員が選出される。7月7日、渡瀬康英が姫路市内の生家で、死を以って抗議する旨のメッセージを残して自死した。証人喚問の12日前であった。7月12日、渡瀬の妻は陳述書と音声データを委員会に提出し、同日、人事課は守秘義務免除の事前申請を求める通達を発して出頭妨害を行い、夕方には片山が辞表を提出する。7月31日、片山は正式に辞職し、百条委員会は県職員約9,700名へのアンケートを開始した。二日間で3,500件以上の回答が寄せられる。そして西暦2,024年8月7日、斎藤は記者会見で渡瀬への事情聴取の議事録開示を求められ、拒否した——本書は、其の場面で筆を擱く。


登場人物

  • 斎藤元彦 本書の中心人物。兵庫県知事。西暦2,023年11月21日、中小企業経営改善・成長力強化支援事業に関し「全体を丸く400,000,000円で計上する様」指示を出した。渡瀬康英の告発文書に対しては、3月27日の記者会見で「有りもしない事を縷々並べた内容」と断じ、5月7日に停職3ヶ月の懲戒処分を課した。
  • 渡瀬康英 兵庫県西播磨県民局長。西暦2,024年3月12日、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した告発文書を約10名に郵送した。3月25日に公用PCを押収され、3月27日に局長職を解任、5月7日に停職3ヶ月の処分を受ける。7月7日、証人喚問の12日前に、死を以って抗議する旨のメッセージを残して自死した。
  • 片山安孝 兵庫県副知事。西暦2,023年11月10日、補助金の見積もりに対し「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の発言をした。西暦2,024年2月29日に五百籏頭眞へ副理事長2名の解任を通告し、3月25日には渡瀬康英を尋問して公用PCを押収した。7月12日に辞表を提出し、7月31日に正式に辞職した。
  • 井ノ本知明 兵庫県県民生活部長。西暦2,024年3月25日、片山安孝に同行して西播磨県民局を訪れ、押収した渡瀬康英の公用PCから情報を抜き取った。橋本浩良の死の秘匿と遺児育英資金の集金妨害に関与した4名の一人。7月頃から体調不良を理由に出勤しなくなった。
  • 原田剛治 兵庫県産業労働部長。告発文書では、斎藤元彦の投票依頼行脚への随行者として名を挙げられた。橋本浩良の死の秘匿と遺児育英資金の集金妨害に関与した4名の一人。
  • 小橋浩一 兵庫県幹部。橋本浩良の元上司であり、其の死の秘匿と遺児育英資金の集金妨害に関与した4名の一人。西暦2,024年7月17日の県議会総務常任委員会での発言がSNSで拡散し、県庁に抗議電話が殺到した。7月24日から公務を休み、8月1日付で総務部付・部長級へ降格した。
  • 五百籏頭眞 ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長。西暦2,024年2月29日に片山安孝から副理事長2名の解任を通告され、3月6日、同機構人と防災未来センターの理事長室にて急性大動脈解離で急逝した。7月27日、神戸大学六甲台講堂で偲ぶ会が執り行われたが、斎藤元彦への弔辞の依頼は検討もされなかった。
  • 橋本浩良 兵庫県県民生活部総務課長。阪神・オリックスの優勝パレードの資金調達を担当し、休職の後、西暦2,024年4月20日に自死した。其の死は3ヶ月以上伏せられ、7月23日に至って漸くイントラネット上で県職員に知らされた。
  • 丸尾牧 兵庫県議会議員。西暦2,024年4月26日、県庁前で県職員300名にアンケート用紙を配布し、5月14日迄に21名から回答を得た。パワーハラスメントに関する指摘が7件寄せられ、第三者委員会の設置を求める声も有った。百条委員会の委員の一人。
  • 奥谷謙一 兵庫県議会議員。西暦2,024年6月13日に設置された百条委員会の委員長を務めた。渡瀬康英が遺したメッセージには、百条委員会を最後迄やり通して欲しい旨が記されていた。
  • 藤原正広 弁護士。西暦2,024年5月2日の決裁書・報告書に、渡瀬康英の行為が懲戒事由に該当するとの意見を記した。5月7日の記者会見には「兵庫県特別弁護士」の肩書で同席している。兵庫県信用保証協会の顧問弁護士でもあり、同協会の理事長には代々県幹部経験者が就いていた。
  • 竹内英明 兵庫県議会議員。西暦2,024年7月17日の県議会総務常任委員会にて、橋本浩良の遺児育英資金の集金を止めた人間が居るという話が届いている旨を発言し、秘匿の構図を公の場へ引き出した。

