般若心経一元化
色即是空、空即是色──
わずか二百六十余文字に凝縮された、智慧の完成の心髄。
JPY 200(税込)
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本書について
西暦649年7月8日、唐の訳経僧・玄奘三蔵が、終南山翠微宮にて、自ら天竺より持ち帰った梵語の経典から神髄を纏め、「般若心経」として漢訳した。全文わずか二百六十余文字。本書は、此の最も短く、最も広く誦され続けてきた経典の全文と其の意味を、一句ずつ丁寧に解き明かし、一元化した一冊である。
本経の説き手は観自在菩薩である。深遠なる智慧の完成(般若波羅蜜多)を実践していた菩薩は、人間の存在を構成する五つの要素──色・受・想・行・識の五蘊が、全て自分という実体を持たない「空」であると見極めた。だからこそ、凡ゆる苦悩や災いを克服したのだと、釈迦の弟子・舎利弗に向かって説いてゆく。
「色即是空 空即是色」。物質的な存在に固定的な実体は無く、実体が無い事こそが其のまま物質的な存在である──本経の核心を成す此の不二の教えは、生も滅も、汚れも浄も、増も減も無いと畳み掛ける。眼・耳・鼻・舌・身・意の六根も、其の対象も、十八界も、十二因縁も、釈迦が説いた四諦すらも、「空」の前では否定される。得るものが何も無いからこそ、菩薩は心の妨げを離れ、恐怖を離れ、誤った夢想を離れて、究極の涅槃に至るのである。
そして本経は、過去・現在・未来の諸仏もまた此の智慧の完成に依って無上の悟りを得たと説き、最後に一つの真言を残す。「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」──往ける者よ、彼岸へ往け、と。本書は、玄奘三蔵の漢訳全文と、其の一句一句に込められた意味を対照させ、千三百年を超えて読み継がれる智慧の心髄を、現代の言葉で一元化した一冊である。
登場人物
- 玄奘三蔵 唐の訳経僧。西暦629年に国禁を犯して天竺へ赴き、645年に膨大な経典を長安へ持ち帰った。西暦649年7月8日、終南山翠微宮にて梵語の経典の神髄を纏め、「般若心経」として漢訳した。「西遊記」の三蔵法師のモデルとしても知られる。
- 観自在菩薩 本経の説き手。深遠なる智慧の完成(般若波羅蜜多)を実践し、五蘊が全て「空」であると見極めた菩薩。観音菩薩・観世音菩薩とも呼ばれる。舎利弗に向かって「空」の教えを説く。
- 舎利子(舎利弗) 釈迦の十大弟子の一人で、智慧第一と称された。本経において観自在菩薩から「色即是空 空即是色」の教えを向けられる聞き手。
- 釈迦 仏教の開祖。本経に直接は登場しないが、其の説いた四諦(苦集滅道)が「無苦集滅道」として言及され、「空」の前では其れすらも超越されると説かれる。
主要な概念・用語
- 空 本経の中心思想。凡ゆる存在は固定的な実体を持たないという事。「色即是空 空即是色」として、物質的存在と不二の関係で説かれる。
- 五蘊 人間の存在を構成する五つの要素。色(物体)・受(感受)・想(表象)・行(意志)・識(認識)。本経では此れ等が全て「空」であるとされる。
- 般若波羅蜜多 智慧の完成。彼岸に至る為の完全なる智慧。本経の表題にも冠される根本概念であり、菩薩も諸仏も此れに依って悟りを得るとされる。
- 色即是空 空即是色 本経で最も知られる句。物質的存在(色)に実体は無く(空)、実体が無い事(空)が其のまま物質的存在(色)であるという、不二の教え。
- 十八界 六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)・六境(色・声・香・味・触・法)・六識を合わせた十八の領域。本経では「無眼界 乃至無意識界」として全て否定される。
- 四諦 釈迦が説いた四つの真理。苦諦・集諦・滅諦・道諦。本経では「無苦集滅道」として、其れすらも「空」の前では超越されると説かれる。
- 涅槃 一切の苦悩を離れた究極の境地。菩薩は心の妨げと恐怖を離れ、智慧の完成に依って究極の涅槃に至るとされる。
- 羯諦羯諦(真言) 本経末尾に置かれる呪文。「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」。一切の苦を除く偉大なる真言とされ、梵語の音を其のまま漢字に写したもの。
玄奘三蔵が天竺より持ち帰り漢訳した、
千三百年を超えて誦され続ける空の智慧。
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