電子書籍「暗号通貨ローンチの歴史一元化」の表紙

暗号通貨
ローンチの歴史
一元化

著者:石田晋一

掲載範囲
西暦2,008年8月18日〜2,022年12月1日
ページ数
30ページ
文字数
30,216字
最新更新日
西暦2,026年8月14日

一篇のホワイトペーパーから、無数のチェーンの乱立まで──
暗号通貨ローンチの十五年を、出典と共に一元化。

704円(税込)

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皇室献上品 高級トイレットペーパー
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本書について

西暦2,008年8月18日、サトシ・ナカモトを名乗る人物が匿名メールサービスを通じて bitcoin.org を登録した。同年10月31日、暗号通貨「ビットコイン(BTC)」のホワイトペーパーが公開される。取引データをブロックチェーンへ保存する作業の報酬として通貨を得るマイニングは、設計上21,000,000BTCのみと定められた。そして翌西暦2,009年1月3日、ビットコインがローンチされる。本書は、此処を起点として、暗号通貨とブロックチェーンのローンチが繰り返された十五年の歩みを、開発者の名・ホワイトペーパー・ICO・メインネット稼働の記録と共に、年月日単位で一元化した記録である。

西暦2,011年、サトシ・ナカモトは1,000,000BTCの資産を残した儘、音沙汰が無くなる。以降、誰も其の資産に手を付けていない。同じ年、ジェド・マケーレブ・デイヴィッド・シュワルツ・アーサー・ブリットの3名が分散型台帳「XRPレジャー」の開発を開始し、10月7日にはグーグル社員のチャーリー・リーが、暗号通貨フォーラム「ビットコイントーク」にて「ライトコイン(LTC)」をローンチした。僅か150LTCをマイニングした後の公開であり、彼はビットコインと競合するつもりは無く小規模な取引に使う事を意図した、と述べている。西暦2,013年12月6日には、IBMのビリー・マーカスとアドビのジャクソン・パルマーが、暗号通貨全体を揶揄うミームコインとして「ドージコイン(DOGE)」を数時間で纏めて公開する。ロゴには、千葉県佐倉市の柴犬「かぼす」に由来するインターネット・ミームが採用された。

西暦2,015年7月30日、ヴィタリック・ブテリンとイーサリアム財団による「イーサリアム」がローンチされる。限られたスクリプト言語しか持たなかったビットコインの、より柔軟でプログラム可能な版を目指したものであった。翌西暦2,016年4月、イーサリアム上の投資プラットフォーム「The DAO」が1ヶ月のクラウドセールで150,000,000ドル以上を集めるが、6月、再帰呼び出しのバグを突かれ3,600,000ETH以上が流出する。7月に実施されたハードフォークは、取引の書き換えは不変性と信用を損なうという反対意見を呼び、コミュニティを二分した。旧バージョンは「イーサリアムクラシック(ETC)」として残る。同様の分岐は西暦2,017年8月1日にビットコインからも生じ、ブロックサイズを32MBに拡げた「ビットコインキャッシュ(BCH)」が、更に翌年11月15日には其処から128MBの「ビットコインSV(BSV)」が誕生した。

西暦2,017年、ICO(新規暗号資産公開)の熱狂が頂点に達する。ブレンダン・アイクのベーシック・アテンション・トークンは30秒足らずで約35,000,000ドルを集め、ファイルコインは257,000,000ドル、そしてブロックワン社のイオス(EOS)は翌年6月1日の終了時点で4,100,000,000ドルを調達した。ジャスティン・サンは中国政府によるICO禁止の情報を事前に掴み、発表の数日前にトロン(TRX)のICOを実施している。同じ年の7月6日、シーメンス社を解雇されたヘイデン・アダムスは、友人カール・フロエルシュに「機械工学は衰退しつつある分野だ。イーサリアムは未来だ」と説かれ、2ヶ月でイーサリアムとSolidityの基礎を学んだ。翌西暦2,018年4月のデコノミーで、彼はブテリンにユニスワップを紹介され、Vyperでの書き直しと助成金への応募を勧められる。11月2日、ユニスワップのスマートコントラクトがイーサリアムメインネットにデプロイされた。

西暦2,017年12月18日、メイカーDAOがUSDにペッグされたアルゴリズムステーブルコイン「ダイ(DAI)」をローンチし、西暦2,018年9月27日にはコンパウンドが、翌西暦2,020年1月8日にはアーベV1が稼働する。仲介者を介さず暗号資産を貸し借りするDeFi(分散型金融)の骨格が、此処で整った。同年8月28日には、匿名の「シェフ・ノミ」がユニスワップのコードを基に「スシスワップ」を開始する。並行して、NFTとメタバースの系譜も伸びてゆく。西暦2,012年の「ザ・サンドボックス」、西暦2,015年のディセントラランド、西暦2,018年3月のベトナム発「アクシー・インフィニティ」——プレイヤーがNFTで固有識別されたキャラクターを売買する構造が、此処に現れた。

