イタリアの
自動車メーカー
創業の歴史
一元化
西暦1,885年、一台の自転車から全ては始まった──
イタリア自動車産業の創業の七十四年を一元化。
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本書について
西暦1,885年、エドアルド・ビアンキがミラノに小さな自転車工房を開いた。三年後の西暦1,888年には、時計職人の子ジョヴァンニ・バッティスタ・チェイラーノがトリノで自転車製造を始め、販売上の訴求力を狙って「ウェルアイズ」の名を掲げる。イタリアの自動車史は、この二輪の技術と工房から静かに動き出した。本書は、自転車職人・鉄道員・金物商といった市井の人々が、やがてフィアット、ランチア、アルファロメオ、マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニへと連なる名を築いてゆく創業の連鎖を、年月日単位で一元化した記録である。
西暦1,899年7月11日、トリノでフィアット社が正式に設立される。同社は設立に当たりチェイラーノGB&Cの工場・特許・工員を買収し、二人乗りの小型車ウェルアイズは「フィアット4HP」として世に送り出された。この頃、チェイラーノGB&Cで簿記係として働きながら機械工学を独学したのが、後に花形ドライバーとして名を馳せるフィンチェンツォ・ランチアである。ランチアは西暦1,900年7月1日、パドヴァ発の耐久レースでフィアットに初勝利をもたらし、西暦1,904年にはブレシアのコッパ・フローリオを制した。
西暦1,906年11月27日、ランチアは同僚のクラウディオ・フォゴリンと共に「ランチア商会自動車製作所」をトリノに設立し、自らの名を冠した会社を興す。一方ミラノでは、フランスのダラック社の工場を引き継いだウーゴ・ステッラが、西暦1,910年6月24日に「ロンバルダ自動車製造株式会社(ALFA)」を設立した。技師ジュゼッペ・メロージの手による第1号車24HPと、ミラノ市の赤十字とヴィスコンティ家の大蛇を組み合わせたエンブレムが、この時に生まれる。後のアルファロメオである。
自転車に自作エンジンを載せた先駆者カルロ・マセラティの一族もまた、歴史を刻んでゆく。弟のアルフィエーリ・マセラティはミラノのイソッタ・フラスキーニ社で腕を磨き、西暦1,914年12月1日、弟エットレと共にボローニャに整備・チューニング工房「オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティ」を設立した。四兄弟の技が結晶したマセラティの原点である。
西暦1,919年、レースドライバーとして頭角を現したエンツォ・フェラーリは、西暦1,923年、戦死したエース・パイロットの母から跳ね馬(カヴァリーノ・ランパンテ)の紋章を贈られた。アルファロメオの下でスクーデリア・フェラーリを率いた彼は、西暦1,939年に同社を離れ、「フェラーリ」の名を四年間使えぬ条件の中でAACを設立する。そして西暦1,947年3月12日、ボディも載らぬ剥き出しのシャシーで、フェラーリの名を冠した車が初めて路上を走った。
戦後のイタリアには、なお新たな才能が現れる。二輪レーサーから転身し、自らの星座であるさそり座を掲げたカルロ・アバルトは西暦1,949年に「アバルト&C.」を興し、農機具から出発したフェッルッチオ・ランボルギーニは西暦1,948年にトラクターメーカー「ランボルギーニ・トラットーリ」を設立した。そしてアルゼンチン出身のアレハンドロ・デ・トマソが西暦1,959年、モデナに「デ・トマソ社」を構える。一台の自転車から始まり、跳ね馬と猛牛が疾走するまで──本書は、イタリア自動車産業の創業の七十四年を、一冊に束ねている。
登場人物
- エドアルド・ビアンキ 西暦1,885年、ミラノで自転車工房を創業。イタリアにおける二輪・自動車製造の源流の一つ「ビアンキ」を築いた。後に同社の自動車部門では、マセラティ兄弟のカルロとアルフィエーリがドライバーを務めた。
- ジョヴァンニ・バッティスタ・チェイラーノ 時計職人ジョヴァンニ・チェイラーノの長男。西暦1,888年、トリノで自転車製造を開始し、英語で訴求力のある「ウェルアイズ」を名乗った。西暦1,898年に弟マッテオらと「チェイラーノGB&C」を設立。その工場・特許はフィアット誕生の母体となった。
- フィンチェンツォ・ランチア チェイラーノGB&Cの見習い簿記係として機械工学を独学。フィアットの花形ドライバーとしてコッパ・フローリオ等を制した後、西暦1,906年に「ランチア商会自動車製作所」を設立し、自らの名を冠した自動車メーカーを興した。
- ジョヴァンニ・アニェッリ フィアット設立時の書記。西暦1,899年、チェイラーノGB&Cを設計図・特許ごと買収した。イタリア最大の自動車メーカーへと発展するフィアットと、アニェッリ家の礎を築いた人物。
- カルロ・マセラティ 鉄道員ロドルフォ・マセラティの長男。西暦1,897年、補強した自転車フレームに4ストローク単気筒エンジンを載せた先駆者。フィアット・ビアンキ・ジュニアで活躍し弟たちを自動車の世界へ導いたが、西暦1,910年に結核で早世した。
