電子書籍「片山安孝が阪神・オリックスの優勝パレードに国費を流し込んだ県補助金増額とキックバック一元化」の表紙

片山安孝が
阪神・オリックスの優勝パレードに
国費を流し込んだ
県補助金増額とキックバック
一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,023年10月頃〜2,024年3月12日
ページ数
7ページ
最新更新日
西暦2,026年7月26日

「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」──
優勝パレードの協賛金が県費から出るまでの五ヶ月を一元化。

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦2,023年11月23日、プロ野球の日本一を分け合った阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードが、御堂筋と三宮で午前・午後の入れ替えで開催された。兵庫県側の実施方針は、県費を掛けないというものであった。必要経費はクラウドファンディングと企業からの寄付で賄う筈であったが、集まった額は必要額を大きく下回った。其の穴を埋める為に動いたのが、パレードとは何の関係も無い一つの中小企業支援事業の予算である——本書は、其の事業の継続が決まった西暦2,023年10月頃から、西播磨県民局長が告発文書を送付した西暦2,024年3月12日までを、年月日単位で一元化した記録である。

舞台となったのは、中小企業経営改善・成長力強化支援事業という兵庫県の補助事業である。新型コロナ対策の特例で無利子・無保証の融資を受けた事業者が滞りなく返済出来る様、指導や報告書の作成を行った金融機関に対し、県が補助を出す仕組みであった。対象は融資を受けた4,300の中小事業者で、1事業者当たり75,000〜100,000円。県の負担は初年度100,000円、2年目以降75,000円と制度上定められていた。西暦2,023年10月頃、兵庫県地域産業経済課は此の補助金の継続を決定する。此処までは、何の変哲も無い事業の延長であった。

西暦2,023年11月9日、兵庫県産業労働部は財務部財政課に対し、事業の継続として約100,000,000円の予算を要求する。翌10日、此の見積もりを見た兵庫県副知事片山安孝が発したのが「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の言葉であった。400,000,000円の根拠として片山が引き合いに出したのは、西暦2,022年度12月補正予算で同じ事業に計上した800,000,000円という数字であり、其の半分位は何とかなる、という理屈である。細かな積み上げを基に出された地域産業経済課の見積もりは、根拠の無い金額へと書き換えられた。兵庫県の内部文書「西暦2,023年12月補正予算 口頭指示メモ」にも、臨時交付金の活用を前提に前年度補正額の1/2の400,000,000円程度で事業設計する様、口頭で指示が有った旨が記されている。

11月14日、兵庫県知事斎藤元彦は「此処には今100,000,000円と書いてありますが、此れから変わるかも知れません」という説明を受ける。同じ日の財政課長の査定資料には、依然として100,000,000円と記載されていた。16日に産業労働部が提出した事業説明書では、計4,000の事業者を金融機関が支援する見込みとして、予算額は375,000,000円に膨らんでいる。此の事業の財源は日本政府の臨時交付金であり、幾ら増やしても兵庫県の財政には影響が無い。だからこそ、増額は簡単であった。

そして11月17日から14日間、優勝パレードの協賛金が兵庫県に寄付されてゆく。寄付したのは但馬銀行・みなと銀行の2行と、尼崎・淡路・神戸・但馬・但陽・中兵庫・西兵庫・日新・播州・姫路・兵庫の11の信用金庫であり、信用金庫からの寄付は計20,000,000円に上った。県から補助金を受け取る側が、県の催事へ寄付をする——其の構図が出来上がった4日後の11月21日、知事査定に於いて斎藤元彦は、事業を全体を丸く400,000,000円で計上する様指示を出す。23日、パレードは予定通り開催された。

西暦2,024年3月12日、西播磨県民局長渡瀬康英が「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した告発文書を、兵庫県関係者やメディアに対し郵送で約10名に送付する。文書は七つの項目から成り、五百籏頭眞の急逝に至る経緯、知事選挙に際しての違法行為、選挙投票依頼行脚、贈答品の受領、政治資金パーティーでのパー券購入圧力、優勝パレードの陰での資金操作、パワーハラスメントを告発するものであった。其の第六項目「優勝パレードの陰で」には、信用金庫への県補助金を増額し、其れを募金としてキックバックさせる事で必要額を補った、と記されている。本書は、此の告発文書の内容を主旨のまま収めた上で、11月9日から23日までの予算の動きと突き合わせられる形に束ねている。