そして新世代のチェーンが相次ぐ。クアルコム出身のアナトリー・ヤコヴェンコがPoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)を構想した「ソラナ」は西暦2,020年3月24日にメインネットβ版を公開し、ギャビン・ウッドの「ポルカドット」は同年5月26日のジェネシスブロックを経て西暦2,021年12月18日にローンチされた。アバランチ、アルゴランド、ヘデラハッシュグラフ、コスモス、カルダノ、テゾス、クレイトン——ブロックチェーンは一つの通貨から無数のネットワークへと枝分かれしてゆく。西暦2,022年12月1日、シータメタチェーンがシータメインネットで稼働を開始した。一篇のホワイトペーパーから始まり、乱立と分岐を繰り返した十五年の全軌跡を、本書は一冊に束ねている。


登場人物

  • サトシ・ナカモト 西暦2,008年8月18日にbitcoin.orgを登録し、同年10月31日にビットコイン(BTC)のホワイトペーパーを公開した人物。マイニングによる供給を21,000,000BTCに限る設計を示した。西暦2,011年、1,000,000BTCの資産を残した儘音沙汰が無くなり、以降誰も其の資産に手を付けていない。西暦2,018年のビットコインSV(BSV)は、其のビジョンに因んで名付けられている。
  • チャーリー・リー ChromeOSのコード作成等に携わったグーグル社員。ディープWeb上のマーケットプレイス「シルクロード」でP2P通貨の投稿を読んだ事から暗号通貨に出会い、西暦2,011年10月7日、僅か150LTCをマイニングした後にライトコイン(LTC)をローンチした。弟ボビー・C・リーと共に取引所「BTCチャイナ」を統合。西暦2,013年7月にグーグルを退職してコインベースへ移り、西暦2,017年12月、利益相反の疑いを理由に保有資産の略全てを売却・寄付した。
  • ジェド・マケーレブ 西暦2,011年、デイヴィッド・シュワルツ・アーサー・ブリットと共にXRPレジャーの開発を開始し、翌年設立のニューコイン社(後のオープンコイン社・リップル・ラボ社)ではCTOを務めた。其の後、西暦2,014年7月31日にジョイス・キムと共に決済ネットワーク「ステラルーメン」を立ち上げ、銀行口座を持たない人々をグローバル経済に取り込む事を目指した。
  • ビリー・マーカスとジャクソン・パルマー 西暦2,013年12月6日、暗号通貨のパロディとしてドージコイン(DOGE)をローンチした2名。IBM勤務のマーカスが、パルマーの作ったミームサイトを見付け、数時間で纏めて公開した。パルマーは西暦2,015年4月、人々が啓蒙よりも金銭ばかりを気にしている事に気付いてプロジェクトを離れ、マーカスも保有分を全て売却して「中古のホンダのシビックを購入するのに十分な金額を現金化した」と述べた。
  • ヴィタリック・ブテリン 西暦2,015年7月30日、イーサリアム財団と共にスマートコントラクトのプラットフォーム「イーサリアム」をローンチした。西暦2,016年のThe DAOハッキングに際してはハードフォークを提案し、コミュニティを二分する議論を招く。西暦2,018年にはヘイデン・アダムスにVyperでの記述と助成金応募を勧め、香港ではユニスワップのコードから、監査会社も見逃した「recipient」の綴り誤りを発見した。
  • ヘイデン・アダムス 西暦2,017年7月6日にシーメンス社を解雇され、友人カール・フロエルシュの勧めでイーサリアムに転じた人物。2ヶ月で基礎を学び、自動マーケットメーカーの実装に取り組む。生活費とした暗号通貨が75%以上下落する中でデコノミー2018へ渡り、ブテリンやリチャード・バートンらの助言を得て、西暦2,018年11月2日、ユニスワップをイーサリアムメインネットへデプロイした。
  • ジャスティン・サン 西暦2,013年12月にリップル・ラボの代表兼顧問に就任し、西暦2,016年1月に同社を去った後、翌年6月シンガポールにトロン財団を設立。中国政府がICOを禁止する数日前という時機にトロン(TRX)のICOを実施した。西暦2,018年7月25日にはビットトレント社を120,000,000ドルで買収し、同社CEOに就任している。
  • ブレンダン・アイク 西暦2,015年5月28日、ブライアン・ボンディと共にブレイブ・ソフトウェアを設立し、翌年1月20日に広告ブロック機能を備えたブラウザ「ブレイブ」を公開。西暦2,017年5月31日、イーサリアムベースのデジタル広告プラットフォーム「ベーシック・アテンション・トークン(BAT)」をローンチし、そのICOは30秒足らずで約35,000,000ドルを調達した。
  • ルーン・クリステンセン 西暦2,014年にワウテル・カンプマンとメイカーDAOを設立し、翌西暦2,015年3月26日「イーサリアム上に構築された究極のステーブルコイン、eDollarの紹介」を発表した。担保付き債務ポジションを用いるレンディングプロトコル「メイカー」を経て、西暦2,017年12月18日、USDにペッグされたステーブルコイン「ダイ(DAI)」のローンチに至る。
  • アナトリー・ヤコヴェンコ クアルコムやドロップボックスで分散システムの開発経験を積み、西暦2,017年11月、取引処理の順序付けを自動化する「PoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)」のホワイトペーパーを発表した。同僚グレッグ・フィッツジェラルドの勧めで2週間でRustへ移行し、プロジェクトはソラナビーチに因み「ソラナ」と改名される。西暦2,020年3月24日、メインネットβ版がローンチされた。
  • ギャビン・ウッド 西暦2,016年10月9日、複数の異なるブロックチェーン間の相互接続を可能にする「ポルカドットネットワーク」のホワイトペーパーを発表した。西暦2,020年5月26日のジェネシスブロック、同年7月20日のSudoモジュール削除による非中央集権化を経て、西暦2,021年12月18日、パラチェーンを伴う正式ローンチに至った。
  • ドミニク・ウィリアムズ 西暦2,015年に「インターネットコンピュータープロトコル」を構想して非公式にDFINITYを設立し、西暦2,016年10月、スイスのツークで非営利団体「DFINITY財団」へ改組した。従来のITに取って代わり、人類の全てのシステムとサービスをオンチェーンでホストするワールドコンピュータを構想し、西暦2,021年5月10日、インターネットコンピューター(ICP)をパブリックドメインにローンチした。