本書が記録する出来事

  • 中小企業経営改善・成長力強化支援事業の増額 西暦2,023年11月、兵庫県地域産業経済課が積み上げた約100,000,000円の見積もりが、副知事片山安孝の「400,000,000円にせえ」という主旨の指示を経て、11月21日の知事査定で400,000,000円に確定した。財源が日本政府の臨時交付金であり県財政に影響が無い事から、増額は容易であった。
  • 阪神・オリックスの優勝パレード 西暦2,023年11月23日、御堂筋と三宮で午前・午後の入れ替えにより開催。県費を掛けない方針の下、クラウドファンディングと企業寄付で必要経費を賄う筈が大きく不足した。11月17日からの14日間、但馬銀行・みなと銀行と県内11の信用金庫が協賛金を県に寄付している。
  • 告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」 西暦2,024年3月12日、西播磨県民局長渡瀬康英が県関係者やメディアなど約10名へ郵送。五百籏頭眞の逝去に至る経緯、知事選挙に際しての事前運動、投票依頼行脚、贈答品、政治資金パーティー券の購入圧力、優勝パレードの資金を補助金増額によるキックバックで補ったとする指摘、パワーハラスメントの7項目から成る。
  • 3月25日の事情聴取と公用PC押収 西暦2,024年3月25日午前、片山安孝が井ノ本知明を伴って西播磨県民局を突然訪問し、事前に作成されたマニュアルに基づいて渡瀬康英を尋問した上、公用PCを押収した。私物のUSBは返却された。押収したPCからは井ノ本が情報を抜き取り、後に渡瀬のプライベートなデータが印刷され、県OBや県議会議員に見せて回られた。
  • 停職3ヶ月の懲戒処分 西暦2,024年5月2日、綱紀委員会が告発文書の核心的部分は事実で無いとする人事課の報告を受けて処分を妥当とし、5月7日、斎藤元彦が記者会見で停職3ヶ月の処分を発表した。渡瀬康英は4月4日に県職員公益通報制度の窓口へ通報しており、公益通報者保護法上の保護対象であったが、処分手続は中断されなかった。
  • 橋本浩良の死と遺児育英資金の妨害 西暦2,024年4月20日、優勝パレードの資金調達を担当した県民生活部総務課長橋本浩良が自死。片山安孝・井ノ本知明・原田剛治・小橋浩一の4名が其の死を秘匿し、同僚による遺児育英資金の集金を妨害した。7月17日の県議会での遣り取りがSNSで拡散し、7月23日、県は漸く職員に事実を知らせた。
  • 百条委員会の設置 西暦2,024年6月13日、兵庫県議会が地方自治法100条に基づく調査特別委員会の設置議案を賛成多数で可決し、委員長奥谷謙一以下15名が選出された。片山安孝は設置前、「自分が辞職するから百条委員会の設置だけは止めてくれ」という主旨の発言をして自民党県議団に泣き付いていた。
  • 人事課による出頭妨害の通達 西暦2,024年7月12日、兵庫県人事課が総務課副課長等会議にて「百条委員会に関する各種服務に就いて」と題する通達を発した。証人出頭に際して守秘義務免除の事前申請と各部総務課長の承認を求める内容であり、どの職員が何を話すつもりなのかを人事課が事前に把握する構図となった。7月19日の第3回百条委員会で調査妨害との批判が相次いだ。
  • 渡瀬康英の死と陳述書 西暦2,024年7月7日、渡瀬康英が姫路市内の生家にて、死を以って抗議する旨のメッセージを残して自死した。7月12日、妻が百条委員会に宛てて陳述書と音声データを提出。音声データには、斎藤元彦が地元首長に土産を求めた遣り取りが収められていた。7月19日の第3回百条委員会では、A4用紙12枚から成る渡瀬の資料が公開された。
  • 全職員アンケートと8月の百条委員会 西暦2,024年7月31日、百条委員会が県職員約9,700名を対象に告発文書に関する情報提供を求めるアンケートを開始し、二日間で3,500件以上の回答が寄せられた。8月2日の第4回百条委員会では、8月30日の証人喚問に斎藤元彦の出頭を要請する事が決定された。

補助金400,000,000円から、告発文書、二つの死、そして百条委員会へ──
兵庫県知事斎藤元彦を巡る経緯の全過程を一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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