登場人物

  • 片山安孝 本書の中心人物。兵庫県副知事。西暦2,023年11月10日、中小企業経営改善・成長力強化支援事業の12月補正予算に地域産業経済課が100,000,000円を見積もった事に対し「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の発言をし、前年度補正額800,000,000円の半分という理屈で増額させた。告発文書では、優勝パレードの寄付集めの司令塔、政治資金パーティーのパー券購入圧力の実質的な実行者としても名指しされている。
  • 斎藤元彦 兵庫県知事。西暦2,023年11月14日、事業の見積額が100,000,000円である事の説明を受け、同月21日の知事査定に於いて、全体を丸く400,000,000円で計上する様指示を出した。告発文書は、七項目に亙って此の知事の行為を告発するものであった。
  • 渡瀬康英 西播磨県民局長。西暦2,024年3月12日、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した告発文書を、兵庫県関係者やメディアに対し郵送で約10名に送付した。文書の末尾には、関係者の名誉を毀損する事が目的では無く、取扱いに配慮を願う旨が添えられていた。
  • 井ノ本知明 兵庫県県民生活部長。告発文書では、西暦2,021年7月18日執行の兵庫県知事選挙に際して事前運動を行った4名の1人として記され、又、トレック・ジャパン株式会社との連携協定を取り纏めた人物、優勝パレードの不正を意に介さない上司として記された。
  • 原田剛治 兵庫県産業労働部長。告発文書では、事前運動を行った4名の1人として記され、西暦2,023年下半期から始まった知事の投票依頼行脚に、産業界担当として随行したとされる。
  • 小橋浩一 兵庫県職員。告発文書では、西暦2,021年の知事選挙に際して事前運動を行った4名の1人として記された。
  • 三宅隆之 兵庫県職員。告発文書では、事前運動を行った4名の1人として記され、居住地である三木市役所の幹部等に対して恫喝的な言動を取ったとされる。
  • 福田靖久 兵庫県産業労働部地域経済課課長。告発文書では、西暦2,023年7月30日の政治資金パーティーに際して、県下の商工会議所・商工会にパー券を大量購入させた実行者として記された。
  • 古川直行 兵庫県信用保証協会理事長。告発文書では、保証業務を背景とした企業へのパー券購入依頼を行い、県職員OBによる後援活動の責任者を引き受けた交換条件として理事長へ異例の抜擢をされた、と記された。
  • 岡誠 兵庫県信用保証協会専務理事。告発文書では、古川直行と共に、保証業務を背景とした企業へのパー券購入依頼を実行した人物として記された。
  • 服部博明 みなと銀行会長。告発文書では、片山安孝と白陵高校の先輩後輩の間柄であると記された。みなと銀行は、優勝パレードの協賛金を寄付した2行のうちの1行である。
  • 五百籏頭眞 ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長。西暦2,023年3月5日に副理事長2名の解任通告を受け、翌6日、同機構の理事長室で倒れ、急性大動脈解離で急逝した。告発文書の第一項目は、此の経緯を巡るものであった。
  • 井戸敏三 前兵庫県知事。五百籏頭眞に嘆願して兵庫県立大学理事長を始め県行政に関わって貰い、御厨貴・河田惠昭の両名にも県政への参画を要請した人物として、告発文書に記された。
  • 御厨貴 ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長。西暦2,023年3月5日、片山安孝から五百籏頭眞へ、解任の通告が為された2名のうちの1人。
  • 河田惠昭 ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長。御厨貴と共に、解任の通告の対象となった。阪神淡路大震災から30年の区切りを翌年に控えた時期の通告であった。
  • 細川敬太 兵庫県市町振興課課長。告発文書では、斎藤元彦と同じ総務省からの出向でありながら冷遇されており、其れは特別交付税の算定に絡む忖度をしなかった事への面当てかも知れない、と記された。