- アルフィエーリ・マセラティ ロドルフォ・マセラティの四男。イソッタ・フラスキーニ社で経験を積み、西暦1,914年12月1日、弟エットレと共にボローニャに「オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティ」を設立。マセラティの創業者となった。
- ウーゴ・ステッラ ダラック社の常務取締役。技師メロージに新型車の設計を依頼し、西暦1,910年、ミラノのポルテッロ工場を引き継いで「ロンバルダ自動車製造株式会社(ALFA)」を設立した。アルファロメオの直接の源流となった実業家。
- ジュゼッペ・メロージ ウーゴ・ステッラに招かれた技師。ALFAの第1号車24HPを設計した。ミラノ市の赤十字とヴィスコンティ家の大蛇を組み合わせた、アルファロメオの原型となるエンブレム誕生の場に立ち会った。
- エンツォ・フェラーリ 西暦1,919年にレースデビュー。西暦1,923年に跳ね馬の紋章を授かり、西暦1,929年に「スクーデリア・フェラーリ」を設立。アルファロメオ離脱後の西暦1,947年、ついに自らの名を冠した車を走らせ、フェラーリを創業した。
- フェルディナンド・イノチェンティ 家業の金物店から出発し、鋼管の事業で頭角を現す。西暦1,933年に「鋼管応用フラテッリ・イノチェンティ株式会社」を設立し、後にスクーター「ランブレッタ」で世界に知られるイノチェンティの礎を築いた。
- カルロ・アバルト 二輪レーサーとして欧州選手権を5度制覇。大事故でライダー生命を絶たれた後、チジタリアを経て西暦1,949年に「アバルト&C.」をボローニャで設立し、自らの星座であるさそり座をエンブレムに掲げた。
- フェッルッチオ・ランボルギーニ 空軍の整備兵として腕を磨き、戦後の西暦1,948年、軍余剰品を再利用したトラクター「カリオカ」を発表して「ランボルギーニ・トラットーリ」を設立。後の高級スポーツカーメーカーの原点を築いた。
- アレハンドロ・デ・トマソ アルゼンチン出身のレーシングドライバー。フェラーリやマセラティ、OSCA等でF1に参戦した後、西暦1,959年、プロトタイプとレーシングカーの製造を志してモデナに「デ・トマソ社」を設立した。
会社・ブランドの系譜
- ビアンキ 西暦1,885年、エドアルド・ビアンキがミラノで創業した自転車工房が源流。後に自動車部門を持ち、マセラティ兄弟らがドライバーとして在籍した、イタリア最古級のメーカー。
- ウェルアイズ/チェイラーノGB&C 西暦1,888年にチェイラーノが興した自転車ブランド「ウェルアイズ」に始まり、西暦1,898年「チェイラーノGB&C」へ。その工場・特許はフィアットに買収され、イタリア自動車産業の母体となった。
- フィアット 西暦1,899年7月11日、トリノで設立。チェイラーノGB&Cを買収し、ウェルアイズを「フィアット4HP」として世に送った。後にイタリア最大の自動車メーカーへと発展する。
- ランチア 西暦1,906年11月27日、フィアットの名ドライバー、フィンチェンツォ・ランチアが同僚フォゴリンと共に、トリノに「ランチア商会自動車製作所」として設立した。
- アルファロメオ フランスのダラック社(西暦1,906年設立)のミラノ・ポルテッロ工場を母体に、西暦1,910年「ロンバルダ自動車製造株式会社(ALFA)」として誕生。市の赤十字と大蛇のエンブレムを掲げた。
- マセラティ 西暦1,914年12月1日、アルフィエーリ・マセラティが弟エットレと共に「オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティ」をボローニャに設立。四兄弟の技を礎とする。
- スクーデリア/フェラーリ 西暦1,929年、エンツォ・フェラーリがモデナに「スクーデリア・フェラーリ」を設立。西暦1,939年のAAC設立を経て、西暦1,947年に「フェラーリ」の名を冠した車が初走行した。
- イノチェンティ 西暦1,933年、鋼管事業から「鋼管応用フラテッリ・イノチェンティ株式会社」として法人化。後にスクーター「ランブレッタ」で世界に知られるメーカーへと展開する。
- ランボルギーニ 西暦1,948年、フェッルッチオ・ランボルギーニがトラクターメーカー「ランボルギーニ・トラットーリ」として創業。後に猛牛を掲げる高級スポーツカーへと展開する。
- アバルト 西暦1,949年3月31日、カルロ・アバルトがボローニャに「アバルト&C.」を設立。さそり座をエンブレムとし、同年トリノへ移転した。
- デ・トマソ 西暦1,959年、アレハンドロ・デ・トマソがモデナに設立。プロトタイプとレーシングカーの製造を志した、本書が扱う創業史の掉尾を飾るメーカー。
ビアンキからデ・トマソまで──
跳ね馬と猛牛が生まれるまでのイタリア車創業史を一元化。
JPY 200(税込)
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