兵庫県知事
斎藤元彦
一元化
一通の告発文書と、二つの死――
斎藤元彦と兵庫県政を巡る出来事を、出典と共に一元化。
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本書について
西暦2,021年に全国でも最年少級の知事の一人として就任した斎藤元彦と、兵庫県政を巡って、西暦2,024年、一通の告発文書が大きな波紋を広げた。其の渦中で、二人の県職員が自ら命を絶つという、痛ましい事態に至る。本書は、西暦2,023年から西暦2,024年に掛けての斎藤元彦と兵庫県を巡る出来事を、告発文書・記者会見・百条委員会の記録等の出典と共に、年月日単位で一元化した記録である。
端緒は、予算と人事を巡る軋轢であった。西暦2,023年11月、副知事片山安孝は、中小企業支援事業の予算見積もりを、県職員の積み上げを覆して大幅に増額させたとされる。翌西暦2,024年2月には、ひょうご震災記念21世紀研究機構の副理事長二名の解任が、同機構理事長で日本学術界の重鎮であった五百旗頭眞に通告される。そして3月6日、五百旗頭は理事長室で倒れ、急性大動脈解離で急逝した。
西暦2,024年3月12日、西播磨県民局長渡瀬康英が、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した告発文書を、県関係者やメディア約10名に送付する。文書には、選挙を巡る違法行為、贈答品の「おねだり体質」、政治資金パーティーでの圧力、優勝パレードを巡る公金の扱い、そしてパワーハラスメント等、七項目に渡る告発が記されていた。
斎藤元彦は同月20日に文書を把握し、調査を指示する。3月25日、片山安孝らが西播磨県民局を突然訪れ、渡瀬の公用パソコンを押収した。そして3月27日、斎藤は記者会見で、渡瀬が「有りもしない事を縷々並べた」と認めたとし、懲戒処分の方針を表明する。しかし実際には、兵庫県は渡瀬への聴取をまだ行っていなかった。5月、渡瀬が公益通報者保護法の保護対象であったにも拘らず、斎藤は通報の調査結果を待たずに、停職3ヶ月の懲戒処分を強行した。
此の間、痛ましい死が続いた。4月20日、優勝パレードの資金調達を担当した県民生活部総務課長橋本浩良が自死し、其の死は三ヶ月以上にわたって伏せられた。6月、兵庫県議会は地方自治法100条に基づく百条委員会の設置を可決する。そして7月7日、証人喚問を目前にした渡瀬康英が、死を以って抗議する旨のメッセージを残し、姫路市内の生家にて自ら命を絶った。
渡瀬の死後、其の妻は百条委員会に対し、夫の遺志――百条委員会を最後までやり通して欲しいという願いを伝え、生前に作成された陳述書と音声データを提出した。副知事片山安孝は7月末に辞職し、百条委員会は約9,700名の県職員を対象とする大規模なアンケートを開始する。そして8月、委員会は、斎藤元彦本人の証人喚問への出頭を要請する事を決定した。本書は、一通の告発文書から始まった此の出来事を――其の告発と、二つの死と、検証の過程までを――出典と共に一冊に束ねている。
本書が記録する出来事
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中小企業支援予算を
巡る軋轢
(2023年11月) 副知事片山安孝が、中小企業支援事業の予算見積もりを、県職員の積み上げを覆して100,000,000円から400,000,000円へ増額させたとされる。 -
副理事長解任の
通告
(2024年2月29日) 片山安孝が、ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長五百旗頭眞に対し、副理事長二名の解任を通告した。 -
五百旗頭眞の
急逝
(2024年3月6日) 同機構理事長で日本学術界の重鎮であった五百旗頭眞が、理事長室にて倒れ、急性大動脈解離で急逝した。 -
告発文書の
送付
(2024年3月12日) 西播磨県民局長渡瀬康英が、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した七項目の告発文書を、県関係者やメディア約10名に送付した。 -
公用PCの
押収
(2024年3月25日) 片山安孝らが西播磨県民局を突然訪れ、渡瀬康英への事情聴取を行い、其の公用パソコンを押収した。 -
県民局長職の
解任
(2024年3月27日) 斎藤元彦が記者会見で渡瀬の懲戒方針を表明し、退職を認めず西播磨県民局長職を解任した。だが実際には、兵庫県は渡瀬への聴取をまだ行っていなかった。 -
橋本浩良の
死
(2024年4月20日) 優勝パレードの資金調達を担当した県民生活部総務課長橋本浩良が自死。其の死は三ヶ月以上にわたって伏せられた。 -
停職3ヶ月の
懲戒処分
(2024年5月7日) 斎藤元彦が、渡瀬康英が公益通報者保護法の保護対象であったにも拘らず、通報の調査結果を待たずに停職3ヶ月の懲戒処分を強行した。 -
百条委員会の
設置
(2024年6月13日) 兵庫県議会が、地方自治法100条に基づく調査特別委員会である百条委員会の設置を可決し、15名の委員を選出した。 -
渡瀬康英の
死
(2024年7月7日) 証人喚問を目前にした渡瀬康英が、死を以って抗議する旨のメッセージを残し、姫路市内の生家にて自ら命を絶った。 -
遺族による
陳述書の提出
(2024年7月12日) 渡瀬の妻が、夫の遺志を伝え、生前に作成された陳述書と音声データを百条委員会に提出した。同日夕方、片山安孝が副知事の辞表を提出した。 -
知事への
証人喚問要請
(2024年8月2日) 第4回百条委員会が、同年8月30日の証人喚問に、斎藤元彦本人の出頭を要請する事を決定した。
事件が映し出す構図
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告発文書の
七つの疑惑 選挙を巡る違法行為、贈答品の「おねだり体質」、政治資金パーティーでの圧力、優勝パレードを巡る公金の扱い、パワーハラスメント等、告発文書が掲げた七項目。 -
公益通報者の
保護 公益通報者保護法の保護対象であった渡瀬康英が、通報後に懲戒処分を受けた経緯。通報者の保護を巡る重い論点が問われた。 -
パワーハラスメント
の訴え 職員の限界を超えたとされる斎藤元彦のパワハラの訴えは、告発文書と、後の県職員アンケートの双方で繰り返し指摘された。 -
贈答品と
「おねだり体質」 コーヒーメーカー、ロードバイク、ゴルフクラブ、ワイン――視察先や協定企業からの贈答品を巡る告発と、後に提出された音声データ。 - 二つの死 優勝パレードを担当した橋本浩良と、告発者である渡瀬康英――二人の県職員の死と、其の一方が長く伏せられた経緯。
-
百条委員会と
検証 地方自治法100条に基づく百条委員会の設置、約9,700名の県職員を対象としたアンケート、そして出頭妨害と批判された人事課の通達。
告発、懲戒、そして百条委員会へ――
兵庫県知事を巡る出来事の全軌跡を一元化。
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