本書が記録する系譜

  • ビットコインとハードフォークの系譜 西暦2,009年1月3日のビットコイン(BTC)ローンチに始まり、スケーラビリティを巡る対立から西暦2,017年8月1日にブロックサイズ32MBの「ビットコインキャッシュ(BCH)」が、翌年11月15日には128MBの「ビットコインSV(BSV)」が分岐した。プロトコルの分岐が新たな通貨を生むという、暗号通貨に固有の系譜である。
  • イーサリアムとThe DAO事件 西暦2,015年7月30日にローンチされたイーサリアムは、西暦2,016年6月、The DAOが再帰呼び出しのバグを突かれ3,600,000ETH以上を流出させる事件に見舞われた。翌月のハードフォークは、運営の意向で取引を書き換える事の是非を巡って賛否を呼び、旧鎖は「イーサリアムクラシック(ETC)」として残された。
  • ICOバブルと資金調達の記録 西暦2,017年から翌年に掛けて、資金調達者が独自トークンを発行して投資家から資金を募るICOが熱狂を迎えた。ベーシック・アテンション・トークンの30秒で約35,000,000ドル、ファイルコインの257,000,000ドル、そしてイオス(EOS)の4,100,000,000ドル——本書は各案件の期間・調達額・レートを記録している。
  • DeFi(分散型金融)の骨格 西暦2,017年12月18日のステーブルコイン「ダイ(DAI)」、西暦2,018年9月27日のコンパウンド、同年11月2日のユニスワップ、西暦2,020年1月8日のアーベV1、そして同年8月28日のスシスワップ。銀行や仲介者を介さず貸借と交換を行う仕組みが、数年の内に出揃った過程を辿る。
  • NFTとメタバースの萌芽 西暦2,012年の「ザ・サンドボックス」、西暦2,015年のディセントラランド、西暦2,018年3月のスカイ・メイビスによる「アクシー・インフィニティ」、そして同年6月17日にイーサリアム財団が採用したERC-1155規格。仮想空間の土地やキャラクターが売買される構造が形作られてゆく。
  • 新世代チェーンの乱立 ソラナ・ポルカドット・アバランチ・アルゴランド・ヘデラハッシュグラフ・コスモス・カルダノ・テゾス・クレイトン・アスター——PoW以外のコンセンサスアルゴリズムを掲げる多数のレイヤー1が、西暦2,019年前後から相次いで稼働した。一つの通貨が無数のネットワークへ枝分かれしてゆく過程である。
  • 日本発のプロジェクト 西暦2,013年に「2ちゃんねる」のキャラクターをモチーフとして誕生し、翌年1月1日に正式版が流通したモナコイン(MONA)。カカオの子会社が開発したクレイトン、渡辺創太のアスター・ネットワーク、ハッシュパレット社のパレットトークン(PLT)、そしてNFTゲームプラットフォーム「プレイマイニング」のディープコイン(DEP)も記録される。

ビットコインの誕生から、DeFi・NFTの隆盛まで──
暗号通貨ローンチの全軌跡を一元化。

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AUTHOR

石田晋一

歴史データベース「トキジク」管理人。
万物の系譜の編纂者であり、電子書籍の著者。
YouTubeとニコニコでも情報を発信中。