本書が記録する出来事

  • 中小企業経営改善・成長力強化支援事業 本書の舞台となる兵庫県の補助事業。新型コロナ対策の特例で無利子・無保証の融資を受けた事業者の返済を支えるべく、指導や報告書の作成を行った金融機関に県が補助を出す仕組みで、融資を受けた4,300の中小事業者に1事業者当たり75,000〜100,000円が充てられた。県の負担は初年度100,000円、2年目以降75,000円と制度上定められていた。西暦2,023年10月頃、地域産業経済課が継続を決定する。
  • 約100,000,000円の予算要求 西暦2,023年11月9日、兵庫県産業労働部が財務部財政課に対し、事業の継続として約100,000,000円の予算を要求した。細かな積み上げを基にした数字であった。
  • 片山安孝の400,000,000円指示 西暦2,023年11月10日、副知事片山安孝が「此れじゃ足りん。400,000,000円にせえ」という主旨の発言をする。根拠として挙げられたのは、西暦2,022年度12月補正予算で同事業に計上した800,000,000円の半分位、という理屈のみであった。
  • 「西暦2,023年12月補正予算 口頭指示メモ」 兵庫県の内部文書。課長査定時点での片山副知事からの指示として、事業廃止に向けたソフトランディングと臨時交付金の活用を前提に、前年度補正額の1/2の400,000,000円程度で事業設計する様、口頭で指示が有った旨が記されている。指示は財政課から産業労働部へ、これも口頭で伝達された。
  • 財政課長査定資料の100,000,000円 西暦2,023年11月14日。同じ日に知事が「此処には今100,000,000円と書いてありますが、此れから変わるかも知れません」という説明を受けている一方で、財務部財政課長の査定資料には、依然として100,000,000円と記載されていた。
  • 375,000,000円の事業説明書 西暦2,023年11月16日、産業労働部が財政課に提出した事業説明書。計4,000の事業者を金融機関が支援する見込みとして、予算額は375,000,000円と記載された。財源が日本政府の臨時交付金であり、兵庫県の財政に影響が無い事が、増額を容易にしていた。
  • 金融機関13社による協賛金の寄付 西暦2,023年11月17日から14日間、但馬銀行・みなと銀行の2行と、尼崎・淡路・神戸・但馬・但陽・中兵庫・西兵庫・日新・播州・姫路・兵庫の11の信用金庫が、優勝パレードの協賛金を兵庫県に寄付した。信用金庫からの寄付は計20,000,000円に上った。
  • 知事査定での400,000,000円計上 西暦2,023年11月21日、知事査定に於いて斎藤元彦が、中小企業経営改善・成長力強化支援事業を全体を丸く400,000,000円で計上する様指示を出す。積み上げの100,000,000円が、丸い400,000,000円に置き換わった瞬間であった。
  • 阪神・オリックスの優勝パレード 西暦2,023年11月23日、阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードが、御堂筋と三宮で午前・午後の入れ替えにより開催された。県費を掛けないという方針の下で始まった催事であった。
  • 告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」 西暦2,024年3月12日、西播磨県民局長渡瀬康英が兵庫県関係者やメディアに対し、郵送で約10名に送付した文書。五百籏頭眞の急逝に至る経緯、知事選挙に際しての違法行為、選挙投票依頼行脚、贈答品の山、政治資金パーティー関係、優勝パレードの陰で、パワーハラスメントの七項目から成る。
  • 告発文書「⑥優勝パレードの陰で」 告発文書の第六項目。クラウドファンディングと企業からの寄付が必要額を大きく下回った為、西暦2,023年度12月補正予算で中小企業経営改善・成長力強化支援事業に400,000,000円を計上し、信用金庫への県補助金を増額して、其れを募金としてキックバックさせる事で補った、と記されている。幹事社は但陽信用金庫、司令塔は片山安孝、実行者は産業労働部地域経済課であるとされた。

積み上げの100,000,000円が、丸い400,000,000円へ──
県補助金とパレード協賛金が交差した五ヶ月を一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
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